電力の「2012年問題」が
甚大な被害をもたらす
http://kurokawa-hakuun.hr-party.jp/news/
黒川白雲氏、転載
菅首相が人気取りのパフォーマンスとして
「ストレステストを行うまで安全は確認できない(再稼働すべきでない)」
と唐突に宣言しました。そのため、定期検査が終わった原子炉の再稼働が
全く見通せなくなり、このまま再稼働ができなければ、電力の
「2012年問題」が発生することが確実です。
現在、稼働中の17基の原子炉も今後、順次、定期検査に入るため、
このまま原子炉の再稼働ができなければ、来年2012年の春、
全ての原子力発電所が停止します。
“脱原発”を表明している西ドイツでさえ、
「2020年までに段階的に廃炉措置を行う」という移行期間を
十分に設けており、いきなり、来年春に全原発を停止するといった
無計画で、国家破壊的なエネルギー計画は考えてもいません。
財団法人日本エネルギー経済研究所が発表した
「原子力発電の再稼働の有無に関する2012年度までの電力需給分析」
によれば、全ての原子炉が停止した場合、来夏は全国総計の
総発電能力が最大消費電力を7.8%下回り、全国規模で
電力不足が発生することは避けられません。
電力の安定供給のためには、最低限5%程度の予備率の確保が
必要なため、全国規模で12.4%の大幅な節電が必要となり、
「産業活動には甚大な影響が避けられない」と分析しています。
地域によっては設備能力の100%を超える石油火力の稼動が必要に
なる場合もあり、現実的には、そのような高稼働は不可能で、
大幅な電力使用制限令の発動やブラックアウト(大停電)に至る
危険が高くなります。
原子力発電の再稼働がない場合、2012年度の火力燃料
(石炭・LNG・石油)の消費量は劇的に増大し、2010年度比
3.5兆円増加します。
その場合、標準的な家庭の電力料金は1ヵ月当たり1049円値上がりし、
「わが国の産業競争力への極めて深刻な悪影響も懸念される」と
分析しています。(同研究所の試算では大幅な需要増加による
燃料価格の上昇は勘案されていません。実際には、電力料金は
更に上がるはずです)
経団連の米倉会長が原発のストレステスト(耐性検査)に関する
政府の統一見解について「首相が何を考えて言ったのか、政府内
で混乱している。こんなばかな話、考えられない」と机たたき
怒ったということですが、産業界にとっては大変深刻な事態です。
電力不足で企業は節電を強いられ、生産活動が落ち込んでいる中、
菅首相が打ち出した全国の原子力発電所へのストレステストが、
さらに大幅な電力不足をもたらし、産業の空洞化を加速させて
います。
電力料金の値上げは世界市場で競争する企業にとっては大きな
重荷であり、実際に多くの企業が海外脱出を真剣に検討し
始めています。
産業空洞化が失業者の増大や消費の低迷に拍車をかけることは避けられません。
「日本沈没」を引き起こす首相として、即刻、菅直人氏をストレステストにかけ、
“欠陥品"として辞任させるべきです。
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