~saito sekai presents~奇妙な漫画&小話ブログ

AI画像生成漫画&短編小説&を日常投稿します。不定期更新です。

ある夕方の出来事

2022-08-30 23:00:00 | 超短編小説
水曜日の夕方、俺は仕事を終えて帰宅しようとしていた。
「後、2日頑張れば休みだ…」
すると夕日の彼方からなにやら飛んで来る。それは人の足だった。びっくりしていると、もう一本の足、腕、胴体、頭…次々に飛んで来て、それは空中で一つの身体になった。

それをよく見ると、俺のおふくろであった。ニコニコ笑っている。唖然としているうちに、その身体は俺になった。いや、親父の若かりし日の姿なんだ。じっと見ていると、それはだんだん老いて行き、今の親父となった。

その親父は言う。

「お前は一人なんだよ」


俺は段々可笑しくなった。するとその親父のような幻想はいつの間にか消えていた。

「そうだ、俺は一人じゃない、でも一人でしっかり立って行かなければならないのだ」

気がつくと、すっかり日は落ちていた。歩く足取りはさっきより、少し軽くなった。