もうじゅうぶん過ぎるほど
酔ってはいるが、シャワー
のあとのビールというのは、
格別だ。
思わず「ぶはーっ」と、自分
の部屋にいるときと同じよう
に、声を出してしまう。
ベットの足元のほうに、小さ
なマガジンラックがあった。
見覚えのある表紙が目に入る。
若い女性に人気のある女優が、
チューリップの花束を抱えて、
笑っている。焼き肉屋の帰り
に寄ったコンビニで、私が見
せた雑誌だ。
あの時立ち読みというか、名
前を見せただけだったから、
後日また買いに行ったのだろう
か。二十代の男の子には、ほと
んど読むところなどないだろう
に。
さて、これから、どうしよう。
このままビールを飲んで待って
いたら、たぶん二人は、どうで
もいようなことを、えんえんと
話つづけるような気がする。
しかし、それは避けたい。私は、
眠い。疲れている。
とりあえず、先にベットにもぐり
こんで、横になってしまおう。
で、それからの後のことは
彼にまかせる。
なんかしたいんなら、すれば
いいし、疲れていて眠りたいん
っだら、それはそれでいいや・・
・・・と、思っているうちに、
すっかり眠ってしまったらしい。
喉の渇きを覚えて目を覚ますと、
部屋の灯りは消えて、枕元の
小さなランプだけが、灯って
いる。
"文庫本を開いて缶のまま
飲むビール
一人暮らしは旅にも似るか“
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