【写真:稚内市「天勝」 2006年10月14日19時57分撮影】
わたしにとって、旅における「食事」の優先度は低い。「セイコマ」
で済ませることが多いほどである。そんなわたしが、稚内で「食事」
のために立ち寄る店がある。いや、「食事」というよりは、店の人に
会うことが目的である。あたかもそれは、故郷へ帰るかのように。
割烹の「天勝」とラーメンの「ランチョン」。サロベツ原野を巡り
利尻富士に落ちる夕陽を見ては毎回新たな感動に浸り、稚内へ入る。
しかし、2002年の「稚内火災」が、両方の「存在」を消してしまった
のだ。その後、毎年のように店のあった場所を訪れた。しかし、そこ
には「ぽっかり」と空地が広がるばかりであった。
そして、2005年の10月。いつものように稚内へ訪れ「空地」を確認
した後、飲食街を歩く。そして「天勝」の看板を発見した時は、もう
なんとも言えない気持ちであった。「もしかして・・・」と思いなが
ら、のれんをくぐった。間違いなかった。「おばあさん」の変らぬ姿
が、そこにあった。救われた気持ちになった。ただ「ランチョン」の
ほうは、火災の後ご主人が亡くなってしまったため、店が再開される
ことはなかった・・・。
そして、今年もまた「天勝」に里帰りする。
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