3384．自転車の頃

　高校時代のこと。

　東京は練馬の西北部に在住していましたが、そこから中野の高校に
通学していました。最寄りの駅は西武新宿線の上石神井。今からもう
40年近く前のことです。

　今でもなお緑濃い武蔵野の面影を残している東京都練馬区ですが、
当時はさらにビビッドな緑がそこにありました。はじめは大泉学園と
上石神井を結ぶバス路線沿いを“MADISON SQUARE GARDEN ”のスポー
ツバッグを自転車のフロントのわずかなスペースに載せながら、疾走
していました。雨の日には傘が加わるわけでして、今思えばけっこう
危なかったですね。関東バスや西武バスの運転手に、クラクションを
鳴らされてもめげずに走っていました。

　高校２年になるといくぶん余裕ができ、「裏道」を見つけゆったり
走るようになりました。学芸大学付属の中学校裏から富士街道沿いの
日銀グランド、三宝寺池西側を抜けるルートです。このルートですが
三宝寺池西側のエリアが鬱蒼とした木々に囲まれているため、５月の
新緑の頃は特に走っていて楽しかったことを思い出します。その頃の
ことをモチーフにして、曲を作ったこともあります。音楽の授業で、
「美しき５月に」という曲が取り上げられインスパイヤされたのです
が、いざ曲を作ってみると、小坂明子さんの「青春の愛」という曲に
なんとなく似ている曲ができあがっていました。最初は「こんなもん」
ですよね。

　そんな思い出がいっぱい詰まっている東京都練馬区の三宝寺池周辺。
今ではクルマを操るようになってしまいましたが、いつかこのルート
を自転車で駈け抜けたいなと思います。美しき５月に。






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