
*************************
あほらしさの正体

エクイティー理論
人はいろいろな意味で「不公平だ」と感じると、
途端に「あほらしくてやってられない!」と思うもの。
このことは、人間のモチベーションは
「ほかの人と比べて公平である(と認識される)かどうか」に
大きく依存していることを示しています。
「エクイティー理論」は心理学者のジョン・ステイシー・アダムスらによって提唱されました。
この理論では、インプットとアウトカムを想定します。
仮に○○をインプット、□□をアウトカムとしましょう。
インプット(○○)は、配分した時間や努力、あるいは資源です。
コミットメント、ハードワーク、一生懸命さ、柔軟な対応、我慢、犠牲、情熱、信頼──
いろいろなものがインプットになります。
アウトカム(□□)は、給与、報酬、福利厚生、使える経費、刺激、認知、評判、褒め言葉、感謝など。
人間はインプットとアウトカムのバランスに敏感です。
しかも、いちいち「自分のインプット・アウトカム比率」と
他人の「自分のインプット・アウトカム比率」を比較します。
例えば「俺はこんなに○○して、この程度の□□。
あいつはあのくらいの○○であんな□□」などと思うわけです。
比較の結果、自分より他人の方がずっと「うまいことやっている」ことが分かったら
どんな気がするでしょう。
「不公平だ!」「アホらしい!」「やってられない!」と思うはずです。
「アホらしくてやってられない!」。
そう感じてしまうとモチベーションは急激に下がります。
そのときに、どうしますか? もっとアウトカムをもらえるようにさらに努力しますか?
多くの人は熱心に仕事をしなくなってしまいます。
それが「やる気が失せる」状態です。つまりインプット側を減らしてしまうのです。
あるいは、比較の対象を変えたり、無視したり、
揚げ句の果ては会社を辞めたり。
人間はそれほどまでして、インプットとアウトカムを巡る関係がほぼイコールになるようにします。
このとき、心の中では何が起きているのでしょうか。
インプットを減らすということは「アホさしさを削減する」、
つまり気持ちの上でのバランスを取っているのです。
お互いに釣り合わない認知を同時に抱えたときに感じる思いを
「認知的不協和」と言います。
片方に「こんなにやった!」というインプットの認知。
片方に「その結果がこうだった!」というアウトプットの認知。
それらのバランスが取れていないと人間は耐えられない――。
それが「あほらしさの正体」なのだということを、エクイティー理論は示しているのです。
***************************