良心にしたがって

教職員の良心に従った行動と考え

ながらくご無沙汰して済みません

2013年06月14日 21時53分02秒 | 日の丸・君が代強制
 学年はじめは大変な忙しさで、なかなかブログ更新の元気が出ませんでした。たくさんお伝えすべき情報があったのですが、本当にご無沙汰してしまいました。
 これから卒業式での君が代不起立で処分された人たちの現状について、いろいろお伝えしようと思っています。
 まずは、私の話から。卒業式の君が代の間座っていただけで戒告処分なんて受け入れられませんと、5月の連休明けに大阪府人事委員会(悪名高き南港庁舎にあります)にいって不服申し立てをしました。5月20日付けで不服申し立てが受理され、これから人事委員会を舞台に大阪府教育委員会との争いが始まります。
 以下にわたし(わだ)の出した不服申し立てを紹介します。

2013年5月7日
大阪府人事委員会委員長 様

不服申し立て理由書

 大阪府教委は、私に対する処分説明書において、教育長及び校長からの「式場内の教職員は、国歌斉唱の際に起立して斉唱してください」との職務命令に違反して、2013年3月1日の卒業式の際に起立斉唱しなかったこと、それは「上司の職務上の命令に忠実に従う義務に違反」し、「その職の信用を著しく失墜するものである」として、3月12日に戒告処分に処した。
 
 しかし、上記の「職務命令」は以下に述べるごとく憲法及び教育基本法をはじめとする諸法令に違反しており無効である。従って、その「職務命令」違反を理由とする処分は無効であり、戒告処分の取り消しを求める。

(1)「国旗・国歌法」は国民に一切の義務を課すものではないというのが政府見解である。また、日本国憲法は思想・良心の自由(19条)をすべての国民に保障している。
 しかるに、卒業生をはじめ卒業式参加者に君が代斉唱時の起立・斉唱は義務ではないと告知することなく君が代斉唱を一方的一律に実施し、教職員に対しては起立斉唱しなければ懲戒処分を加える形で起立斉唱を強制することは「国旗・国歌法」を明らかに逸脱している。また、このやり方に承服しない教職員を見せしめとして処罰することは、従わなければ処罰し弾圧するという実例によって生徒を恫喝し、「国旗・国歌」尊重を強制し、それへの忠誠と服従を強要する行為に他ならない。これらは、明らかに憲法が保障する思想・良心の自由を蹂躙する行為である。

(2)同時に、思想・良心の自由は教職員にとっても侵害することのできない人権であり、自らの思想・良心に反した行動を強制されるいわれはない。また、教育基本法は教育は不当な支配に屈することなく行われなければならないと規定し、教育に携わる教職員が政治権力等に服従することなく、自らの信念と真実に基づいて行動し、教育を行うことを教職員に求めている。
 私は自らの信念に基づいて君が代斉唱時に不起立であったのであり、それは私に保障された憲法上の権利であると考える。私の父は現在で言えば高校生の年代に「予科練」に志願した。当時、「お国のために」軍隊に志願することは「臣民の栄誉」とされ、実際には志願者を出すことが学校にはノルマとして科せられていた。幸いなことに航空機と燃料の枯渇のために私の父が特攻隊として出撃することはなかった。しかし、父をはじめとする私の親の世代が戦争に動員される過程を見る中で、学校が「お国のために」と愛国心を教え込み、子どもに忠君愛国など特定の思想を与え、戦争への動員機関になってはいけないというのが私の信念である。同時に、これは現憲法の下で教職員の従うべき最重要の義務であると考える。
 天皇賛美の歌である君が代を、教職員に職務命令で起立斉唱させる行為は、子どもに国家への服従を強制することに直接つながる極めて危険な行為であり、従うことはできない。これが不起立の直接の理由である。この自らの思想・良心に反する行為を「職務命令」で強制することは憲法。教育基本法の規定に反する行為であり無効である。

(3)一昨年の「日の丸・君が代府条例」の制定以来、教育に行政権力、政治権力が直接かつ乱暴に介入している。国民の一定部分が日の丸・君が代に否定的感情を持つ以上、その人たちに敬意を強制することは許されない。またたとえ文部科学省が学習指導要領で入学式・卒業式における日の丸掲揚、君が代起立斉唱を決めたからといって、それを児童、生徒・保護者に強制することは許されない。様々な見地から君が代起立斉唱に従えない教職員に一律に強制することは許されない。教職員に対しても最大限の人権と思想・良心の自由の保障が行われなければならない。式の中で君が代斉唱時に着席しているだけの教職員を戒告処分に処するなど裁量権の乱用に他ならない。ところが、教職員がいかなる信念と思想、良心をもつかに関わらず、一律全員に式場内における起立斉唱を義務付け、強制し、教職員一人一人の配置を指定し、起立斉唱の有無を管理職が確認する体制を取るがごとき監視社会の極みのような形で実施することは教育に対して外部から不当な支配を行う行為に他ならない。大阪府教育長の1・17通達(2012年1月17日通達)に基づく君が代不起立教職員への処分は教育基本法に規定された教育への政治権力、行政権力の不当な介入に他ならず、教育の自由、中立、独立性を喪失させるもので、行為そのものが違法であり、処分を取り消すべきである。