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還暦おやじの洋楽日記

Hot Menu '73 / Various Artists

今からちょうど40年前にワーナーパイオニアから発売された2枚組オムニバスアルバム。
当時の日本のレコード会社の洋楽に於ける勢力分布は、王者である東芝にCBSソニーとワーナーパイオニアの二大新興勢力が挑んでいた構図だった。CBSソニーは商売上手で色々と企画ものも出しており、このようなサンプラー盤も「音のカタログ」というタイトルで先行して出していたが、いかんせん各曲が途中でフェードアウトする不完全版だった。その点、ワーナーパイオニアは宣伝は武骨だったけど所属するアーティストが豊富で、このあたりの商売のやり方は、手を変え品を変え攻める日本式と圧倒的な物量で攻めるアメリカ式の戦いのようにも解釈できたけど、買う方から見れば惜しげもなくこれだけの音源を加工なしで提供してくれたワーナーパイオニアのキップの良さは実に見事だった。
また、当時のLPの相場は1枚もので1950~2100円、2枚組で3000~3600円ぐらいだったから2枚組で980円という価格は、販売促進用とは言え驚異的だった。
収録されたアーティストもこれから売り出したいアーティストだけでなく、ビッグネームも適度に配置されて購買意欲をそそった。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ジェイムス・テイラー、エマーソン・レイク&パーマー、マナサス(スティーブン・スティルス)、ロバータ・フラックあたりが、その撒き餌的なアーティストだったが、発売前情報では収録予定曲にイエスの「アメリカ」もあったから人選には紆余曲折があったのだろう。これらの楽曲も魅力的だったが、当時の音楽雑誌で名前だけは知っていたが聴く機会のなかったアーティストの曲を聴けるとあって、発売日を待ちわびて即買った。

SIDE A
1. アリスは大統領/アリス・クーパー
2. 想い出のサマー・ブリーズ/シールズ&クロフツ
3. リッスン・トゥ・ザ・ミュージック/ドゥービー・ブラザーズ
4. ビューティフル/ゴードン・ライトフット
5. ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート/ライ・クーダー
6. ニューオリンズの町/アーロ・ガスリー
7. 目を閉じてごらん/ジェイムス・テイラー
SIDE B
1. ナイト・クラブ/タワー・オブ・パワー
2. プレイング・イン・ザ・バンド/グレイトフル・デッド
3. 時はもう無駄に出来ない/オールマン・ブラザーズ・バンド
4. ワイルド・ナイト/ヴァン・モリソン
5. ミート・ボール/ザ・セクション
6. モモトンボ/マロ
7. ブラック・ナイト/ディープ・パープル
SIDE C
1. ホワット・キャン・アイ・ドゥ/レッド・ツェッペリン
2. キープ・ザ・フェイス/ブラック・オーク・アーカンソー
3. スタッカ・リー/ドクター・ジョン
4. いつもあなたと/スピナーズ
5. ホームワーク/J.ガイルズ・バンド
6. ワイルド・ライク・ワイン/ラマタム
7. ラッキー・マン/エマーソン・レイク&パーマー
SIDE D
1. コロラド/マナサス
2. ストップ・アンド・スタート/ジョナサン・エドワーズ
3. 幸せを求めて/ユーグ・オーフレー
4. サム・ストーン/ジョン・プライン
5. グッド・タイム・チャーリー/ダニー・オキーフ
6. リトル・ゲットー・ボーイ/ダニー・ハサウェイ
7. 愛は面影の中に/ロバータ・フラック

買ってから数ヶ月間は毎日このアルバムを聴いていた。そしてそれまで知らなかったジャンルにも目覚め、洋楽に益々のめり込んでいったものだ。でも当時は金がなくてこのアルバムで知ったアーティストのアルバムを買うにも限度があったけど、今では少しづつ買ったりしている。
だから、このアルバムはまさに自分にとっての洋楽の水先案内人、そして世の中の五十路おやじの中には同様の体験をした人も大勢いるだろう。洋楽の歴史でこのアルバムが語られることはないだろうが、日本での洋楽史を彩る画期的な企画であったことは間違いない。

(かみ)

このアルバムについての詳細は下記のサイトをご覧下さい。
ワーナーミュージックジャパンの50周年記念回顧サイト
http://wmg.jp/wmlife/wb50th/turntable/index.html
でも、こちらの個人サイトのほうが愛情深く詳しい情報が記載されていました。
http://www.miyazaki-catv.ne.jp/~y-394u/diary/cd-diaryhotmenu.htm
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