南青山なでしこ日記

南青山なでしこ(撫子)の音楽業界漂流事情日記

浜田省吾の[MY FIRST LOVE]

2005-07-08 17:11:03 | Weblog
朝早く起きて南青山のこのあたりを歩いていると、きれいな女の子たちとたくさんすれ違う。
みんな急いでいてそれぞれが気取っていない分だけもっと素敵に見える。
彼女達の着ているものに時々時代が見える。
こんなにうすい素材のセーターのようなものや、ブラウス、シャツ、みんな重ねて着ている。
そしてバッグ、どんな朝からやって来たのだろうと想う。
これから始まる一日、若い女の子たちはそれだけでドラマチックに見える。
いつまでも若くはないから、ジンと来る。
いつも時代の真直中を女のこたちは駆け抜けて行く。

でもここを過ぎて素敵でいるのはすごく難しい。

今日は浜田省吾のアルバムに泣けそうになった。

4年ぶり、よくここまで完成出来たね。
えらそうな言い方に聞こえたらごめんなさい。
でもここまでの完成度に持ち込むことが彼くらいのアーティストになったら、どんなに苦しいかはわからないわけじゃないから。

キャラヴァンについて書いたブログに喜んでもらえた事は嬉しかったけれど、彼は浜田サンにくらべればすごく若い。まだいくらでも曲は溢れて来る頃でしょう。

「MY FIRST LOVE」
このタイトルに辿り着いた浜田省吾の気持が痛いほど伝わって来るアルバムになっている。
彼のキャリアでこのタイトルにするなんて、ここに辿り着くなんて、いったいどうやってこのゴールが見えたのだろう。
小田和正にもユーミンにも、陽水にも、このスタイルは使えないんじゃない?
このタイトル、浜田省吾以外にこの響きには聞こえない。

「光と影の季節」ここから11曲目の「ある晴れた夏の日の午後」まで、まるで彼の、浜田省吾みたいな男の物語が彼のあの若く、ちょっと甘えた声で届く。
もちろん彼は根っからのシンガーソングライターだから彼の人生のどこかがモチーフになってはいるけれど、これは見事なイメージソングばかり。
ずっと彼の歌を待っていた彼女達がすべて私が相手役かも、といちばんきれいな写真を重ね合わせる、そんなふうに出来上がっている。

すごいなあ、浜田さん。

20才くらいだった福山君に「とにかく浜田省吾はレッスンの源だから全部聞いて彼の世界に重ねてみて」なんて言ってた。
浜田さんの世界は決して東京でも日本でもなくて、限り無くアメリカに近い日本のイメージなんだよね。
「オレはビンテージの最高級のワイン」なんて言っちゃうんだから恥ずかしいような所もあの浜田省吾のイメージ守ったカッコ良さから来ると思えば、納得。
スガ君じゃあ、こうは行かないよね。
あのサングラス姿で絶対に、なにがなんでも、たとえ、小田和正からのラブレターのお誘いでも彼だけはテレビには出ないし出なかった。
彼しかもう残っていないでしょう。
テレビでのプロモーションを全く使わずにここまでのスーパースターになったミュージシャンは。

なにがあっても、ライブを見なくちゃ。

好きか嫌いかはなんとも言えない。
だって彼には長いキャリアがあるミュージシャンだから。

でも続けて、歌い続けてこの場所にたどり着ける事がどのくらい難しい事かもっとも理解している人はあの桜井君でしょうね。