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コロナワクチンの「ブースター接種」とは なぜ必要?

2021-09-05 12:00:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞デジタルからの借用(コピー)です。

 米国で新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種が9月下旬からはじまる。「ブースター接種」と呼ばれる。日本を含めたいくつかの国でも検討される一方、世界的なワクチン供給の偏りから慎重な意見もある。そもそもなぜ必要なのか。今後のワクチン戦略にどんな影響があるのか。
    * 【データで見るコロナワクチン】日本の接種状況は? 都道府県の状況も一目でわかる
 米政府は、米ファイザー製か米モデルナ製のワクチンの3回目の接種を9月20日からはじめると発表した。対象は2回目の接種から8カ月たった18歳以上の人だ。
 世界で最も早くワクチン接種が進んだイスラエル。8月1日から、2回目の接種から5カ月がたった60歳以上の高齢者を対象に、3回目の接種が始まった。24日からは30歳以上に対象年齢が引き下げられている。
 一度ワクチン接種を完了して、新型コロナに対する免疫がついた人に対して、数カ月後にもう一度ワクチンをうつことを、CDCなどは「ブースター接種」と呼んでいる。
 そもそも、ワクチンなどで免疫ができたはずの人であっても、その予防効果は完璧ではない。厚生労働省の専門家組織の資料によると、日本でも、8月18~20日に感染が確認された約7万人のうち、ワクチンの2回接種を終えた人は2600人あまりいる。
ブレークスルー感染 デルタ株で拍車?
 このように、ワクチン接種済みの人が感染したり発症したりする例は、免疫による守りを「突破する」という意味で、「ブレークスルー」感染と呼ばれる。
 接種から時間がたつことで、ワクチンによる予防効果が弱まることも分かってきた。
ここから続き
 イスラエルでは当初、ワクチン接種によって感染リスクが94%下がるという、非常に高い効果が報告されていた。しかし、同国保健省の7月の発表によると、6月6日までのデータを分析した結果、感染リスクを下げる効果は64%にまで弱まったという。
 拍車をかけたと考えられているのが、感染力の強いデルタ株の影響だ。
 CDCの報告では、7月に米マサチューセッツ州であった大規模イベントに関連して、400人以上の感染が確認された。その4分の3ほどがワクチン接種を完了した人だったという。調べられた検体(133人分)のうち9割がデルタ株だった。
 このような状況のなかで検討が本格化したのが、「ブースター接種」だ。
免疫の記憶を刺激 ブースターの仕組み
 もともと免疫システムには、体に侵入したウイルスなどの病原体の特徴を記憶し、次に同じ病原体が入ってきたときに、より強く排除するはたらきがある。
 予防のために接種するワクチンは、このしくみを利用し、あらかじめウイルスなどの特徴の一部を体に覚えさせ、本当の感染に備えるものだ。
 しかし、ワクチンによって免疫の記憶がつくられても、その記憶をもとにはたらく予防効果は、実際の感染でつくられるものよりも早く薄れてしまうことがある。
 そこで、一度つくらせた免疫の記憶を、追加のワクチン接種で刺激して、低下した予防効果をもう一度「押し上げる」ことをねらうのが「ブースター接種」だ。ブースターは英語のboost(押し上げる)に由来する。
 ワクチン接種による免疫の獲得は、いわば「一夜漬け」の勉強みたいなもの、と考えると理解しやすい。記憶がつくられても、直後のテストでしかよい結果がでないように、ワクチンの効果が薄れるのも早いことがある。
 ブースター接種は「復習」みたいなもので、記憶を刺激して、もう一度テストに備え直すイメージに近い。
 8月からブースター接種がはじまったイスラエルからの暫定的な報告によると、2回接種だけの人と比べると、3回接種した人では検査で陽性になった人の割合が86%少なかったという。
 ただ、主に二つの理由から、現時点でのブースター接種の開始には慎重な意見もある。
本当にいま必要? 慎重な意見も
 まず、ワクチン接種から時間がたっても、重症化や死亡を予防する効果は、現状で大きくは損なわれないとされることだ。
 「感染を予防する効果が64%に下がる」と報告したのと同じ、イスラエル保健省の7月の発表では、一方で、重症化を防ぐ効果は93%と高いまま維持されていることにも言及されていた。
 CDCのウェブサイトでも、ワクチンの効果について、「(感染力の強い)デルタ株に対しても、重症化、入院、死亡を防ぐために非常によく効いています」と触れられている。
 ワクチン接種の目的を、感染の拡大を抑えるためと考えれば、確かにブースター接種が必要になる。ただその場合、ブースター接種の後でも予防効果が弱まるなら、さらに追加の接種が求められるかもしれない。
 一方で、ワクチン接種の目的を、重症化を防ぎ、新型コロナで亡くなる人を減らすためと考えれば、必ずしもブースター接種は必要ないかもしれない。
 二つ目の理由は、世界的にワクチン供給が高所得国に偏っていることだ。
 米デューク大のチームの集計によると、各国のワクチン確保量は、カナダが国民1人あたり約10回分、英国が同約8回分、米国が同約5回分など。一方、低所得国では国民1人につき1回に満たない国も多い。
 世界保健機関(WHO)などが主導して、豊かな国も含めてワクチンを共同で購入し、公平に分配するしくみ「COVAX」。来年2月までに低所得国に約20億回分を供給し、人口の少なくとも3割にワクチンを行き渡らせることを目標にしている。しかし、現状では、初回の接種を受けた人はわずか約1.1%だという。
 新型コロナは感染して増殖するときに変異する。豊かな国・地域だけで接種率を上げても、それ以外の場所でウイルスが増え、ワクチンが効きにくい新たな変異株が生まれる可能性は高いままになる。
 WHOは8月10日付でブースター接種についての暫定的な声明を発表。いまの状況でブースター接種を行うことは、ワクチンの需要を高めて不公平感を悪化させるとして、「当面は、世界的な(規定の回数の)接種率を高めることに重点を置くべきだ」としている。
 日本では、8月25日時点で、ワクチン接種の1回目を終えた人が人口の5割ほど、2回目を終えた人は4割ほどだ。
日本でも検討 専門家「根拠に基づき議論を」
 日本で使われているワクチンはいずれも2回接種が1セットなので、3回目以降が「ブースター接種」になる。
 政府はブースター接種が必要かどうかについて検討していて、ワクチン戦略を担当する河野太郎・行政改革担当相は16日、民放のCS番組で、「少なくとも来年に関して言えば、ファイザー、モデルナを今年2回打った方が3回目を打つのに十分な量のワクチンを確保している」と話している。
 ワクチンに詳しい北里大学大村智記念研究所の中山哲夫・特任教授は「3回目の接種も、総合的なリスクとベネフィットのバランスで考える必要がある」とし、「日本でもブースターを検討するならば、規模は小さくても臨床試験をして、根拠となるデータを示す必要がある」と指摘する。
 国内でも接種率は上がったものの、まだ自治体接種の予約が取りづらい状態も続いている。中山さんは「日本では、ブースター接種を急ぐよりも、希望する人への接種率を高めることの方が先決だ」という。
 ただ、「ワクチン接種で得られる免疫のはたらきが、いずれ弱まることは確かだ」として、中長期的には追加のワクチン接種が必要になると中山さんは考えているという。「新型コロナの感染者が完全にゼロになるのは難しい。インフルエンザのように季節性のものになるのかもわからない。今後も、ワクチン接種の戦略をどうしていくべきかは、引き続き根拠に基づいて議論していかないといけない」(野口憲太)



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