人生、平々凡々-厄も明けて、人生折り返し-

中年を迎え、粋な大人と呼ばれたいと暗中模索の日々を生きているわけでして。

この映画にやられた!

2004-09-18 00:34:22 | 映画
心に残るこの1本!
おかげ様で40前になると、なんだかんだと知りたくもないものを知ったり、聞きたくも無い話を聞いてしまったりして心の感度も若い頃に比べれば間違いなく鈍くなっている訳です。
それはきっと、辛いことや悲しいことでいちいち落ち込んでいたら生きていけ無いから、大人が無条件に身につける防衛本能なんでしょうね。

そんなどうしようも無い大人の私が、見るだけで心の垢が燃える魂の火で炭化してしまう映画、それは・・
「椿三十郎」(黒澤 明監督作品)だっ!!

今更説明するまでも無い、日本映画界の巨匠・黒澤明監督ですが、その黒澤映画の中で私が最高傑作に推す作品がこの「椿三十郎」です。
白黒です。私が生まれる前の作品です。最初にこれを私は正月にNHK教育で観たように記憶しています。
はっきり言って娯楽作品です。黒澤の他の映画に比べれば芸術性には劣りますが、この映画を私の中で一番にしてしまう理由はこの映画の持つ生命力ではないでしょうか。

十数人の若い武士たちが古びた寺のお堂で密談している所からこの映画は始まります。
藩の中で藩の金を横領している重職のものがいるらしい。若い武士たちは藩への忠義に燃えて家老に進言するが、その家老から誰が横領の犯人か解るまでことを荒立てないように諭される。しかし、血気さかんな武士達は今度は大目付に進言したところ、この寺のお堂で詳しく話しを聞いてもらうことになり集まったのだ。
そうした話をしている所にお堂の奥から出てくるのが、三船敏郎が演じる「椿三十郎」だ!!
三十郎は今までの話を聞いて、その大目付こそが横領の犯人だと見破る。しかし、その時には大目付が放った刺客たちが寺の周りを包囲していたのだ!!

と言うオープニングで始まるこの映画。開始からいきなり急展開するストーリーに全く古さを感じさせない。さすが世界のクロサワ!!
若き三船敏郎の鬼気せまる殺陣。仇役の室戸を演じる仲代達也の鋭い眼光。そして豪華な脇役陣、志村喬、加山雄三、田中邦衛、小林桂樹その他まだまだ観ればわかる役者たちがぞろぞろ出てきます。
この映画は侍版ハードボイルドだっていうと怒られそうですが、時が戦国時代ならその剣の腕と策士の頭脳で天下を取るのも夢ではないほどの才能を持ちながら、平和な時代に生まれたがために浪人にならざる得なかった三十郎のハードボイルドって思うんです。
人に対して厳しい言い方しかできないが、若い侍たちが心配で仕方ない三十郎。対して仇役の室戸も三十郎に勝るとも劣らない才能を持ちながら悪に生きることを選んだ男。この二人の男のラストでの居合いの勝負に血が熱くならない奴は男じゃない!

そして最後に独り、城を後にする三十郎が若い侍たちに「俺もあいつも抜き身の刀だ。良く切れる。でも本当に良い刀は鞘に入っているもんだ。お前たちもおとなしく鞘に入ってろよ!」と言って歩き出す後ろ姿に本当の大人の男はこれだっ!!と思っちゃうんです。

とにかく観なさいっ!!
って偉そうに言ってますが、挫けそうな時、何が正しくて何が間違っているかが解らなくなった時に、是非、観て下さい。
これを観た時、君も立派な大人にまた一歩近づけるぞっ!!
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