旅行

旅行

動脈硬化に本当に悪いのは、脂質ではなく糖質の過剰

2016-09-14 16:11:24 | 日記

悪いのは食事の脂質ではない


 糖質制限食は糖質を減らす代わりにたんぱく質と脂質を増やす食事になります。脂質とはいわゆる「あぶら」のことですが、これまでの健康習慣では、どうしても食事の脂質は悪者にされがちでした。

 「あぶらをたくさん食べると、身体のあぶらも増えるんじゃないか」と思われやすいわけです。

 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増え始めた頃、真っ先に原因だと疑われたのが食事の脂質でした。特に、動物性の脂質が悪いと思われてきました。確かに、直感的なイメージではそう思われるのも無理からぬところです。

 しかし、近年になって科学的な研究が進められた結果、食事の脂質を生活習慣病に結びつけるのは誤りだったと証明 されています。

 まず、二〇〇八年に『JAMA』という非常に権威のある医学専門誌に載った論文があります。アメリカで五万人の女性を対象にし、半分を通常の食事、半分を脂肪の少ない食事にして八年間の経過を追った研究です。

 結果、脂肪を少なくした食事と通常の食事で、心血管疾患になった人の数は変わらなかった のです。ほかに大腸がんや乳がんも減りませんでした。コレステロール値も差はありませんでした。

 また、動物性脂肪が悪いとする常識も誤りだと証明 されています。

 二〇一〇年にやはり権威ある医学雑誌に載り、研究の手法も非常に信頼性が高いとされている研究があります。これは二一の論文のデータをメタ解析と いう手法で研究したもので、約三五万人を五年から二三年にわたり追跡した結果、飽和脂肪酸の摂取量と脳心血管疾患の起こった率とには関連がなかったとして います。

 飽和脂肪酸とは動物性脂肪に多く含まれているものなのですが、この研究で動物性の脂質が心筋梗塞などに悪いというイメージは完全に間違いだったと証明 されました。

 さらに、世界で最も権威を認められている『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に二〇〇六年一一月に掲載された論文では、脂質の少ない食事と多い食事とを比べても冠動脈疾患の発生率に変わりがなく、糖質を摂 (と)る量が多いと冠動脈疾患のリスクが中程度増加 したという結果が出ました。

 つまり、脂質を減らしても心筋梗塞は減らず、むしろ糖質を増やすと危険が中程度高まる ということです。

 ほかにも、低脂質食が総コレステロール値に影響がない、総コレステロール値が低いほど死亡率が高い など、これまでの常識を覆す研究結果が次々と出されています。

 最新の医学研究により、「食事のあぶらが身体に悪い」というこれまでの常識が誤りだったことは、もはや明らか になっているのです。



動脈硬化は糖質過剰で悪化する



 むしろ、世界の医学界では動脈硬化の危険を高めるのは脂質よりも糖質の摂 (と)り過ぎ だと考える医師が増えています。

 では、なぜ糖質を摂り過ぎると身体の脂質に異常が起こりやすいのでしょうか。

 その理由はインスリンにあります。

 食事で糖質を摂るとインスリンをその分だけ多く必要とします 。インスリンは血糖値を下げる作用を持つ唯一のホルモンですが、ほかにも様々な作用を持っていて、インスリンが出れば出るほど、体内の代謝が不安定になりやすくなります。

 特に、インスリンは血糖を体脂肪に変える、中性脂肪の分解を妨げるという働きもします。そして血圧や動脈硬化の悪化にもインスリンが関与しています。

 つまり、肥満や動脈硬化を起こしやすくするホルモン でもあるわけで、糖質を多く摂り過ぎると身体の脂質・血管状況が悪くなってしまいます。

 インスリンは血糖値が上がるとそれだけ多く必要になります。そして、食事によって血糖値を上げるのは糖質のみです。脂質やたんぱく質を摂っても血糖値が上がることはありません。

 長年、たんぱく質や脂質を摂っても血糖値が幾分かは上がると誤解されてきたのですが、最近の研究で間違いだったことがはっきりと確かめられていて、現在の欧米では食事の栄養素で血糖値を上げるのは糖質だけだと公式に認められています。

 糖質を摂っただけ必ず血糖値が上がり、それだけ多くのインスリンが必要となり代謝を乱れさせて、脂質状況を悪化させる ことになるのです。

 逆にいえば、食事の糖質が少なければ少ないだけインスリンも少しで足りるので、代謝の乱れも起こらず、動脈硬化につながる脂質状況の悪化を招かずに済む わけです。

 動脈硬化は食事のあぶらではなく糖質の過剰で悪化します。最新の医学研究で証明されているのですから、これまでの間違った思い込みは捨てるべきです。