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リコの游サロン

文化、芸術、手芸など人生を豊かにする情報発信ブログを始めました。より良いブログに育てるためにコメントなどお寄せください。

歌を託す

2021-06-10 | 奇貨譚
 ブログ開設3周年企画
⑯歌を託す
コロナ禍で会場での歌会は昨年の8月から休みでzoom歌会に成っています。

★★2020年6月★★
リコは短歌をしてますが、コロナパンデミックで歌会が2月から休みに成っています。この機会に今までに詠んだ短歌を見直して、人生を見事に生ききられた河野裕子さんに思いを馳せました。
                
独自の感性と全身全霊で歌を詠われた稀有な歌人の河野裕子さんは平成22年8月12日に64歳で亡くなられました。
 京都滋賀の歌枕の地をご夫妻で巡られて、平成20年7月から平成22年7月までの2年間に50回京都新聞にうた紀行を連載されました。しかし、紀行の新聞連載が始まって直ぐに裕子さんに乳がんの再発・転移が告げられました。
再発後の過酷な治療と向き合いながら『京都うた紀行』永田和宏・河野裕子著の出版準備中に裕子さんは亡くなられました。



来年もかならず会はん花棟(はなあふち)岸辺にけぶるこのうす紫に   裕子
こ れからはかなしく思ひ出すだらうあんなも若かつた夜と月と水   
和宏
 
永田さんだからこそありのままの裕子さんと人生を分かち合えたと思います。20代の新婚の頃に、2歳と4歳の子供を寝かしつけて、2人で中秋の名月を見に広沢池へ行った若き日。今、60代に成り永久に輝く月を見上げ、妻はがんの再発と戦っている。いくばくの命が許されるのか。その思いの深さが夜の闇と重なります。

『歌に私は泣くだらう』(河野裕子・闘病の十年)永田和宏・著に次の歌が有ります。 
○わが知らぬさびしさの日々を生きゆかむ君を思へどなぐさめがたし   裕子
○のちの日々をながく生きてほしさびしさがさびしさを消しくるるまで  
 
そして、死の前日に永田さん自身が口述筆記で書き止められた歌、
○手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が  

この3首は言葉にならない哀しみを誘います。残されるご主人を想い詠われていて、重篤な病状の中でこんなにも思いを込めて居られる事に驚きと感動を覚えます。裕子さんは最後の最後まで歌を遺され、その歌をご家族に託されました。
この本は旅立つ人と見送る人の苦悩と錯乱をありのままに正直に書いて有り、歌があったからこそ支え合えた10年の闘病の日々だったと思います。
これら2冊の本から歌を詠む事の凄まじさとかなしみを私は心に深く刻みました。河野夫妻の覚悟を定められた生き様を歌に詠んでみました。

○歌枕訪ねて京に時刻み想ひ刻みしか河野夫妻は   涼風
○裏をみせ表をみせてありのまま思ひを尽くし息を納めぬ
○歌人はティッシュの箱に紙切れに薬袋にさへ歌を遺せり
○闘病に歌人一家の向きあ合ひし十年の日日をわれは羨しむ 
○覚悟するいとまもなくて一年の闘病の後に姉は逝きたり
○還暦も古稀も祝はず写し絵に姉五十六の笑顔が遺る

私の姉は1年の闘病の後に56歳で亡くなりましたので、本人も家族も心をどこかに落ち着けるいとまもなく旅立ってしまいました。
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祈りの国・日本①

2021-06-10 | 奇貨譚
の見えないコロナパンデミックで私たち人類は「不思議な時間」を生きています。まるで戦後の昭和20年代の様に世の中から色々なものが消えました。 元に戻るものと戻らないものが有ります。
50年~100年、時代が遡ったタイムワープのようです。
日本は全国に神社仏閣が沢山あるので毎日、神官、僧侶、人々が神様や佛様にお祈りを捧げて下さっていると思います。 日本列島が祈りに包まれているイメージが浮びます。


2016年5月15日に仙台の秋保・慈眼寺の塩沼亮潤大阿闍梨をお尋ねし、護摩祈祷に参加させていただいた事を思い出しました。 

前年にNHKの「スイッチインタビュー」を観て、凄い方が日本いらっしゃるので、是非お尋ねしたいと思っていましたら、那須塩原市の友人が1週間の東北巡りを計画してくれて、塩沼大阿闍梨を秋保にお尋ねする事が出来ました。(仙台、中尊寺、雲厳寺、那須高原などを訪問。)

塩沼大阿闍梨は奈良・大峯山の千日回峰行を1999年に満行されました。これは1300年間で2人目の快挙です。

白装束に身を正して、護摩堂にお入りになった大阿闍梨の凛とした雰囲気に息を飲みました。 きっと、大阿闍梨さまも日日私達の無事をお祈りして下さっていると思います。

護摩祈祷    涼風
回峰を千三百年に二人目の満行阿闍梨に逢ひたさつのる

慈眼寺の塩沼阿闍梨の護摩祈祷に参列せんと秋保を訪ぬ

護摩堂に息をひそめて見つめたり白装束の阿闍梨の所作を

ほら貝や太鼓に鉦の音高らかに堂内に満つ火入れの儀式

炉に燃ゆる護摩木の煙濃くうすく炎したがへ左右に流る

左手を天に差し上げふり鳴らす金剛鈴の身にしみ渡る

護摩壇に火柱立てり半時も蔵王大権現の御身照らして

寺庭に塩沼阿闍梨の笑みませりそのたたずまひの穏やかにして






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思いをゆだねる

2021-06-10 | 奇貨譚


短歌を詠む時にどうしてもリコは自分の思いを入れすぎることが在ります。
最近、読む人に私の思いを委ねることを気づかせてくれた経験を書きます。

玉と拾はむ
特攻機に乗りゆき散りし子の踏みけむ鹿屋の石を玉と拾はむ  涼風

老夫婦が九州の鹿屋(かのや)特攻基地を訪問して滑走路で石を拾い
奥様が大切そうにハンカチに包まれました。
息子が踏んで飛び立った石かもしれないとご両親は思われた。
この記事を私は新聞で読んで何とかこの事を歌にしたいと推敲を重ねて
誰かの為に詠んだ始めての歌でした。
良き歌を詠みたいとの思いは十分に在りますが実力が追い付かずいつも自分の思いの先走る歌が多くなりました。
そんな中、万葉集の3400
「信濃なる千曲の川のさざれ石も君し踏みてば玉と拾はむ」の歌を知り、まさに老夫婦の心情が詠まれた歌でした。
だれかの為に頑張り詠草する経験をしたことで独りよがりでなく、
人に判る歌、読者に想いを委ねるゆとりのある歌を詠もうとそんな事に気づかされるきっかけと成った一首です。


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⑮パスポート紛失

2021-06-10 | 奇貨譚

ブログ開設3周年企画

⑮パスポート紛失

★★2020年7月★★

見出し写真は46年前のツインタワーが映っています。
まさか、2001年9月11日にテロで崩落するとは誰しも想像しませんでした。

46年前のツインタワーです。自由の女神へ行く船の中からの写真です。

リコの最初の海外旅行は46年前の1974年に米国に短期語学留学に行った時です。その時、たまたま私の誕生日でホストファミリーからお祝いにいただいたアメリカ大統領の記念硬貨です。

ケネディ大統領硬貨(50セント)の裏と表で1971年の刻印があります。


ケネディ大統領とアイゼンハワー大統領(1ドル)の硬貨


アイゼンハワー大統領硬貨の裏です。

リコはこの留学期間の時にニューヨークでパスポートを失くしました。渡米前のオリエンテーションでくれぐれもパスポートは無くさない様にと注意を受けたのに、滞在1か月ごろに失くしてしまいました。


N.Y市警察に紛失届けを出しに行った時、待合室で長い間待たされていて、目の前を襲われたと血を流し被害に遭った人々が、盗難に遭った人々が、逮捕されてくる人々がひっきりなしに通り過ぎました。

ニューヨークのホテルでは拳銃のパンパンと言う音が夜中に何度も聞こえて驚愕しました。

事件などめったに起きない平和な田舎育ちの私にはこんな光景は物凄いショックで私もこの地で襲われて死ぬかもしれないと真剣に考えました。

人はいつ死ぬか判らないから「凛として生きて行こう」とニューヨーク市警の待合室で決心しました。

それには人生の師が必要と思い、帰国してから3年かけて紀野一義先生に出会い、40年に渡る師弟の縁を頂きました。


1974年はケネディ大統領のお墓だけでした。


今はジャクリーン・ケネディ夫人の墓も隣に造られています。



コメント (6)
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