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さとくーの取りあえず「ときめきブログ」

日常で感じた楽しいことからトホホなこと、果ては好きなモノまで節操無しに呟いてますv

読了

2011-01-22 23:42:59 | 読み物
纏めてメモ

「YOU!」、五十嵐貴久氏

アルバイトの面接に行ったはずの場所は男子アイドル養成所(=ジャニー○的な)の
オーディション会場だった。 受かってしまった私小沢優(女)は性別を隠してレッスンに
通うことになるが…。

何というか、中々びっくりです。(中身の薄さ的な意味で) この手のシチュはありそうですが、
女性であることがばれぬように孤軍奮闘する姿が書かれているでもなく、
ひたすらダンス描写が続くのみ。
そしてオチ(ラスト数ページでの急展開)も「ちょっと!」と突っ込みたくなったのが正直な感想。

「最初の哲学者」、柳広司氏

小説というよりはギリシア神話や、古代ギリシアの実在の人物の逸話に著者独自の解釈や
編集を加えた13の掌編といった哲学入門書的なものか。
ということで読み進めていくうちにもの凄く…眠くなりましたorz(感想じゃないしw)

「お手伝いさんはスーパースパイ」、赤川次郎氏。

お馴染み南条姉妹に降りかかった事件、今回はお手伝いの春子がメイン!?です。
ライトなものが読みたいと思って手に取ったもの。
お馴染みの登場人物がお約束な行動を取り安心を与えてくれる一冊。
ほぼ会話だから読みやすさは折り紙つきのユーモアミステリーかと。

「カッコウの卵は誰のもの」

2011-01-14 21:59:49 | 読み物
「カッコウの卵は誰のもの」、東野圭吾氏です。

内容紹介
スキーの元日本代表・緋田には、同じくスキーヤーの娘・風美がいる。
母親の智代は、風美が2歳になる前に自殺していた。緋田は、智代の遺品から流産の事実を知る。
では、風美の出生は? そんななか、緋田父子の遺伝子についてスポーツ医学的研究の要請が……。
さらに、風美の競技出場を妨害する脅迫状が届く。複雑にもつれた殺意……。


実はこれまた返却が迫ってて、350ページ超えだったのでどうしたもんかと思いつつ
読み始めたらあまり時間は掛からなかったという。
良くも悪くも読みやすい本だなぁと。
<会話等が多いのでサクサク読めるということと、それでいて後に残らないというか。

風美が生まれたのと前後して新生児が連れ出されたという事件の新聞記事が智代の遺品から見つかる。
いつ本当の親が風美を見つけるのか、存在を隠したい気持ちとスキーヤーとして育てたいという
ジレンマに挟まれながら過ごしてきた父の元へ、ある日あらわれた一人の男。
風美の本当の母親は誰なのか、そして彼が今目の前に現れた意図とは?とシチュエーションは
ドキドキさせるものですが、最後まで持続できなかったかなぁ。
率直に言ってしまうと最後(真相究明)がやっつけ仕事のように映ってしまったこと。
本当の母親が誰かということが一番の焦点になるはずですが、この真相から逆に前に戻ると、
「何故?(自殺したのか)」という根底が覆ってしまうように思う。
そして同じく親のDNAを受け継ぐスポーツ選手がもう一名出てきますが、その存在が若干空気。
そのせいで結果がとってつけたような印象を受けてしまうのが残念。

そういや、タイトルの鳥の習性そのまんまのことを言いたかったのかなと勝手に思っていたら、
そこまで浅くはなかったという。(=浅いのは自分の頭だ)


真保氏のドラマ原作本、予約していた気になっていたらその前に発行された違う本だったことに
今日気が付きました。
次の予約を入れられるまでにどのくらい予約数が増えるだろうかorz






「交渉人 籠城」

2011-01-05 23:53:13 | 読み物
「交渉人 籠城」五十嵐貴久氏

内容(「BOOK」データベースより)
喫茶店の店主が客を監禁・篭城する事件が発生した。
交渉人に任命された遠野麻衣子に、篭城犯は「テレビカメラを駐車場に入れ、事件を中継しろ」と要求する。
過去に犯人の幼い娘が少年によって惨殺された事件に動機があると推察するが、
麻衣子たちは要求の真意を計りかねていた。
そこへさらに突きつけられたのが、警察としては決して呑めない前代未聞の要求だった。
解決策を探ろうと必死の交渉を続ける麻衣子の耳に、いきなり女性の悲鳴が聞こえる―。


久々の読書だったりする。(正月に本を持って行ったものの、結局一ページも読まず;)
が、先に書いたテレビを点けつつのながらなので、どの程度まで頭に入ってるのか疑問。(苦笑)

どうやら交渉人のシリーズらしいのですが、単発でも話は完結しています。
喫茶店の店主(犯人)、交渉人、そしてマスコミとそれぞれの思惑が絡み合い、
事件を解決するまでの心理戦といったところでしょうか。
店主は過去に悲惨な事件で娘を亡くし、それが動機となっていますが、少年法により守られた
加害者、マスコミの恰好の話題になり、プライバシーを侵害された被害者側の
今問題とされている点を中心に描かれています。
が、交渉人というある種特殊な職業について書かれているわけでもなく、サスペンスものとしては
「少年法」についての是否という問題を提示してしまったことで中途半端に、
そして少年法自体についても結論が出せているわけではない(←もちろん、難しいとは思いますが)
と全てが宙ぶらりんで終わってしまっているような気がして少し残念でした。

「長い廊下がある家」

2010-12-21 23:49:42 | 読み物
「長い廊下がある家」、有栖川有栖氏

内容(「BOOK」データベースより)
廃村に踏み迷った大学生の青年は、夜も更けて、ようやく明かりのついた家に辿り着く。
そこもやはり廃屋だったが、三人の雑誌取材チームが訪れていた。
この家には幽霊が出るというのだ―。思い違い、錯誤、言い逃れに悪巧み。
それぞれに歪んだ手掛かりから、臨床犯罪学者・火村英生が導き出す真相とは!?
悪意ある者の奸計に、火村英生の怜悧な頭脳が挑む。


お馴染みの火村・アリスコンビによる短編集。
『長い廊下がある家』
『雪と金婚式』
『天空の眼』
『ロジカル・デスゲーム』
の4つのうち『雪と~』は既に他のアンソロジーで読んでいました。

表題作の『長い~』は(トリックとして)他にも読んだような、そうでないような(どっちだ)、
人間が思いがちな盲点をついたトリックではないかなぁと思います。
本屋で帯を見た人が「(帯が)ネタバレだ」と指摘したとかしないとかですが、
むしろどんな帯だったのかちょっと興味ある。
『天空~』は珍しく!?アリスが探偵役を務める(というか火村が登場しない)一遍で、
アリスファン向け?かなぁと思いますが、それでもトリックとしての構成はちゃんとしており
なるほどと思わせる結末です。

一転、『ロジカル~』は火村VS犯人(というのだろうか?)というこれまた火村ファンにとっては
痺れる一遍となっております。
<念のため言っておきますが、自分はこのコンビに○○色を加味して読んだことはございませんので、
別にどうとも思わないです。(笑)
『スイス時計の謎』(本のタイトルではなく短編の方)のように理詰めでトリックが明かされていくので
小気味よさを存分に味わえる話…のはずなのですが、「確率」の問題(以前に数学全般orz)が
どうにも苦手な自分は、一度読んだだけでは???というごく普通の(だと思いたい!)
反応だったことを白状しておきます。

「インディゴの夜 チョコレートビースト」

2010-12-08 23:53:18 | 読み物
「インディゴの夜 チョコレートビースト」、加藤秋実氏

内容(「MARC」データベースより)
人気ホスト襲撃に、ホストコンテストを巡る陰謀。
ストリートの事件は、「club indigo」におまかせ! ホスト探偵団が今夜も狂騒の街を駆け抜ける。
「インディゴの夜」に続く、スピード感あふれる連作短編集第2弾。


第二弾というからには一弾があるのですが、書架には無かったし、話は独立してそうなのでまぁいいかと。
<予約をギチギチに入れてるから出来ないんだよ;
ホスト探偵団というとダークスーツやキラキラジャケットの細身のイケメンというのが
一般的なイメージとして浮かんできますが(え、自分だけか?)、このホストクラブは
渋谷ということでストリート系…らしい。<若干テンション下がってるw

勝手な思い込みとの差は置いておいて。
(渋谷、六本木、新宿ではホストの傾向というのは違うらしいっす)
話としてはホストクラブの経営者(表の顔は雑誌のライター)の一人である晶が遭遇した謎を
ホストや共同経営者と解き明かしていくというのがパターン。
この晶という目線(アラサーであり、ごく普通の思慮を持っている)から語られることで、
年若いホスト達との感じ方の違い(が内心の突っ込みとして書かれてる)等でくすりと
させたり共感させる部分があるなぁと思いました。

唯一ホストらしいホスト!?(の格好をしている)優也さんの謎っぷり、ホストというより
やんちゃ坊主だったり筋肉バカだったりタトゥーを入れたりと様々なキャラが登場しますので、
そういう意味で面白い本でした。

「闇の喇叭」

2010-11-30 23:58:30 | 読み物
おお、変換で出た!<喇叭(どうでもいいw)

「闇の喇叭」、有栖川有栖氏

内容(「BOOK」データベースより)
平世21年の日本。第二次世界大戦後、ソ連の支配下におかれた北海道は日本から独立。
北のスパイが日本で暗躍しているのは周知の事実だ。敵は外だけとはかぎらない。
地方の独立を叫ぶ組織や、徴兵忌避をする者もいる。
政府は国内外に監視の目を光らせ、警察は犯罪検挙率100%を目標に掲げる。
探偵行為は禁じられ、探偵狩りも激しさを増した。すべてを禁じられ、存在意義を否定された探偵に、
何ができるのか。何をすべきなのか。


YA向けの本ということですが、それにしては背景が重たいものではあります。
第二次世界大戦の史実を多少変え、北海道がソ連の支配下にあるという設定はSFとまではいきませんが、
ある種のパラレルワールドを作り出しています。(この背景を描くのにも随分とページが割かれています)
ですが、主人公が高校生で、同じ目線(向けた読者層と)で読めるものですし、
起こった事件のトリックは本格を崩さずきちんとしたものです。
事件の謎は解決しますが、その後の主人公についてはあえて(と思われます)触れられていません。
また、この本は事件を解くだけでなく「探偵の存在意義」というものを問いかける一冊でもあります。
主人公のその後と探偵の存在意義を読み手がどう受け止めるか、それが後書きに書かれている
「この本は始まりの物語でもあります」という一文の解釈ととったのですが、果たしてどうなのでしょう。

…どうでもいいことですが、昨日の本の一部をアマ/ゾンで探していた時に、
(著者名を)うろ覚えで検索を入れてしまい、出てきた結果がBLだった件w
この履歴が流れるのはいつのことだろうか。(苦笑)

読了

2010-11-29 23:56:11 | 読み物
纏めてメモ。

「オー!ファーザー」、伊坂幸太郎氏

母一人、子一人、だけど父親は四人! 
そんな普通とはちょっと違う環境で育った主人公が事件に巻き込まれて…。

実は読んでからちょっと間が空いてしまったので、感想を書くほど覚えていない;<忘れっぽいな
氏があとがきで記すように、第一期の作(新聞に掲載)で、最近の著の「何を伝えたいのだろう?」と
ちょっと悩んでしまうものよりは設定が荒唐無稽とはいえ、楽しく読めました。
氏の特徴が出ている一冊だなぁと思います。

「太陽の庭」、宮木あや子氏

一般に知られていないが、政財界の人物からは神とたたえられる「永大院」家。
外の世界と隔絶されて生きる「神の子供たち」が知るのは愛情か、憎悪か。
彼らが見る永代院最後の日とは

話の設定としては有り得ないものですし、一人の跡目とそれ以外の子、寵姫(一夫多妻制)と
目付役、真実を知ろうとする外の世界の者、それぞれの立場を考えるとなかなか重たい
中身だったりもしますが、それが「幻想的」な文章に包まれると、また違った印象を受けます。
「雨の塔」にも一部重なる場所が登場します。

「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」、辻村深月氏

幼馴染だったチエミが殺人事件の後、行方をくらませた。 今は東京でフリーのライターをする
みずほは彼女の足取りを求めて故郷の地を、友人を訪ねるが…。

地方で暮らす友人たちは皆と同じであることを求め、結婚することで立場を確固たるものにする。
都会で働いている女性(みずほ)との違いみたいなもの(意識の差)は分からなくもない。
というのは置いといて(置いとくのか;)正直なぜ事が起こってから主人公が動き出すのか、
また、重要な話題の一つであるはずの赤ちゃんポストについてが途中で放り投げられてしまっている
点とう中途半端なところを気にし過ぎるのは自分の癖なのか。

「クリプトマスクの擬死工作」、上遠野浩平氏

あらすじ…㍉ <待て;
どうやら(じゃなくて、確実にw)、シリーズ物の途中をいきなり借りてきてしまったため、
話の世界観を上手く理解できていない模様。 とりあえず読んだということで。(最早メモでもない;)

こうして書くと読むジャンルがバラバラですね、最近。<傾向はあるけれども
そしてやはり恋愛小説に手が伸びない件w<「でっていう?」のが目に見えているので。

「プラチナデータ」他

2010-11-24 23:55:46 | 読み物
「プラチナデータ」、東野圭吾氏

内容(「BOOK」データベースより)
犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、検挙率が飛躍的に上がるなか、
科学捜査を嘲笑うかのような連続殺人事件が発生した。
警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果は「NOT FOUND」。
犯人はこの世に存在しないのか?時を同じくして、システムの開発者までが殺害される。
現場に残された毛髪から解析された結果は…「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。
犯人は、神楽自身であることを示していた―。確信は疑念に、追う者は追われる者に。
すべての謎は、DNAが解決する。


…うん、まぁ、相変わらず読ませる力は持っている…と思います。
ただ、氏の書いた中での系統的にいうと「ダイイングアイ」や「パラドックスサーティーン」に
似た読後感の物足りなさを感じたりもする。
毎回言っているように、これだけの作をかなりの頻度で書いているという点から見れば、
充分に読ませる作家であることには間違いないのだけれど。
DNAによってどういった人物かプロファイリングやモンタージュまで作成されるシステムが開発され
未解決犯罪が減る一方、DNA情報を個人情報として提供することに躊躇いを覚える人々。
そして、本当にそういったシステムが確立された場合、人間(の中の一部)のエゴが
まかり通ってしまうであろう今の世相を皮肉っているようにも見られますが、
ある意味お約束な結末で読めてしまったところがちょっと残念かも。


「派遣ちゃん」、宮崎誉子氏

派遣会社に登録し、首切りを恐れながら日々を送る妹、小説家になると大言を吐きながら、
引き籠り続ける兄。 派遣社員のリアルを描いた一冊

自分が派遣の経験があるのでどんなものかとタイトル借りしてきたものですが、
ひたすら(恐らく8割以上が)会話文で終わっていて、正直何を伝えたかったのか不明。
というか、実際氏も派遣と作家との二足のわらじを履いているらしいのですが、
ただリアルに描けばいい(登録から派遣までの流れ、派遣同士の派閥とか)だけでは
厳しい言い方ですが「話」として成り立っていないような気がしました。

「最上階ペンタグラム」、南園律氏

企業犯罪を潜入捜査する海坂理歌は、優良コンサルティング会社の社員だった。
大学病院で、社長秘書室で、潜入先で出会った殺人事件をそのたびに出くわす正体不明な謎の男と、
真実を解き明かしていく。

ミステリとエンタメ要素を併せ持った好みのタイプの作のはずなのですが、
ややもっさりした印象を受けたのは海坂の頓珍漢すぎる推理のせいなのか?
謎の男(正体は分かるが、なぜそうした仕事を選んでいるのかの意図がまだ不明)、
灰汁の強い上司等、キャラは魅力的なのにな~と。

「美晴さんランナウェイ」、山本幸久氏

美晴さんは世宇子の叔母にあたり、27になるけれどその行動は破天荒。
何かがあるとふらりと逃げ出してしまう彼女だけれど、どこか憎めなくて。

いや、もの凄くさっくりと読めました、ページ数が少ないとしても。
母親の葬儀にふらりと旅行に出てしまったり、風邪を引いた姪にウォッカで作った卵酒を飲ませたり。
現実にいたら迷惑だろうなぁと思いますが、それでも世宇子や実の兄、の振り回されながらも
彼女を見守る目の温かさに心地よさを覚える本かと。

「鳴くかウグイス」

2010-11-17 22:54:18 | 読み物
「鳴くかウグイス 小林家の受験騒動記 」、不知火京介氏

内容(「BOOK」データベースより)
長女・春菜は容姿端麗だけど、高校受験も危ないほどの勉強嫌い。
夫・雅也の給料は半減。そんななか、長男・隆也が中学受験に燃え始めた。
塾の月謝、模試代、受験料、入学金、授業料、出産費用(?)
―絶対絶命の金銭苦に母は立ち向かった!


タイトルのまんま、お受験の本です。 
夫の転職で給料が下がり、働きに出ることになった母が公立も危うい長女と、中学を受験する
友達に影響を受け勉強に興味を持ち始めた長男のそれぞれの受験に対しどう対するのか。
自分は高校受験の経験は無いんですが、中学はしたので(遥か昔のことですがw)その時を
ちょっと思い出しましたが、今の中学お受験なんてもっと加熱してるのだろうなぁと。
確かに受験ともなれば諸々のお金が掛かってくるのは分かりますし、かといってそれを理由に
やる気を出した子供の気を削ぐようなことはしたくない、そんな親のジレンマや頑張りが伝わってきます。
話に(塾のあり方とかお金のかかり具合とか)リアリティがあるのでうんうんと思いながら
読み進められる本でした。
ま、長男が出来過ぎ君(性格的に)だったり、反面長女がありえないくらい自己中心的な割に
展開としてご都合と思えた部分もありましたが、そこはフィクションだからでしょう。



…どうやら神様は頭の上を過ぎ去って北へと向かった模様w(そして肩凝りが治らないorz)

「春狂い」

2010-11-11 23:52:08 | 読み物
「春狂い」、宮木あや子氏

内容(「BOOK」データベースより)
生まれながらにして、人を狂わすほどの美しさを内包していた一人の少女。
男たちの欲望に曝され、身体を穢された美少女が、桜咲く園で望んだ未来とは―。
窓の外で桜の花びらが突風に巻き上げられている。
放課後の教室、私は教師の前でスカートをたくしあげる。「私をあと二年、守ってください」。
制服の下に隠された、傷だらけの少女の秘密。


この方は本によって受ける印象がガラリと違うなぁと。<前回が「野良女」だったので余計に感じるのかも。
引かれるかもしれないほどの女の本音をあけすけに書いた上と違い、こちらは何というか
耽美小説というのでしょうか、とにかく文章そのものが非常に美しく感じました。
内容にもある通り、中身は非常にシビアであり、むごい場面も見られます。
けれど、いやらしさ(中身の描写として)よりも、それを受けざるを得なかった少女の絶望、
うちに秘めた怒りがひしひしと伝わってきて引き込まれました。

また、少女の美しさに囚われて過ちを犯す男の狂気、好きなのに相反することをしてしまう男、
相手の理論は理解できなくとも存在を受け入れられる男と、色々な男性が登しますが、
そのそれぞれの心の内も丁寧に描かれており、受け入れは出来ないタイプも勿論いますが(笑)、
納得させられてしまう描ききる力というものを強く感じました。

「明日の空」他

2010-11-08 23:57:36 | 読み物
「明日の空」、貫井徳郎氏

帰国子女の栄美は日本で初めての高校生活を送ろうとしていた。
人と同じこと好む日本人の間で目立たぬように個性を押し込める栄美と、
学年で優等生として目立つ存在の男子生徒は次第に仲良くなっていくが、デートの約束をすると
必ず何かが起こって破算になってしまう。 その真意に気付いたとき、彼女が思うのは…。

どうも氏の作品=「やりきれない」のイメージが強いので、そういった著書とは一風変わった
印象を残す本だなぁと思いました。
何故デートの度に誰かが見ていたように邪魔が入るのか、そんな疑問を残したまま、
二章目は全く違った場所、人物の(男同士の)友情話が描かれ、すべての帰結は三章へ。
氏のかけたトリック(というのかな)に嵌っていれば、ああそうか、やられたという印象を強く受けるかも。
読後感も悪くはないのですが、なんとなく消化不良(らしくない的な意味で)が残っちゃう自分は
どうなんでしょうね。(苦笑)

「悪貨」、島田雅彦氏

ホームレスが手に入れた100万円、それを奪った二人組、実は偽札だったその金は
人の間を回っては歯車を狂わせていく。
一方国際的犯罪を取り締まる警察はマネーロンダリングの元締めである宝石商に潜入捜査として刑事を送り込む。
最後に勝つのは金か悪か、愛か理想か、いずれなのか?

金が絶対的力を持っている現代、その価値観を崩したら人はどうなるのか?
武力でも政治の力でのなく貨幣制度を使って国を貶めようとする(=精巧な偽札を市井に蔓延させて
インフレを起こす)
というところに辿り着く前、偽札を手にした者たちが(それと知らぬまま使い)破綻していく様は
引き込まれて読んでいましたが、それとは対照的な潜入捜査を行う場面や、その登場人物の
(話が進むにつれての)行動に「そんなあっさりかい!」と思ってしまったかも。
最後の結末がそういう形にしかならないのが現代社会ともいえるし、だからこそそうではない
結末でもよかったかも(=話でしか描けない)と思うのは我儘か。

「マドンナ・ヴェルデ」

2010-11-01 23:14:23 | 読み物
「マドンナ・ヴェルデ」、海堂尊氏

内容(「BOOK」データベースより)
「ママは余計なこと考えないで、無事に赤ちゃんを産んでくれればいいの」平凡な主婦みどりは、
一人娘で産科医の曾根崎理恵から驚くべき話を告げられる。
子宮を失う理恵のため、代理母として子どもを宿してほしいというのだ。
五十歳代後半、三十三年ぶりの妊娠。お腹にいるのは、実の孫。
奇妙な状況を受け入れたみどりの胸に、やがて疑念が芽生えはじめる。
「今の社会のルールでは代理母が本当の母親で、それはこのあたし」。


「ジーン・ワルツ」の産科医理恵をその母親みどりの立場から見て書いた本。
↑を読んだのが大分前ということもあり、若干忘れている部分もありましたが、
読んでいない人がこの本を手に取るともっと疑問点が残るのではと。
代理母の問題、遺伝子操作(組み換え等ではなく)など、今医療が抱える問題を
そのままに描いているので(物語として)、下手な医学本よりはよっぽど多くの人に伝える力はあると思う。
ここ最近は伝えたいことが(話の展開よりも)押し出され過ぎている感もありましたが、
この本は一般的(代理母を引き受ける点で一般的というのか分かりませんが)な視点から
描かれているので割とすんなりと読めるかも。
それでも理恵や夫の考え方や態度がいくら現実離れしている(ように思える)設定といえ、
機械のような感じを受けてしまって、提示した問題と併せ、すっきりとした読後感
という気持ちにはなりませんでした。

読了

2010-10-28 23:54:43 | 読み物
「リテイク・シックスティーン」、豊島ミホ氏

高校に入学した沙織はクラスメイトの孝子から「私は未来から来たの、
人生をやり直しするために」と言われて戸惑う。
彼女の言うことは本当なのか、球技大会、夏休み、スキー教室とスクールライフを過ごしながら、
行動的な彼女にひきずられ、沙織も自分の将来を考えるようになる。

未来から来た、ということでSFチックなのかと思いきや、そこら辺の伏線は回収されていなく、
ご自由に想像くださいという感じですが、来た理由が妙にリアリティがあります。
(そこまでいかなくとも思うことがある人はいるはず)
学生時代の将来に対する不安や現実との兼ね合い、あるいはこの時代だからこそ味わえる
友情や恋愛、そういったものがこちらまできゅんきゅんするような筆致で書かれていると思います。

「七人の敵がいる」、加納朋子氏

育児と仕事を何とか両立してきた、ワーキングマザーの陽子、
息子の小学校入学で少しはラクになるかと思いきや、PTA・学童父母会・
地域子供会などに悲鳴を上げるが、それだけで終わらないのが彼女の真骨頂。

正直未知の世界なのでこんなにも大変なのか~と思うのが一番の印象。
最初はスーパーウーマンん風のズケズケ物を言う陽子に対し「あなただから言えるんだよ」的な
ひねくれた印象も持ちましたが、他の立場の人と接するうちに良識的な目線で(=お互いの
立場を理解したうえで)書かれている文章になっていっているのがいいなぁと。
最終章はフィクションだからこその策でもありますが、それが叶わぬまでも
全ての人が(父親や、自分のように全く実情を知らぬ者等を含め)実態を知っておくには
いい本だと思います。

「脱出迷路」、上甲宣之氏

主人公が夢で赤いトンネルを抜け迷い込んだのは「首夢」世界、そこで与えられる理不尽な
ミッションを達せられなければ現実でも死が訪れる、抜け出すにはどうしたらいい?

この手の話を書く人として山田氏もいるのですが、そちらはどうにも後味が悪くて数冊で挫折。
こういった非現実的な恐怖を読者にもその恐ろしく感じさせるためには文章力が必要だなぁと。
どうやらクトルー神話を踏まえて書いているらしく(その神話、知りません;)、
まだ序盤といった印象のままで終わってしまう。(続くのだと思う)
ある種のパニック物で一冊で終わりが無いって微妙に辛いわ。(苦笑)


予約本がラッシュで嬉しい悲鳴、こんな日は読書に限ります。<いや、明日こそ買い物に行かないとまた天気が崩れるし

「光媒の花」他

2010-10-25 23:46:58 | 読み物
「光媒の花」、道尾秀介氏

内容(「BOOK」データベースより)
もう、駄目だと思った。それでも世界は、続いていた―少女は無限の想像力でこの世界を生き延び、
少年はたった一つの思い出にしがみつく。
一匹の蝶が見た悲しみの先に広がる光景とは…渾身の連作群像劇。


実は、もの凄い眠気と闘いながら読んでました。<期限が迫っていたので;
そのような読み方をするのは申し訳ないなと思いつつも、「(眠くとも)先を読みたいな」と
思わせる力を持った本だとも思いました。
認知症の母と暮らす中年男や罪を犯した幼い兄妹、登場する人物はどこかに闇を抱え、
楽しい展開の話では決してありません。
けれど一つの話で脇に登場した人物が次の話のメインになるリンクの妙、そして暗く重い話の
連作でありながら綺麗な文章(言葉)で綴られていてその美しさが非常に印象に残りました。


「愚者のエンドロール」、米澤穂信氏

文化祭の自主製作映画を見てほしいと頼まれた古典部部員。 
とある殺人シーンによって中断された映画の結末を推理してほしいという。
果たして彼らは真実を導き出せるのか。

「古典部シリーズ」二作目ということで読む順を間違えました。orz(最初から借りている)
薄い(通常のミステリ本と比べ)中にも過去の本格ミステリ作(「チョコレート殺人事件」、
ただし自分は未読です)の本歌取りを試みるなど、ぎっしりと詰まった内容。
主人公の気力?や登場する面々については青春モノとも思わせる軽妙で独特な語り口を見せ、
両方が好みという人にはおススメです。

「謎解きはディナーのあとで」

2010-10-20 23:37:19 | 読み物
「謎解きはディナーのあとで」、東川篤哉氏

内容説明
ミステリ界に新たなヒーロー誕生! 主人公は、国立署の新米警部である宝生麗子ですが、
彼女と事件の話をするうちに真犯人を特定するのは、なんと日本初!?の安楽椅子探偵、
執事の影山です。
彼は、いくつもの企業を擁する世界的に有名な「宝生グループ」、宝生家のお嬢様麗子のお抱え運転手です。
本当は、プロの探偵か野球選手になりたかったという影山は、謎を解明しない麗子に
時に容赦ない暴言を吐きながら、事件の核心に迫っていきます。


あらすじにある設定からしてどう見ても私ホイホイです、スミマセ…ry
お金持ちのお嬢様、その上司はプロ野球に入れなかった花形満(=自動車会社のボンボンの意、
ただし、たとえが古すぎるw)のような、これまたお坊ちゃまの風祭刑事。
それでもってこんな上司もあり得ない。(無能な意味で)
ありえない設定でユーモアたっぷりなキャラがいて、それでいて謎解きに関しては
筋の通った(という言い方はおかしいですが)ミステリと、自分の好みのドストライクを
ついてきた本です。

事件現場で見当はずれな推理ばかりしてしまう風祭刑事、無能さとお金持ち自慢に対し
内心で突っ込む宝生お嬢様、普段は忠実なのに事件解決の糸口をつかめずにいる
彼女に対し暴言を吐いてしまう(この時だけ主従が逆転しているような)執事という
お約束なパターンで各話が進んでいきますが、トリックに関してはよく纏まっていて
肩の凝らないミステリとしてはお奨めだと思います。
雑誌連載と書き下ろしなのですが、このキャラクター達の活躍する姿をもっと見たい
(=シリーズ化希望)と思うのですが、どうなるんでしょうかね。