21.テレパシー

とりあえず、何が起きたのか、テレパシーで探ることにする。
ジャスミンの意識がない今のうちなら、クリアな情報が読みとれそうだ。

「宝玉の中に、ここの主の魂が封じられていたのか……」
どうやらその魂は、ジャスミンの中に入り込んだあげく、複雑かつ強力な呪いを発動させたらしい。
……普段ならこのまま強制的に解呪できるのだが、そこは腐っても人間の魂１つ掛けた呪い。
今の俺の出力ではどうにもならないようだ。

「呪いの内容は恋愛感情の疑似体験……」
って、複雑な割にはしょっぱい内容だな、おい。
まぁ、命に関わるような呪いじゃなくて良かった。

「対象者は俺か」
まぁ、発動の瞬間、そばにいたのは俺だしな。
この手の呪いではよくあることだ。

「これ以上呪いを強力にしないためのNG項目は相思相愛的行動をとること……」
って、ちょっと待て。
今の出力じゃ解除できないのに、オーバードライブ※も使えないじゃないか。
いや、それ以前に、相思相愛的行動がNGって何なんだよ！

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※オーバードライブ
ジャスミンの精気をもらって出力を大幅に上げる術

20.あのさぁ

扉を開けた先には、それなりにおもしろい物がたくさんあった。

特に、書物の類は素晴らしかった。
俺がまだ読んだことのない本も複数ある上に、ここの主が書いたと思われるレポートも山のように保管されていた。

どれだけの時間が経ったのだろうか。
書物にあらかた目を通し終えた後、ふと、さっき感じ取ったヤバそうな宝玉のことを思い出した。

「あのさぁ、さっき言い忘れたんだけど、そこにある宝玉には絶対にさわるなよ……っておい！」
「…………へ？」

時すでに遅し。
つか、タイミング悪っ！