goo blog サービス終了のお知らせ 

さとくーの取りあえず「ときめきブログ」

日常で感じた楽しいことからトホホなこと、果ては好きなモノまで節操無しに呟いてますv

「カラスの親指」

2009-10-01 23:58:48 | 読み物
道尾秀介氏「カラスの親指」です。

内容(「BOOK」データベースより)
“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。
ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。
やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。
失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは。


書きかけて飛んだ、地味にきついな;

同僚が作って消えたために代わりに借金を背負った男は負債を整理する代わりに闇金の仕事をし、
一人の負債者を自殺に追い込んだ。 そして娘も火事で失った。
以来社会に背を向けて詐欺を働きながら生きてきた一人の男。
ひょんなことから出会ったもう一人の男と詐欺を働き生きて行くが、
その男は妻を闇金からの執拗な督促による自殺で失っていた。
前半はそんな二人の働きぶり(というのもおかしいが)がコン・ゲームを見ているようで、
またテンポよくもありぐいぐいと読み進められた。

そして自分が死に至らしめた負債者の子も、仲間もおなじ闇金が係っていたと分かり、
一発逆転を狙ったシナリオを描いたのだが…という進み方は素直に面白く引きずり込まれたが、
ラストのどんでん返しの後の結末を知ってしまうとミステリとしての楽しみは薄いかも。
むしろ登場人物の心情も細やかに書かれているのでその機微を味わうところなのかも。
何が罪を償うことで、何が罪を赦すことなのかというのは一概にこれといった基準はない。
お金なのか、心情なのか、はたまたそれ以外の何かか。
登場人物達がそれぞれに抱えた罪、そして償い方は共感できる部分もあるし、
そこまでいってしまうとある意味自己満足か?と捉えられかねない点もあったが、
そういうところに比重を置きながら読むと中々深い一冊ではあると思う。

「ハンプティ・ダンプティは塀の中 」

2009-09-29 23:52:40 | 読み物
蒼井上鷹氏、「ハンプティ・ダンプティは塀の中 」です。

内容(「MARC」データベースより)
7月某日、午後3時ちょい過ぎ。おれが外の自由な世界から締め出された瞬間だった。
第1留置室の新入りとなった和井は、そこで4人の先客と出会い…。
第1留置室で繰り広げられる、おかしな謎解き合戦5編を収録したミステリ。


読んでからレビューが随分経ってしまって、もはやあまり覚えていない。<待て;
留置室、逮捕されてから起訴されるまでの間(というとやはり最近では某方を思い出しますが)
過ごす場所でこの後裁判で刑が確定、実刑になると刑務所へ、となる訳ですが。
その前段階な故にまだ多少の自由!?があります。

先客が以前に遭遇した事件の謎は? 留置場の外に現れる少女の正体は?
そして塀の中にいながら全ての謎を解いてみせる「マサキさん」が留置室に留まる真の目的は?

それぞれの話(謎)が独立しつつ、最後に一つの答えへ向かっていくという
作者のパターンが(初期なので)良く表れてるし、やはりこういう書き方は上手いと思う。
<反面どうにも長編が…と思ってしまうのですが;

ただ、最後、「マサキ」さんが何の罪を犯してここにいるのか?という話、
急いで読んだせいもあったのですけど、若干分かりづらかったかな?
理論的に仮定を一つづつ打ち消して行くものだったので、途中でこんがらがってしまいました;

「臨床真理」

2009-09-26 23:58:33 | 読み物
柚木裕子氏、「臨床真理」です。

内容(「BOOK」データベースより)
臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。
司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、
美帆に心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、
司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。
その根拠は、彼が持っている特殊な能力によるらしい。
美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。
美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、
福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。
しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる。


とまぁ、ずらっと粗筋が並んだところで大変察しの良い方はもしかしたら結末まで分かってしまうかも。
「このミス大賞作」にしてはレビューの評価が低いのも、読んでみるとまぁ仕方が無いかと思う。(偉そうですが)
医学的記述の間違い云々もあろうかと思いますが、大して知識の無い自分が読んで
まず気になったのは一文辺りの短さでした。
簡潔に鋭く、分かりやすくというよりは残念ながらブツブツと文章が切れている印象を受け、
そういうのはこの方が今までに書いている量と関係しているのかなぁと。(生意気でスイマセン)

彼が持っている特殊な能力=言葉を色で判断する(嘘なら何色、真実なら何色と言葉に
色が付いて見える)という話は他にどこかで読んだ気がするのですが、
その能力が無ければ全く解決しない程に不安定なトリックはどうかと。
ま、その分半分くらいで結末が見え後半部分で真犯人のフラグが明らかに立っているので
トリックを楽しむよりは後半、惰性で読んでおりましたが;

が、ねぇ、最後の方の描写、アレは事件解決に必要あったんだろうか?
違うシーンを描き出すことでも充分に置き換えられたと思う。
自分にとってはおぞましいばかりで読後感の味わいが悪くなっただけのように思えました。

「僕と『彼女』の首なし死体」

2009-09-24 23:58:54 | 読み物
白石かおる氏、「僕と『彼女』の首なし死体」です。

内容紹介
冬の朝、渋谷ハチ公前。僕は生首を置きにゆく。『彼女』の願いを叶えるために――。


え~と、読後の第一印象はこの主人公の性格を理解した上で共感できるか否か?によって
本の評価が分かれるところではないかなぁと。
そして「え~と」と書いた自分は…共感出来ない部分の方が多かったかなと。

冒頭、「僕」が生首を置きに行くという衝撃的なシーンがあるにも拘らず、
当の僕の視点で語られる日常はあまりにも淡々としている。
捕まることを恐れている訳ではないけれど、そのシーンと日常(その後の日々の様子)の
アンバランスさ、そして「僕」の性格を表す行動の数々の間に流れる独特の雰囲気が、
作者の持ち味なんだろうなぁと思うと同時に、その(現代人の考え方?)感覚が
自分では理解できなかったかも。

ミステリというには物理的な問題として突っ込むべき点は多く見られるし、
結末についても謎を解く、よりも感情を中心に表す書き方がなされている為に、
若干尻すぼみな印象は受けました。
しかし、ある意味表紙買いチックな本だよなぁ。(笑)

「はなうた日和」

2009-09-21 22:55:53 | 読み物
山本幸久氏、「はなうた日和」です。

出版社 / 著者からの内容紹介
泣いて笑って歌って。心温まる8つの物語。
『笑う招き猫』の著者による小説すばる新人賞受賞第一作。
会ったことのない父親を訪ねる少年、東京を転々とするB級アイドル
老若男女8人の悲喜こもごもを優しく描いた短編集。


ある意味安心して!?読める作家さんかなと。
読後に気分がどよ~んとなったりとか、後味が悪いとか(←誰のこと?)いう話は
殆どないですし。(が、その分強烈に残る…というのでもないのですが;)
世田谷線沿線を中心にそこの住む人々が体験する日常がほのぼのと、時にはちょっと
しんみりしながら語られている短編集です。
実際世田谷線に(移動手段として)乗ったことは殆ど無くて。
遥か昔に三軒/茶屋から下/高井戸まで(始発から終点まで)乗ったことは一度だけあります。
ぶらり途中下車の旅…をしたかった訳でなく、ただ乗っていただけですけど。(笑)
環七を横切る電車からの光景と、ホントにごく普通の住宅地の間を通っているギャップと
二両編成のかもし出す長閑さなんかは何となく記憶に残っていて、
その気持と同じ印象をこれから受けました。


「コミック版 HACHI 約束の犬 」黒沢明世。

昔リアルで日本版も観ています。(この間やってた再放送も何故かw)
そしてリチャード/ギアの独特のイントネーションが離れないのですけど。
何故だかコミック版を買った人物がいて、わざわざ持ってきてくれました。(笑)
洗濯が終わるのを待つ間、暇つぶしに~と思って読んでいたら、鼻ぐずぐずしてんの、
目頭熱っいの自分…そんなキャラじゃないのに、あれ、おかしいな?
若干中身は日本版と変わってました。
にしても、ヤバいぞ、この涙腺の脆くなってきかたは。

「TVJ」

2009-09-15 23:10:46 | 読み物
五十嵐貴久氏、「TVJ」です。

内容(「MARC」データベースより)
お台場のツイン・タワーに拠を構える民放・テレビジャパンが、銃火器で武装した集団にジャックされた。
犯人による拘束を1人だけ免れた高井由紀子は、人質になった婚約者を救うため大活躍する


海外のアクション物にありそうなネタ。(2/4とかね)
それがシチュエーションが日本になっただけで更にリアリティが薄れるのは何故だろう。(笑)

近代的なビルにありがちな!?メインコンピューターはワンフロアで制御されるシステムのため、
警察側も突入が出来ず、交渉人を立てて犯人側との折衝を試みるが、
出される要求は上層部に否定され、その度にビルの一部が爆破されてゆく。
それでも人質救出のため、息詰まったやり取りが展開される…はずなのだが、
(こんな状況)ね~よ、と思ってしまう辺り自分も如何なものかと;

が、占拠されたビルにとある事由で(人質ではなく)取り残された由紀子が
地の利を活かして犯人に立ち向かおうとする場面でとあるブツを利用してたりと
(←これが、妙なプチデジャヴュ、まさか本当に使っている本があるとはw)
そういった意味では個人的には楽しみながら読んでました。
<基本的にこの手のモノは映画等でも好きなタイプですしね。(笑)
気の張らないアクション物といったところでしょうか。

「男は敵女はもっと敵」

2009-09-13 23:44:40 | 読み物
山本幸久氏、「男は敵、女はもっと敵」です。

内容(「MARC」データベースより)
才色兼備でAクラスの女、高坂藍子36歳。元夫、不倫相手、さらにその妻にその息子…。
台風の目のようなひとりの女と、彼女をめぐる普通すぎる人々を描く、
ちょっぴり哀しく、おもしろオカシイ6つの連作小説。


フリーで仕事をする藍子、仕事相手、元夫、その婚約者~と彼女を取り巻く人物が
一つ一つの話として完結し、全てが繋がって一冊の本に…というのは面白い。
<それぞれが個性的でありながら、どこかにいそうな感じという点も含めて。
200ページ程度のものなのと、この方独特の軽いタッチの文体なのでさらりと読めます。
<さらり過ぎて読後感の印象ががあまり残ってなかったりもしますが;

仕事も頑張る、でも結婚もしたいし(現にそう思い一度は結婚するわけですから)
自由にも生きてみたいと欲張りな感じもしますが、それでも彼女に対してあまり我がままだと
感じないのはそう思って彼女がした行動や出した結論が潔いからでしょうか。
何より、そうすることによってのデメリット(孤独感を感じる等)も全て受け容れようとする
姿がカッコイイ良く見えるのかなあと。

「枯骨の恋」

2009-09-08 23:58:29 | 読み物
岡部えつ氏、「枯骨の恋」です。

内容(「BOOK」データベースより)
まもなく40になる独身の真千子が独りで住まうアパートの部屋の何もない壁には、捨てた恋人、
博也の骸骨が立っている。かつて共に暮らした博也は、真千子と別れて間もなく病死。
捨てたといううしろめたさが骸骨という幻影を生み続けているのだ。
ある日、知り合ったばかりの男を初めて部屋に入れた夜、暗闇の中で男の愛撫に博也の癖を見つける。
今、自分を陵辱しているのは何者なのか、明かりがついたとき、真千子が見たものは…。


そういう意味だったのか、と粗筋を読んで初めて気が付くようじゃ駄目じゃないかと;
ホラーというジャンルを普段殆ど読まないせいかもしれませんが、
読後にじんわり襲ってくる恐怖というものを感じない(あるいは読み取れない)体質のようです。
<ようは表面しか読んでいないってことですね;

そして、ホラーと切り離せない女性の情念がテーマとして書かれているものが多く
(それを、古来からの正統派と言うのかもしれませんが)、読後に残るのは恐怖よりも
そういった情念の執拗さの方が強く、あんまりすっきりとはしないかも。
話のテーマや展開としてありがちなものが多かったのですが、
独特の語り口というものは感じられました。


そういや、先日本屋に行って、新書コーナーをチェックしてきたのですが(←借りるため)、
名を知っている作家さんの本が数冊刊行されていて、その全てを覚えられなかったのと
メモを取るのが面倒だったので(待て;)、久々にダ/ヴィンチを買ってみた。
が、ちらとチェックしたら、今本屋に並んでいるのは見当たらず、ということは
先月分に載ってたのか?…失敗した。
(今月はポストカードが付いてるとかで中を見られなかったんだよなぁ)

「捨て猫という名前の猫」

2009-09-07 23:59:03 | 読み物
樋口有介氏、「捨て猫という名前の猫」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「秋川瑠璃は自殺じゃない、そのことを柚木草平に調べさせろ」若い女の声でかかってきた
月刊EYES編集部への奇妙な電話は、そう言って切れた。
それは一週間前に、“女子中学生が飛降り自殺”と新聞で小さく報じられた事件だった。
誰もが羨む美少女に、何があったのか―。事件を洗い直す柚木草平は、ある真実を探り出す。


確かこのシリーズの2冊くらいは読んだ…はず。(家のどっかに埋もれてるはずw)
こんなにシリーズとして出ていたのを今になって知りました;
まぁ、それは置いておいて。<切り替え早っ!

この柚木草平という人物、40代前に刑事を辞し、今はそのつてを頼りにフリーライターとして
記事を書いている。 バツイチ、且つ不倫中(←このことは元妻も知っている)、
小学生の子供とは親の勤めとしてたまに会うし、大事に思っているのだが、実際に会うと
非常に疲れる、が、記事や事件を追う上で出会う女性にはやたらともてる。
という、う~ん、まぁ、洋書でいうところのハードボイルドに出てくるちょいワル系?な
人なのですが、(多分)それを目指して書かれている分、やっと携帯を持った主人公に
時代の差を感じるかもしれません。

肝心の事件については昔ながらの足でコツコツと調べ、謎を外堀から埋めていくタイプなので、
読んでいて納得はするのですが、事件そのものの題材については個人的に
その手の趣味が全く理解出来ないので、読後感として余りすっきりとするものではないかも。

「屋上ミサイル」

2009-09-02 23:59:20 | 読み物
山下貴光氏、「屋上ミサイル」です。

内容(「BOOK」データベースより)
大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件がアメリカで発生していたものの
―日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。
それよりも、もっと重要なことがある。例えば、校舎の屋上でスケッチをすることだとか。
美術の課題のため、屋上にのぼった高校二年生の辻尾アカネ。
そこで、リーゼント頭の不良・国重嘉人や、願掛けのため言葉を封印した沢木淳之介、
自殺願望を持つ平原啓太と知り合う。屋上への愛情が共通しているということから、
国重の強引な提案で“屋上部”を結成することになった四人。
屋上の平和を守るため、通行人を襲う罰神様騒動、陸上部のマドンナ・ストーカー事件、
殺し屋との遭遇などに巻き込まれることになる。それらはすべて、ひとつの事件に繋がっていた!


相変わらず手元に届くまで何故その本を予約したのか忘れてます;
この本は「このミス」大賞だったんだ。<そっからかい!

ということで一見アメリカのテロと登場人物達に直接は関係が無さそうな高校生。
(というより、むしろそれが後に話として繋がるのかと思ってしまった)
何が関係するかといえば、同盟国である日本に、いつテロの脅威(核ミサイル?)が
降りかかるかということ。 その脅威から逃げようとする様や設定は確かに伊坂氏の
「終末のフール」に酷似していると思う、そして指摘されるように文体にも。
何処か飄々としていて迫る恐怖よりも現実に起こった小さな(でもないのだけれど)事件を
楽しみながら解明しようとする高校生4人組。
そのキャラ自体や、脇に登場する人物達の会話もテンポ良く面白いと思う。

じゃあ、肝心の事件は?となると、偶然と偶然が重なり合って(そもそも「普通」の
ミステリに「殺し屋」という職業は余り登場しないかと)、ともすれば広がりすぎて
回収の難しそうな件を纏めてはいるけれど、かなりご都合主義的なところは否めません。

が、会話文、地の文の入り混じり方、話全体のテンポの良さというのは感じられたので、
この後どんな風な作品を生み出していってくれるか楽しみではあります。

「書店員の恋」

2009-08-27 23:23:28 | 読み物
梅田みか氏、「書店員の恋」です。

内容紹介
どんな本も、その一冊を必要とする人がいる。誰にでも、その人を必要とする人がいる。
主人公は、大手書店チェーンに勤める今井翔子(26)。
入社6年目にして文芸コーナーを任せられた、書店員の仕事が大好きな女性。
ファミレスの厨房で働く同い年の水田大輔という恋人がいる。
彼は翔子のことを真剣に考えているが、今は、心の余裕もお金も将来の展望もない。
そこに現れるのが、ケイタイ小説のベストセラー作家で歯科医師の青木譲二(35)。
サイン会の打ち上げをきっかけに、翔子に好意を抱きはじめる。
セレブの譲二か、先が見えない大輔か……揺れ動く翔子。
そうした翔子の恋と仕事の悩みを中心に、短大時代からの親友や同僚がおりなす人間模様。


スミマセン、あらすじ長い割に、自分の感想は「でっていう」の一言です。<待て;
だから、自分には恋愛小説(だと思う、ジャンルしては)は向かんのだと;

まず、勝手な誤解ですがタイトルから書店員という職業柄たくさんの本が出てくるのかと
思いきやそうではありません。
登場人物相関図のところにそれぞれの愛読書(それで性格を推察して下さいということか?)が
載っている辺り以外に、特に本屋の店員である必要もないような気が。
話の中身には係ってきますが、テーマが他の職業に置き換えられた場合にも
「金と愛どっちを取る?」という普遍的な(そして、結末としても絶対的な割合でそうなる)
中身であるだけに目新しさは余りないです。
強いて言えば、現れたセレブが流行に乗った携帯小説家というところか。

自分も携帯で小説を読むことはしませんし(食わず嫌いもあるかもしれませんが)、
また違った目で見ればこれもちゃんとした!?小説なのかもしれませんが、
自分にはちょっと頑張った携帯小説のように思ってしまいました。

確かにベッタベタな展開は嫌いじゃないしこの選択じゃなかったら多分女性読者の
多くは総スカンだろうとは思いますが、先が読めすぎちゃってねぇ。

「とんび」

2009-08-26 23:56:09 | 読み物
重松清氏、「とんび」です。

内容(「BOOK」データベースより)
つらいときは、ここに帰ってくればいい。昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。
愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、
ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。


泣かせる話の上手い人(←という言い方はどうなのかと思いますけど;)、
その手腕はこの本でも如何なく発揮されているなぁと感じました。
高度成長期の時代、幼い子を抱える父、母は早くに亡くしたけれど、
その二人を温かく見守ってくれる沢山の目、そして利害や益を考えずに差し出される沢山の手、
それはあるいは当時では「当たり前」だったのかもしれませんが、
今の時代から見ると「古きよき時代」だったのかなぁと思います。
主人公の親子もさることながら、脇を固める同僚、姉のような存在、父のような存在の
友人の父、その皆がとても温かく、そして時に厳しく諭しながら二人の
(父親のしての成長と、子の)成長を見守る姿が話の中の人物でありながら、
どこかにいそうな、そしていてくれたらいいなと思う人々でした。

地味(な登場回数)ながらも自分が一番印象に残ったのは友人の父の和尚。
幼い子を抱えるヤスさんに「海であれ」と諭したシーンや成長した子にあてた手紙など、
普段ほぼそういうことがない自分ですが(←言うな;)、思わず目頭が熱くなりました。

「毒殺魔の教室」

2009-08-24 23:41:22 | 読み物
塔山郁氏、「毒殺魔の教室」です。

内容(「BOOK」データベースより)
那由多小学校児童毒殺事件―男子児童が、クラスメイトの男子児童を教室内で毒殺した事件。
加害児童は、三日後に同じ毒により服毒自殺を遂げ、動機がはっきりとしないままに事件は幕を閉じた。
そのショッキングな事件から30年後、ある人物が当時の事件関係者たちを訪ね歩き始めた。
ところが、それぞれの証言や手紙などが語る事件の詳細は、微妙にズレている…。
やがて、隠されていた悪意の存在が露わになり始め、思いもよらない事実と、
驚愕の真実が明かされていく。『


物語序盤はクラスメイトが過去を振り返り、証言でつづられてゆく。
この手法は(自分はまだ未読ですが)高い評価を得た方が同時期に本を出されたということで
(作品自体が)比較されてしまうようでもあるが、悪くはないと思う。
が、事件に関して彼らがどう思ったのか、今の自分の状況に(精神的に)どう影響を
与えているのか、という部分が薄いので何となくそのまま読み過ごしてしまう感じ。

この本で一番残念だと思うのは、上記のように思いながらも、そのままでも先が
(細かいところは除くとしても)読めてしまうことではないかと思う。
特に真打ち!?(真実への手がかりを持つ人物)の登場が丸分かりすぎるかなぁと。
そしてその真実を解き明かす部分で(事件としての解決は時効により無いので)、
探偵役にあたる側のリードが(しかもそれは事実から組み立てられたものとはいえ)
あまりにも一方的に、そして真実を言い当ててしまっているところが
相手との対決(と言うのが適当か分かりませんが)の緊張感を削いでしまっている気がしました。


今日、昨日の夜の天気予報を頼りに(←朝はチェックしなかったのかという突っ込みは無しで!)
少々大きめな物も洗濯しておりましたが、思ったほど晴れませんでした。
途中から嫌な感じの雲が広がってきて取り込みましたが、あと5分、
いや1分でも遅かったら、全てやり直しになるところでした。
<ゲリラ雷雨というか、台風の暴風域のような風雨で凄かったです;

「狼の寓話―南方署強行犯係」

2009-08-18 23:32:02 | 読み物
近藤史恵氏、「狼の寓話―南方署強行犯係」です。

内容(「BOOK」データベースより)
大阪の南方署、刑事課に配属の會川圭司は最初の現場でどじを踏んでしまった。
犯行現場のバスルームで鑑識がみつけた髪の毛を流してしまったのだ。
そんなヘタレな刑事が新しく組んだ相棒が黒岩という女刑事。
こちらもお荷物扱いのようだが…。


警察署小説というほどシリアスでもないけれど、コメディでもなく、事件の骨は
ちゃんとした!?ミステリな本です。
<へタレとか書いてあるから何となくコメディチックなのかと想像してしまった。
新たに回された事件は夫が殺害され、殺害場所には妻の指紋がついた血痕が残っていた。
その妻は失踪、状況から見て夫を殺したのは妻だと思われるが、
黒岩は早急に逮捕状を請求せずに捜査を進めていた、果たして事件の真相は?

妻が書いた(賞に応募した)絵本の話が合間合間に挟まれており、
それと段々と分かってくる事件の真相(や夫婦の置かれていた立場)が
暗喩なのかと思い込んでいると最後にはっとさせられると言う。
そういう話の進め方は上手いなぁと思いました。←見事に引っ掛かったやつ;

そして事件の核は夫婦の、否、生まれてからそれまでに置かれていた環境にも
影響してくるのですが、その部分については中々に考えさせられるものでした。
(何かと言ってしまうと大きなネタバレになってしまうので抽象的です)

てか、これもシリーズであと1冊出てるのか、が、相も変わらず予約が…(涙)

「これから自首します」

2009-08-15 23:53:25 | 読み物
蒼井上鷹氏「これから自首します」です。

内容(「BOOK」データベースより)
自称映画監督の勝馬に幼馴染みの小鹿が告白した。
殺人を犯し自首すると約束していた友人が急に翻意したのでかっとなったという。
しかし、殺した相手というのが、かつて犯罪をおかしてもいないのに自首騒ぎを起こしたいわく付きの人物。
今回の自首騒ぎにも何かいわくがありそうで…。
勝馬には勝馬で正直者の小鹿に自首されては困る事情があった!?


という訳で活字補給も兼ね、且つ期限が迫っていた本を無理矢理に読み終わらせた。
<あ、活字補給というのはそのものずばりで、本来なら色々と吸収して役に立てられればいいのですが、
それは無理みたいです。(苦笑) まぁ、出て行った分の文字だけ取り入れようみたいな
ある意味水分補給のような気持でしか読んでません。<それでいいのかよ;

と前置きが長くなりましたが、感想はちんみりと。<何それ;
常々「短編向きの作家さんだ」と言ってはおりますが、やはりそうだなぁと。
今回は長編の中で章の区切れがかなり明確になっているので、以前に読んだものよりは
まだいいかなぁと思うのですが、小鹿を無口と設定してしまったところで、
その分(相手の気持を読み取る役となった)勝馬の心情描写がところどころで
中だるみを生む気がしました。
むしろ間に挿入されている彼が撮る(のではないかと思われた)映画のシーンの方が
きりりと引き締まっているというか。
そして、また冒頭に戻る的な書き方は読み手にとって非常に後が気になります。(笑)