『ソーシャル・ネットワーク』観ました。でゴールデングローブ賞取り、tweetしたところ、@okamonが
と言うので、元シネコン運営のWeb屋として、『ソーシャル・ネットワーク』がすごい理由を書きます。(以下ネタバレです)
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監督は元プロモーションビデオの監督なので映像がきれい、変化に富む、なども受賞の要因の一つではあると思いますが、
私は「時系列のまとめ方」に着目しました。
■通常のドラマ
普通こういった映像作品を時系列で並べると、
普通のドラマ:主人公を中心としたイベント→イベントの積み上げ→それから○年後
普通のサスペンス:事件→捜査→逮捕→犯人の回想
のように時系列順あるいは逆行して主人公やその場の中心人物の心理描写を描きます。
■例外
中には『メメント』のように「5分しか覚えられないからモノなどを頼りにたどる」とか
『マルホランド・ドライブ』のように「時間を超越して訳わかんないことになる」などもありますが、
これらは設定が特殊なことを前提にした作品です。
■『ソーシャル・ネットワーク』の時系列と巧みな人物描写
ところが本作では
「今→訴訟1→訴訟2→今→訴訟1,2混在→今」
と非常に複雑な時系列で進みます。
上記のようなストーリーが「○年○月」といったト書き無しで進むので、観客は混乱するところですが、
ここで「主役の心理描写をあえて消す」ことによって、
錯綜する時系列の中でも観客を引き込ませます。
「フェイスブック 若き天才の野望」にもあるように
ザッカーバーグ自身寡黙で、普段何を考えているか理解しづらい面があるそうですが、
まさにこの性格を巧みに映像に仕立てあげたことこそ、要因があると考えます。
ザッカーバーグは事実としての行動を中心に描写し、
サベリンや周りの人物を細やかに心理描写することで、
観客は「ザッカーバーグはいったい何を考えているのだ?」と最後まで惹きつけられます。
そしてラストで
「元カノにフレンド申請して何回も更新する」というモテない行動=あぁやっぱり人間なんだね、とニヤつかせる心理描写こそが、
本作がゴールデングローブ賞の作品・監督賞を受賞する理由だと思います。
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フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) |
デビッド・カークパトリック | |
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