らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

659.西武ライオンズについて思うこと

2007-08-26 | 23.Baseball
【中島・片岡と石毛・辻】

 プロ・スポーツの世界において、常に勝ち続けることはたいへんな
ことである。まさに偉業だ。特に団体競技の場合には、プレイヤーが
常に集まっては散じていく。人は変わっていくのである。その中で、
その団体は伝統や文化、遺伝子なるものを人から人へ受け継ぎながら
継続していくのである。しかもそれらはファンやサポーター、そして
スポンサーに支えられ成立するものなのである。

 プロ野球・西武ライオンズが今、厳しい状況に追い込まれている。

 1979年に九州・福岡から埼玉・所沢に地にフランチャイズを移し、
球界に新風を吹き込んだ「軍団」は、1980年代から1990年代の前半に
黄金時代を築き、多くのファンを魅了した。

 まさに「常勝」だった西武ライオンズに何が起こっていたのであろ
うか。西武ライオンズの常勝を不本意にも支えてしまったパ・リーグ
他の5球団は、その間着々と地歩を固めていった。地域密着型の徹底
した営業活動、能力の高い指導者の招聘と現場・フロント間の連携強
化、ヴィジョンに基づく選手の補強と育成、ゲームの質の向上・・・。
その結果、まずオリックス(旧:阪急)球団が1995年に神戸に定着し
一時代を築いた。次にソフトバンク球団(旧:南海)がダイエー時代
を経て福岡に定着し、パ・リーグを牽引する存在になった。さらに、
ロッテ球団が川崎から千葉に拠点を移し、熱狂的なファンに支えられ
2005年に覇権を握った。日本ハム球団は東京から札幌の地に居を移し
北海道民の球団としてすっかり定着した。そして、「近鉄球団の消滅」
という衝撃的な出来事の後に生まれた楽天球団は、東北・仙台の地に
今や定着しつつある。日本のプロ野球という環境が変化し絶え間無い
「変革」が各球団に要求されている中での成果である。

 もはや、パ・リーグの中で西武球団の地位は下位になってしまった。
これは球団経営の問題、現場のゲームの質の低下等、複合的な要素が
影響した結果である。球団やファンにフランチャイズ意識が無かった
わけではないと思う。かつては西武池袋線や西武新宿線沿線、或いは
JR中央線沿線の住民を中心に、埼玉県所沢市に立地する「西武球場」
に多く観客が訪れていたからだ。選手たちも熱狂的なファンに対し、
「質の高い」プレイを常に披露していたのである。

 今シーズンの西武ライオンズの戦い方を見るにつけ、四半世紀以上
もの永年の間、ライオンズを観てきた一ファンとしては、非常に残念
である。なぜならば「チーム」としてではなく「個人」で戦っている
ように見えるからである。その姿は、ちょうどAクラスの座を勝ち取
る前の年、1981年のシーズンによく似ている。各選手が「オレが投げ
て勝ちゃぁ、いいんでしょ。ボクが打って勝てば、いいんでしょ」と
ばかりに、好き勝手にプレイする姿である。精神的にも情けないほど
脆い。ここを乗り越えればというピンチを悉く凌げず、その一方で、
このチャンスをモノにし畳み掛ければという場面で攻撃が続かない。
いやらしい選手もいなくなった。大味な野球をするチームに再び戻っ
てしまった。
 
 しかしその反面、しかたがないとも感じるのだ。「時代が流れた」
のだろう。かつては「讀賣に追いつき追い越せ」と叫びながら、熱く
燃えていたチャレンジャーの立場だったのが、黄金期を経験し「西武
に追いつき追い越せ」と熱く燃える他球団の追撃に対し、「受けて」
しまっていたのだから。

 ここのところの数試合、函館や所沢でのファイターズ戦の戦いぶり
を観るにつけ、1981年の9月後楽園で味わった「対ファイターズ4連
戦4連敗」を思い出した。そのシーズン後期、好調なファイターズに
対し、勝ち越せば後期優勝の可能性もある状況だったが、大沢親分率
いるファイターズに完膚なきまでにやられたあの悪夢の4連戦である。
4試合ともすべて現場で観た。しかし、島田誠の足に攪乱されては、
クルーズ・柏原・ソレイタの最強クリンアップに確実に得点される。
頼みの攻撃陣も、工藤・間柴・岡部ら磐石の投手陣にあっさりと捻ら
れてしまったのである。

 09/15 ● 2-11 松沼博
 09/16 ● 2- 5 森
 09/17 ● 0- 5 松沼雅
 09/18 ● 2- 4 東尾

 この4連敗を含め8連敗し、チームは失速したのだった。

 1981年は、「夜明け前」の状況であった。今回は果たして・・・。
大方の見解は、暗黒時代への突入である。しかし、わたしは逆説的に
「夜明け前」の状況だと思っている。暗黒時代は、伊原さんから伊東
さんに監督が交代した2004年から2006年である。「えっ、何言ってん
の。2004年は日本一になったでしょ」。そうである。しかしプレイの
質はガタガタ。投手陣を中心としたディフェンスは、それ以来最悪の
状況が継続している。

 来年以降、どのような形でこのチームが存続していくのか不透明だ。
「今シーズン、Bクラスに転落する」ということなんか、大きな問題
ではない。問題があるとすれば、「黄金時代」を過大評価する傲慢な
姿勢だ。球界改革をいち早く実行した球団の遺伝子が6球団へ均等に
配分された結果、戦力が拮抗してきただけのことである。もはやかつ
てのような「特定球団の連覇」という現象は起こりにくいであろう。
西武球団についての問題は、現場のプレイの質がここ数年向上してい
ないこと、ゲームに感動が少ないこと、ファンを現場(球場)に集め
られないことである。

 厳しい状況であるが絶対に再建してほしいし、再建できると信じて
いる。



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6 Comments

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勝つために (ごんぞう)
2007-08-26 09:59:19
まず、本社のトップ交替からはじまり、裏金問題、囲い込み問題へと発展していった、西武球団のゴタゴタ。しかも、グッドウィルの犯罪行為まで影響してしまって。

ファンにとってはたまらんところでしょう。
これでは、選手のモチベーションもあがらなかった。どうにもならんですな。

裏金問題は、西武だけにとどまらず、巨人もソフトバンクも横浜もやっていたわけで、たぶん球界全体の話ではあったけど、いちばん影響を受けたのが西武。

松坂が大リーグに行ってしまい、主力が歳をとったのも痛かったですな。

しかし、自力はあると思う。西武は依然として怖い球団であることに変わりはないです。

そんなことより、所沢球場は外気を遮断して、エアコンを装備すべし。そのために松坂マネーを使うのがまず一番だと思うのです。
返信する
自然とのふれあい (らば~そうる)
2007-08-26 21:40:58
to:ごんぞうさん

過去にもいろいろありましたが、今回は深いですね。
かつて5球団が大変だった時代の「苦労」を
西武関係者やファンは感じ取らなければなりません。

施設については・・・
所沢で頑張るのであれば(頑張れると思う)
外気を遮断する案にはわたしは反対です。
むしろ屋根をとっぱらい「西武球場」に戻す。
可能であれば内野は土、外野を天然芝にする。
これを実行して欲しい。
もちろんバリアフリー、雨天時退避策は考慮すべし。

確かに
維持費がたいへんなのかもしれません。
雨天で日程編成がたいへんなのかもしれません。
札幌や仙台のように季節によっては気候的に
厳しい状況があるのであれば別ですが
わたしは屋根付き施設や人工芝には反対です。

らば~そうる@出先より
返信する
この件について書くと… (mensurazoirri)
2007-08-26 23:46:30

…おそらくrubber_soul_jp 様の本日の記事なみに長くなってしまいそうなので、その辺はわきまえさせて頂きます(笑)。 本日(8/26)現在、このままダラダラとBクラスで終わってしまうのか、はたまた奮起して結果的に滑り込みAクラスになるのかは不明です。もしBクラスで終われば、今秋の一時期は確かにひとりのファンとしてはブルーな気持ちになるでしょう。しかしご指摘の81年から82年への橋渡し的なシーズンとなるのであればOKです。今思い返してみれば平成16年の日本一はファンとして嬉しかったことには間違いないのですが、あのことが中島・赤田あたりをある意味で安直なプレーヤーにしてしまったのかな…と考えてしまうこともありますね。
返信する
掲示された写真について (mensurazoirri)
2007-08-26 23:52:22
この写真は球団事務所の「ライオンズのあゆみコーナー」にも掲出されているのを小生が観戦した折に発見しました。その時、若い女性ファングループがこのポスターを見て「ナカジ・片岡の方を切り取って、貰いた~い」とはしゃいでいたのを見て笑ってしまいました。

オサーンの独り言「石毛・辻の方を切り取って、貰いた~い!」

返信する
西武球場 (らば~そうる)
2007-08-27 21:45:31
to:mensurazoirriさん

「この件」とは施設・設備の件でしょうか。
長くても構いません。ぜひお聞かせくださいませ。

わたしはかつて
川崎球場の不入りを他人ごとのように笑い
後楽園が3塁側から埋まったことに天狗になって
いました。

今はタダ券をバラまいてもそれだけでは球場に
ファン、ましてやお客さんは足を運びません。
ほ~ら、こんな立派な施設やサービス、そして
すばらしいゲームをやっているんだから
観においでよ・・・
じゃ、だめなんですね。
興行、巡業もひとつの策かもしれません。
返信する
○○トリオ (らば~そうる)
2007-08-27 21:48:44
to:mensurazoirriさん

>オサーンの独り言「石毛・辻の方を切り取って、貰いた~い!」


もっとすごいオサーンは
「大田・山崎・土井」のトリオギボンヌ
かもしれません・・・♪
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