ROLFING(ロルフィング) ~ 身体とつながるために

公式認定ロルファー田畑浩良が,Rolfing(ロルフィング)プラクティスを中心に紹介します。

Rolfer(ロルファー)という仕事 その3

2005年02月09日 | ロルファー
ロルファーとして認定された後,実際すぐ仕事として軌道に乗るかというと,なかなかむづかしいです。Rolfingという言葉を知っている人は,周りにほとんどいないし,うまくそれを説明できたとしても,それなりの結果ががついていかなければ,10回受けようという気にならないでしょう。クライアントが,ある程度コンスタントにくるようになるまでには,平均3年ともいわれています。アドバンスクラスで一緒になったPhysical therapistでもあるクラスメートは,10年立ち上げにかかったといっていました。その間,奥さんに支えてもらったといっています。どうみてもかなり腕がいい彼でしたが,彼ですらそういうこともあるのかと考えさせられました。
この仕事は,もちろんビジネスの側面もあるけれど,スピリチュアルな側面もすごく強いところがあります。実際の腕とは別に,自分自身と自分のワークに対する価値を自分がどれだけ認めているか?とか,自分が学び吸収する時期にいるとき,などがクライアントの数に影響します。自分が大きく変わる節目となるトレーニングに参加した後,クライアントの層が変わることもあります。自分のワークと料金のバランスを考え,値上げしたときも,クライアント層が興味深く変わります。
内面の葛藤が大きすぎると,ワークへの集中は難しくなるので,その場合は,もっとクライアントと向き合うことが自分に求められているのかもしれません。こうした内面の状態に実際の生活が直接的に影響するので,スリル満点です。
どうやってクライアントを呼ぶか?一番確かな方法は,”work of mouth(口コミ)”といわれています。受けてもらった人の体験が,次につながるわけで,結局は地道にやる以外に道はないようです。

ロルファーを選ぶ その1

2004年11月28日 | ロルファー
ロルフィングを受けることに決めた後は,ロルファー選びです。自分のロルフィング体験を成功させるためにもロルファー選びは大切です。どのセラピーやソマティックプラクティスにおいても共通しますが,受け手とプラクティショナーとの信頼関係,相性,提供したいことと受け取ろうとすることのマッチング等も重要な要因です。
 信頼関係といっても大げさなものではなく,そのセッションの間に,必要なだけ受け手が身体を安心して委ねることができるかどうかです。受け手が圧力などを適切にフィードバックできる環境をロルファーが提供していることが前提ですが,受け手もまた,躊躇せずに必要なフィードバックや情報をロルファーにいうことが,さらに建設的な結果を生みます。特に身体を痛めた経験や病院にいかないまでも不調だった経験は,制限を解放する上での有力な情報となります。
 さて相性ですが,セッションは,人間と人間の間で生じるものですから,当然合う合わないはあります。状況によっては,自分の問題を相手に投影してしまうこともあるでしょうし,ロルファーの目指すものと受け手の期待がずれている場合,受け手の問題を解決するのに必要なスキルをロルファーがまだ身につけていない場合もあるでしょう。ロルファーの経験年数やアドバンストロルファーかどうかとか,性別,料金等より,一番重要なのは,受け手として,自分を尊重してくれて,丁寧にセッションしてくれるかどうか,そして自分がピンときているかどうかではないでしょうか?(ただし丁寧にというのは,時間の長さとは比例しません。)
 とにかく,そのロルファーを少しでも知ることです。デモがあればそれで確かめるのもいい手ですし,サイトの文章から受ける感触,電話或いはメールでの応対も参考になるでしょう。ロルファーのワークに対するとらえ方や世界観が異なると,ロルフィングも全く違う体験となるでしょう。

これまで,評価の高い,或いは名の知れたさまざまなロルファーのワークを受けてきましたが,確かにそれに見合うと感じられるワークもありましたが,外れといわないまでもピンとこない経験もしました。そのワークが駄目だったわけではなく,出会うべきロルファーに出会い,受けるべきワークをその時受けることが大切なのだと思います。

Rolfer(ロルファー)という仕事 - その2

2004年11月23日 | ロルファー
何の保証もないのに,ロルファーがRolfingに惹き付けられ,身を投じるのはなぜでしょう?
そのプロセスには,単に肉体の調子がよくなるだけでなく,受け手であるRolfEEが,それ以外のレベルでの変化も起こしうることにロルフィングの奥深いところがあります。よく人生の分岐点でロルフィングを受ける人は多いのですが,ロルフィングを受けることで,それが,人生の節目になることさえあります。典型的な例は,それまでの職を捨て,ロルファーになろうと決意する人もいます。いままで体験したどの治療法よりもリアルに変化が体感できたという感想は多く,しかもそれが持続することや,こんなに軽く感じるタッチにもかかわらず,変わるということに驚きを感じる人も多いようです。
ロルファーにとって,受け手が様々な制限から解放され,身体とつながりを回復し,今にいる瞬間を取り戻すのを目の当たりにするのは,感動的です。それは,その人の内側の輝きが外側に表現されるときでもあり,美しい瞬間です。
また,それまで依存的に通い続けていたこと,何かの治療法やマッサージ等が必要なくなったとの報告,そして,自分のロルフィングを受けた人が,ロルフィングのトレーニングを受け,ロルファーになったというお知らせもとてもうれしいものです。
もちろん,うまくいく例ばかりではありません。セッションが進んでも痛み自体が軽減されないケースも存在します。そんなときは,とても忍耐が要求されます。どこか見落としている構造はないか?戦略に間違いはないか?シリーズがクローズするまでになにができるかを常に考える必要があります。そんな壁を感じたときこそ,ロルファーがブレークスルーするチャレンジの時です。場合によっては,新たな視点や技術を取り入れるためにワークショップに参加する必要があるし,或いは,もっと注意深くクライアントと向き合う必要があるかもしれません(例えば,他でうまくいったことをそこでも当てはめようとしていないか?などなど)。とにかく,滞りを感じるときには,何かを変える必要があるし,成長の時なのです。常にロルファーは,外部からも内側からも成長を求められ,それを毎回毎回クリアしなければならないのです。

Rolfer(ロルファー)という仕事 - その1

2004年11月22日 | ロルファー
米国コロラド州にあるRolf Instituteで認定を受けたRolfing practitionerは,ロルファーと呼ばれています。約1年半ほどの間に3つのユニットを修了しなければなりませんが,この認定があれば,すぐさま仕事が成り立つかというと,そう甘くはありません。クライアントが安定してオフィスを訪ねるようになるには,およそ平均的には3年くらいはかかるといわれています。すぐ立ち上がるロルファーももちろんいますが,私がアドバンストレーニングであったドイツ人ロルファーは,10年かかったという人もいます。そのドイツ人は,腕がとてもよかったのであまりその話が信じれない程でした。勘違いしないで頂きたいのは,クライアントを呼ぶ集客力とロルファーの力量は必ずしも比例するとは限りません。自己をアピールするために,宣伝はある程度必要ですが,内容が伴っていれば,Word of mouthつまり口コミにより,クライアントは必ずきます。逆に口コミで誰も来ないようなら,ロルファー側に何か問題があり,何かを変える必要があると考えられます。もしくは,何らかのタイミングでそういう時期である場合もあります。ロルファーは,通常一人で,クライアントの窓口から,会計まで済ませる必要があり,そのすべての責任を負います。いくら,ロルフィングをセレブが推奨している情報や,その理論をうまく説明したとしても,最終的には,料金に見合うセッションの満足度が十分でなければ,クライアントは離れていきます。いくら感じよく接してある程度の信頼関係が築けたとしても,結果がついてこなければ,なにもならないという厳しい現実があります。それまで,軌道に乗っていたとしても,明日以降誰も来なくなる可能性がないとはいえない,それでも,ロルファーは,何かの団体に属することもなく,目の前のクライアントと向き合い,地道に毎日のプライベートセッションを丁寧に行っていくしかないのです。そんなリスクを負いながらも,ロルファーはRolfing(ロルフィング)を続けます。