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さとくーの取りあえず「ときめきブログ」

日常で感じた楽しいことからトホホなこと、果ては好きなモノまで節操無しに呟いてますv

「球体の蛇」

2010-05-24 23:54:25 | 読み物
道尾秀介氏、「球体の蛇」です。

内容(「BOOK」データベースより)
1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。
主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。
どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。
そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。
彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、
老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。
呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、
そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。


正直流し読みをしていたせいかあんまり印象に残っていな…(待て;)。
ただ、氏の他の作品(ホラー)とは受ける印象が違うなぁと思いました。
<テーマが違うから当たり前ですけれど;
離婚した両親は自分に関心を払わない、それに表立って反発するというわけではないけれど、
二人と距離を置きつつ他人の家に居候として暮らす主人公。
仕事を手伝ううちに知り合った女性に惹かれ、とある事件で係りを持つうちに、
彼女が、過去火事で亡くしたその家の子供(サヨ)と少なからず因縁を持っていることを知り、
動揺する、それは忘れたい自分の罪をも呼び起こす結果になった。

自分が抱えている弱い気持を隠すためにさらに弱いものに対して取ってしまう不条理な態度、
主人公だけでなく、登場人物全員が何らかの形でそういったものを抱えているために、
告白することが出来ずに芳しくない結末を迎えてしまう。
事実を知った時に対しての絶望感や後悔の姿が多く書かれているので、読んでて楽しい気持になる本
ではないけれど、分かるなぁという部分もある。
もうちょっと人物描写を(人数を絞るなりして)深く書いてあれば共感度も増すのかも。


ところで、氏の原作が月9と知って見ているのですが、3回目(今日)、否前回辺りから見るのが辛い。(苦笑)
てか、キム/タクが何の役をやってもキム/タクにしか見えない;
という訳で今季のドラマは全滅に近い…か?

ついでにもう一個。
一昨日(土曜)の日記を書いたはずなのに消えていること気がついた。
(消えているというか記事自体が存在してない) 
「あれ、(書いたつもりで)書かなかったっけ?」などとボケたことを思ってみたが、
よく考えたらやっぱり書いてたと。<が、今更書き直すような内容では無かったので割愛。

「フリーター、家を買う」

2010-05-19 23:53:45 | 読み物
有川浩氏、「フリーター、家を買う」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「母さん死ぬな―」へなちょこ25歳がいざ一念発起!?崩壊しかかった家族の再生と
「カッコ悪すぎな俺」の成長を描く、勇気と希望の結晶。


↑これ、あらすじか?(笑)
何とか入社したものの3ヶ月で会社を辞め、アルバイトでお金を繋いでいた俺。
会社ではクソ真面目だけれど酒が入るとだらしない父親、そのせいでご近所から
白い目で見られていた母親が、精神的な病気に掛かった。
ただ一人その真実を知っていた姉に渇を入れられ、やっとその事態に気付いた俺は、
母親と、そしてこのダメな生活から抜け出せるのだろうか。

ということで、これもベタ甘ではありません、むしろ今までで設定としては一番重いものかも。
編集者の意図を曲げて曲げて書いてやろうという(後書きより)氏の意図は何となく分かる気がします。
<普通にかいたらつまらないというか

家族が危機的状況に陥ってやっと自分のしてきたこと(所謂ニートに近い)を悔い、
頑張ろうとする姿は(現実には有り得ない出世っぷりですが)、本の中の出来事と
分かって読んでいても元気を与えられるような気がします。
また母親のうつ病を心が弱いからとして認めない父親も、実はそれを認めるのが怖いのだと
気が付いていく過程、ぶっきら棒だけど思いやりもう一度元の家庭を作っていこうとする姿も然り。
ある意味本の中だからこそ、そして氏のいう「大人のためのラノベ」だと理解出来て読むのならば、
履歴書の書き方とか面接官はどこを見るかとか参考になりそうなところもあるんですけどね。

そして個人的には土方のバイトをして現場のおっちゃんズに可愛がられる主人公が某王子と
重なって仕方がなかったです。(笑)<やっぱり真面目なバイトは可愛がられるよね、とw

「デパートへ行こう」

2010-05-17 23:45:20 | 読み物
真保裕一氏、「デパートへ行こう」です。

内容(「BOOK」データベースより)
所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。
そこは男にとつて、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった、大切な場所だった。
が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから、次々と人の気配が立ち上がってきて―。
一条の光を求めてデパートに集まった人々が、一夜の騒動を巻き起こす。



↑の続きに「名作『ホワイトアウト』を超える、緊張感あふれる大展開。」とありましたが、
う~ん、それは違うかも。<てかタイプが違うので同列に比較できないというか。
タイトルから勝手に楽しげなコメディをイメージしてしまったのですが(←その経緯も謎)、
何でだろう装丁からだろうか。

読んでいて、自分の中で某デパート(それこそ『老舗』って感じの、資産家のおばあさんが
タクシーで乗りつける、某動物像があることで知られている百貨店)が浮かんでました、
合併話等も似てるしねぇ。
昔は「ジュースを飲ませてあげるから」とか「屋上の遊園地(は違うデパートですが)で
遊ばせてあげるから」との親の言葉にホイホイ付いていきましたが、今のデパートって
その頃とはやはり雰囲気が違ってきていますよね。
主人公(になるのか?)のデパートに忍び込んだ男もそんな過去の思い出を持つ一人。
が、それ以外にもそれぞれの目的で閉店時間が過ぎた後にデパートに集まってくる人々。
かなり登場人物が多く、途中で混乱しそうになる恐れがあったので(記憶力が悪いせい;)、
一気に読みましたが、もうちょっと人物が絞られててもいいかなぁと。
<作者はそのそれぞれの思惑が最後に一つに繋がっていく過程を書きたかったのだとも思いますが。
どの登場人物にも「真に」悪い人がいないってことで読後感は悪くはないのですが、
いかんせん混乱しすぎ。(映像として見られれば少しは混乱も解消されるのかしら?)
ただこの中で誰が印象に残ってるかっていうと昔ながらの!?頑固一徹警備員さんで、
「自分はどこまでオッサン好きなんだ」と突っ込んでしまいました。(笑)



「キケン」

2010-05-11 23:44:29 | 読み物
キケン、有川浩氏です。

内容(「BOOK」データベースより)
成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。


この本は「ベタ甘」ではありません。<「三人の~」もそうですけれどね。
ですが、相変わらず読みやすいし、内容も普通に面白いなぁと思いました。

理系大学の1サークル、「機研」、部長と副部長にクセがあるのはいつものこと。
へらっと見えつつ切れ者でもありちょっとばかり無茶をするやんちゃ者と
やたらめったら威厳があり(声や動作に)いいストッパーでもある二人組と、
新規に入った部員たちが楽しく熱く!?学生生活を送っている様は読んでいるだけでも、
そのわくわく感が伝わってきて楽しめます。
氏は「男(だけ)の何をするにしても熱くなったりバカをしたりする様をそれの外側から
見る女の子の視点で書いたというけど(そして男の中に女が一人入ってしまうと、
彼らの行動は違ってしまうというのも非常に分かる)、でもそういう楽しさ
(特に学生時にやりがちなおバカ)って程度や実際に行動したかどうかは違えど
皆持っているんじゃないかなぁと。
<自分はどちらかと言えば無難に過ごしたクチですが、それでも分かる気がする。
氏らしいネタも施され、読んだ人は学生時代という(ある程度の範囲での)
バカが許された時間を思い出して懐かしむのではないかと思います。


そういや、姉が旅行のお供用にと「シ/ア/ター」を買い結局読まずに終わったということで
借りてたのですが、こちらも色々あって結局読まずに(まだ未読なので早く返さないと悪いと思い
&もうすぐ予約の順番が回ってくるので)返しましたが…嵌まったか?(笑)
義兄が図書館シリーズの2冊くらいは買ったらしいけど、多分あれ(というか氏の本)って
男性は好き嫌いがありそうだよなぁと。(↑この本なら面白いと思うけど)

そして、明日は久々に移動!?が多そうな予定、色々撮れるといいなぁ。
<結局HDにデータ移行までは回らなかったけど;

うさぎ幻化行

2010-05-05 23:45:06 | 読み物
北森鴻氏、「うさぎ幻化行」です。

内容(「BOOK」データベースより)
突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。
優秀な音響技術者だった彼は、「うさぎ」に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。
圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられたリツ子は、早速メッセージを聞いてみることに。
環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこかひっかかる。
謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、「うさぎ」は音風景の奇妙な矛盾に気づく―。


音風景というものにあまり馴染みは無いのですが、そういわれれば、どこどこの電車の音、
名のある水琴窟の音など「聴覚」に頼ってその人(この場合は義兄)が辿った後をなぞり、
引っ掛かっていた謎を解いていくという形は旅情たっぷりだと思います。
各話で「遺された音」以外の謎も散りばめられ、またカシオペアやトワイライトエクスプレスなど
寝台特急も登場し、一層旅情感が感じられる一冊だなぁと思います。
話の流れはうさぎが一つづつ残された音を辿っていくうちに、あるいは乗り合わせた客が
別の話で視点となって他の登場人物と接することで「本当の真実」へと近付いていきます。
ただ、難をいうならば、「明らか」になっていく真実がかなり重くのしかかりますし、
書かれてはいませんが、予想されるラストも微妙に救いがない気も。

しかし残念ながら、これが氏の遺作となってしまった本です。
改めてご冥福申し上げます。


そしてGW終了、ですが、今日は洗濯日和としかいいようがなく。
冬物(ウール)か悩みましたが、気温を考え大きめの洗濯物を。
<ある意味日よけにもなってましたが。(苦笑)

「背の目」

2010-04-26 23:32:24 | 読み物
道尾秀介氏、「背の目」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」ホラー作家の道尾が、旅先の白峠村の河原で耳にした無気味な声。
その言葉の真の意味に気づいた道尾は東京に逃げ戻り、
「霊現象探求所」を構える友人・真備のもとを訪れた。
そこで見たのは、被写体の背中に二つの眼が写る4枚の心霊写真だった。
しかも、すべてが白峠村周辺で撮影され、後に彼らは全員が自殺しているという。
道尾は真相を求めて、真備と助手の北見とともに再び白峠村に向かうが…。
未解決の児童連続失踪事件。自殺者の背中に現れた眼。白峠村に伝わる「天狗伝説」。
血塗られた過去に根差した、悲愴な事件の真実とは?


これがシリーズの最初にあたる物になるのかな?
作家自身の名が(と職業共に)本に登場すると、某シリーズを思い出しますが。
ホラー大賞ということですが、中身は練られたミステリだと思います。
ただ人物(紹介を兼ねての)を書きこみ過ぎな感は受けます。
勿論、キャラが立つという利点もありますが、むしろ、このキャラをあわよくば存続させていこう
(そして続いているわけですが)とか、個人的な思い入れが強いんだなぁとちょっと
穿った見方もさせられてしまいました。

霊というものが存在するのか? 過去の経験からとある願望を篭めて「探求所」と名付けた
事務所を開いている真備、が、その考え方や頭脳はオカルトチックであるよりも
理路整然とした理系の考え方を持つキャラで(時々行動が不親切ですが)、
それが活かされているなぁと。
ホラーというと、事件の中で起こった超自然的なことや説明のつかないことを
目の見えないものに対してこじつけてしまわれることもあり、
もやっとした感じが残ることもありますが、そういう点では貼られた伏線を回収し、
緻密な推理(や考察)によって謎が解き明かされているのは上手いなぁと。

「あるキング」他

2010-04-19 23:52:07 | 読み物
ということで2冊纏めて読書メモ

「あるキング」、伊坂幸太郎氏

う~ん、評価や感想を語るのに難しい本だなぁと。
「誰も読んだことのない様な伝記を書いてみたかった」という著者の言葉に集約されるか。

幼い頃から野球の才能を持つ王求(おうく)、プロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親のもとで
育った彼がプロ野球選手になるのは運命によって定められたものだったのか?
歳を追って彼について書かれているが、伝記のように王求自身の気持、考え等が本人の口から
語られることはない、親、友人、記者、球団オーナーと全て周りの者から見た「彼」だけが
淡々と描かれている。
この「淡白」さがイマイチ(そこが作者のこだわったところでもあるんだろうが)意図を
掴めないようにも映るのは、自身が伊坂氏自身のことを理解できていないからだろうか?

「本格ミステリの王国」、有栖川有栖氏。

有栖川有栖のエッセイ集でもあるが、今回は特に「本格ミステリ」への思いが篭められた
(=中心に語られた)一冊。
古今東西のミステリの祖について触れていたり、アリバイトリックの分類
(詳しく分類された著書はまた別にありますが)、ミステリ大賞の論評、
「安楽椅子/探偵」に対する思いなどが綴られ、「本当にミステリが好きなのだな」と思わされる一冊。
また、著者が初めて書いた原稿『蒼ざめた星』(一応江上が探偵役として登場する)が
収録されているのもファンなら興味をそそられる一つかも。

「秋期限定栗きんとん事件」 

2010-04-07 23:56:42 | 読み物
米澤穂信氏、「秋期限定栗きんとん事件 上・下」です。

内容(「BOOK」データベースより)
あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。
学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。
ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。
―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。


以前に図書館で借りたものの最初の方で良く分からず(文体や、ここに至るまでの背後関係)
改めてリベンジ@借り物。
<むしろ、これ「だけ」を読んだ姉(春夏は自分が借りていた)、ある意味偉いぜ!

小市民!?シリーズ第三弾、小市民を目指す努力をしても謎があると飛びついてしまう僕、
そして同じく努力をしつつも(ある意味度を超えた)仕返し(復讐)をしてしまうのが趣味!?な小山内さん。
共闘関係を結んでいた二人だが前回の件で離れた二人は互いに別の人と付き合うようになる。
そして話は市内で次々と起きる放火事件を軸に二人の恋愛話(というほど深くは無いのだが)を
絡めつつ展開してゆく。

高校でドロドロ!?な色恋もアレっちゃあれですが、こちらの二人が互いに彼氏、彼女と
付き合いだすきっかけは今風なのか非常にアッサリとした感が。(笑)
なので恋愛モノという感じではなく(まぁ、作中でお菓子になぞらえてそれぞれの恋愛持論?のような
ものは出て来ますが。<後編)、そこに「放火犯」はどんなヤツだと真相を解明しようとする
人物(主人公ではありません)や見守る先輩などの様々な視点から書かれた学園ミステリ風なので
両方を期待する人は一度で二度楽しめる…みたいな。

丁寧に拾っていくと「犯人」は最終的に見えてしまうので緩さは感じますが、
それでもあちこちに貼られた伏線をきちんと回収してるのは上手いなぁと。
というか、徐々にあらわになってゆく小山内さんの性格が中々素敵です。(笑)

「まほろ駅前多田便利軒」

2010-04-05 23:59:04 | 読み物
三浦しをん氏、「まほろ駅前多田便利軒」です。

内容(「BOOK」データベースより)
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。
駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。
ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずが
このコンビにかかると何故かきな臭い状況に。


このまほろ市というのは土地勘に強い人が読めば実在のとある市(町田市)を表していることが
すぐ分かるらしいです。<残念ながら、自分はその辺りは詳しくありませんが

男二人の共同生活といっても数字色があるわけでなく(普通、最初にこんな言葉は浮かばないか;)、
かといってリアリティに溢れたアクション物でもなく。
話の雰囲気全体からはリアルそうでいて、でもそんなことは有り得ないよと
(例えばとある値段が安かったり、ヤクザが簡単にのされたり)突っ込んでしまえばそれまでですが、
それでいてその飄々とした感じが逆に惹きつけられたりもしたりと、独特の雰囲気を持った一冊かなと。

話は一章ごとに結末がありますが、一冊を通して多田や行天の過去が次第に明らかにされてゆき、
そういった意味では二度楽しめる形の本になっていると思います。

「本格ミステリ館消失」

2010-03-29 23:56:16 | 読み物
早見江堂氏、「本格ミステリ館消失」です。

内容(「BOOK」データベースより)
森の中の閉ざされた館が崩れ落ち、そして誰もいなくなった!?
愛する叔父の死の真相を探る奈々緒、その驚愕の結末とは?
本格ミステリへの愛と蘊蓄に充ちた傑作が誕生―これぞ、21世紀の「ザ・火沼(?)マーダー」だ


他の方レビューを読んで初めてそういう意味合いの本だったのかと。
<気になる方はレビューを読んでみてください。
まず、この作品が「虚無への供物」という作品(アンチミステリの始祖とされているそうです)を
目指して書いたものではないかと。(アンチミステリとはいまや現実がミステリの中で起こる
奇怪なことよりも遥かに衝撃的であり、ミステリなど読めないし書けないとするものです)

叔父が謎の死を遂げ、死体から物事を読み取ることが出来る超能力者によって描かれた部分
(これが、いわゆる本格ミステリの中で多いとされるクローズドサークルモノ)が
文章の大半を占め、そして果たして犯人は誰かといった点が謎として残される。
その謎というかトリックがありえない展開(本格からするとやってはならない禁じ手に近いと思う)で、
思わず「えええぇ、それは無しでしょ!」と突っ込んだものの、レビューを見て少し納得。
<結果として提示された謎解き(=現実)が有り得ないから、やはりミステリは必要と
作品を通して言いたいのではということ。

が、そういった事前情報(やミステリの歴史に関する知識)が無い状態で読んだからかもしれませんが、
一つの作品として見た場合(真に意図するものでなく、話としてみた場合)個人的には
やはり「はぁ?」という感覚しか残らなかったのが実際のところです。


にしても、花冷えですねぇ、暖房器具が仕舞えそうで仕舞えない。

読了

2010-03-23 23:58:57 | 読み物
「シチュエーションパズルの攻防―珊瑚朗先生無頼控」、竹内真氏

大学入学を期に、叔母の経営するクラブでバイトをすることになった主人公。
贔屓の客の一人に人気ミステリー作家・辻堂珊瑚朗がいて、安楽椅子探偵さながら
幾つもの謎を酒を片手に解き明かしていく。

という訳で、まんま安楽椅子探偵モノ。 <それで終わりかい!
大きな事件というよりも身近で起こった謎、不思議な出来事を解き明かしていくので、
肩肘張らずに気楽に読める一冊かも。
謎の裏に隠された優しさや気遣いが感じられて、嫌なイメージも残りませんでした。
しかし、少し頭の切れるただの酔っ払いというイメージが、最後まで払拭出来なかったのは何故だろう。(笑)
氏の作品はこれが初読ですが他の作品の方が評価が高いようです。

「ラ・パティスリー」、上田早夕里氏

新米パティシエ夏織が勤める洋菓子店に突如現れた謎の男、恭也。 
どうやら記憶が一部的に欠落しているようなのだが、その技術は熟練のパティシエだった。
店を手伝うことになった彼と、店で起こるお菓子にまつわる切なく温かい話。

…と書きましたが、若干内容的にちぐはぐな印象。 
氏の「ショコラティエ~」のように謎解きに終始している訳でなく、恭也という人物が
一体誰なのか?ということが話のキーとなっているのですが、
彼と主人公の関係が唐突過ぎな感が否めません。
(その傾向は「ショコラティエ~」にも見られましたが)
普段知ることのない菓子店の内側やケーキ作りの細かい所まで書かれているので、
読んでいて美味しそうな本ではあるのですが。

「かあちゃん」

2010-03-19 23:54:44 | 読み物
重松清氏、「かあちゃん」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「お母ちゃんな…笑い方、忘れてしもうた」親友をいじめた。
誰からも助けてもらえなかったあいつは、自殺を図り、学校を去った。
残された僕たちは、それぞれの罪を背負い、罰を受けて、一人の年老いた「かあちゃん」に出会った―。


既に「泣かせ(るような話を書く)」の重松氏的なイメージが自分の中では確立しつつありますが(笑)、
この本も期待に違わないものでした。
夫を交通事故で亡くし、同乗者も死に巻き込んでしまったがために、妻は二十年間償いを続けた。
金銭的なものだけでなく「忘れないこと」が一番の償いと頑ななまでに頑張る母親。
息子が事件の全貌を知った時には、どれだけの愛で守られていたかという母の深い愛情と
一緒に過去を振り返ることとなった。
そして、その母親の姿に触れた被害者の孫(が自殺未遂をはかった子)、彼の変化によって
自分を省みる教師、友人、いじめた側、それぞれの話が連鎖していきます。
また、それぞれの親(特に母親)と子の愛情が色々な形で書かれていていますが、
どれも根底にある子への愛情が良く分かる一冊でした。

ただべったりと優しいだけじゃない、けれどしっかりと受け止めてくれる母親像、
それに対して微力だったり徐々にでもありながら成長していく子供の姿が
優しい視線で書かれています。


さて、今度の連休はお彼岸ですが、明日の一番花粉のヤバイ日に外出予定@墓参り。(汗)
今週、ニュースで今季の花粉の八割方は飛散終了とかいっている局もありましたが、本当だろうか。
どちらにしろ、明日は気温と作業と花粉で死にそうな気がする;

読了

2010-03-17 23:54:51 | 読み物
取りあえず二冊纏めて読書記録。

「私の男」、桜庭一樹氏

さすがにピークが過ぎたようで、書架にあったので借りてきました。
(しかし、同じ本が数冊並んでいると、予約が多かったといえその後の姿が何とも寂しいものです)

私の男、それは父親だった。 親子の越えてはならない一線を越え、罪を重ねながらも
その甘美な罠から抜けられぬ父親と娘の姿を時を遡って辿り書かれた本。
根本的にその手のテーマがダメという人には受けつけないだろうという意味では万人受けではない。
が、それでいて直木賞作となったところは氏の文章力と淫靡ながらも哀しく激しい愛が
書かれているからだろうか。
結局この二人がどうなってゆくのか、それは彼らの始まりまで一緒に遡った読者に委ねることで
余韻を残していると思う。
個人的には近親相姦は好みではないのでその分視点が辛いかも。

「佐保姫伝説」、阿刀田高氏

久々に再会した彼女から貰った万年筆、偶然会った友人から貰った大きな夢が見られるお香、
子供の頃に見た満開の山桜を求めた先で拾ったイヤリング。
それぞれに出会った女性との恋、だけではない想いを綴った短編集。
恋焦がれるでもない、全てを捨ててしまえるほどの想いも抱けない、けれど人生において
美しい所で思い出として輝く女性たちが描かれている。
が、ロマンチストなのは多分男の方なのでは?とも思ってしまう辺り、
素直に男の純情を読めないのか自分はという突っ込みあり。(笑)

「後悔と真実の色」

2010-03-15 23:53:14 | 読み物
貫井徳郎氏、「後悔と真実の色」です。

内容(「BOOK」データベースより)
あの強固な呪縛から、いつか解き放たれたかった。若い女性を襲い、
死体から人指し指を切り取る連続殺人魔「指蒐集家」が社会を震撼させている。
警察は、ネットでの殺人予告、殺害の実況中継など犯人の不気味なパフォーマンスに翻弄され、足がかりさえ見えない。
その状況下、捜査一課のエース、西條輝司はある出来事を機に窮地に立たされていた―。


同日に返さなければならぬ二冊がありましたが、こっちの方が長い上に(500p越え)
字がみっしり詰まってる、と思いましたが気を取り直して手にしました。(そして重かった;)

ミステリではあるんですが、そこに警察小説の要素を取り込んだためか説明にかなり時間が
割かれていてのこのボリュームなのかなぁと。
事件が起きたその場の所轄、初動捜査を行う機捜、事件の大きさによっては
そこに警視庁の捜査一課が絡んでくる。
分っているようで実は良く分っていないその辺りに若干苦戦しつつも読み進めました。
登場人物が多く、それがどんな性格(キャラ)だったか、またそれぞれの立場から事件を見る
視点は面白くもありましたが、ネットを使った犯罪形式等は今にはありがちかもなぁと。
足の引っ張り合いのドロドロ!?具合や、その後の救えなさ(多分)、そうとどこかで
知りつつも制御できない脆さなどはこの人らしい視点のあて方かも。
ただ、そうした進み方で犯人が絞れてしまうのがミステリとしてはちょっと物足りなくも感じるかも。


目の具合ですが、昨日明るい電気の下で見たらうっすらと青くなっておりました、隈みたいに。(涙)
仕方なく!?アレルギー用の高い目薬を点眼しておりますが、効いてくれるといいなぁ。
<というか、目にも注意を払わなければいけないとか、うっとおしい。

「ねずみ石」

2010-03-09 23:52:19 | 読み物
大崎梢氏、「ねずみ石」です。

内容(「BOOK」データベースより)
祭りの夜には、ねずみ石をさがせ。かなう願いは、ひとつだけ―。
中学一年生のサトには、四年前のお祭りの記憶がない。
恒例の子供向けイベント「ねずみ石さがし」の最中に、道に迷って朝まで行方しれずだったのだ。
同じ夜、村ではひとつの惨殺事件が起こっていて、今でも未解決のまま。
交錯する少年たちの想いが、眠っていたサトの記憶に触れたとき、事件は再び動き始める。


同じ著者の「片耳ウサギ」に近いイメージかも。 
都会から少し離れた昔ながら(というのが実際の所良く分りませんが;)ののどかな村、
古くから行われているお祭りと同日に起こった殺人事件。
のんびりとした時間の流れ、豊かな自然、そこに住む少年から漂う朴訥な印象と殺人が
違和感無くどう絡むのかと思っていましたが、さほど不自然さも感じませんでした。
「無くした記憶」がこの事件の鍵でもあり、友人や関係者はそれぞれの立場から
「思い出せ」「思い出さなくていい」という。
相手の気持に揺れ、悩む心情と少年の成長ぶりにより心の変化が丁寧に温かく描かれていたかなぁと。
事件の謎、そして真実はまぁ、消去法でいくとそうなってしまうと読めてしまうところがあるのですが、
(←若干不自然な登場の仕方なので)それでも捻られた部分があったりと楽しめました。

そういや、氏の本屋を舞台にしたシリーズ、単行本になったんですよねぇ。
と思ったら、しっかり積まれた本の山の中@某家にあったという。(笑)


ところで、本日めっさ寒いです。<本気で気温の変化に付いていけなくなってます;
というかゴミ捨てに行ったときにうっすら積もっててびっくりした。
多分、雨に変わったので積もりはしないと思いますが、段々風が出てきたなぁ。