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さとくーの取りあえず「ときめきブログ」

日常で感じた楽しいことからトホホなこと、果ては好きなモノまで節操無しに呟いてますv

「三匹のおっさん」

2009-08-04 23:55:25 | 読み物
有川浩氏、「三匹のおっさん」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「三匹のおっさん」とは…定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。
柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。
孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。


べた甘ラブコメ第一人者!?の主人公が還暦のオジサンになるとどうなってしまうのか?
と思いながら読み出しましたが、有川節は相変わらず炸裂ですし、
自分的には若干ご都合主義な勧善懲悪物とは思いますが楽しく読めました。

後書きに自作の元気なオジサンに対して同年代の方からも反応をいただいたのがきっかけ
とありましたが、それって玄○隊長のことですかね?<真っ先に浮かんだのはその人だった。

昔は還暦、赤いちゃんちゃんこ、立派な!?お年寄り的な感じは風潮と共にありましたが、
今はまだまだ若く元気な人が多いですから、こんな風なオジサン達もきっとどこかに
実在するんじゃないかと思いますねぇ。

元気な老年だけでなくその孫と娘も登場し、ラブコメ路線も健在です。
口が悪く、今時の(←と使う辺りがもう年か;)若造と男手一つで育ててくれた父と
健気に暮らす娘(だが、同い年)の距離が近付く様子はやはりニヤニヤもんです。

ただ、個人的に一番受けたのは「エレクトリカルパレード!」発動前のイラスト。
(そもそも「エレ~」が何か読まないと分かりませんね;)
「一番危ない人」が存分に表れた挿絵かと。(笑)

「殺しあう家族」

2009-07-30 23:41:31 | 読み物
新藤冬樹氏、「殺しあう家族」です。

内容紹介
詐欺商法を展開していた男性。その男性に引かれた女性は男性の言葉巧みな話術で
詐欺商法を手伝い始める。やがて男性の巧みな誘導で女性の家族が呼び出され、
家族は殺し合いを始めた・・・。戦慄の犯罪小説。


食事(昼)を取る少し前から読み始めたけれど、かなり失敗。
(昨日の昼に持って出かけたのはこの本でした)

実際の監禁殺人事件をモチーフにしているとのことでした。
一番の犯罪者(という言い方はおかしいかもしれません、主犯格という言葉も
何となく自分の中で違うし)は男性で、その恐怖から逃げられずに法で罰せられる
実際の罪を犯したのは女性とその家族です。
現実にこの著に書かれているような事件が起こる世になってしまったのかもしれませんが
(つい最近も連れ去り(引き回し?)事件がありましたし)、読後に残るのは
事件(や結末)をどう捉えるか?よりも惨たらしさ、エグさだけが強烈に残って、
正直自分にとって後味が悪い本という印象しか受けませんでした。

犯罪者を主役にしたもの(ノワール小説)でも、もっと違う恐怖の書き方が
あるのではないかと思います。
上に書いたような印象よりも犯人がどうしてそういう行動に至ったのか、
それをさせる主犯の真の恐ろしさ(どうやっても逃げられないと心理的に陥らせる)が
中途半端過ぎたり、ところどころご都合主義(街中で行われた犯罪にしては
周囲に気付かれないとか)が表れてて、保身しか働かない小狡賢い男(=恐怖を
与えたり、従えるだけの力を持つように思えない)に何故騙される?としか思えず。

とりあえずどう結末付けるかが気になっての読了でしたが、…う~ん。

「シングルベル」

2009-07-27 23:56:14 | 読み物
山本幸久氏、「シングルベル」です。

内容紹介
典型的な草食系男子で結婚興味なしの陽一は、父の策略で3人の女性と見合いをする羽目になる。
外資系バリバリ管理職、バンド大好きOL、元人気モデルの中から彼が選んだ女性とは?
ドラマでも話題の婚活世代に送るコメディタッチの恋愛小説。


う~ん、今の婚活状況を自分が知らないせいかもしれませんけれど。
非常に作り物っぽい(や、小説なんで「作り物」ですけど)印象が強かったです。
いつまでも姉妹に頭の上がらない末弟が何といい歳の親父。
そして「草食系」の息子に相手を見つけるんだ!とばかりに気負ってるのが
「家の存続のため」等正直当人(陽一)にしてみれば理不尽でしかないように
思える理由であれこれ策略を練る60~70代の叔母達。

やっきになる理由も分からなくはないですが、「結婚」に対しての(親と子の)
感覚の差があんまりにも違いすぎるところのギャップがこの本の面白さということ
何でしょうかねぇ。<あんまり納得してない言い方ですね;

勿論見合い相手として選ばれた!?三人の女性も今時の考え方。
それでも叶わぬ恋や仕事の悩み、失恋したばかりと、結婚に対して願望はあれど、
気持が付いて行かないという面がまだ自然な感じを受けました。

が、とにかく当の陽一が「草食系」というか、とにかく鈍感で空気過ぎる。
その空気感と周りの空回りを楽しむべきところだろうけれど、むしろ彼にいらっときてしまった自分は駄目ですかね。(苦笑)
なので結末についても「あれ、それを言ってたのは誰だっけ?」くらいの印象しか残らなかった;
ま、基本「肉食系」が好きな自分はそもそも彼に感情移入出来なかったのが
楽しめなかった一番の原因なんだろうなぁ。(苦笑)

「希望ヶ丘の人々」

2009-07-23 23:23:58 | 読み物
重松清氏、「希望ヶ丘の人々」です。

内容(「BOOK」データベースより)
いじめ、学級崩壊、モンスター・ペアレント、家族の死…。
70年代初めに開発された街・希望ヶ丘…そこは、2年前にガンで逝った妻のふるさとだった…。
亡き妻の思い出のニュータウンに暮らす父子を描く感動長編。


そもそも分厚い本だぁと思い、中を開けたら更に二段組という長編に
(返却期限がかなり迫ってきていたので)一瞬腰が引けましたが、
実際のところは一日で読み終えてしまいました。<それだけ時間があったとも言うな;

亡き妻のふるさとに引越し新しい暮らしを始めた父と子。
この人の著、その設定だけで涙腺が危険な予感もしましたが、読後はそうでもありませんでした。
親は子供を想い、子供も親を想いながら亡き妻が刻めなかった「未来」へ向かっていこうとする、
そんな前向きさと登場人物達のユニークさがそう思わさせたのかもしれません。
妻のふるさとだけあって、自分の知らない時を知っている「同級生」達が
数多く登場します。(全員が繋がっているところが若干お話の都合上の展開という
感じもしましたけれど)
変わらない、けれどやはり大人になっていく上でどこかで「無理」をして変わってしまう人、
それぞれが現実にいそうなキャラなのですっと感情移入出来るのかもしれません。

それでもこれが「作られたお話」だと思うのは「変わらないままの人」、
のインパクトが強いからでしょうか。(笑)
勿論、その人がこの本の中で重要な位置にあるのは確かですし、
当人のセリフの中で「大人の『もしも』は過去を振り返り後悔や愚痴の『もしも』で、
子供の『もしも』は未来に向けた可能性の『もしも』だ」という言葉は
深く印象に残りますし、成る程なと感心しもしました。

「タロットの迷宮」

2009-07-21 22:53:19 | 読み物
小笠原慧氏、「タロットの迷宮」です。

内容(「BOOK」データベースより)
法を犯した精神障害者を収容・治療する医療観察施設。
何重もの鋼鉄の扉で囲まれた重監護病棟で患者が女医を惨殺し、逃走した。
残されたのは磔にされた全裸の遺体、そして胸にピアスで突き刺したタロットカード。
「運命の輪」「吊るされた男」「愚者」…。逆位置のタロットカードが次なる殺人を呼ぶ。
天涯孤独な女性捜査官・麻生利津とAI(人工知能)・キシモトのコンビが難事件に挑む。
現役精神科医による迫真の医療サスペンス。


(パソで)やりたいことはあったんですけど、出かける予定だったので出先で読んでた本。
<やろうと思えば携帯でも出来るのですが、相変わらず使いこなすことが出来ない
 (というか、その作業が自分にはどうにも携帯では苦痛;)レトロな人間です;
というので代わりに読了を目指して読んでたつもりなんですが、途中で襲われた
睡魔に勝てず、昼寝までしてしまった;(←一体どんな出先だったんだw)

というわけで、自分にとって「眠気に襲われる」=もの凄く引き込まれるという本では
なかったのですけれど、それは自分が心理学やその類の知識に疎いからなのでしょう。
<所謂それの説明部分に当たるところがかったるく感じてしまった上に、
テンポを妨げてしまっているようにも感じられ非常に残念。
これもシリーズモノの2編目だったようなのですが、一応単独としても楽しめます。
が、謎を解く相手(AI)との過去等を知っていればもっと楽しめたのかなぁ。


ところで、先週末から見事にフジ/の陰謀に嵌まっております。(苦笑)
映画への効果を期待してということなのでしょうが、やっぱり画面で見られる
織○さんへの誘惑にしてやられてしまう自分;
ついでに言うとド/コモの動画ってのもすげ~気になるっ!(でも見られない、
自分の機種じゃ、多分w)
更にはすっかり忘れていた救命/救急の再放送(先週放映分)までまんまと捕まった…orz

明日、あんまり天気良くないんですよね~、ここでも少しは(完璧な形では無いけれど)
果たして見ることが出来るんでしょうかね、日食。

「七つの死者の囁き」

2009-07-15 23:57:15 | 読み物
「七つの死者の囁き」です。

内容(「BOOK」データベースより)
死者はそこにいる。生きている私たちの記憶の中に、夢の中に、そしてすぐ背後に。
私たちを見つめ、語りかけ、時に狙っている。
ひそやかで絶え間ない、死者たちの攻勢―。
少女の幽霊は窓辺に立ち、死んだ恋人からのメールが届く。
自殺した女の呪詛が響き、亡くなった男は秘密を打ち明け、死霊の化身が地底から出現する。


有栖川 有栖, 石田 衣良, 鈴木 光司, 小路 幸也, 吉来 駿作, 道尾 秀介, 恒川 光太郎氏による短編集。

タイトルにもあるように「死者」がテーマの短編集ですので、それぞれの話に
何らかの形で登場する訳ですが、7人それぞれの個性が見事に表れてると思います。
ので、話から受ける印象もぞっとするようなものから、ミステリ仕立て、
幻想的なモノと一冊で七つの違った味を楽しめるのはアンソロならではかと。
ホラーという点からすると鈴木氏の話は身近にある(が、現在では起こり得ない
設定ではありますけど)ささいな行き違いからうまれた話と恐怖感が上手くまざりあって
いるなぁと感じましたし、小路氏の叶わなかった恋をやりなおした人生を与えられれた(バクに)
少女の話は叶わなかった恋の真相にちょっとしたほろ苦さを感じさせられたりと
夏の夜にぴったりの!?一冊かと。


というか、今日、風強すぎでしょう。
折角洗濯物もバンバン乾きそうなぴーかん照りなのに、30分であえなく外干し挫折。(涙)

それから、過去の記事で間違いを教えてくれた方、どうも有り難うです!<超私信
「ド」しか合ってないよ!とか見直してから気が付きました、てか、最初の効果だったら、
嫌過ぎる、自分が一番w(もう一つ同じブツが存在するとか考えたくないわ;)

「セレモニー黒真珠」

2009-07-14 23:39:32 | 読み物
宮木あや子氏、「セレモニー黒真珠」です。

内容(「MARC」データベースより)
生きてるうちに、言えればよかったのだけど…。
町の葬儀屋「セレモニー黒真珠」を舞台に、アラサー女子・笹島、メガネ男子・木崎、
謎の新人女子・妹尾が織り成す、ドラマティック+ハートウォーミングストーリー。


時期が時期だけにおく○びとっぽい内容なのかと思いきや(初出はこちらが先)
「葬儀社」が舞台の「ラブコメ」だそうです。(紹介ジャンルとしては)
これの予約待ちの間に先に「花宵道中」や「雨の塔」などを読んでいたのですが、
それらに対して、こちらは随分と印象が違います。

合間に挿まれる葬儀社としての仕事、それに対する姿勢、あるいは登場人物の背負っている
過去等は真摯で重たいものではあるのですが、そういった暗さ(人が亡くなるという
事を含め)よりもそこで働く人々の小さな(恋愛を含む)感情の移り変わりに
惹きつけられる上手さというのはさすがだな~と思います。
「ラブコメ」と打っているだけあって、他の作品よりもどろっとした感じは薄く、
今流行の!?アラサーにメガネ君と登場人物も魅力的なので、取っ掛かりの本として
読むにはお勧めだと思います。

ところで、これより先に期限の本からと思って手にしましたが、
どうやらシリーズの途中だったらしくて(←タイトルから察しろよ;)珍しく読むのを諦め、
もう一度予約しなおすことにします。
<というか、その前2冊は(期限無しで)借りてきたので、そのままこれも購入して
いただけると嬉しいな~とかちょっと期待。(誰にだ!っていうか、あてにし過ぎ?w)

「禁断のパンダ」

2009-07-08 22:18:18 | 読み物
拓未司氏「禁断のパンダ」です。

内容(「BOOK」データベースより)
柴山幸太は神戸でフレンチスタイルのビストロを営む新進気鋭の料理人。
彼は、妻の友人と木下貴史との結婚披露宴に出席し、
貴史の祖父である中島という老人と知り合いになる。
その中島は人間離れした味覚を持つ有名な料理評論家であった。
披露宴での会話を通じて、幸太は中島に料理人としてのセンスを認められ、
その結果、中島が幸太のビストロを訪問することになる。
一方、幸太が中島と知り合った翌日、神戸ポートタワーで一人の男性の刺殺体が発見された。
捜査に乗り出した兵庫県警捜査第一課の青山は、木下貴史の父・義明が営む会社に
被害者が勤務していたことをつかむ。さらには義明も失踪していることを知り…。


長いな、粗筋が。(笑) でもまぁこれで分かりやすいか。<何が?
このミス大賞受賞作=文章を(充分に)書き慣れているわけではない(と勝手に思う)
という点からすれば、後ろにのっていた審査員の批評の通りだと思う。
幸太、刑事、第三者と視点が変わり気味なのでどこに重き(=感情移入)を置いていいのか、
また置くほどに移入できる文章か?と聞かれるとう~ん…と思う。

が、それを差し引いても食べ物に関する描写が素晴らしいというのは分かる気がする。
そういう点では近藤氏や北村氏に通ずるものがあると思う。
(そこに絡めるミステリの種や読後感は全く違うものですけど。)


ミステリとしては最初の方で立ったフラグがそのまま(若干の差異はあるものの)
最後まで繋がった感があるし、刑事のやりとりについても正直ダレる。
そしてラストについては…まぁ差し控えておきます。(笑)
タイトルにある「パンダ」が「何故笹を食すようになったのか」ということを
知っていらっしゃる方は何となく察しがつくかと思われますが…。

個人的には最後の十数行が特に後を引きましたね。
そんなに○○を○することは魅力的なものなのでしょうかね?

「サンタ・エクスプレス」

2009-07-06 22:41:43 | 読み物
重松清氏「サンタ・エクスプレス -季節風 雪」です。

内容(「BOOK」データベースより)
鈴の音ひびく冬が、いとおしい人の温もりを伝えてくれる。
ものがたりの歳時記―「冬」の巻、12編。


春夏秋ときて、最後の冬の短編集にあたります。
既に「この方の本=泣かせる本」という脳内インプットがされてしまったせいか(笑)、
気分の落ち着いている時!?に読んだ方がいいかなぁと。<落ち着いてるときって何だ。

冬のイメージとして、特に(今までのものより)物悲しい作品が多いのかなと
勝手に思っていましたが、どちらかと言えば寒い中にほっこりとする話という感じで
シリーズ4冊の中では一番心穏やかに!?読めた本だと思います。

といいつつもやはりそこはホロリとさせられる、あるいはじんわりとさせられる話が
全編にわたり、そのどれもが話として完成度が高いのは凄いなぁと思います。
<というか、この方の執筆速度、とても早いですよね~、予約するにも
(本の供給も予約冊数制限も)追いつかないです。(涙)

特に印象に残ったのはタイトルの「サンタ・エクスプレス」かなぁ。
お産を控え実家に戻った母親に会いに行った帰り、新幹線の中で女の子は
必ず不機嫌になってしまう、家に帰ればお祖母ちゃんにもお父さんにもいつも通りに
接することが出来るのに、お母さんと離れて帰るその時だけは…。
クリスマスイブの帰り道、いつもは「のぞみ」で帰るのに、お母さんは「こだま」の
切符をお父さんに手渡した、その意図とは…。
兄弟が出来て寂しさを感じる子(でも隠していい子に振舞う)の気持をきちんと
汲んであげる家族(母親ら)の温かさがいいなぁ~と思いました。

「ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ」

2009-07-01 00:24:50 | 読み物
「ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ」です。

内容紹介
現代の人気作家九人が新たに織りなす、もうひとつの源氏物語。
異国の男相手の店から幼い少女が抜け出そうとする角田光代流若紫。
真実の愛を求める源氏がベニーちゃんにとまどう末摘花by町田康。
尼となった女三の宮がみずからの生涯を昔語りする桐野夏生の柏木
――ほかに松浦理英子の帚木、江國香織の夕顔、金原ひとみの葵、島田雅彦の須磨、
日和聡子の蛍、小池昌代の浮舟、の九篇。


学生時代(兼受験)の際、源氏物語を理解するバイブルは「あさき/ゆめみし」だった
自分にとってこの本はどうなのだろうか?という期待から入った一冊。
<既に、この時点で自分に突っ込みたい(笑)、仮にも文学部(科は違う)のくせに、
円地氏の訳では食指が動かなかったという;(瀬戸内氏はまだ完結してなかった)
ん?それを言うならあさきも宇治十帖は完結してなかったかも;<年がばれるって

原作を忠実に訳したモノに近いものから、後年の自分が若かりし頃を回顧する形で
紡がれるモノ、設定を現代に置き換えたモノ、(それでも中身が変わらないのが、
凄いというべきか、千年経っても男女の仲は変わらぬものだということなのか)
設定も時も変えて一人の女性の視線から放たれた若紫の感情、そしてとにかく
ぶっ飛んだ(としか言いようがない)言葉を用いて(しかも、時代や設定は変わっていない)、
全く新しい源氏を描いたモノなどそれぞれの源氏物語が楽しめる。

古式ゆかしい!?源氏物語が素晴らしい、大好きだという方には意表をつかれる
文章もあると思いますが、自分はかなり口語訳に近い話よりも、
視点や時を変えた色々な目から見た光源氏というものが新鮮に映りよかったと思います。
町田氏の独特の文体(この方は初見でしたので)は度肝を抜かれつつ、
どうしてこの言葉(を使っているのに)、ちゃんと主題(話の筋)が伝わってくるんだろうと
感心させられたり。

「恋のかけら」

2009-06-25 23:40:33 | 読み物
「恋のかけら」です。

唯川恵, 朝倉かすみ, 井上荒野, 山崎マキコ, 小手鞠るい, 南綾子, 山崎 ナオコーラ,豊島 ミホによる短編集。
タイトルに「恋」 が付くとおり、まんま8人の作家による小さな恋物語です。
<そもそも自分が「恋」というタイトルを付くモノ自体借りてくるのが珍しい。(笑)
それだけ予約本のエアポケットに入っていたということですが;
まぁ、たまにはこんな本も読まないとね。(たまには?)
ということで短編集だけあってさくさくと読めます。

読んでいて分かるなぁと思う気持もあったり、或いはいつもの如く(死)
「で、何が言いたいの?」と呟いてしまうものもあったり(←読解力の無さを棚に上げてます;)、
文章がスパスパ小気味良く(あるいは良過ぎて情緒に欠けてしまうと思われる)書き方、
じんわりと余韻が残る文章、前向きに捉えようとする姿勢など。
それぞれの作家さんの色というものはその短い中にも現れているので、
長編へと手を伸ばす取っ掛かりにはなるかと思います。


そういや、先週末の新聞だったか、とある著名な方(らしい)が
「今時の図書館はサービスが媚を売り過ぎていて、本来の図書館の機能を失っている」と述べておられました。
要は、書店でベストセラーになるような本ばかりを購入し、質が低下していることと、
それを当然のように利用している人達への本に対しての熱意(本当に読みたいものなら
待たずに買うのが本来の姿ではないか)の低下を警鐘している記事でした。
その方が主張することで分かる部分も凄くあるんですよ、
図書館というのは普段手に入れにくい貴重な本や資料を提示するのに務めるところというのも。
ただ、実際問題として(そして、自分はもろにですけど)じゃあ読みたい(そして
一度読んだ後に再読するかは正直分からない、出版される)本の数々を
全部自分で揃えられるか?というと絶対的に無理な話で。
その反対側のページ(投書欄)に年金生活の方がまさにそういう理由で図書館を
利用していてとてもあり難いという当初はが載ってたのと併せて妙に印象的でした。

「スノーフレーク」

2009-06-23 22:50:01 | 読み物
大崎梢氏、「スノーフレーク」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「溶けない雪の欠片を見にいこう」その約束を果たせないまま、死んでしまった幼なじみ・速人。
六年後、高校卒業を控えた真乃は、彼とよく似た青年を見かける。
ほんとうは生きているのかもしれない。かすかな希望を胸に、
速人の死にまつわる事件を調べ始めた真乃だったが―!?函館の街を舞台に描いた青春ミステリー。


う~ん、何というか青春の甘酸っぱい思いに浸りたい方にはいいかも?<どんな感想だ;
散りばめられる函館の風景、東京の進学する前に忘れられない過去を解こうとする
ひたむきな姿、それを応援するしっかりした女友達と幼馴染の男の子。
ドラマとか映画とかにありそうな感じのお話という印象を受けました。
<素直に読めないのは、自分が歳を喰っているからとも言えますけど;

ミステリー風な話ではあるのですが、(過去に死んでしまった幼馴染が
生きているかもしれないというのが話の筋ですから)青春モノ!?のような描写が
多分に含まれていることや、その謎の裏にある真実だけが妙に現実的ぽかったりと、
上手く絡まっていなくって少し残念かな~と思います。

読了

2009-06-16 23:38:34 | 読み物
ツバメ記念日―季節風 春 重松清氏

春をテーマにした12の短編集。 そこそこの厚みがあるので手に取るまで時間が
掛かりましたが、(短編なので)途中で置いても平気…と思ったら一気読み。(苦笑)
出会いであったり、別れであったり、昔の親、自分、先輩への思い出だったりと
そのどれを読んでもじんわりと、そして若干のほろ苦さとを余韻として与えてくれる本。
この中では花びらに埋もれるお地蔵さんと、不器用な青年(というよりはおじさん)の恋
が印象的でしたね、ちょっと涙腺を刺激されました。

僕たちのミシシッピ・リバー―季節風 夏 重松清氏

同じく、氏の本でこちらは夏をテーマにした12の短編集。
こちらも上と同じようにそのどれを読んでも上手いなぁと思わされる話ばかり。
夏の爽やかさの中での家族との別れ、新しい親となる人との出会い、
変わってしまった友人との再会、そのどれもがやはりどこか哀しく、そして切ない。
そして、あと10数年後に自分が立ち会うかもしれない幾つかの場面を見ているようで、
若干辛く思う話も。
それでも「家族」の大切さが丁寧に綴られた本だと思います。

「赤い月、廃駅の上に」

2009-06-11 23:44:34 | 読み物
有栖川有栖氏、「赤い月、廃駅の上に」です。

内容紹介
有栖川有栖の新境地! 初の幻想怪談集。
赤い月の光----。それは邪気を招く不吉な月。鬼月が出た夜は、異界への扉が口をあける…。
17歳の引きこもりの青年が、クロスバイクで旅に出た。
四日目にある町の廃線跡の駅舎に辿り着き、野宿をする。
そこに現れた鉄道忌避伝説を追う30代の鉄ちゃんライターの佐光。
空に赤い月が出ているのを見た青年は不気味さを振り払おうとダベり始める。
深夜に差しかかるころ、佐光はトイレに行くため駅舎を出る。
それを見計らったかのように、赤い月はますますその光を増し・・・。


短編集の一編がこうも詳しく↑書かれているのも珍しい気が。
元は怪談専門誌に発表されたモノ、そしてどの話にも「鉄道」が登場します。
緻密でガチガチなトリック(←良い意味での)を書かれる方ですが、
文章の上手さや語彙の豊富さ等は何を読んでも感心させられます。
特に叙情的な風景が(ミステリよりも)描かれる本書ではその上手さが存分に発揮されているかと。
怪談集といってもただ単に「怖い」だけでなく、不思議さや懐かしさを感じさせる
雰囲気も味わえ、且つ、じんわりとくる「怪談」も含まれていて、
その話ごとの緩急も楽しめました。
綾辻氏の怪談集とはまたちょっと違う雰囲気かなぁ。
↑氏の書くのは本当に「おどろおどろした」ある種「救いのなさ」に追い込まれるような話という印象が…。

ついでに。
相棒シリーズ 鑑識・米沢の事件簿2~知りすぎていた女~、ハセベバクシンオー氏

「相/棒」のスピンオフ第2弾。 ま、さっくりと読むにはいい厚さです。(←そこ?)
鑑識の仕事という観点から事件の謎を解く、という点で謎自体はあまり深くありませんが、
「(物)証拠は裏切らない」という一面が丁寧に描かれていると思います。

「極北クレイマー」

2009-06-07 23:23:54 | 読み物
海堂尊氏、「極北クレイマー」です。

内容(「BOOK」データベースより)
財政破綻にあえぐ極北市。赤字5つ星の極北市民病院に、非常勤外科医の今中がやってきた。
院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、謎めいた医療事故、
女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機…。
はたして今中は桃色眼鏡の派遣女医・姫宮と手を組んで、医療崩壊の現場を再生できるのか)


まぁ、氏の路線はしっかと固まってますね。
医療の現場の生の声とお役所との隔たりの差(もっときつく言うと批判)と。
書きたいこと(=言いたいこと)がしっかりしているのはいいことだと思いますが、
それに固執しすぎて話としての面白さが少しずつ薄れていってしまっている様な気もします。
とはいえ、続きが気になる(現場の現状も含め)書き方は上手いなぁとおもいます。
若干尻切れトンボのような結末にも思いますが、逆にこれが現時点での
(現状の)限界を表しているような気もするし。
<話としては現状より進んでもいいんじゃないかと思いましたけど。

財政破綻にあえぐ市というのも某町を彷彿とさせますし、その中で保身に走るモノ、
現場で出来うる限りの努力をしようとするモノ、様々な人間の様子は、そのどれかが
自分にも当て嵌まるような気がするのでさくさくと読めます。
そして、バチスタシリーズで登場したあの人やこの人が、また白鳥の部下の姫宮など、
そして「ジーン/ワルツ」のあのことはこのことを指していたとか、
はたまた別の話のあの人が登場とか、海堂氏やシリーズのファンにとってはニヤリと
する人物が登場して色を添えてくれます。
自分的にはちょっと前に螺鈿迷宮を読んでおいて正解だったなと。


読み物とは「全く」関係が無いんですが、一言。
たまたまTVを点けてまして、見ちゃったんですが、安田/記念。
…ウォッカすげ~!!
あのレース馬走形態でまさか前が開けるとは思わなかったし、抜け出るとは、しかも、牝馬で!
思わず拍手しちゃったよ、馬券も買ってないのに。<がっちがちの配当でしたけど(笑)