ももんがの戯れ言

自分では普通のつもりのオッサンが感じた事をボチボチ書いていきます。

[安い製品]

2006年12月23日 16時50分33秒 | 技術屋の言い分
 最近、電気製品の事故が目立ってますけど、設計不良って話しが多いですよね。
 浴室乾燥機の話しは、ずいぶん大騒ぎになりましたけど、まだケリが付いていないってのには驚きです。
 その他、最近になってやっと冬らしい気温になってきたせいか、暖房機の事故が取り沙汰されるようになってきました。
 とにもかくにも、そうしたニュースを3連発で・・・。

2006年12月22日19時28分 asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/life/update/1222/011.html
<引用開始>
浴室乾燥機火災、新たに2件 経産省が注意要請

 電気式の浴室換気乾燥暖房機で火災が相次いだ問題で、経済産業省は22日、12月になって火災が新たに2件続いたと発表した。いずれも三菱電機(東京)とINAX(愛知県常滑市)が製造した乾燥機とバスユニットで、同省は両社に対し、利用者にダイレクトメールで注意を呼びかけるなどの対策をとるよう要請した。一連の火災は計27件になった。

 今月3日に愛知県岡崎市であった火災では、浴室の天井に穴があいた。15日には京都府長岡京市で浴室と脱衣所が全半焼した。岡崎市の例では、住宅メーカーを通じて利用者は特定できていたが、危険を知らされていなかったという。

 火災のおそれがある製品は約36万6000台設置されているが、点検は23%しか済んでいない。
<引用終了>


2006年12月22日20時12分 asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/life/update/1222/014.html
<引用開始>
発火の恐れの韓国製暖房機、量販店が自主回収へ

 東海地方などで販売された韓国製ハロゲンヒーター「パラエナジー YH―8000(B)」に発火の恐れがある問題で、取り扱った量販店3社が22日、自主回収を決めた。問題のヒーターは岐阜市の商社が輸入、愛知県を中心に約2万台が販売されたが、商社が経営不振のために回収できず、経済産業省が使用中止を呼びかけていた。

 自主回収する量販店と問い合わせ先は以下の通り。ギガス(0120・775・011)▽バロー(0120・418・628)▽ホームエキスポ(0120・390・004)。
<引用終了>


2006年12月22日23時11分 asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/life/update/1222/016.html
<引用開始>
電気ストーブ発火、年間138件 経産省が注意呼びかけ

 経済産業省は22日、電気ストーブによる発火・発煙事故について、同省所管の独立行政法人・製品評価技術基盤機構が情報収集したところ05年度には138件に上っていた、と発表した。電気ストーブをめぐっては、16社が計39機種で自主回収や部品交換などを進めている。同省ホームページの「製品安全情報」のコーナーに機種一覧が掲載されている。同省は「使っている機種が該当しないか確認してほしい」と呼びかけている。
<引用終了>

 何とも情けない話しが続いてますけど、松下電器製FF暖房機の時とは違って、いきなり人死にが出ないせいなのか、あまり大きなニュースにはなっていない様子です。
 バブルの後、デフレの影響だったのか、ローコスト製品のオンパレードとなったワケですが、コストダウンの影響か、基本的な設計に欠陥があると考えられる事故が多すぎます。
 コストダウンも結構ですが、やり方というものがあるワケで、行き過ぎたコストダウンが事故につながっているのではないかと推測されます。
 設計に携わる者の一人として、気を付けなきゃならないな・・と思いますが、現在日本の各メーカーは人件費削減という名目で、開発人員の削減、団塊の世代を中心とした経験豊富な人間の退職が続いており、世界一と称された緻密な設計が神話と化しつつあるわけです。

 最近は安ければ何でも良いって傾向があって、前述の記事のような韓国製や中国製の製品を多く見かけるようになりましたが、それにつれてトラブルの話しも多く聞くようになりました。
 韓国製や中国製の製品が問題という事では無いのでしょうが、こういうモノの多くは、メーカーの経験不足によるところが多いのだろうと推測されます。
「安物買いの銭失い」なんて言葉がありますが、安全を考慮すれば、あまりに安すぎる製品というのは避けておいた方が無難と言う事なんじゃないでしょうか。

 企業経営者は、目先の利益ばかり追い求めがちですが、企業の基本は人であるという事実をもう一度考え直す時期が来ている事を再認識しないと、自分達の足下すら危うくなる事を意識すべきと思います。

[ロボット技術]

2006年09月27日 13時38分26秒 | 技術屋の言い分
 二足歩行を実現したロボットは結構あるけれど、今までとは違った歩き方が実現されている様子ですね。
 歩き方が人間にどんどん近付いているんですけど、人間と同じ生活環境でロボットを運用する事を考えたら、カシコイ判断なのかも知れません。

 2006年09月27日06時01分 写真を含め、asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/science/news/SEB200609260004.html
<引用開始>
二足歩行ロボ、世界初の公道歩行実験 福岡

 福岡市博多区で26日、商店街を2本足の人型ロボットが歩く公開実験が行われた。ロボットは早稲田大学の高西淳夫教授の研究室とテムザック(本社・北九州市)、シンクフリー(同)が共同開発した。高西教授によると、このタイプのロボットが公道を歩いたのは世界初という。

 このロボットは「WABIAN―2R」で、身長1.47メートル、重量67.5キロ。時速は最大2キロ程度。人間と同様に骨盤を揺らすことで、ひざを伸ばして歩く。

 この日は見物客に囲まれ、キュッキュッとモーター音を響かせながら、博多の伝統的な商店街を闊歩(かっぽ)した。2年間の実験で、点字ブロックや道路の段差でも安定して歩けるように研究する。
<引用終了>

 これ、見物人は面白かったでしょうねぇ。 私も見たかった気はしますが、骨盤(ロボットの骨盤って何?という疑問はあるが・・)を動かしながら足を伸ばして歩行するってのが興味深いですね。
 日本のように狭い土地に狭い住宅を建てざるを得ない国は、ある程度の住空間を確保しようとすれば、必然的に二階建て、三階建てという家屋構造になるわけですが、そうなれば当然階段というモノが存在する事になります。
 この階段ってえのが、ロボットにとって一番の苦手なんですけど、骨盤を動かして歩行する事が可能になれば、階段の上り下りも早々に実現出来そうな気がします。

 なんでロボットが家に入る事を考えるのかと言うと、おそらく工業用を除けば、ロボットの普及は介護や介助が中心になるんじゃないのかという予測がされているからです。
 それが本当だとすれば、日本の家屋でも自由に行動出来る自律歩行型ロボットの実現が、この業界にとっての命題となりうるので、そのために各社が開発競争にしのぎを削っているという状況なワケです。
 かくいう私も、このような業界に多少は関係する仕事をしていますので、技術的な情報には興味があるんです。

 そう言えば、最近韓国で介助用ロボットが開発され、市場投入されるってニュースがあって、そりゃスゴイってんで調べたんですけど、開発されたロボットってのが、電動スクーターに多少の情報表示板が付いたようなモノで、電動車椅子が丸みを帯びたという感じのモノでした。
 各国それぞれの事情でロボットのイメージは違うだろうと納得はするものの、技術屋の端くれとしては、どうあってもコレをロボットと呼ぶのは許せないって気がした事を思い出しました。

[危ないETC]

2006年09月13日 19時56分08秒 | 技術屋の言い分
 ETCと言ったって「エトセトラ」の事ではなく、高速道路でお馴染みになった「料金自動収受システム」の事なんだけど、これが実に危ないと感じる事が多いのだよ。

 ご存じの方は多いと思うのだけれど、高速道路の料金所というのは、道路の車線数に比較すれば遙かに多い。
 一般に道路の左右に広がる形で沢山の料金徴収所が並んでいて、これを過ぎると2~3車線の道に左右から車が集まってくる形になっている。(丁度ろうとの注ぎ口から出口みたいなイメージ)
 ETCは今まで人間が料金徴収していた所に設置され、それが一般用レーンと混在しているのだけれど、これが問題なのだよ。

 ETCというのは、車の流れを出来る限り止めないという事を主眼に設計されているのだけれど、反対に従来の一般用料金徴収所というのは、車を止める事を前提に設計されたものなので、両者を一直線に横に並べれば、料金所を通過した直後の車のスピードに、圧倒的な差がある事になるワケだね。
 それなのに、料金所通過直後から急に道幅が狭まって行き、2~3車線に車が集中する事になるため、圧倒的なスピードの違いがある車列を合流させる事になって、事故の確率が非常に高くなるのだよ。
 実際の話、ETCレーン隣の普通レーンを出て、本線に入ろうとすると、後方から猛スピードのETC車が突然飛び出して来るように感じられるので、ヒヤリとする事が多いのだよ。
 しかも、バックミラーで見ていると、ETC車が料金所の陰に隠れる形になってしまい、後方確認が大変やりにくいというオマケまで付いてくる。
 私ゃこのシステムをこのまま放置しておれば、そのうち事故になるなと確信しているのだよ。

 じゃあ、どうすればイイんだ?という事だけど、ETCレーンを出た車はそのまま本線の中央寄り車線を走行させるようにして、一般車は料金所を出てからスピードが乗るまではETC車と合流させないような仕切りを設ければ良いと思うのだよ。
 それでなれけば、ETC用レーンは普通車の料金所と並べて設置せずに、もっと前方に料金所を設けて、合流時の速度差を軽減すれば良いのだね。

 ETCの話題が出ると、必ずと言っていいほど普及率がどうとか不正利用がどうのという話に終始しがちなのだけれど、利用者に文句をタレるより前に、もう少し利用者の安全に配慮したシステム構築を優先してもらいたいもんだと強く思うのだよ。

[面白カーナビ]

2006年09月13日 19時52分42秒 | 技術屋の言い分
 最近道路地図を買わなくなった。
 理由は、外出する時にカーナビを利用するようになったからなんだよね。

 ところでこのカーナビは、目的地が半径500m程度に近づくと、音声案内を終了してしまう機種が殆どで、入り組んだ狭い路地などを進まなければならない時には、ちょっと不便を感じてしまう。
 道とナビ画面を同時に見るというのは難しいので、ナビの画面と道を交互に見て目的地を探す事になるのだけれど、自転車や歩行者の飛び出しなどがあって、ヒヤリとする事さえあるのだよ。
 目的地が大きな施設などの場合は、早々に音声案内が終了しても困ることは少ないけれど、目的地が個人のお宅などの場合は本当に不便を感じることが少なくないのだよ。
 せめて目的地から半径10m程度までは音声案内が終了しないように出来ないもんだろうかねぇ。

 そんなこんなでナビの事を色々考えていたら、こんなナビがあったら面白いだろうなというのを幾つか思いついたので、冗談半分で紹介してみようと思う。

1.キレるナビ

 ある程度知っている道を走る時、ナビが示す道路を走行せずに、別の道を走った経験のある方は多いと思うんだけど、何度もこれを繰り返すと、次第に怒り出すナビがあったら面白いと思う。
 ナビを無視して走り続けたり、最初に道を間違えてから10分以内にまた間違えると、ナビの音声案内が次のように変わってくるというアイデア。

【1回目】「道を間違えましたね。ルートを再探索します。」
【2回目】「また道を間違えましたね。仕方ない、別ルートを探します。」
【3回目】「そこは右(左)ですってば。」
【4回目】「そこは右(左)やと言うたやろ。」(ここから何故か関西弁に変わる。)
【5回目】「道がちごうとるでぇ。ドコ行くつもりや?。」
【6回目】「方向が違うわ!ボケッ!!」
【7回目】「おんどれは何してけつかるねん。しまいにゃどついたるでっ!」
【8回目】「おどれはケンカ売っとんのかいっ!!」
【9回目】「ええ度胸やないか、表へ出ろやっ!!」(続いてガラスの割れる音がする。)
【10回目以降】:無音で無視する。

 このナビのバリエーションとして、「いじけモード」というのも面白いかも。

2.方言ナビ

 それぞれのお国言葉で案内するナビ。
 どことなく変な言い回しやイントネーションをわざと残すと、ツッコミが出来て楽しいカモ。

3.クイズナビ

 殆ど普通のナビと変わらないが、時々「さて、次はどちらに曲がると思いますか?」と質問したり、雑学のクイズを出して、不正解だと罰ゲームと称して音声案内が10分程度中断してしまう。

4.観光ナビ

 観光モードをONにすると、周辺の観光施設の歴史や基礎知識を色々と案内してくれる。
 入場料、見所、名物料理、土産物といった事まで案内してくれる「はとバス」真っ青なナビ。
 地元の観光案内所などで、パンフレット代わりにディスクを配布するってのもイイかも知れない。

 ざっとこんなトコロだけど、ナビの音声合成LSIのメモリーをRAMにすれば、ディスクの入れ替えだけで色々なバリエーションが作れるはずなんだけど、どこか勇気のあるナビメーカーさんが作ってくれないモンだろうかねぇ。

[仕事しろよ]

2006年08月27日 12時31分33秒 | 技術屋の言い分
 役人がいかに仕事をしていないかがハッキリするニュースがまた一つ・・・。
 言い訳してる暇があったら、本業をしっかりこなせよ!

 2006年08月27日08時34分 asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/life/update/0827/004.html
<引用開始>
浴室乾燥機の火災24件、消費者に周知されず

 三菱電機(東京)などが製造した電気式の浴室換気乾燥暖房機で01年以降、火災が24件相次ぎ、発生直後からメーカー側が経済産業省に事故を繰り返し連絡していたにもかかわらず、同省が今年6月まで消費者への呼びかけなどの有効な対策をとっていなかったことが分かった。三菱電機なども取り付け工事の際の問題という認識で、消費者に向けた注意喚起は行わなかったという。この間、全国各地で火災が続き、山形県では民家が全焼する被害も出た。

 同省は、パロマ工業(名古屋市)の湯沸かし器でもガス会社から死亡事故の情報を得ながら、20年以上対策がとれなかった。パロマ事故を受け、同省は「製品安全対策に係る総点検委員会」を設置。浴室暖房機の事故報告の経緯も調査し、月内にまとめる「点検結果」に盛り込む方針だ。

 同省によると、24件の火災のうち三菱電機が製造した暖房機が23件を占めた。電源配線を屋内配線と接続する時にはんだ付けや絶縁処理をしなかったため、接触不良で熱をもち、発火したのが原因とみられている。

 最初の火災は01年1月。神奈川県相模原市で、三菱製の暖房機を組み込んだヤマハリビングテックのユニットバスで起きた。

 三菱電機によると、消防からの調査依頼で事故を把握。3月に経産省製品安全課に連絡し、事故を正式に報告すべきか相談したが、「製品の欠陥が原因ではないので、報告は不要」などとする回答があったという。

 その後も、三菱製の暖房機を使ったINAXのユニットバスなどで火災が相次いだ。

 三菱、INAX、ヤマハ社は04年7月、同省で電気工事を担当する電力安全課や浴室を担当する日用品室などに文書を提出し、「電気工事の接続ミス、不具合があった」などと報告。不良工事が多いとみられたことから、施工の注意書きを工事業者に配るなどの対策を決め、製品の仕様も変更したという。

 しかし、この時点で同省は一般利用者に危険性を知らせず、メーカーの対策の効果もチェックしなかった。その後も、対策をとった以前に施工した機器で火災が続き、05年5月には山形県長井市で民家が全焼した。

 今年3月、日用品室が業界団体の日本浴室ユニット工業会に事故発生状況の調査を要請し、被害の広がりを把握。同省は6月30日、事故を公表して消費者に注意を呼びかけ、メーカーは相談窓口を設けた。この間にも5月に1件、6月に2件の火災が起きた。

 同省幹部は「製品の欠陥と工事の不良は担当部署が分かれ、そのすき間に落ちてしまった形だ。事故情報がそれぞれの担当に入ったが、共有しきれなかった」と対応に問題があったことを認めている。

 三菱電機は「製品ではなく施工の問題で、バスユニットメーカーや住宅設備会社など複数の業者もかかわり、行政の指導がないと消費者への連絡は難しかった。結果として対応が十分だったかは考えないといけない」としている。
<引用終了>

 今回は浴室暖房乾燥機だが、技術屋として言わせてもらうと、これは施工の問題ばかりとは言い難いと思う。
 こういう製品は、驚くほど電力消費が大きいために配線自体の発熱も大きいし、ラフな工事をすれば、電線の接続点の発熱は驚くほど大きくなる。
 そんな基礎的な話しは、少しでも電気を知っている人なら誰でも知っている事であるし、こういう製品は施工業者(一応その道の専門家)が取り扱うものとの油断が三菱電機側にあった可能性は高い。
 最初の事故が発生した時点で、三菱電機は経産省に対処方法を打診しており、対応自体に問題はなかったものと考えられるけれど、それを受けた経産省側の対応の甘さとずさんさには呆れるばかりだ。

 電気火災の怖さは、主たる電気配線が天井裏や壁などの直接見えない場所にあるため、損傷の程度が大きくならないとなかなか発見できない事で、気付いた時には手が付けられないほど被害が拡大している可能性がある。

 三菱電機側の問題と考えられるのは、施工業者が全員プロの集団では無いという認識が不足していた事と、強制的に確実な工事をせざるを得ない構造設計がされていなかった事の2点だろうと思う。
 この点は三菱電機側でも問題視されたらしく、設計変更を実施しているという事実は評価できるのだが、最初からそういう設計をしなかった点は「行き過ぎたコストダウンの弊害」と非難されても仕方ない事だと思う。

 そして一番問題視すべきなのは、経産省の無責任な対応だ。
 数ある役所の全てに言える事だが、「担当部署が違う」という常套句は、「役人が上の立場」なのだという理解しがたい「官僚意識の発露」と言えるし、自分がそんな面倒な仕事をしたくないという「給料泥棒の論理」が優先した発言に他ならないのだ。
 民間会社が全て良いなんて馬鹿な事は言わないが、少なくとも民間会社であれば、担当部署の違いなんてのは関係なしに、各部署に対して状況の連絡が行われ、それぞれの部署が必要に応じた連携を取るような対策が実行される。
 そして最低限、部署間の連携を取るべく、各部署の上に位置する者が調整を実施する事になる。
 こんな事は組織として働く以上、当たり前の事で、スーパーで働くパートのおばちゃんだって、他の部署のクレームを担当部署に伝える位の事はする。

 この、パートのおばちゃんでさえやっている事を、少なくとも公務員試験に合格した程度の頭脳の持ち主が実施できないというのはどういう事だ?
 「PSE法」の例もある事だし、実情を知らない机上の空論に終始して浪費する時間があるのなら、実態把握のために、メモ帳持って近所を歩く位の事はしろ!

[それなりの理由]

2006年08月18日 08時28分04秒 | 技術屋の言い分
 以前から電源の評判がよろしくないDELL社のパソコンですが、今度は内蔵電池の発火かよ・・・。
 つい最近も、DELLのパソコン用ACアダプタが異常加熱するとかで、交換依頼があったのだけれど、どうやらDELLには電源設計のプロが居ないという事らしい・・・。

 2006年8月18日3時4分 YOMIURI ONLINEより引用
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060818i501.htm?from=main5
<引用開始>
ソニー製充電池問題、パソコン各社に聞き取り調査

 米デル社製ノート型パソコンに搭載されたソニー製リチウムイオン電池が発火した問題で、家電業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)は17日、国内パソコンメーカー各社に対し、トラブルの有無などの聞き取り調査を始めたことを明らかにした。

 15日の問題発覚後の調査では、「現時点ではデル製パソコン以外のトラブルは確認していない」という。ソニーは「発火はデル製パソコンの充電回路と充電池に混入した金属粒子が特定の場所に入り込んだ場合にのみ発生する」と、自社製パソコンでは問題は発生していないと説明する。

 パソコン各社も独自に安全確認を行っている。ソニー製充電池を自社製のパソコンに使用している富士通や東芝は「充電回路の設計がデルとは異なる」などとして、いずれも「発火の可能性はない」とし、NEC、日立製作所、松下電器産業は、パソコンにソニー製リチウムイオン電池は搭載していない。
<引用終了>

 コストパフォーマンスが良いと言われているDELL社だが、コストパフォーマンスとはすなわち性能対価格比という事で、信頼性対価格比では無いという事に注意する必要がある。
 ドコの世界でも共通した事だが、プロ用機材というのは、飛び抜けた性能でも無いくせに、一般市販品の数倍から数十倍の価格になる。
 もちろん、プロ用とアマチュア用では格段の性能差がある機材も存在するが、それは普通に作っても一般人が簡単に手に入れられる価格にならないため、同等性能の一般市販品が存在しないというだけの事である。
 じゃあ、プロ用と一般品の差は何か?と言われると、それは信頼性と再現性の違いに他ならない。
 プロの世界では、「さあ!本番」という時に動作しないなどという事は許されず、そういう不測の事態を招かないためにも、普段からメンテナンスは充分に実施している。
 そして、飛び抜けた性能は発揮しなくても、メンテナンスによって、常に初期性能に復帰させる事が可能である。
 プロは、この安定度と信頼性に金を払うのであり、性能差だけを追い求めるなら、一般市販品の方が優れている場合さえある。

 で、問題になったDELL社のパソコンなのだが、業界筋では必ずしも良い評判を聞かない。
 曰く、コストダウンのためのカスタムパーツが多く、汎用性に乏しいとか、他社と同等のパーツを使っていながら、他社より遅いとか・・・。
 DELL社のコストダウンに対する取り組みは評価できるが、性能と信頼性に於いては他社より見劣りがするというのも事実ではあるのだ。

 この記事によれば、充電回路の問題であるらしい事は判るし、どうやら専門の設計者が居ないのではないかという推測が成り立つ。
 リチウムイオン電池のようなデリケートな部品を扱う場合、その仕様範囲を確実に守る設計を行わないと充分な性能が発揮できないどころか、爆発に至る可能性も考えられるのが常識だが、良く分からない設計者が、一通り資料に目を通しただけで、片手間に設計したのではないだろうか?
 そして、設計済み回路の設計検証も充分に実施しなかった可能性は大だろうと推測できる。
 設計検証に掛ける時間も、最終的に製品コストに反映される事になるから、この時間を短縮する事は、製品コストダウンに大きな影響があるのだ。
 結局、安い製品には安くなる理由があるという事で、こういうのを日本では「安かろう悪かろう」と言う。
 そして、こういう製品を不幸にして買ってしまった人の事を、「安物買いの銭失い」と揶揄する。

[危ない危機管理]

2006年08月11日 14時01分44秒 | 技術屋の言い分
 以前、羽田空港の管制システムに、米軍横須賀基地からの電波が干渉して騒ぎになった事があったが、意外な弱点を晒す危機管理体制は問題かも知れない。

 2006年08月11日06時08分 asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/national/update/0810/TKY200608100487.html
<引用開始>
遭難信号279回、異常なし 「犯人」はコードレス電話

 船舶や航空機からの遭難信号を人工衛星を経由して海上保安庁に伝えるシステム上で、6月18日から7月20日の約1カ月間に千葉県銚子市付近から279回も、遭難を知らせる電波が発信された。その度に巡視艇や航空機が出動するものの、いつも「空振り」。それもそのはず、第3管区海上保安本部(横浜市)が調べたところ、銚子市内の民家に設置されているコードレス電話からの電波が「犯人」の可能性が高いことが判明した。

 この電話機は15年前の製品で大量生産されていたが、本来使わない周波数の電波を出していた。ほかの電話機で起こるかどうかを含め、メーカーで原因を調べている。

 3管によると、遭難信号に使われる243メガヘルツの電波を6月18日以降、次第に頻繁に受信するようになった。海保はそのたびに計二十数回にわたり、巡視船艇のべ18隻、航空機19機を出動させて付近を捜索したが、何も起きていなかった。

 おかしいと思った3管が、航空機も使って発信源を探査した結果、銚子市内のある地区の半径500メートル以内で弱い電波を受信。さらに総務省関東総合通信局に頼んで詳しく調べ、特定の民家のコードレス電話がこの周波数の電波を出していたことが判明した。1週間電源を切ったところ、この周波数での遭難信号は1件もなかった。
<引用終了>

 現在、様々な管理システムに、各種の人工衛星が利用されている。
 人工衛星利用のメリットは、1つのシステムで、ほぼ日本全土をカバー出来るようになる事で、数多くの地上局を用意するよりトータルコストでは安く付くという事だと思う。
 衛星利用の利点は充分理解出来るし、微弱な電波を捕らえて危機を知らせるシステムは、確かに異常事態を知らせる有効な手段となり得るものの、逆に言えば、非常に小型の送信機さえあれば、システムに関わる者を大混乱に陥れる事が可能になるという事でもある。

 ニュースでは、コードレス電話がシステムを混乱させる原因だったとの事だが、本来コードレス電話が扱う周波数は全く別であるし、電波の強さなど、たかだか10mW(ミリワット)程度なので、高調波(元の周波数の数倍や数分の一倍に余分な電波が発生する現象)が出たとしても相当微少な電波だったはずだ。
 電波を扱う機器には、必ず高調波を発生させないためのフィルターが内蔵されているが、今回のケースはこのフィルターに何等かの異常が発生したのではないかと推測が付く。

 こんな程度の微少な電波で混乱をきたすような危機管理システムは、自らが別の意味の危機を作り出しているという皮肉な結果を生んでいるという事なのだが、実はこれに近い話しは意外に多く、危険回避のための情報生成部分(センサー等)というのは、驚くほど単純な仕組みだったりするのだ。
 普段我々が安全だと思って利用しているものの多くは、結構危ういシステムの上に成り立っているものだという意識は持っていた方が良い。

[メンテナンス]

2006年08月06日 13時24分10秒 | 技術屋の言い分
 大ニュースという内容では無いのだけれど、技術屋として何となく気になる点があったので、少し書いてみようと思う・・・。

 2006年08月05日23時32分 asahi.comより引用
 http://www.asahi.com/national/update/0805/OSK200608050097.html
<引用開始>
栗焼き機が爆発、3人死傷 中国道・西宮名塩SA

 5日午後5時25分ごろ、兵庫県西宮市塩瀬町名塩、中国自動車道下り線の西宮名塩サービスエリアで、大阪府吹田市春日4丁目、食品販売業齋藤圭介さん(39)らが機械で焼き栗をつくっていたところ、突然機械が爆発。齋藤さんが顔や腕を強く打って失血死し、アルバイトの20歳と18歳の男性が軽いけがを負った。

 西宮署の調べによると、齋藤さんらはレストランや売店が入る建物の裏で栗を焼いており、付近にサービスエリアの利用者はいなかったという。機械はプロパンガスを燃料に蒸気を起こし、圧力をかけて栗を焼く仕組み。プロパンのボンベは破裂していないという。
<引用終了>

 事故に遭われた方は災難だったし、ご遺族にはお悔やみを申し上げる。(-人-)

 正直言って、圧力掛けて栗を焼く機械があるなんてのは知らなかった。
 圧力蒸気で調理するのなら、普通は「圧力釜」と呼ぶはずだし、「蒸す」ではなく「焼く」という調理方法であるような説明なので、特殊な調理器具なのだろう。

 圧力掛けて焼くとすれば、蒸気圧力で調理部分の気圧を上げているのだろうと思うが、だとすると釜の部分に可動部があるはずだ。
 何でもそうだが、可動部分が多いほど故障は増えるので、安全に機能させるにはそれなりのメンテナンスが必須条件になる。

 圧力容器を利用した機器というのは、特に事故の発生が多いモノなので普通の機器よりメンテナンスを頻繁に実施する必要があるのだが、きちんとメンテナンスを実施していたのかが気になる。
 適切なメンテナンスがあって初めて、機械は正常に機能するものだ。

 市販の圧力釜であれば、素人相手の安全基準に沿って検定が実施されるのだけど、ニュースのような特殊な調理器具が個別に安全検定を受けていたかどうかは怪しい。

 それに、調理担当者が、きちんと決められた調理方法で使用していたのかどうかも問題になると思う。
 何でもそうだけど、決められた能力を超えて利用すれば何処かに無理が来て、無理を繰り返せば、いずれは破損に至る。
 この時期、高速道路のSAと言えば、何処も稼ぎ時だろうし、少しでも売り上げを伸ばそうと無理をした可能性はないのだろうか?

 技術屋は、客先に公表するスペックに対し、ある程度の安全係数(マージン)を見込んで設計をするが、それとて、ここまでの無理はしないだろう・・と予測した範囲に過ぎない。
 対して顧客というのは、技術屋が予測した範囲を遙かに超えて(どうすりゃ、こんな使い方が出来るんだョ!というような・・)使って下さる事が多々あるのも事実だ。
 そろそろ日本の技術屋も、顧客もプロだと認識してのマージンから、素人相手のマージンへ切り替えていくべき時期が来たのかも知れない。

[オカルト話]

2006年06月22日 16時03分30秒 | 技術屋の言い分

 昔から技術屋という連中は、曖昧(正体不明)なモノは使わないか、実体は不明でも利用技術が確立しているモノを選んで製品化してきた。
 逆に言えば、マスプロ品としてその物理現象に再現性・確実性(信頼性)を求めたものが、技術開発であり、製品開発の歴史そのものなのである。
 正体が分からず、利用方法も分からず、再現方法も不明というモノはオカルトや錬金術扱いされ、技術屋としては生理的に好まないが、そのオカルトの類が製品の中に紛れ込んでしまう場合がある。
 技術者なら一度か二度は経験した事があると思うが、「理由は分からないが、こうやるとうまく動く」という経験である。 年長のソフト技術者には、「おまじない」とか「コビト(小人)さん」という名称の方がしっくり来るか?
 今や時代の最先端たるソフト業界だからこそ存在する「オカルト」があるというのも、反面教師で面白い・・。w っって、笑っていられるのも、他人の仕事だからであって、これが自分のプロジェクトで起きるとなると話は違う。「何かに憑かれている」だとか、「お祓いしてもらおう」などと、しまいには冗談とも取れない発言まで飛び交う事態となる。(爆笑) これが技術的に先端であるほどオカルト現象を呼び込みやすい傾向にあるようだ。
 やはり、先端技術とオカルトは紙一重なのかも知れない。

[技術屋の常識]

2006年06月22日 16時01分14秒 | 技術屋の言い分

 私の職業は、俗に言うサラリーマンである。 職種は技術職で、現在は某社で産業用サーボモータの制御装置設計をやらかしているハードウェア屋である。 同業の方には「釈迦に説法」だが、モータの「速度・回転数」や「出力する力(トルク)」を制御するのが産業用サーボモータで、普通のモータと区別している。
 何でそんなものが必要なのかと言えば、例えば、ロボットの腕が思った位置にきちんと止まらなかったらどうか?と考えてみればお分かりだろう。
 ・・・と、ここまで読み進んで下さった方で、「モータ」という表現に違和感を覚えた方もいらっしゃるのではないかと思う。
 「モータ」じゃなくて「モーター」だろ! ホントに技術屋というのはまともに文字も書けないのか!困ったモンだ・・と言われる前に、技術屋からの言い訳も聞いて欲しい。 こういう文字表現は、技術屋が昔から意識してワザとやっている「常識」なのだ。 理由は、文字に記した場合、長音(ー)なのか、マイナス(-)なのか、ハイフン(-)なのか区別が付きにくいからである。
 同様に、技術屋は図面に記載する区別用アルファベットに、アイ(I)、オー(O)は出来る限り使わない。 理由はご推察の通り、いち(1),ゼロ(0)と混同しやすいからである。 もう少し徹底している人は、小文字のオー(o)、エル(l)も使わない。
 そうは言いながら多少の例外はあって、エラー(ERROR)は長音を付けて記載する。 ERRORという単語が一般的になった事と併せて、「エラ」と記載したのでは魚の話しか?とかえって誤解されてしまうからである。w
 とある技術がまだ一般的で無く、アカデミックな面を持っている間は、ここで書いたような「技術屋の常識」が適用されているが、一般化した途端にそうでは無くなってくる。(たまには普通人が技術屋側に寄ってくれる場合もあるが・・・)
 
 そういえばNTTの番号案内でも、「0」を「レイ」と読まずに「ゼロ」と読む人が居た。 電々公社だった時代には考えられない事だが、それだけ民間会社として認知されて来た事の現れかも知れない。w
 最近はPCの普及により、技術屋らしくないソフトウェア・エンジニアが台頭してきたせいか、こういった「常識」は形骸化の傾向にある。
 一つにはPCで仕様書を書くのが常識化し、誰が書いても曖昧に見える文字が減ったという事情も裏にはある。
 スピード時代であるのは分かるが、たまには時間をかけて手書きをやってみてはどうか? っていうか、手書きの時代じゃ考えられないような誤字、意味不明な漢字の羅列を時々見かけるのだが、自分の書いた文章をせめて一度ぐらいは読み返してみてはどうか?
 誤字程度ならカワイイもので、中にはカナを一文字ずつ漢字に置き換えた文章を平気で出してくる輩も居て、「お前は族かっ? 書き直し夜露死苦っ!」とツッコミを入れたくなる事もある。(何と読むのか・・・と頭の体操になって楽しいという一面はあるが・・・。)
 しまいには、「名前でもなけりゃ普通こんな難しい漢字は書かねェだろっ!」とか、「そりゃ、意味は同じだけど、普通使う漢字はコッチだろうが!」という事もあって、明らかに「PCに漢字を教えてもらったモード」全開のヤツも居る。w
 やはり人に読んでもらう文章は、普通に読める文字を使って欲しいモンである。