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さとくーの取りあえず「ときめきブログ」

日常で感じた楽しいことからトホホなこと、果ては好きなモノまで節操無しに呟いてますv

「営業零課接待班」

2010-07-21 23:58:06 | 読み物
安藤裕介氏、「営業零課接待班」です。

内容(「BOOK」データベースより)
苦手な営業部署に異動となりリストラ勧告を受けてしまった青年は、20代最後の1年を懸け、
ふたたび接待営業に挑戦する。仲間と臨む数々の修羅場に、果たして奇跡は起こるのか―。


合間合間に文字補給。(あくまでも、文字)
「営業」という職種を経験したことはありませんが、自分も苦手だなぁと思います。
主人公は深酒すると気が大きくなり要らぬことまで喋ってしまうが、普段はおどおど
内気で生真面目な性格で営業に向いているように見えません。
なので、リストラ勧告なのですが、作者が実際に(他業種で)受けているからか、
そのシーンはいやにリアリティがありました。
ただ、再起をかけて移った職場の「接待営業」がそれにくらべると精神論だったり、
本当に「接待で絆を深めて仕事の注文をとる」という、悪く言えば昔体質が
通用するのかなぁという気はしました。<多分無理だという印象を受けるんですよね。
「うん、本当にあるかもしれない」と思わせるのと(=リアリティがある)のと、
「ノンフィクションなんだからそういう展開だっていいじゃない」というのと
(どちらかといえば後者の印象を受けます)の差を感じる作品でもあるかなぁと。

「ヤングアダルトパパ」

2010-07-19 23:56:14 | 読み物
「ヤングアダルトパパ」、山本幸久氏、です

内容(「BOOK」データベースより)
夏休みもあと数日。中学2年生の静男は、生後5ヶ月の赤ん坊を負ぶり保育所を探していた。
10以上年の離れた花音と恋をして、優作が生まれた。
しかし彼女は幼い父子を残し、消えてしまったのだ。もうすぐ二学期が始まる。
急がなきゃ。しかし、中学生の保育所探しはどこからも相手にされない。
途方に暮れながらそれでも、静男は優作を守ろうとするのだが…。
14歳の父、5ヶ月の息子、幼い父子の、家族物語。


静男が優作を抱いていると、(年のせいで)面倒見のいいお兄ちゃんに見られる。
が、彼は心からお父さんなんだなぁと文章の端々から伝わってくる。
ともすれば「あなたの子が出来たのよ」といわれて逃げ腰になってしまう年齢(よりもっと下か)の
男よりも立派に成人してると思うし、彼を見守る目は温かい。
ほのぼのとした感じは伝わってくるのですが、その分、静男の実の両親の態度とか
(まぁ、これは実際には「そういう態度をとっても仕方ないかなぁ」と思う)
消えてしまった母親である花音の身勝手さがちょっと気になりました。
周りの人に助けられて子供を守り育てようとする姿は立派だと思うものの、
最終的に人の好意によってしか成り立たないで終わっているところは少しだけ残念。
(消えた母親がそれっきりなのも含め)

が、何が一番インパクトが大きいかっていうと、中学生で親父になれるってことでして。(苦笑)
<そりゃ、女よりはなれるでしょうけど←女も親になれなくはないが
恐らく作者の意図する方向とは違う方へと向かっていくこの脳内がちょっとね;
…暑さで相当やられているようです。(夜9時の時点でまだ30度あるとか本気で勘弁してくれ)

「温かな手」

2010-07-12 23:43:59 | 読み物
石持浅海氏、「温かな手」です。

内容(「BOOK」データベースより)
それぞれのパートナーと同居している、ギンちゃんとムーちゃんの兄妹は一風変わった名探偵だ。
実は彼ら兄妹は、人間の生命エネルギーを糧にする謎の生命体。
宿主であるパートナーの「おいしい」清らかな生命エネルギーが濁らないように、
偶然遭遇した殺人事件や騒動を、鋭い観察をもとに鮮やかに解き明かす。


「謎の生命体」が登場するということで一瞬SF?と思って躊躇しました。
個人的偏見ですが、SF=説明のつかないことも全部超自然的な力によるものと
無理に片付けられてしまって納得出来ない消化不良分が残ると信じ込んでいるからかもしれませんが。
<そして「信じ込む」程数を読んでいるわけでもないのですが;

ここに登場する謎の生命体はエネルギーを人間から摂取するというだけで、
それ以外見目も行動も考え方(…はちと違うかも)も人間とは変わらない。
そして主人公(この場合で言う所の彼らのパートナー)が出会った事件を
そこに特殊な力を使うことなく鋭い観察と理路整然とした考え方で解き明かしていく。
そういう点ではミステリ小説としても上手いなぁと感じる一冊でした。

後書きで著者は「理性的なホームズとワトソンがいたっていいじゃないか」というように、
謎の生命体もそしてパートナーも(こちらはとある理由を含みますが)淡々と
起こった事件に対して対応しています。
そこに物足りなさを感じるよりはポジティブさや芯の強さが窺えて、個人的には好感を持ちました。
最後の一話がやはり印象に残るかなぁ。

「Anniversary50」

2010-07-09 23:44:44 | 読み物
「Anniversary50 (アニバーサリーごじゅう) 」

一度予約を取り消した(というか取りにいってる時間がなかった;)ので
巡って来るのにここまで時間が掛かりました;

角川ノベルズ50年を記念し、人気作家陣(綾辻 行人、有栖川 有栖 、 大沢 在昌 、 島田 荘司 、 田中 芳樹 、道尾 秀介、宮部 みゆき、森村 誠一 、横山 秀夫)
9人による「50」を縛りにした書き下ろし短編集。

おなじみのシリーズモノ(有栖川氏、大沢氏、島田氏、森村氏、横山氏)が登場する短編あり、
オリジナル作品ありの短編集でしたが、シリーズモノを知らなくてもすっと入っていける一冊。

「50」に纏わる話というのがすっかりと抜け落ちてて、普通に読んでいたのですが、
逆にいえばそれだけ各作家が「50」という数字を多方面から捉え、自分の文章と
融合させているなぁと上手さを感じました。(どなたも大御所作家ですが)

綾辻氏の「深泥丘奇談」シリーズの50はぞくりと、一方では50年という年月をテーマにし、
あるいはこれのどこに?という使われ方をしていたり、あるいはトリックの鍵だったり、
それぞれの技の上手さが光るアンソロジーだと思います。
全編書き下ろしとのことでしたが、横山氏のモノは先にドラマ(「臨/場」)で見ていました。
(設定等は違っていましたが)

読みやすかったのは慣れているせいもあるのか有栖川氏のものですが、
宮部氏の「怪談物」の展開や道尾氏の読後感も印象に残りました。

読了

2010-07-08 23:37:32 | 読み物
「11人のトラップミス」、蒼井上鷹氏

サッカーに纏わる用語をタイトルに短編とショートショートを織り交ぜて全11の話からなる一冊。
そういや、国民の誰もが夢中になったw杯を全試合スルーだった自分がある意味凄い;<本と関係ない;
という訳でサッカー音痴な自分では分からぬタイトル(というか用語)もありましたが、
特に知らなくても読み進めることは出来ました。
それぞれが関係ない話のように見えて最後まで読むと一つに繋がっているというのが氏の
特徴(の一つ)だと思いますが、この本は、ラストが「誰かに」「何かを」訴えるために
書かれている形です。 
といってもかなり走り読みをしてしまったので、きちんと読んでいれば最後の「誰」「何」も
分かったのかな~とちょっと読み方に後悔の残る本。
<レビューで真相が分かるかと期待したら1つも無かったっていう;


「メディアスターは最後に笑う」、水原秀策氏

天才ピアニスト、瀬川はある時練習用に使っている小屋から拉致された。
解放され、被害者だと思っていたが、その小屋からはかつて教えたことのある女子が
指を切り落とされた死体となって発見されており、一転容疑者に。
事件を追うメディアとの攻防の中、果たして真実は?

主人公は冤罪をかけられた横柄なピアニスト、マスコミ側新聞の落ちこぼれ記者、
女子アナから報道記者に転向後、芽のでないキャスターとそれぞれの立場から事件の真相は追われていく。
それぞれが完全ではない人間くさいキャラなので、この立場でならそう行動するのも~
という変な共感はある。
タイトルのように最終的にグッドエンディングを見せるのは誰なのか?と読み進めていったが
話としてはありがちではあったとも言える気がします。
ラストの方で演奏についてとうとうと表現されている部分があるんですが、
音楽オンチに近い自分にはその表現でどれだけ素晴らしいのか納得できなかったです。(苦笑)


これでやっとストック分のメモ終了。 
そして絶賛文字枯渇中~、来週になればそろそろ予約本がちょこちょこ来ると思われるが
…果たして読んでいる時間があるのだろうか。

読了

2010-07-01 23:35:55 | 読み物
という訳で読書メモ

「告白」 湊かなえ氏

「わたしの娘はこの教室にいる生徒によって殺されました」教師の突然の告白に隠された真相とは。

借りる際に「後味悪いよ」と二人(姉、兄)から言われました。(笑)
ま、そういうものだという心づもりがあるなら読む分には何ら問題ないんですよ。
後で時間を無駄にした~と思うような内容でなければ。
(後味の悪さでは貫井氏の著書等で多少は鍛えられてる!?し)

ということで読み進めました、文章自体は読みやすいし一気に読み終えられるような。
同時期に出た「毒殺魔の教室」と確かに被るかもしれませんね、読みやすさはこちらですが。
そして内容に関して言うならば、うん、「後味が悪い」というのは分かる。(笑)
一つの事件を色々な立場の人間が語っていきますが(貫井氏の「プリズム」っぽいか?)、
ラストのえぐさは確かにありますね。 
教師というある意味聖職者だから法を犯してはいけないという世間の目からすれば、
このラストは歓迎されるものはないと思います。
が、個人的に言えば、このラストが一番人間らしいかなぁという気も。
巻き込まれて不幸になってしまったなぁという登場人物は一人いましたが。
ということで後味は悪いのですが、「納得のいく後味の悪さ」(日本語おかしいw)を感じました。

「風花」 川上弘美氏

夫に恋人がいた、わたしはどうしたいのだろう? 悩む主人公のゆりの心の推移を描いた一冊。

禁句だとは分かっていますが。 読後に「でっていう?」としか出てこなかった;
完全に恋愛体質とはかけ離れた位置にいることを再び実感。(苦笑)
てか、なんかちんたらちんたらしてるし、何気に勝手だしいらっとしてくるのよね、
主人公が。(そう思わせる人物像として書いているなら、上手いのだと思いますが)
しまいには「のゆり」って名前でだけでけっ思ってしまうとか、
話自体から離れた気持を抱いてしまった;
感覚的に合うかどうかで印象は随分変わるかと。


そして暑い~。 
窓を全開するも雨が降ってきたので余計に湿気がと締め切ったけど、暑い。(何故リピートw)
お陰で朝も目が覚めて寝坊できません、先生!<それでいいんじゃ;

外は

2010-06-23 23:54:30 | 読み物
…気持涼しそうなのですが(多分)、相変わらず暑いです、この家。
というか、アレかも、年々「暑さ」「寒さ」への耐性(というか堪え性)が無くなっている気が;
とは言うものの、昨日は湿気が多かったし熱帯夜(だったと思う)なので、
ドライと扇風機のコンボで寝ました…寝付いたのはいつも通りの時間ですが。(汗)
<この季節からそんなんで乗り切れるのだろうか、今年の夏を。

そしてネタが尽きたので(早っ)、読書メモ
「月の恋人」、道尾秀介氏

いわずと知れた月9の原作。(というか、映像化が決まっていて書かれたものだそうですが)
そして、ドラマの方は2回目で見事に挫折したクチであります。(笑)
ドラマ化の縛りの中で書かれた本ということもありますが、その後の大人の事情!?で
ドラマとは随分と設定が違っている気がします。
なので、最初に見た時の「蓮介って何様(←イヤ、キム/タクにしか見えませんがw)?」
感がこちらの方では薄れている感じはします。
その分読みやすいというか、まだ感情移入しやすいですが、恋愛小説というにはアッサリしてます。
<ドロドロなのがいいのか!と言われそうですが、そもそも恋愛小説の類はさっぱり読まない
(興味がない)ので、自分としてはこれはこれでいいかもなぁと。

同じ映像化の決まった原作というと最近では「アマルフィ」を思い出しますが、
そこまでスリリングな展開でもないしなぁ。
と芋づる式にあの時の織/田さんのスーツ姿を反芻中。<待て;
「踊る~3」は観たいけど、混みそうだよねぇ。 座席指定の出来る所に行くべきか。

読了

2010-06-21 23:53:17 | 読み物
テレビを見なきゃ時間も出来る、という訳で纏めて読書メモ。(他にやることは…)

「竜の涙 ばんざい屋の夜」 柴田よしき氏

丸の内の古い雑居ビルに店をかまえるばんざい屋。 
その店を訪れる、内に色々抱く客と女将とのささやかな交流を優しく描く一冊。
…これまたシリーズの二冊目でした。(一冊目は未読)
ビル撤去に伴い立ち退きを迫られて店を続けるかどうか悩む女将、
そしてそこを訪れる客もそれぞれに抱えるものを持つ。
小料理屋というと北森氏のミステリを思い出しますが、この本は謎解きというよりは
(出てこない訳ではないのですが)その店で美味しく素朴な料理を食べて客がホッとし、
新たな活力を貰うといった流れになっているので、読んでいてこちらも安心出来ます。

「なりひらの恋」 三田誠広氏

在原業平のイメージがプレイボーイ&歌が上手い人という認識しかないんですが;
が、この本は、そんな歴史上の人物としての業平ではなく、高貴な出なのに(だから?)
権力争いから身を引いた消極的な男性、女にもてるけれどどこか醒めている人物としての
「なりひら」を描いている。 …今の草食系みたいなもの?(違;)
歴史小説としてみたら物足りなさを感じる気がするが、独特な捉え方をしているので面白いなと。

「天翔ける女帝」 三田誠広氏

こちらは歴史的に悪名高い光謙(称徳)天皇を描いた小説。
歴史小説は嫌いじゃないのですが(ただし室町辺りまで、それ以降のものはあんまり読んでない)、
家系図必須な上に、この時代の重婚や近親婚ありな時代背景が一層頭を混乱させるという;
女帝として継いだものの、藤原勢力に押され傀儡に近かった女帝の悩み、
そして道鏡へと傾いていく様子と、当時の権力の推移を織り交ぜて書かれた本。
取りあえずここいら辺も学生当時は守備範囲だったはずなのですが、すっかり忘れてますね。

「年下の男の子」

2010-06-17 23:53:25 | 読み物
五十嵐貴久氏、「年下の男の子」です。

内容(「BOOK」データベースより)
銘和乳業勤務のわたし(川村晶子)は37歳にしてマンションを購入。
契約翌日、新製品の健康ドリンク「モナ」の宣伝用フリーペーパーをめぐってとんでもないトラブルが発生。
肝心の価格欄が空白のまま刷り上ってしまったのだ。
配布を翌日に控え、徹夜で空白部分にシール貼りをするしかない。
担当者のわたしは、ピーアール会社の23歳の社員・児島くんと夜を徹してのシール貼り作業を敢行。
なぜか二人は話が合ったのだが…。


話の内容、文体ともサクサクと読みやすい本だと思います。
この時代に(だから、ともいえますが)有り得ない設定(10以上離れた年下君)ではないし、
映像化してもいけそうな気はします。(というか氏原作のドラマってありますしね)
晶子の視点から話が語られているのでこの世代の女性の仕事、結婚、恋愛観なんかは
(同世代なのでw)納得出来るし、年下君と付き合ったこの先の自分を考えてしまう
という不安感みたいなのも分かるなぁと。(経験はゼロですけどね!)
展開としてありがちなパターンではありますが、そうじゃないと読者が納得しないだろうしと
思うのですが、最後の最後だけ急ぎ過ぎでは?と感じました。

そして、どうでもいいことですが、この本を読んでいる間中、同タイトルの「古い」歌が
リピートしてる辺りに、ヒシヒシと自分の年齢を感じました。(汗)
<だって歌ってたうちの一人って今は水谷/豊の奥さんですしね~


取りあえず晴れ間は今日までということらしいですが、…暑いです。
昨日ある程度の時間で寝ないと!と思ったのですが、暑くて寝付いたのは明け方という;
なんかもう、これじゃ寝てても起きてても一緒じゃね?と思ってしまった。<それは違う;

「人魚は空に還る」

2010-06-14 23:50:01 | 読み物
三木笙子氏、「人魚は空に還る」です。

内容(「BOOK」データベースより)
「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、
最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。
水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。
いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか―(表題作)。
心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。
明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。


書架から探してくる時はミステリフロンティアの物が多いかも。
そして、この表紙をミステリ目当てとは違う線を狙っているのでは?とか思う腐った脳でスミマセン;

とある理由で大臣の養父の元を離れ出版社に勤める主人公。
シャーロックホームズに興味を持ち、英語の出来る彼に訳してもらうのが楽しみな売れっ子絵師。
行方不明になった人を探してと依頼するその妹、巷をにぎわす義賊ロータス、
消えた見世物小屋の人魚、金魚鉢の中から現れた大粒の真珠の謎、
それらの事件の謎を解くのは勝手にホームズと位置づけられた主人公、
そしてワトソン役を買って出たのはどこまでも俺様な(自信、実力共に)絵師。(笑)
キャラクターや明治という時代を丁寧に書いているのと、
ミステリであっても読後に嫌な感覚を残さないタイプの謎ですので、
その両方を楽しみたいという方にはお勧めかと。

「世界記憶コンクール」、同氏。

実は最初に読んだのはこちら、この表紙絵もやはり○○風な感が否めない。(苦笑)
上と同じく短編集なので気軽に読めるのもいいかと。
主人公と絵師だけではなく、その周りの者達にも話は広がってます。
個人的には養父と養母の馴れ初め話が面白かったです。

「張り込み姫」

2010-06-10 23:57:22 | 読み物
垣根涼介氏、「張り込み姫 君たちに明日はない3」です。

内容紹介
リストラ請負人・村上真介参上! テレビドラマ化の人気シリーズ最新刊!
企業のリストラを代行する会社に勤める真介の仕事は、クビ切り面接官。
「人間にとって、仕事とは何か──」たとえどんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、
真介はこの仕事にやりがいを感じている。
今回のターゲットは、英会話学校、旅行会社、自動車業界、そして出版社だが……。


メディア化の影響力は素晴らしいってことで。<待て;
リストラをする業種が多種にわたっているので、それぞれの業種の裏側が面接している過程で
覗けてそれだけでも面白いなぁと思います。
破綻した英会話学校や縮小を迫られる自動車業界(の中の販売面)等、
実際にどこかであったような話ですし。(あと企業名がそれらしさを暗に示してるというか)
自分が会社に必要とされていない(リストラ候補に上がった)時点で、自分とどう向き合うか、
これからの自分をどうしていくか、単に職を失うだけでなく、自分の在り方も問われる気がします。
とはいえ、シリーズも3巻目になると何となくお約束な展開もあり、ラストが読めてしまう感もありますし、
また、実際にはそう上手くいかないでしょうという話もありますが、そこをどん底まで落とさない
のは(希望を与えてくれるという意味で)個人的にはいいなと思います。


「君たちに明日はない」

シリーズ1冊目、なのに一番最後に読んだって言う;
主人公のこの仕事につく経緯、パートナーの陽子との出会い、そしてリストラ話と
ぎゅっと詰め込まれた本。
この中に「銀行」のリストラ話が出てくるのですが、過去、(第3者的な目線ですが)
合併する側、される側の両方を見た自分には妙にリアリティがありました。
<うん、確かにそんな感じ。 ここまでいかなくとも、会社の体質(社風)が違うと
たとえシステム上で上手く機能しても(そうじゃないこともあったけどさw)、
中々上手くいかなかったりするんだよなぁと、ふと思い出しました。

「掏摸」

2010-06-08 23:52:35 | 読み物
中村文則氏、「「掏摸」」です。

内容(「BOOK」データベースより)
お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。
彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。
男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。
木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。
もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、
絶対的な運命の支配者となった。


初めて読んだために慣れていないからかもしれませんが、文体が独特だった気がします。
“スリ”という行為をあくまでプロフェッショナルに、スマートにこなす主人公。
自分が決めた尺度でのみターゲットを狙う姿に魅せられるという気持も分かる気はする。
淡々とした流れと緻密に書かれた手順は文章よりは映像として捉えた方が分かりやすいかも。
ただ、全体的にあっさりとした感じの文章且つ170ページ弱の短さの中で
名前は登場はするけれども主人公とどういう係わりを持っていたのか、最後まで描かれない女性
(これは意図的だとは思いますが)、彼の運命を握ったという「木崎」の恐ろしさというものが
自分は伝わってきにくかったなぁと感じました。

ついでに、もう一冊。

・赤川次郎「指定席」
ショートショートです。 そして取りに行くまで誰の著書だかすっかり忘れていた件。
もう、それこそ中学時代にはかなりのお世話になった著者ですね。
読みやすさは相変わらず、1時間ちょいあれば氏の大概の本が読みきれる気軽さはいいと思う。
そんな中でも32編のショートショートをちりばめた第3弾…だったらしい。(今知った)
SSといえばオチが命(というか大事なキー)だと思いますが、練られているなぁと思います。
<というか、それだけの数を生み出せることがまず凄いと思う。
オチの強さが印象に繋がるということでSSはちょっとシュールなものが多めだと思いますが、
日常のさりげない話の中での安心して読めるオチを書く安定感はさすがだと。

「シアター」

2010-06-06 23:25:19 | 読み物
有川浩氏、「シアター」です。

内容(「BOOK」データベースより)
小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!
その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。
司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。
できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。
新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。
そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。


と、小劇団の「経営」がメイン!?なお話ですので、ラブコメ要素は低めです。
「お芝居をやっていても儲からない」というのはよく聞く話ですが、
何故なのか?という裏側も楽しめる作品。<念入りに取材がされているのが窺えるので。
周りに「人生を趣味にだけ走った人(というと語弊があるが;)」というのが殆どいないし、
自分もどちらかといえば危ない橋を渡らずに過ごすタイプなので、
何かに一身を傾けることを「凄いなぁ」とは思いつつも自分では決してそういった選択はしないと思う。
なので、夢を追い続けて生活が疎かになりがちな彼ら(劇団員)に対してよりも、
それをハラハラしながらもつい面倒を見てしまったり、どこかで憧れていながらも
「自分は無理」な境界線をきっちり把握し、自分で出来る兄の気持に非常に同感。

ただ、夢を見るものと支えるものという立場を多めの登場人物を絡めて書いているのでと、
「舞台」という一種特殊なモノを文中に取り入れたいとしているためか、
一応の結末はあるけれども中途になってしまっているような気もします。


そして、随分と日が長くなったことを朝チュン(通常とは違う意味でw)で実感する
自分はどうかと思いますよ、ホントに;

「きみ去りしのち」

2010-05-31 23:58:31 | 読み物
重松清氏、「きみ去りしのち」です。

内容(「BOOK」データベースより)
どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。
幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。
―生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。


タイトルからして「泣かせ」な予感がプンプンしていたので、気分的に落ち込んでいない時に
読もうと決めてました。<お気楽人間に「落ち込んでいる時」があるのかと突っ込まないように

所謂突然死で幼い子を失った父は息子をなくした同じ空間(部屋)にいるのが辛く、旅に出る。
その旅に同行するのは離婚した前妻との間の、10年以上も会わなかった娘。
「お父さん」ではなく「セキネさん」と呼ぶ娘との巡礼の旅が、まず旅行気風に綴られています。
恐山、奥尻、網走、そこで出会う広大な景色とそれぞれ哀しみを背負う人たちとの交流、
またそれを通しての心情などは丁寧に綴られているなぁと思う。
その後、物語は少し時を進み、今度は明日香が母親(関根の元妻)を亡くす時が近付いてくる。

重松氏の話は「死」やそれについてをテーマにしたものが多く、これもその一つ。
普段漠然と捉えがちなそれとどう向き合っていくかということを真摯に見つめた一冊だと思う。
が、死を認めたくない気持、整理のつかない気持は分かるけれども、
この本に出てくる「関根」さんは少し現実逃避気味過ぎるかなぁとも。

「和菓子のアン」

2010-05-29 23:56:15 | 読み物
坂木司氏、「和菓子のアン」です

内容(「BOOK」データベースより)
やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。
デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、
歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。
あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか


読んでいてほっこりする本でした。 
ケーキなどの洋菓子の方が一見華やかに映りますし、文章中にも書かれていましたが
ふわふわとろとろの柔らかさ(クリーム等の)の口当たりは人を選ばず受けるのもわかります。
対照的に地味に映る和菓子だってその奥深さは勝るとも劣らない、
それこそ上生菓子は日本古来の餡や独自の製法によって作られ受け継がれてきたのだから。
そして、じじむさい(おばさんくさい?)ようですが、自分はこの「練りきり」と呼ばれる
お菓子が相当小さな頃から好きでした。(笑) しかも中にこしあん(出来れば白じゃない方が)
が入り、周りを奇麗に彩られた超王道のモノ(寒天やお餅で包まれているモノじゃなく)が。

主人公が勤務先を和菓子屋に決めたのはきっかけの一つに過ぎませんが、彼女も働くうちに
上生菓子に付けられた名前の意味、和菓子特有の楽しみ方を、
お菓子に纏わるちょっとした謎と接していくうちに惹き込まれてゆく様子が、
特徴ある他のキャラクターとの関係と共に楽しく書かれているなぁと。
気持文体にラノベ風な印象は受けましたが、それも読みやすさの理由の一つなのかも。
…因みに、練りきりだけじゃなく団子も饅頭も好きですよ、自分は。<何でもいいのか;