サンケイビズ 為替介入資金枠で復興増税を回避せよ

サンケイビズ　為替介入資金枠で

復興増税を回避せよ

 

【ついき秀学のＭｉｒａｉ　Ｖｉｓｉｏｎ】転載
(1/3ページ～)2011.11.4 05:00
　

□幸福実現党党首

　政府・日銀は１０月３１日、東京外国為替市場で
円売り・ドル買いの為替介入を実施しました。

介入規模は、８月４日の介入時の約４．５兆円を
上回って、史上最大の７．５兆円規模だったと見ら
れます。円相場は対ドルで１０月２１日に約２カ月
ぶりに最高値を更新した後、２５日から２７日に
かけても３日連続で最高値を更新し、さらに
３１日早朝に一時１ドル７５円３２銭と、最高値
を五度（ごたび）更新しました。

その後、７５円台後半で推移していたところに、
「日本の実体経済を何ら反映せず、一方的に投機的
な動きが続いていた」（安住淳財務相）として
為替介入が敢行されたのです。

　しかし、介入を受けて円相場は一時１ドル７９円５５銭
まで下落したものの、海外市場で値を戻し、以後、
主に７８円台前半で推移しています。介入によって円の
一方的な上昇は一旦抑えられましたが、相場が反転
したとまでは言えない状況です。

　◆介入よりも大胆な金融緩和が必要

　そもそもわが国単独の為替介入に満足な効果があるのか、
極めて疑問です。安住財務相は、足元の円高は
「日本の実体経済を何ら反映せず」と言い切っていますが、
なかなか収束の見えない欧州債務危機や、米経済の軟化に
伴う一層の金融緩和期待を踏まえれば、震災で打撃を
受けたとは言え、安定的な金融システムを擁する世界最大
の債権国にして、通貨価値が相対的に高いデフレ経済下
の日本の円は、消去法的ではあっても、安全資産として
買われるだけの理由があります。欧米諸国の経済が
本格的に回復しなければ、日本経済が欧米よりも深刻な
景気後退に陥ることでもない限り、円高トレンドは
継続すると見るべきです。

　安住財務相は今般「納得いくまで介入させてもらいたい」
としています。しかし、どこまで介入しても、しばらく
すればファンダメンタルズを反映して円高トレンドに
戻ってしまうのは、８月４日の介入後、半月しか経た
ない１９日に円が最高値を更新したのを見れば明らか
です。

もちろん急激な円高を放置してよいというわけでなく、
通貨量を大幅に増やす、より大胆な金融緩和こそが
円高抑制に必要なのです。

　◆増税正当化の論理は完全に破綻

　効果の薄い介入の結果として残るのは、政府の
外貨準備の膨張です。これまでの円売り・ドル買い介入
が積み重なって、外貨準備は１．２兆ドルに膨れ上が
っており（２０１１年９月末）、その大部分は米国債
で運用されています。１９５２年以降の運用益は
累計で５２兆円、うち３１．５兆円が一般会計に
繰り入れられ、残り２０．６兆円が外国為替資金特別
会計に積立金として残っています。

その一方で円高によって３５．９兆円もの為替評価損が
発生しており、外為特会は差し引き１５．３兆円の
債務超過です（以上、週刊エコノミスト編集部算定の
２０１１年２月末の数値）。

　為替介入の原資は、外国為替資金証券（ＦＢ）と
呼ばれる短期国債の発行によって得た借入金です。

今回の介入は７．５兆円規模と言われますが、
８月介入時の４．５兆円と合わせれば１２兆円と、
東日本大震災の復興増税１１．２兆円に並ぶ金額です。

効果が限られた為替介入のために１２兆円も国民から
借金し、その借金をドルに換えた後は、円に戻さずに
巨額の為替差損を抱えながら低利の米国債として
塩漬けにするだけなのですから、極めて効率の悪い
お金の使い方です。

むしろ、その１２兆円を復興財源に回した方が、よほど
意味のあるお金の使い方となります。今年度の第３次
補正予算が成立すれば、ＦＢの発行枠は１６５兆円まで
増え、介入で使える残高は今回の介入分を差し引いても
３８兆円以上と見られます。したがって、今からでも
遅くはありません。増税を撤回し、介入資金として集め
る予定だった資金枠を復興財源に回すべきです。

元々、償還・減債のことを考えずに介入資金の名目で
何十兆円も集めるつもりだったのですから、増税正当化
に使われる「将来にツケを先送りしない」という論理は
完全に破綻しているのです。

　なお、明日５日１３時より東京都の
日比谷野外大音楽堂で「増税が国を滅ぼす！国民集会」
が開催され、わが党も協賛団体として参加します。

国民の意思として「増税反対」を現政権に突き付ける
ために、多数の皆様のご来場をお待ちしております。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111104/mca1111040501002-n1.htm

 

 

 

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