もう「引き締め」はこりごり。ユーロは「成長路線」に転換を!――
[HRPニュースファイル590]
■ユーロ圏の財政危機・救済プログラムの何が問題かというと、
結局「経済のパイを増やす」ことを考えていないことです。
■今、ユーロ圏に必要なことは、「経済成長」への政策転換です。
「財政出動・金融緩和・成長戦略」の成長パッケージを、
ユーロ圏にも強力に提案するべき!
■日本から停滞するユーロに積極的な提言を!
等がよくよくよく分かります
転載 幸福実現党ニュース~
☆:・。*☆:・。*
もう「引き締め」はこりごり。ユーロは「成長路線」に転換を!
――キプロス金融危機から学ぶべき「緊縮路線」の限界
[HRPニュースファイル590]
◆キプロスから再燃するユーロ金融危機
キプロスでは、ユーロ圏諸国から金融支援を受けるために、キプロス国内の
2大銀行(キプロス銀行とライキ銀行)を再編することになりました。
10万ユーロ以下の預金は保護されますが、両行の大口預金者が負担強制すること
を条件に、EUから100億ユーロ(約1兆2300億円)の金融支援を受け、当面は、
財政破綻を回避できる見通しです。(3/25 朝日「キプロス、支援合意主要2行を再編へ」)
今回のキプロスのケースは、今までのヨーロッパ内の支援策とは大きく
異なる点があります。
それは、「銀行の大口預金者」と「債券保有者」が損失を被ることです。
今まで財政危機が起きたギリシャやアイルランド、ポルトガル、スペインに
対しては、債券保有者や預金者に負担を強いることは、ユーロ圏の銀行から
の資金逃避(キャピタルフライト)を招く懸念があり、実施されませんでした。
「資金逃避」とは、国内から海外へ資本が一斉に流出することです。
これにより、国債の買い手が急激につかなくなることによる政府の資金繰り
の悪化、銀行預金の大幅な減少に伴う融資の引き締めなどを通じて、経済
活動の縮小を引き起こします。
今回のキプロス支援をめぐる一連の動きにより、「銀行の資金調達コスト
の上昇や、預金移転の活発化、増配の後ずれにつながる可能性がある」と
いう指摘もあり、安全な銀行を求めて、預金がキプロス国外へ流動化する
可能性があります。
(3/27 ロイター「キプロス支援策で欧州銀に激変も、資金逃避の懸念」)
なぜなら、株主・債券保有者・預金保険対象外の預金者が損失を負うリスク
への不安が、財政懸念のあるスペインやイタリアにも不安が広がることが
予想されるからです。
キプロスでは銀行の取り付け騒ぎを回避するために、3月16日から銀行が
一時的に休業となっていましたが、3月28日正午(日本時間午後7時)から
営業が再開されました。
ユーロの金融危機の岐路ともなりえるため、今後のキプロスの銀行預金
の動きには目が離せません。
◆「引き締め一辺倒」の変わらないユーロ圏の救済策
これまでも資金繰りが悪化しているユーロ圏の国々は、政府歳出の削減と
増税による「緊縮財政」を条件に融資を受けていました。
今回のキプロス支援で、銀行預金者や投資家にも損失が広がったことで、
「緊縮度合い」が強まったという見方ができると思います。
ユーロ圏諸国でくすぶる金融不安を見ると、そもそも現行の「緊縮政策」
はユーロの金融危機は乗り越えるための正しい政策なのでしょうか?
意外と知られていないことですが、ギリシャでは、2009年10月から財政危機
が起こる前の2006年から増税して財政を回復しようと試みたにも関わらず、
結局、財政再建はできませんでした。
こうした事実を見ても、「引き締め一辺倒」の政策を考え直す必要が
ありそうです。
ユーロ圏の財政危機・救済プログラムの何が問題かというと、結局
「経済のパイを増やす」ことを考えていないことです。
また、ユーロは共通通貨を導入しているため、各国の情勢に合わせた
金融政策ができないことも問題を複雑にしています。
◆国家にとって大切な金融政策
金融政策がどれほど重要か、過去に財政破綻した独自通貨を持つ国の
事例から考えてみます。
2001年末に、アルゼンチンは、対外債務返済の不履行を宣言し、財政破綻
しました。その後、為替変動制に移行し、アルゼンチン・ペソ安が背景
となり、輸出が景気を牽引し、アルゼンチン経済は回復軌道に乗ること
ができました。
しかし、残念ながらユーロ加盟国は、通貨安による景気の牽引は期待
できません。
そのため、成長路線に乗せるためには、「引き締め、引き締め」で国を
縛るのではなく、ユーロでも、政府による景気刺激策を容認することが
必要ですが、緊縮主義からの政策転換はすぐには期待できそうにありません。
そこで、期待されるのが日本です。
◆日本から停滞するユーロに積極的な提言を!
ユーロ圏では、金融安全網として、欧州安定機構(ESM)から債券を今年1月
から発行されています。
日本は2月末まで、発行総額の10.3%に相当する8億ユーロ(約984億円)を
購入し、欧州経済の安定化に向け資金面で協力しています。
(3/25 時事「ESM債の購入継続へ=政府」)
それだけではありません。日本は、これまでも欧州安定機構(ESM)の前身で
ある、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が2011年1月から発行開始した
債券を継続的に購入してきました。
日本は、EU支援の実績を重ねてきています。だからこそ、日本は、もう
一歩踏み込み、ユーロ圏を金融危機から回復するための意見提言をするべき
ではないでしょうか。
今、ユーロ圏に必要なことは、「経済成長」への政策転換です。
2009年以来、幸福実現党がブレずに訴え続け、安部政権で効果を発揮し
始めている「財政出動・金融緩和・成長戦略」の成長パッケージを、
ユーロ圏にも強力に提案するべきではないでしょうか。
日本の繁栄から、世界の繁栄へ。日本は世界を牽引していくリーダーたる
べきです
(政経塾1期生・幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)
☆゜・*:.。. .。.:*・゜
◎本メルマガは自由に転送、転載いただいて結構です。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE92S03520130329