Real-One blog

退却系駄目人間的電子網記録

最近のPS3終わったな的風潮に対する反論に失敗してみる

2007年07月20日 08時22分30秒 | 駄文
PS3が国内販売100万台超え、Wiiに7カ月遅れ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070718-00000379-reu-ent
7月18日17時58分配信 ロイター
 [東京 18日 ロイター] ゲーム雑誌出版社のエンターブレイン(東京都千代田区)は18日、ソニー<6758.T>の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の国内累計販売数(推定値)がこのほど100万台を超えたと発表した。
 競合する任天堂<7974.OS>の「Wii」は今年1月に国内販売が100万台を突破したとみられ、PS3はこれに7カ月あまり遅れて100万台を超えた。
 エンターブレインの調査では、PS3の国内販売数は15日時点で約101万台(15日時点)となった。エンターブレインによると、Wiiは昨年12月末までに国内で約98万9000台が販売された。1月中には100万台を超えたとみられる。エンターブレインの直近の集計数値では、Wiiの国内販売数は約291万台(8日時点)となっており、PS3に3倍近い差をつけている。

まあ、国内販売台数が「もう100万台いってね?」的状況らしい。

2chあたりではソースがファミ通だからという理由だけで色々と難癖つけて捏造レッテル貼りまくったり、延々とPS3やソニーを叩き続けて、PS3がダメだからという根拠だけでWiiXbox360が良いと断言している人がいるのはご愛嬌(笑)。

確かにファミ通は色々と前科持ちだから、その辺については私も2chあたりで叩いてたクチなんだが、
しかし100万台という数字に関してはウソは付けないだろう。
時々ハードの販売実績などをチェックしていたら、確かに先月時点で90万台くらいはいってたわけだし。

で、SEGA風に「PS3は倒れたままなのか?」と聞かれたら、答えは「NO」と答えたい。はっきりと。

そもそも、PS3がずっこけた要因は、ベンダーであるSCEIの発売前にやらかしているヘマによるところが大きい。


(要因その1) 発売日当日の在庫不足


「売り」の一つであるBlu-ray用の半導体レーザーの量産がうまくいっていなかった。
http://www.nikkeibp.co.jp/news/manu06q3/512384/
そのため、スタートダッシュとなるべきPS3発売日においては、日本国内で10万台、北米で40万台しか調達できていなかった。

ちなみに発売の半年前には、久夛良木社長はこんな事言ってます。
http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0605/09/news046.html

初回出荷台数を200万台、またその後の出荷台数も発表されたが、この件に関しても「もちろん、これはきちんと用意できると確認した上で発表した数字です。地震や盗難といった突発的な問題が発生する可能性もあるので絶対とは言えませんが、そういったトラブルさえなければ、まったく問題ない数字です。ですから、きちんとこの数を出荷しますので安心してください」と自信をのぞかせる。


しかし実際に準備できたのはその1/4だった。
客が一番買いたいと思う時期を完全に逸してしまったのは致命的だった。この慢性的な品薄状態はクリスマス前後まで続く事となり、熱が冷めてしまった。

※ちなみに私はアーマードコア4を発売日(12/21)と一緒に本体も買ったクチだが、都内某家電量販店であっさり買えた。
ちょうどWii発売(12/2)後とDSLiteが品薄真っ盛りだったため、順番待ちしてる人はほぼ全員がWiiかDS目当て。その中でPS3を持ち帰った時は少し気まずい思いをしたものだ。

つまり、半導体レーザーの量産がうまくいっていれば、この100万台販売達成ももう少し早かったはずだ。

現在はこの状況は解決されており、生産工程もコストを抑えた第二世代、第三世代へと移行しつつある。
また、延期された期間中に不具合の調査を行う時間も十分に得られた可能性も高い。その証拠に、現時点までPS3にはハードウェア的な致命的欠陥が発見されたという話を聞かない。性能的に対抗馬であるXbox360とは対照的 (2)なのを考えれば、ボディーブローのように効いてくるのではないか。


(要因その2) SCEによる開発サポート体制がガタガタだった(可能性が高い)


http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITea024022032006

そもそもプログラムを開発する上で必要なPS3用のコンパイラが最近まで提供されてこなかったのだ。

ちなみに、PS3は2006年春発売予定だったが、(要因その1)を理由に結局11月に延期されている。

ゲームソフトの開発といえば、規模にもよるが通常は年単位で行われる。確かに、コンパイラが無いからといって開発が出来ないわけではないが、サードパーティーへの開発支援体制全般を推して知る象徴的な事象に見える。

たとえば熱狂的なファンが多いXbox360版「アイドルマスター(2007/1/25発売)」の場合、この時期は既に開発の真っ最中だったはず。

http://www.dengekionline.com/data/news/2006/7/21/2de3e5cc8644465d9f36a09e3bbfdfa7.html

移植決定の発表が2006年7月下旬に行われており、ほぼ完成状態の画面写真も公開されている事から考えても、開発がスタートしたのはその時点から少なくとも1年以上遡る必要があるだろう。つまり2005年上半期以前となるわけだが、その頃にハード移植先として現実的な選択肢は、やはりXbox360しかなかったのではないかと思われる。
ちょうどその時期、マイクロソフトは先代Xboxと同じ轍を踏まないため、サードパーディーの確保に躍起になっていた。この時点で既に開発環境「XNA(Xbox360とWindows向けのゲーム開発プラットフォーム)」の提供も始まっている(ただし、360版「アイドルマスター」がXNAで開発されているかどうかは未確認)。
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2005/07/25/657176-000.html


いずれにせよこの時期はサードーパーティー獲得のためにマイクロソフトが遮二無二頑になっており、サードパーティーの人気タイトル投入を積極的にサポートしていたと思われる。エースコンバット6ビューティフル塊魂も事情は同じだろう。

ではPS2で出せばよかったのではないか、という疑問については、残念ながら今のところ有効な反論は用意できない。ただ、Xbox360版のネット常時接続前提のゲームシステムやグラフィックを見る限り、これをPS2で再現するのは非常に難しかったのではなかったのだろうか、と推測するのが精一杯か。

しかし、これはあくまでもSCE側の失点とマイクロソフト側の約一年のアドバンテージによるところが大きい。よって時間経過とともにSCE側の開発サポートが充実していけば、逆にXbox360版をPS3へ「逆移植」という現象も十分にありうる。
なぜなら、少なくとも国内においてはPS3はXbox360の2倍以上の販売実績がある。ソフトを一本でも多く売りたいサードパーティーにとって、「開発ノウハウが充実したPS3」に参入しない理由は無い。そして現実に、現在のSCEは開発ノウハウの浸透に躍起だ。
今年の3月には、ファーストパーティーが蓄積したノウハウを「PLAYSTATION EDGE」として提供開始すると発表している。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070316/pe.htm


また、低予算でゲーム作成が出来る「PSSG」も発表されている。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070601/gtmf.htm


目に見えるだけでもこういった動きがあり、Xbox360を追いかける形ではあるが、SCEも本気になっている事がうかがい知れる。そのため開発難度の高さはいずれ引き下げられていくと期待できる。
さらに、熱狂的なファンが多いグランツーリスモメタルギアソリッドの最新作が今年から来年にかけて控えている。これを機に本体の購入に踏み切る人が多く現れる事も期待できる。


(要因その3) やはり価格が高い


これについてはどうしようもない、か。

ただ、直接のライバルであるXbox360も、PS3と同じスペックに揃える(HD-DVDドライブ追加)と本体価格39,795に20,790円の追加となり、60GB版のPS3(約6万円)と価格がほぼ同じになる。しかもPS3(60GB版)の場合、ハードディスク容量も当然ながらHDMI端子や各種メディアスロットも搭載されており、機能的には全く見劣りしていない。ソフトウェア的にも、積極的な機能追加が続いている。

また、次世代DVDの趨勢が既にBlu-rayに傾いている現状で、PS3は安価なBDプレーヤーとしてのポジションもまだ失っていない(この辺りはかつてのPS2とDVDの関係に近い)。
大手レンタル店でBlu-rayディスクのレンタルが始まり、ハイビジョンテレビでのDVDに対するBlu-rayの優位性が広く認知されるようになれば「比較的安価でゲームも出来るBDプレーヤー」として脚光を浴びる余地を残している。

ハードディスク容量が「全ユーザーが20GB以上」という前提でコンテンツ配信が出来るメリットも、いずれは効いてくると思われる。Xbox360コアシステムにはストレージそのものが同梱されておらず、メモリユニットかハードディスクを別途購入する必要があるので、メモリユニット(64MBか512MB)利用者は数十メガバイトのコンテンツ利用に大きな制約を受けてしまう。

そして注目すべきは北米の動きだ。既に北米ではハードディスク容量が80GBに拡張されたPS3が8月に発売予定で、それにともない現行60GB版が100ドル値下げとなっているのだが、それを受けて米アマゾンで一時的にゲーム部門で一位になっているのだ。ただし、今後60GB版の生産は行わず、在庫限りの措置である事も後から判明している。まあ、20GBだけ少ない点を我慢すれば100ドル安く買える、という事で売れ行きは好調らしい。


前途はそれほど暗くない


まだ公式な発表は無いものの、値下げで販売台数が伸びる事が北米で証明され、すでに欧州では初期よりも部品を簡略化し、コストを抑えたPS3が販売されている事を考えると、値下げは時間の問題と言える。それで販売が伸びればさらに量産効果も上がるだろう。コスト減によって、ソフト開発やサードパーティーへのサポートを充実させる余裕も生まれていけば、良循環の第一歩を踏み出すきっかけになるのではないか。
しかも、ファイナルファンタジーシリーズや前述のグランツーリスモメタルギアソリッドなど、消費者が購入を決意するきっかけとなるイベントはまだいくつも残されている。

そして何より、久夛良木社長が引退しているというのも大きいんじゃないかと個人的に思う。確かにPS2以前の成功の立役者ではあるが、PS3では明らかに「迷走」していた。しかしSCEを導いた「偉い人」であるため、批判をしづらいまま迷走を続ける心配は、もう無い。しがらみの薄い面々で、冷静冷徹にシェア獲得のために粛々と、堅実に仕事をしていけば、PS3の前途は決して暗くないと確信している。

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