佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

おにぎり

2024-05-15 11:53:52 | 日記
昔、日本は貧しかった。
家は、小さく、古くて、
とても暑くて、そして
寒かった。

季節は秋だったろうか。
友だちにススムという少
年がいた。
ススムは、僕の近所に住
んでいた。

夕暮れ時、通りに出てき
たススムが、炊きたての
ごはんのおこげでつくっ
た握りめしをほおばって
いた。とてつもなくうま
そうだった。

夕陽に照らされたススム
の顔を見ながら、うらやま
しいと思うと同時に、あ、
なんだ、ススムの家は大丈
夫なんだと、ひとごとなが
ら、ちょっとほっとしたこ
とを覚えている。

ススムの家は、夕方、ちゃ
んと母親がごはんを炊いて
いる家なのである。それは、
この家がきちんと動いてい
る何よりのシルシ。

生きる意志を明快に持つ
家族の、何よりの証明では
ないか。

崩壊した家族が、まだ明る
いうちから、湯気をホカホ
カと上げながら夕食をつ
くっている姿を想像する
のはむずかしい。貧しい
けれど、たとえそれが無
意識であろうと、家族に、
前へ前へと進もうという
力があった時代。

「幸福は、ごはんが炊か
れる場所にある。」

今、偶然にも家族といる
時間が増え思い出がいっぱ
いつくれるといいなぁ。
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