この本読んで大人になった２

大人になる途中で大きな影響を受けた本。
誰にでも忘れられない本。人によってはそれが、映画や小説やドラマや漫画かも知れません。
でも私が今、２０代になったばかりの人に是非読んで頂きたい本。
それは「自分たちよ！」伊丹　十三著（文春文庫）です。
伊丹十三氏は言わずと知れたヒット映画を連発して元気の無かった邦画界に新風を吹き込んだことで有名ですよね。「お葬式」「タンポポ」「マルサの女」等々、映画監督としてご存知の方が殆どでしょう。
しかし、彼は優れた著作家でもありまして、私はこの本に２１歳の頃に出会ったんです。
その後、何度この本を読み直したことでしょうか？
今ではその本のあちこちに線が引っ張ってあったり、ページの端が折ってあったり。
この本はある時は人の相談に答えたり、ある時は対談を通して、ある時は読書を通して、人間の本質を現実的に解説してくれている本です。決して気持ちが良くなることは書かれていません。しかし作者の伊丹氏自身がその現実に立ち向かい乗り越えようとしている姿勢が全体に貫かれていて、それがこの本から説教臭さを取り除いていると思います。
「父親とは自分で耐えるべき不快に自分で耐える人であり、子供にもそれを教える人です。」
という一文に私は線を引いていました。いつ引いたのかは忘れてしまいました。
こうした線がこの本の中にいっぱい引いてあります。

残念なのは、その伊丹氏が自ら命を絶ってしまわれたことです。
あなたにはまだまだ生きて欲しかった。そしてまだまだ教わりたかった。
大人として、人間として、父親として生きる覚悟をもらった本です。

この本を読んで君も覚悟を決めろ！
「人間は生涯を通じて半分であり続けるのです。」
その覚悟、あなたにありますか？この本を読んでその意味を確認してみて下さい。
必ずあなたのこれまで、そしてこれからに少なからず影響を与えてくれる本ですよ。

この本読んで大人になった。

大人の階段のーぼーるって、たまにカラオケで歌ってしまう私ですが、今日は趣向を変えて私の好きな本をご紹介します。
「燃える男」（Ａ・Ｊ・クィネル作）です。

失った人生を取り戻すために不屈の精神で戦う男、男が憧れる男の話。といっても００７のＪ・ボンドとは全く真逆の男の話なんです。
これだけだと、女性の方は「マッチョな男が拳銃ぶっ放す話ね。」っておっしゃるかもしれませんが、その判断は今少しお待ちを！
主人公のクリィーシィは傭兵部隊でプロ中のプロの兵士として戦功を挙げた人物。しかし、彼が所属する外人部隊がある理由でクーデターを起こしたことで傭兵部隊を去ることに。
それから酒に溺れる日々を過ごす彼が、あるつてを頼りにつくことになった仕事は過去の経験を生かせるボディーガードという仕事。
アル中の身体に鞭を打ち、向かった先はイタリアの裕福な小学生の女の子のもと。
無骨な彼も、明るく聡明な女の子との生活の中で、次第に人間らしい生活を取り戻し、酒をやめ、トレーニングを開始し、更正を始めた矢先ある事件がっ！！

と、ここからは読んでのお楽しみ。
男なら、特に娘を持つ父親なら１００％泣きます。
誰も見てない所か、夜１人で読んで下さい。

愛するもののために不屈の闘志で立ち上がる男の姿に涙する時、
君も立派な大人への第１歩を踏み出すたのだ！

いい物語の常として、主人公は勿論、脇役も素晴らしいんです！
話の続きを書けないのがつらい！
まぁ、だまされたと思って読んでみて下さい。つまらなかった人はごめんなさい。

実はこのクリィーシィを主人公にした話はシリーズ化されています。
私は実は第２作目の「パーフェクト・キル」から先に読んだのです。といいますのも、
その数年前に「燃える男」がどこかの出版社で単行本化されたのですが売れなかったようで、
その後、新潮社から「パーフェクト・キル」が発売されて、その後に「燃える男」もめでたく
新潮社から文庫化されたという訳。
「パーフェクト・キル」も泣いたけど、「燃える男」はもっとおもしろいんだよね。
クリィーシィのシリーズでは、私は第１作目の「燃える男」が一番好きです。
風のうわさでは映画化されたようです。クリィーシィ役がデンゼル・ワシントン。
女の子役をあの有名子役（って誰だよ。お母さんが亡くなったことを理解できない幼い女の子の
映画でその女の子役の人。って映画の題名までわからんか。）
すきな本だけに変な映画になってなきゃいいんだけど。（クリィーシィは確か黒人ではなかった筈。
嫌な予感がする。）
誰かご存知の方、教えて下さいね。

どんなに辛くても、悲しくても、傷ついても愛するもの、信じるもののために立ち上がり前進することを
やめないクリィーシィの姿に、ただただエールを送りながらページを繰るだけという、至福の時間を過ごすこと間違いなしです！
立派な大人になるための副読本として是非！