¶タイタン号の宇宙探検¶

ご訪問いただきありがとうございます。

「サイコドクター」後編・・小さな心の闇の落とし穴は誰にでも存在する

2008年01月19日 12時55分56秒 | ドラマ・映画 全般の話
「サイコドクター」のレビューの続きです。(前編の記事)
            
http://blog.goo.ne.jp/satoko1964jp/e/a80cbbb416e9ef422f180cc5237073f9         

「週刊モーニング」で連載された同名コミックをTVドラマ化し、竹野内豊主演で放映されたドラマ。
個人病院を開業している精神科医・楷恭介と、彼の治療により、現代を象徴する心の病を抱えた患者たちが、次第に心を開いていく過程を描いています。

楷には洗浄強迫という症状があり、自身も心に闇をかかえ、しょっちゅう手を洗っています。その真の原因は最終回で明らかに…。

患者の治療をしながら、楷恭介自身のトラウマの克服を図ろうとする、魂の再生のドラマでもあり、最終話の竹野内豊の演技は必見です!

念のため、再度キャスト、スタッフをご紹介しますね。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

●出演
楷恭介:竹野内豊
冠野あずさ:市川実日子
森三七子:羽田美智子
川村好未(常連患者):秋山菜津子
八尾警部補:西村雅彦
犀川:伏石泰宏
バナナムーン店長・力石:山寺宏一
店員・忍:及川健

●スタッフ
原作:亜樹直、漫画:的場健(講談社モーニングKC刊)
脚本:伴一彦
音楽:magrow
演出:水田伸生、荻野哲弘、相沢淳
製作著作:日テレ
主題歌:平井堅 「Ring」 (DefSTAR Records)
挿入歌:倖田來未 「m・a・z・e」

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

★ FILE6
「うつ病」・・取りあげられた病状、用語=自殺願望、薬物療法・カウンセリングの是非、朝刊シンドローム

ゲスト~石橋凌、南果歩、神木隆之介

楷のもとを銀行マン・北村耕平(石橋凌)が訪ねてくる。
リストラのため部下を説得して退社させなければならないというストレスから体調を崩し、三七子の病院から紹介されてきたという。
楷の診断では、耕平はうつ病。仕事を休み、家族に症状を説明して協力してもらいゆっくり休んだほうがいい、という楷の説得に耕平はなかなか耳を貸そうとしない。
体がだるく、やる気も起こらず、リストラする立場の重責に苦しむ耕平。
ところが、自分が解雇した早瀬という部下も実は重度のうつ病だったことを知り、耕平は愕然とする。

☆キーワード~うつ病
6人に1人くらいの割合でなるといわれている病気です。最近は、ニュース、雑誌などでも大きく取り上げられることのある「うつ病」。
誰でもなる可能性がある、実は身近な病気ですが、うつ病は段階において治療方法が違うのがポイントです。
既に体力の落ちている場合には、投薬治療が有効。そして、体力を回復させるための休養が不可欠です。カウンセリングをするのはそれから。
正しい診断を受け、正しい治療をすれば半年から1年で回復すると言われています。但し、薬は回復したと思っても継続して飲みつづけること。
良くなってきたと思った時期に、周りの人間はより気を配らなくてはなりません。

★ FILE7
「PTSD」・・取りあげられた病状、用語=フラッシュバック、過呼吸発作、命日反応

ゲスト~桜井幸子、恵俊彰

楷は三七子の誕生パーティーで三七子の友人・襟子(桜井幸子)と婚約者・誠司(恵俊彰)に出会う。三七子がバースデーケーキのろうそくを吹き消そうとした時、襟子は突然過呼吸の発作を起して倒れてしまう。
2ヶ月ほど前に襟子の隣のアパートが火災にあったということを知り、楷は火事によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断。しかし襟子は苛立ったように「決めつけないで!」と言い放ち出て行くが、何故か楷自身もその日を境に苦しげな様子を度々見せるようになる…。

☆キーワード~PTSD(心的外傷後ストレス障害)
地下鉄サリン事件や阪神淡路大震災などの事件や災害に遭った人が、精神的なショックを受け、それがトラウマになりいろんな症状がでることがあります。
楷がとった治療方法は、悲しみを実感させること。
患者・襟子は、恋人を亡くした悲しみに対し薄い膜がかかったような感覚しか持たず、忘れようとするあまり、自分のことばかり考えるようにして過ごしてきたのです。
そのため恋人の喪の行事に一切参加しませんでした。
これらの行事は、残されたものが気持ちを整理するために行うという意味もあるので、おろそかにすべきではありません。
彼女は、恋人の死に対する、本当の自分の感情を心の奥に閉じ込めたまま長い年月を過ごしてしまったのです。
自分が体験したことを改めて形にすることで、思い出にのめりこまず、程よい距離をとることが出来るのでです。

★ FILE8
「醜形恐怖症」・・取りあげられた病状、用語=脅迫観念、醜形恐怖

ゲスト~唐沢寿明、小雪

楷のクリニックに通っていた女性患者・ひろみ(西山繭子)が、また美容整形をして現れた。醜形恐怖症にかかっている彼女は「すべてうまくいかないのは自分が醜いせい」と思い込んでおり、何度も整形手術を繰り返している。
施術したのは今売りだし中の「東条美容外科」。楷は院長の東条(唐沢寿明)のもとを訪ね、これ以上その患者を手術しないよう依頼する。しかし、患者の整形願望は心の病気によるものだと主張する楷に、東条は「手術を受けることでわずかな時間でも前向きな気持になれるなら問題ない」と言い放ち、2人は真っ向から対立する。

☆キーワード~醜形恐怖症
自分の顔や身体が醜いと思い込み、人の視線が気になるようになり、外出するのが怖くなるなど日常生活に支障をきたすのが醜形恐怖症。
これは頭の中に発生した強迫観念が引き起こしている心的病気です。
醜形恐怖に限らず、気になること(火の元だったり、戸締りだったり、楷自身の手を洗う行為だったり)が肥大し、自分でその思いや行為がバカバカしいと思いつつも止められない…。
それらは、自分でバカバカしいと思ってしまった瞬間、病気となるのです。人の視線が気になることや、火の元確認をすること、戸締り確認をすること、手を洗うことは誰もが行うこと。それらはバカバカしいと思わなければ病気ではありません。

★ FILE9
「依存症」・・取りあげられた病状、用語=精神腫瘍学(サイコオンコロジー) 、共依存

ゲスト~大塚寧々、泉谷しげる

楷は三七子の依頼で、足が動かなくなったという杉田晴香(大塚寧々)という患者の往診をすることに。三七子がさまざまな検査をしたが、肉体的な異常が見つからなかったためだった。
晴香は、父の杉田達也(泉谷しげる)と2人暮らし。杉田がロクに働かずに、ギャンブルや女に手を出すダメ男だったことから、妻はかなり以前に夫を見捨てて離婚。
広告代理店に勤めていた晴香は、杉田が金を無心に会社まで来たため辞めるハメになり、縁談も破談に。その杉田が女の所に転がり込もうとした矢先、晴香は足が動かなくなったのだ。

☆キーワード~依存症(父親依存)
仕事をしない父親を支えているつもりが、支えるということで自分の存在を確かめるようになってしまっていた晴香。父親を支えるということに依存してしまっていたのです。一方、父親は自分に娘が依存しているということは認識していますが、依存されることに“自分が依存していること”は気づかない。これは「共依存」と言われるものです。
共依存は、自分のために何かをするということが有効な治療になります。
自分の人生を生き、自立することが最も大切なのです。

★ FILE10
「洗脳」・・取りあげられた病状、用語=変性意識状態(頭の中がぼーっとする状態。質問攻めで戸惑いや混乱を起こさせ暗示をかけること)

ゲスト~いかりや長介、渡辺美佐子、神山繁

楷の洗浄強迫の様子は日に日に深刻になってきた。さらに、あるメロディが突然頭に浮かび、楷を当惑させる。そんなとき、三七子が、母・洋子(渡辺美佐子)の様子が最近おかしいと相談をもちかける。
楷は洋子が洗脳されている危険性に気づく。洋子は「実りの家族」というセミナーに参加し、野菜作りなどを通してすっかりはまっていた。楷はこのセミナーの実態をさぐるため、被害者の会を訪れる。そこで、かつて15歳だった楷が火事で両親を失ったとき献身的な治療で救ってくれた精神科医・石森(いかりや長介)と偶然再会。
脱洗脳の権威である石森に助力を仰ぐが、いっぽうで石森は成長した楷が精神科医になっていた事実になぜか暗い表情をみせるのだった…。

☆キーワード~洗脳
心の奥深くまで入り込んで、人をコントロールすることを指します。
日常生活から切り離した状態で時間をかけて行われるものです。但し、薬(覚せい剤等)を使えば短時間でも洗脳は可能。
悩みやストレスを抱え、心が不安定な人ほど洗脳されやすい傾向にあります。
心の弱みに付け込んで操ろうとする人間は、恐怖という人工的なトラウマを植え付け、その環境から逃れるととても怖いことが起こると思わせることで、縛りつづけるのです。通常は意識させないように、ひとつの言葉にだけ反応するように操作されているケースが多いようです。(日本では“脱洗脳”の医療行為は希少)

★ FILE11
「洗浄強迫」・・取りあげられた病状、用語=トラウマ、洗脳の爆弾、罪悪感

ゲスト~いかりや長介、渡辺美佐子、神山繁

三七子の母・洋子の脱洗脳治療にかかわるようになってから、楷は「血に汚れた子供の手」と「見覚えのない女性の姿」のイメージに悩まされ、洗浄強迫の症状も重くなってきた。そして、頼りにしていた精神科医・石森(いかりや長介)の目が突然見えなくなってしまっていたことに気づく。
心配する楷に、石森は自分のことより、洋子の治療と楷自身のことを大事にするように言う。そんな時、楷は八尾警部補から、石森の衝撃的な過去を聞かされ…。

☆キーワード~トラウマ
幼い頃の体験が身体の中に“ある恐怖”を植え込み、大人になっても恐怖や不安を持ちつづけることことを指します。
知らない間にトラウマになっていた場合、その事実を見つけることで解放されることもありますが、トラウマの原因はなかなか本人にはわかりにくいもの。
トラウマの治療(楷の洗浄強迫、そして石森の心因性失明)には、その事実をしっかり認識する必要があります。そこで罪悪感の対象に許されたと認識することで、真に癒され、トラウマから解き放たれるのです。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

11回にわたり精神科医の臨床の現場を伝えた「サイコドクター」。
いつの間にか殺人事件というドラマらしい演出はなくなり、純粋に病気についての内容に変わっていきました。
ドラマで伝えられることはあくまでフィクションであり、すべてをまるごと信じるのは危険ですが、今、日本には心を病んでいる人間はあまりに多いので参考になることが多々あることでしょう。

しかし、心の病気に対しての日本人の理解や社会の対応は欧米と比べてまだまだ未熟…。
心を病むことは特別な人がなることではないし、いつ自分がそうなるかは分からないので、その事実、症例を多くの方々に知って欲しいと強く感じました。

罪悪感を癒すのは許し。

最終回2話での大切なキーワードです。
簡単なようでむずかしい…それを竹野内豊と今は亡きベテラン、いかりや長介さんが最高の演技で表現してくれました。
最後には不覚にも(なんて…実はかなり涙腺弱し!)泣けてしまいました

それにしても!

常に凛としている竹野内豊の佇まいは本当に安心感というか、安らぎを感じさせる、素晴らしいものでした。
常にフラットで、最終回はその美しさに溜息が出たほど。
大げさですが本当に、格好いいんじゃなくて、美しいんですよ!
しぐさやまなざし、話し方、ゆっくりした優しい口調も、演技なのか地なのか、とにかく久しぶりに美しい日本の俳優を見た!って感じです。

唯一苦言を言わせてもらうなら、このドラマは現実の精神医療の実態からかなり離れているのが残念です──。

「実際、個々の患者にここまで首つっこめる医者はほとんどいない」
という現実の精神医療を知っているので、本当に残念。

現実では、精神科や心療内科は、患者がどんどんあふれて、時にベルトコンベアーのようです。これは今の日本の社会ではどうしようもないことなのでしょうか…。

ドラマのような大きな闇でなくても、小さな闇や落とし穴は、あなたの隣にも私の隣にも存在しています。
だから、たまにはこういうDVDを見て、「自分は無理をしていないか?」とときどき自らに問いかけてみるのもいいと思います。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ちなみに、BOXならではの映像特典、これまた素晴らしい、感動ものでした。
クランクアップや監督、主演俳優のインタビュー、メイキング…。
こういうものを観られたことは、今頃になって遅れて観ることになった故の、特権と思うことにします (o^^o)♪

 ブログランキング・にほんブログ村へ   にほんブログ村 ニュースブログへ  
  
サイコドクター DVD-BOX

バップ

このアイテムの詳細を見る
 
ヘルシーキューピー 玄米雑炊 6食セット

ヘルシーキューピー

このアイテムの詳細を見る

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
堪能しました (chomi)
2008-01-19 16:24:12
タイタンさんのブログで
内容を忘れかけていたドラマだからこそ
もう一度みたいって思いましたよ
このドラマ、chomi最終回を
見逃しているような気がしますので
ますます見たいですよ。。。
このドラマの竹之内豊は本当に
chomi的にはだたの顔のいい男の人から
いい俳優さんに変化したドラマでもありましたから
この頃見ごたえのあるドラマに出会わないので
再放送して欲しいなぁ
返信する
BOXいいなぁ (clover)
2008-01-19 16:36:26
またみるみると思い出す内容…。
小雪の醜形恐怖もすごい迫真の内容でしたもんね。石橋凌のうつ病患者も、結構リアル。気力と体力が下手にあると自殺を遂行しやすくなるというのが身にしみました。
実際ここまで親身になってくれる精神科医はいないけど、こうやって話を聞いてくれる人も必要なんだと思います。
借りてこようと思ったら、やっぱりVHSでした。思い出したら見たくなってくる~。
返信する
Unknown (タイタン)
2008-01-19 17:05:21
>chomiさん。
見ごたえのあるドラマ、本当に少ないですよね。
特に冬しかドラマを見られない野球ファンとしては(^_^;)
これの最終回の演技、思わず息を呑んでしまいました。
え~すごい、役作りしすぎ!!って勝手に感動
いかりやさんと対峙するシーンは素晴らしかったです。

>cloverさん。
私はうつ病の「段階的治療」って知らなかったんですよ。だから、むやみにカウンセラーを発動しようとする教育委員会、学校などは、危ないですね。
その発想は間違ってる!
小雪も迫真の演技で、質が高いドラマでした…。
>話を聞いてくれる人
そうですね。医師ではなくても、ひとりで抱えずに信頼出来るヒトに話せる環境であって欲しいですね。

VHSですかぁ。やはり視聴率が低かったから、あまり生産されなかったんでしょうね
返信する
もう一度観たいです (メロディ)
2008-01-20 07:51:26
だんだん思い出しましたよ(^○^)

そうでした、いかりやさんが一緒だったのですよね~。
ゲストの顔ぶれを見ても、制作側が力を入れていたことは分かるのですが・・・。

こういうドラマが視聴率で評価されるから、なんかアイドル揃えて中身のないドラマが横行するのでしょうね。
(と言いながら、亀梨クンのは見てる^^;)
返信する
メロディさん (タイタン)
2008-01-20 08:58:09
本当、制作側が力を入れていたことがわかるキャスティングですよね。
(アイドルはなし)
亀梨くんの見てるんですね?
初回でNHKが先制攻撃(インフルエンザの恐怖ドラマ)仕掛けて、あれで私は駄目になっちゃっいました。
でも典型的なアホっぽいドラマ(?)ボンビーメンを見た私っていったい…(^_^;)
返信する
いつ自分が (美狂)
2008-01-21 08:33:05
いつ自分がなってもおかしくない病ばかりですよね。
昔からあったのだろうけど,最近耳にする病気ばかりで本当にぐいぐい惹きつけられました。
タイタンさんが言うように,「ここまで密な医者」が存在できない今の現状の方がはるかに怖いことかも知れません。ドラマを鵜呑みにする気はありませんが,自分を含め,周りの人間が発症したら・・・と考えたとき少しでも知識があったほうがいいな。と改めて思いました。なかなか観る時間が作れそうにありませんが,一度じっくり見たい作品ですね。(メモしておかなきゃ)
返信する
美狂さん (タイタン)
2008-01-21 11:53:43
洗脳というか、昨今の宗教まがいの詐欺事件などは、人の弱みに付け込む、嫌な犯罪ですよね。
助ける医師は不足するばかりなのに、貶めようとするハイエナはあふれている日本…。
こういうところだけはもっと欧米を見習って欲しいと思います。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ドラマ・映画 全般の話」カテゴリの最新記事