裁判員法の廃止を求める会

我が国の刑事司法を崩壊させる裁判員法の廃止を求めます

裁判員制度を廃止しよう (1/2)

2008-06-26 03:12:10 | Weblog

以下は、『国民新聞』の求めにより認めたものです。掲載にあたり、若干の字句を改め、見出しをつけました。ご参考までに掲載します。
(事務局長 平田文昭 記)
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裁判員制度を廃止しよう
アジア太平洋人権協議会 代表 平田文昭

政府は、来年平成21年5月21日から、裁判員制度を実施するとの政令を定めた。

裁判員法には附則二条二項において、裁判員の参加する刑事裁判が「円滑かつ適正に実施できる」状況にあることを、法施行の前提としている。

〔最高裁ともあろうものが、こんなインチキをやっていいのか〕

しかし、最高裁判所が平成20年1、2月実施の国民調査によれば、参加しても良いという国民は僅かに15・5%にすぎない。一方最高裁は、約六割から参加してもよい、との回答を得たと言っている。この六割の実態とは「あまり参加したくないが義務なら参加せざるを得ない」44・8%を、さきの15・5%に加えた数なのである。これは詐術である。最高裁がこのような数値操作をやっていいものだろうか。

操作と言えば、昨年には「裁判員制度フォーラム」で契約書作成前に事業をはじめた「さかのほり契約」や水増し請求、企画競争入札で五社中三社の金額が一致という談合疑惑、来場者のサクラ動員などの不正が次々と発覚している。同じようなことが道路公団で起こっていたら大問題になるところが、いつのまにか沙汰止みである。

〔最高裁ともあろうものがこんなお笑い台本書きをやっていいのか〕
この四月、最高裁は裁判員を辞退できる事実上の基準となる事例集をつくり各地裁に送った。これがお笑いなのだ。№1ホステス
(つまり№2以下は辞退できない)、仕込み時期の杜氏、種付け時期の牡蠣業者、株主総会を控えた経営者、初詣や海水浴時期のコンビニ店員、豪雪地帯の住民()、異物や誤表示のあったときの食品製造業社員、学年始めや末期の教員などが例示されているが、こういうことを言い出せば、誰しも何らかの事情を抱えているのだから、殆ど辞退可能にしなければ筋が通らない。事例集に載っていない場合、裁判所はどう判断するつもりだろうか。

つまり、裁判員になれるのは、かなり限られた人たちでしかないはずなのだ。仕事を休んで朝から夕方まで裁判所にかよって、殺した、強姦した、盗んだ、偽造した、といった話しを聞かされて、事実と刑罰を判断しろ、といわれて「よし、引き受けた」という人がいたら、これはかなり変な人である。そもそも簡単に仕事を休めるのは、大企業の非幹部社員か非幹部公務員か、暇をもてあました年金生活者くらいのものであろう。

最高裁は「精神的ショック」をうけた裁判員のために24時間の電話相談を開設するという。しかも業者委託で。このこと自体、裁判員制度の無理を示すものである。

〔裁判員制度のあらまし〕
裁判員制度とは、有権者のなかから、籤で選ばれた裁判員六人
(簡便な事件は四人)が、裁判官三人(簡便な事件は一人)と同等の権限で、重大刑事事件の裁判を行う制度である。重大刑事事件とは、最高刑が死刑・無期懲役・無期禁固である犯罪で、殺人、傷害致死、強姦致傷、覚醒剤取締法違反、危険運転致死、銃刀法違反等であり、年間約3300件である。

裁判員は、有権者がなるので、20歳で世の何のことを何も経験していない者も死刑の判断を下すことがありうる。司法試験秀才の頭でっかち裁判官がいけないからと言って、「小僧」に人の生死を左右させることが許されるか。

最高裁・法務省・日弁連は、殆どの裁判は「数日」で終わると宣伝しているが、そういう裁判は、被告と検察の間に事実の争いがなく(被告が有罪であることは被告側も認めている)、あとは刑をどうするか(実刑か執行猶予か、懲役・禁固何年か)を争うもの、場合によっては実質的にはそれすら争われないような事件である。
〔2/2へ続く〕


裁判員法を廃止しよう (2/2)

2008-06-26 03:08:16 | Weblog
〔1/2より続く〕

〔裁判員制度は刑事裁判のワイドショー化である〕
いわゆる「セレブ妻殺人事件」など到底「数日」(最大五日ということ)で終わらない。ああした裁判の裁判員に選ばれてしまったらどうする?。MSN産経ニュースは、ネット上で裁判の実況中継なるものをやり、それらを元にネット上で「あなたの判決」を募集した。これは裁判のワイドショー化であるが、こそ、裁判員裁判の実態である。逆に言えば、そうしなければ、専門的訓練も知識経験も何一つなく、資質による選別も制度上認められていない裁判員が裁判をするなど、不可能である。

〔最高裁ともあろうものが、こんなデタラメを言っていいのか〕
裁判員制度の広報をみると、事実認定は難しくない、誰しもが日常やっているのと同じことだ、という説明がある。我々はあの人はこうだ、あの取引先はああだ、といった判断を確かに日常的に行っている。しかし、それが自分の仕事にかかわることであれば、そのリスクを自分が負う。誤判による不利益は自分が負う。だから真剣になる。仕事なら経験の蓄積がある。

一方近所の噂話は全く無責任だ。間違えたところで、誰も責任を負わない。その噂話で人を傷つけても誰も咎められない。
(意図的なデマは名誉毀損の訴えをおこされるかもしれないが)。裁判員は、判決書を書かず、署名もしない。名前も公表されない。全く無責任なのである。つまり、裁判員となって法廷に出て、評議において有罪無罪、有罪なら刑は、という議論をするとしてもそれは基本的には近所の噂話しをするのと、責任においては変らないのである。

〔最高裁は、国民の司法への信頼を裏切った〕
3300件の背後には、それ相当の被害者があり、最低同数の被告があり、それぞれの背後に家族関係者がいる。その人たちの人生が、また国家社会の秩序がかかっている、重大刑事裁判を、あたかも弄ぶがごとく扱うことが許されるか。

裁判員法第一条は、制度の趣旨を「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に寄与する」こととしている。まるで重大刑事裁判を国民学校のように扱っている。真実の発見、適切な刑罰、それらによる正義の実現、人権の保障、といったどれ一つとっても、厳粛な事柄が「民主主義の学校」といった感覚で扱われている。冒頭に述べた最高裁の不正も含め、裁判員制度は司法の権威、国民からの信頼を著しく損なったといわなければならない。

特に、実施のための実務的事項をつめれば詰めるほど、制度矛盾が露呈し、広報すればするほど国民から嫌われている制度である。附則二条二項を利用して、実施を凍結することも可能であるのに、無理して強行しようとするのは、面子以外の何者でもない。そういう最高裁の体質は、国民の司法への信頼を失いこそすれ、高めるものとは決してならない。

しかも裁判員制度は、違憲の巨塊である。違憲立法審査権を有する最高裁自らその制度推進の旗振りをして国民を騙すなど、許されてよいことではない。

〔保守と呼ばれる人たちの陥りやすい誤りについて〕
保守の人たちは自衛隊違憲論を思い出して、違憲論を正面からかかげて裁判員制度に反対することに躊躇するかもしれない。しかし、憲法の規定如何にかかわらず、国防そのものは憲法以前の問題であり、高度に政治的な課題である。自衛隊問題は、敗戦に伴う国際権力構造のなかで自国の独立を維持するというまさしく政治そのものにかかわる問題である。

裁判員制度は、それを実施しなければ国家が崩壊する、という問題ではない。制度導入の趣旨をみても、いまの刑事裁判がどうしようもなく駄目だから、社会秩序、正義、人権擁護を実現するために導入する、とは書かれていない。むしろ導入することが国家秩序の崩壊の端緒となる制度である。そうした制度をどうして憲法に違反してまで導入するのか。

現憲法への評価とは別であることが認識されなければならない。
ことは立憲制の危機なのである。
国家機関の権力行使の手続き、限界を定め、国家機関相互の関係を定め、国家権力の恣意的行使を許さないことで、個々の国民と民族共同体の有機的存続と権利保障を確実にする智慧である立憲制の危機でもあるのだ。

今年の日弁連会長選挙では、裁判員制度廃止を主張する高山俊吉氏が7049票を獲得した。去年は3698票だったことを思えば、裁判員制度への反対票が積み増されたとみるべきだ。弁護士会でも疑問の声が挙がっている。裁判官、検事も本音は反対のはずだ。司法の専門家なら裁判員制度が成り立つはずのないことはわかるはずだ。

実施三年後の見直し規定があるし、変な判決になっても高裁があるからそこで是正される、という密かな思いがあるのではないか。しかし、その三年間、被害者と被告と関係者および裁判員とその候補者は最高裁・法務省・日弁連の顔をたてるためだけに苦しまねばならない。また裁判員の加わった地裁判決は高裁では考慮しなくてよいのなら、何のための一審なのかわからない。

前述の高山俊吉氏は、元青年法律家協会の議長である。つまり左翼だ。これをもって裁判員制度は左翼が反対しているから、国のためには良い制度ではないか、という人がいる。ではNHK受信料不払いはどうか。中村燦元独協大教授が取り組んでいるが、共産党もやっていたではないか。解放同盟と一番戦っているのは共産党ではないか。鳥取県で人権擁護条例ができたとき、これに正面から反対したのは鳥取弁護士会だがこの会長は共産党である。

たしかに物事には、あの人たちが賛成するなら、反対するなら、こちらは反対だ、賛成だ、ということで片付けていいものもある。しかし、左右の立場は違うが共に反対、賛成というものもある。裁判員制度はそのよい例である。

紙数の関係で、違憲論を詳しく述べることはできなかった。私も一員として加わっている「裁判員法の廃止を求める会」は、今年の憲法記念日を前に、『国民よ、裁判員制度の宣伝にだまされるな』と題する小冊子を発行した。一部200円(送料別)

この小冊子で指摘した違憲論をすべて克服しない限り、裁判員制度は最高裁が自己の職分である司法において、率先しておこなう違憲の公権力行使となる。ご一読をたまわれば幸である。

連絡先 電話 03―3263―6041 高池法律事務所
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弁護士の隣に被告席

2008-06-21 23:52:03 | Weblog

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弁護士の隣に被告席=裁判員制度で実現へ-偏見排除へ見直し容認・法務省
621151分配信 時事通信

 来年5月から始まる裁判員制度で、法務省は21日までに、法廷で裁判長の正面などに座らされている拘置中の被告について、弁護士の隣に座ることを認める方針を決めた。制服姿の刑務官に挟まれたこれまでの座り位置では、被告が犯人だとの印象を裁判員に与えかねないとの判断。江戸時代の奉行所から続く「お白州」型の法廷が見直されることになる。

 現在の刑事裁判では、被告は裁判長の正面や弁護士席の前に置かれたベンチに座る。保釈中の被告については、弁護士の隣に座ることを裁判所が許可した例があるが、拘置中の被告は警備上の理由から拘置所側が認めてこなかった。

 法務省は裁判員の偏見を排除する目的に加え、法廷での証拠調べが中心となる裁判員裁判では、被告と弁護士の意思疎通が重要になることも考慮。着席位置の検討を進めていた。 

【関連ニュース】
〔用語解説〕「精神鑑定」=裁判員制度
〔用語解説〕「裁判員制度」
法廷発言を自動文字変換=関西弁識別機能も-裁判員向け映像検索システム  -最高裁
「死刑増加」日本を批判=アムネスティ報告書
弁護士、検察に法廷貸し出し=裁判員準備をバックアップ・和歌山地裁

最終更新:621155
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出典:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080621-00000050-jij-soci

 


裁判員の記者会見、導入の是非議論 長官所長会同

2008-06-20 20:55:41 | Weblog

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裁判員の記者会見、導入の是非議論 長官所長会同

 全国の高裁長官と地、家裁所長、最高裁判事が集まり司法の課題を話し合う長官所長会同は19日も最高裁で開かれ、来年5月施行の裁判員制度への取り組みなどが議論された。裁判員を経験した市民に記者会見で感想を述べてもらうことの是非も話し合われ、評議の秘密などが守られる方策などを今後検討していくことになった。

 会同では、多くの市民に裁判員制度に参加してもらうため、裁判所が市民の不安や疑問を解消する必要があるとの意見で一致。了解を得られた裁判員に記者会見で感想を話してもらうことの是非も協議。「制度を理解してもらうため裁判員の率直な感想を述べてもらう意義は大きい」との意見が出る一方、「裁判員が守秘義務に違反する内容を会見で明かしたらどう対応するのか」などの慎重論もあった。
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出典:200861923:48 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080619AT1G1903G19062008.html


「裁判員制度、廃止を」 弁護士ら都内で集会

2008-06-14 17:49:10 | Weblog

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「裁判員制度、廃止を」 弁護士ら都内で集会

落語も上演された、裁判員制度に反対する

弁護士や文化人らでつくるグループが開い
た集会=13日夕、東京・日比谷公会堂
(
引用に際し、写真は削除した)

 来年5月に始まる裁判員制度について、反対派の弁護士や文化人らでつくるグループが13日、東京都千代田区の日比谷公会堂で集会を開き「今からでも遅くはない」と制度廃止を訴えた。

 グループは作家の嵐山光三郎さんや映画監督の崔洋一さんら11人が呼び掛け人。「裁判員制度はいらない!大運動」と題するキャンペーンを昨年4月から始め、集会や署名活動をしてきた。

 集会では、東北大の小田中聡樹名誉教授が「国民の司法参加と聞くとオープンなイメージがあるが、実態は逆。公判前整理手続きで問題が整理され、公判は形式化する。被告側の防御権の切り捨てだ」と指摘した。

 制度をめぐっては、新潟県弁護士会と栃木県弁護士会が延期や見直しを決議するなど、批判や消極意見も根強い。
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出典:2008613 2051分 共同通信
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008061301000747.html