「先生、どうしてもわから
ないことが一つあります。
貧乏な人は、力の及ぶか
ぎり親切に助けてくれるの
に、
金持ちは余裕があるくせ
に、何もしてくれません。
いったいどうしてでしょうか」
「ちょっと窓から外をのぞい
てごらん。外に何があります
か」
「女の人が一人、子どもの手
を引いて歩いています。それ
に市場への車が一台入ろう
としているのが見えます」
「それでは、今度は壁の鏡
をのぞいてごらんなさい。
何が見えますか?」
「そりゃあ、私の顔しか見え
ません」
「そうだろう。窓も鏡も同じよう
にガラスからできている。
それなのに、すこし銀がつくと、
自分のことしか見えないように
なってしまうものなのだよ」
※鏡はガラス板に銀をうすく
ぬったもの。
銀→お金。