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中2男子が550万課金「ゲーム依存」苦しい胸のうち

2021-09-28 12:00:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です。

ゲームに熱中しすぎて、学業や仕事、日常生活に支障が出てくる「ゲーム依存」が社会問題となってきている。コロナ禍の今、子どもたちはゲームへの依存度が高まっているという。ゲーム依存の実態とは。子どもとその親を支援する専門家の活動の一端を取材した。
病的な「ゲーム依存」の実態
「息子がまた暴れ始めました。一刻も早く来てもらえませんか」
朝8時、中学2年生の子どもの問題行動に悩む愛子さん(仮名)が切羽詰まった声で、電話口で訴えていた。通話の相手は、ネット依存の子たちを更生させる活動をしている佐野英誠さん。
佐野さんは、『ゲーム依存から子どもを取り戻す』(育鵬社)などの著書があり、4年前から全寮制のフリースクールの塾長を務めている。愛子さんが佐野さんに初めて相談をしたのは、その電話の2週間ほど前のことだ。
息子が暴れている理由は、「新しいタブレットを買ってくれ」という要求を母親が拒否したためだ。佐野さんは、急いで愛子さんの家に向かった。
「家に足を踏み入れて、驚きました。ガラスはあちこち割れ、壁には穴が開き、家具は破壊されていて、とても普通に暮らせるような環境ではなかったんです」(佐野さん)
息子と対面して、また驚いた。「どんなに凶暴な子だろう」と思っていたが、おとなしそうなごく普通の中学生だったからだ。
「こんな子が親に暴力をふるったり、家を破壊したりしているなんて。そして大人が子どもの奴隷のようになっているなんて……。信じられませんでした」
厚生労働省の推計によると、オンラインゲームや動画サイトなどを含む、病的な「ネット依存」が疑われる中・高生は、日本国内に93万人。この数は過去5年間で倍増している。2019年に行われたゲーム障害に関する初の実態調査(厚生労働省の補助事業として国立病院機構久里浜医療センターが実施)では、10代・20代の18.3%が、平日でも1日3時間以上をゲームに費やしていることが明らかになっている。
しかしこれらの調査結果は、新型コロナ感染症が流行する前。昨年3月の緊急事態宣言に伴う「全国一斉休校」で、状況は悪化したという。かつてない長期間の休校で、外出は自粛。子どもたちのゲーム依存度が高まるのは当然のことだった。「ゲームは1日2時間まで」などと決めていたルールが、いつの間にかなし崩しになってしまったという家庭も、多いはずだ。
ネットに制限をかけられて逆上
子どもが親の目を盗んでゲームするのはよくあること。しかし、そこからどのようにして、日常生活や人間関係に支障が出るほどゲームに執着するようになるのか。愛子さんの息子のケースは一例にすぎないが、順を追って見ていこう。
愛子さんの息子は、私立の中学校に通っていた。両親は息子が小さいころから過干渉気味で、受験をさせたのも「将来苦労しないように」という親心からだったという。
小学4年生から受験のための塾に通い、無事志望校に合格。しかし、いざ入学してみると勉強についていくのが大変で、ほどなく不登校になってしまった。
家にいる時間が長くなると、息子はゲームにはまり始めた。熱中すると昼夜逆転になって夜中までゲームをし続け、しまいにはヒートアップして大声で暴言を吐くように。そんな息子に、両親は再三注意をした。しかし共働きのため、日中は息子の行動をコントロールできなかった。
そのうちに息子は、「学校に行くから、ゲームに課金させてくれ」と要求するようになった。
なんとか学校に行ってほしい愛子さんは、息子の要求に応えて、何度も課金。しかし不登校は一向に改善せず、ゲーム依存はエスカレートするばかり。たまりかねた両親は、ネットに制限をかけようとした。
息子の家庭内暴力が始まったのは、それからだ。
息子は手当たり次第に物を投げつけ、テレビを壊し、家具を倒し、壁に穴を開けた。テレビは5~6台買い換えたという。両親は、息子の暴力をやめさせるために、お金を渡し続けるしかなかった。息子はさらに、親のクレジットカードを勝手に使ったり、家の金庫から盗んだりするようにもなっていった。
「不登校の息子が、ゲームにはまりすぎて執着心がすごい。課金も止まらない。なんとかできないでしょうか」
最終的に両親は自分たちでは息子の行動をどうすることもできなくなり、困り果てて佐野さんに相談したのだという。佐野さんが相談を受けた時点で、息子がゲームにつぎこんだお金は、550万円にのぼっていた。
子ども自身も罪悪感を抱いている
佐野さんによると、親がゲーム依存の子どもから端末を取り上げる、ゲームができないようにとWi-Fiを切ってしまうなどはよくある対応だという。愛子さんも、息子をゲーム依存から脱却させるために、ネットに制限をかけようとした。しかし、そうした親の行動は逆効果になることが多いという。
「ゲームに対する執着をいっそう強くしてしまうだけ。自分の心の拠り所であるゲームを取り上げられた子どもは、強く反発し、逆上します。家庭内暴力に発展するケースも少なくありません」(佐野さん)
大事なのは、規則正しい生活、日常の生活サイクルと食事を正常に戻すこと。そのためには、生活のルーティンを決めて、継続することだという。
「昼間は頭や体をしっかり動かし、夜はたっぷり睡眠をとる。それだけで、本来のその子のいきいきとした姿がよみがえってくるのです」(同)
佐野さんによると、ゲーム依存の状態に陥った子どもの心の中にあるのは、決して「ゲームをやりたい」という気持ちだけではないそうだ。
「子どもたち自身も『このままではダメだ』と思っています。親からお金を巻き上げたり暴力をふるったりする子どもでも、罪悪感は必ず持っている。まるで、『鬼滅の刃』の鬼になりきれない禰豆子のようです。たとえば、僕が訪問すると迷惑そうな顔はするけれど、接しているとどこか『きっかけ待ちだったんだな』とも感じます」
現在愛子さんの息子は、佐野さんが塾長を務める全寮制のフリースクールで、集団生活を送りながら更生を目指している。寮では35名の子どもたちが寝食を共にし、勉強や運動、ボランティアなどの活動を行う。
「生活習慣が乱れてゲーム依存になっただけなら、修正はそれほど難しくありません。学校と親が連携を取って、早い段階でアプローチをすることが必要です。その子のことを本気で考えてくれる大人が『きっかけ』を与え、規則正しい生活を『継続』することで子どもは必ず変わることができます」
(取材・文/臼井美伸)
佐野英誠(さの・ひでのぶ)/1977年大阪府出身。全国フリースクール 伊藤幸弘塾 塾長。教育カウンセラー、不登校カウンセラー、保護者カウンセラー。不登校、引きこもり、ゲーム依存、スマホ依存、ネット依存の子どもたちを、365日24時間体制の寮で生活させることで自立(自律)を支援。家族関係の再構築をサポートしている。
著書『ゲーム依存から子どもを取り戻す』(育鵬社) 
臼井美伸(うすい・みのぶ)/1965年長崎県佐世保市出身。津田塾大学英文学科卒業。出版社にて生活情報誌の編集を経験したのち、独立。実用書の編集や執筆を手掛けるかたわら、ライフワークとして、家族関係や女性の生き方についての取材を続けている。佐賀県鳥栖市在住。
著書『「大人の引きこもり」見えない子どもと暮らす母親たち』(育鵬社)



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