ある税理士のつぶやき(旧:とある明石の弁護士、つれづれ日記)

弁護士(りんどう法律事務所)を廃業し、現在、姫路市で税理士をやっています。折に触れ、生活情報等をつぶやきたいと思います。

消費税アップでサブリース不当勧誘激化の心配(一括借上げ、アパート建築、マンション購入)

2012-08-14 22:03:03 | 社会・経済

 消費税が平成26年4月1日に8%に上がることが一応決まりましたが、不動産のような高価な買い物は、その前の駆け込み需要が予想されます。

 そして、アパート建築もマンション購入も高額なため、「消費税が上がる前に、相続対策で是非…。」等と勧誘されてサブリース契約も増えることが予想されます。

 もちろん、サブリース契約自体がすべて不当だとは言いませんが、現状は、リスクの高い商品でありながら、勧誘の態様、契約の形態に何ら規制がありません。したがって一般法によって対処するしかない状態です。

 同じくリスクの高い金融商品が、「不招請勧誘の禁止」(金融商品取引法38条4号)をはじめとする勧誘の態様に関して規制を受けるのと違い(同法38条各号)、行き過ぎた営業活動によって、思いもよらないリスクを負ってしまう方が増えるのではないかが心配です。

 しかも、アパート建築をする、賃貸業を営むためにマンションを購入すると決めて取引をはじめた段階で、消費者契約法にいう「消費者」(同法2条1項)で無くなると一般に考えられていますので、情報量や交渉力に格段の差があるにもかからず、消費者取引の一般法である同法の保護も受けることができなくなる可能性が高いのです。

 特に請負契約の場合、いったん契約を交わし、工事着工段階になって、将来リスクに気づいて契約を撤回しようとすると、業者から違約金等として高額の金員を請求されることが通常です。

 また、いったん建物を建てた場合、その後になってサブリース契約の内容を知って、話しが違うとなっても、実際上建築行為を取消すことはできません。その建物を受け入れるしかないのです。

 したがって、「30年一括借上げ」、「管理はすべてお任せ」、「10年間賃料保証」等の甘言に惑わされず、ご自分でサブリース契約に関する知識を付け、当該企業に関する情報も十分に収集なさって、契約を締結するか否かを判断なさって下さい。サブリースは、昔のように、業者が運用すれば賃貸業は一応成り立って行くという時代でなくなったと思います。

 サブリースがリスクが高いと思うのは、繰返しになりますが、

  • 上記述べたように高額の出資(負債を負うもの)であること
  • ご自分の土地・建物等価値の高い自己資産を他人の運用に任せるものであること
  • 情報量、交渉力は圧倒的に業者が有利であること
  • しかし、今のところ何ら規制はないこと
  • むしろ業者の方が賃借人として保護される傾向にあること
  • よって、請負・賃貸借契約を締結する段階で業者は、説明義務を負うわけで無く、法定書面の交付も要求されず(宅建物取引業法35条、37条)、契約内容が不透明になりやすいこと

 等からです。

  ご自分でネットから情報収集できる方はいろいろな意見を参考にできるのでいいのですが、田舎にご両親がおられる、親戚がいるというような方は、安易に契約しないよう注意することを忠告された方がよいと思います。地方の高齢者を狙ってくる営業は、まず怪しいと思った方がよいと思います。

  また、契約書をもらったら、その場で直ぐに署名押印してしまわず、契約書を持って、無料の法律相談や消費者センターに行きみてもらった方がよいですし、消費者センターではその企業についての情報も尋ねる等した方がよいと思います。

  電話での相談もできますが、お年寄りにはやはり使いにくいかなと思われます。

  http://www.kokusen.go.jp/map/index.html


レオパレス訴訟-当方とレオパレスの主張その2

2012-08-14 04:21:19 | 社会・経済

前回の続きです。

 その1で申しましたように、レオパレスは、自社が赤字であることを理由に、なんでもかんでも正当化しようとしています。

 しかし、サブリース業者は完全な賃借人ではありません。

 最高裁も、サブリースの賃貸借契約の側面は認めていますが、業者の提案責任も認めています。
 だから「上記の賃料保証特約の存在や保証賃料額が決定された事情をも考慮すべきである」と言っているのです。
 そして、差戻し審の高裁判決は上記の点を考慮して、「相場家賃」までの減額を認めていません。

 また、最高裁の事案は、すべて個別事案です。しかも、バブル期の事案で、賃料自体が適当か、確かに疑問がある事案でした。
 ところが、レオパレスは、前述した週間金融財政事情8月13日号によれば、10年超は原則解約、10年未満も目標設定して家賃減額と言ってるのですから、上記事案とまったく違うと思います。

 そもそも、サブリースというのは、「空き室の有無に関わらず一定の家賃を保証」することを要素としているはずです。
 特に建築提携サブリース(売買型のサブリースもほぼ同じですが。)は、自らアパート建築を提案し、請負で利益を得ているのですから、家賃保証の責任は大きいはずです。
 一方、オーナーは言われるとおりに土地と資金を提供し、サブリース業者に賃貸業を営む資源を十分に与えています。サブリースの場合、それでオーナーの債務は完全に履行されています(むしろ、多くのオーナーは、一定の減額要求にも応じているのが現状でしょう。)。
 とすれば、後は業者側の責任でしょう。原則として、提案した通りの家賃を払うべき義務が業者にあるはずです。
 それをせずして、サブリース業者を名乗って営業すること自体言語道断です。

 レオパレスのように大量解約、大量家賃見直しを行わなければならないこと自体、同社のビジネスモデルの不当さ・危うさ、場当たり的営業を露呈しています。
 しかも、レオパレスの勧誘がかなり強引なことは、国民生活センターの苦情事例で確認済です。このことは、オーナー側からアパート建築を積極的に希望したものでないことを示します。
 とすれば、レオパレスは、自ら招いた経営の失敗を、何ら責任のないオーナーに転嫁しているだけです。

 このような事実を知れば、なお最高裁が家賃減額を正当とするか、私は疑問があります。

 とりあえず、レオパレス批判は、今回ここまでに留めておきます。

 何回か申しましたが、オーナーの方々は、できれば連携していただければと思います。
 解除事案と家賃減額事案で連携が難しければ、別々でも構わないと思います。
 また、現実的には、地域でまとまるのがやりやすいとも思います。
 レオパレスは、オーナーに団結されるのは嫌でしょうし、オーナーも連携した方が情報を得やすいと思います。

 ところで、私をはじめ、レオパレス被害対策弁護団で、レオパレスの営業の不当さを訴訟で主張するために、資料を収集したいと思っております。
 このブログを見て下さっている方の中で、もしよければ、勧誘時等に、レオパレスが30年なり、25年なりの家賃保証をしている広告しているようなチラシ、パンフレット等ありましたら、ご提供いただきたいのです。匿名で結構です。
 送料は、こちらで負担いたしますので、ご送付いただければ有り難いです(匿名の方は、送料負担は難しいですが。)。

 最後に、レオパレスは、労働環境も過酷だと聞きます。特に、現状では、地上げ屋もかわらないような仕事もあるので、良心ある社員の方だと精神的にもきついと思います。
 ネットを見る限り、入居者にも評判はよくない。もちろん、いい感想をネットに上げる人より、苦情を上げる人の方が多いのでそうなるのかも知れません。
 ただ、私自身も、レオパレスに住んだことがありますが、少なくとも当時の建物に関して言えば、隣の電気ポットの湯が沸く音が聞こえましたので、壁が薄いというのは事実ですね。
 そして、オーナーのことも全く考えていない。
 もっぱら自己保身と銀行の意向に従うことだけに、齷齪し、賃貸契約を解除させた社員、家賃を大幅減額させた社員を称賛しているサブリース会社に未来はあるのでしょうか。


レオパレス訴訟-当方とレオパレスの主張その1

2012-08-12 23:05:52 | インポート

 レオパレスとの訴訟は、既に6回の期日がありました。

 一番最初の期日は、平成23年11月24日で、その時はレオパレス側に代理人(弁護士)がついておらず、レオパレス欠席で、反論書(答弁書)だけ、擬制陳述(出席していないくても、反論書を期日に主張したことにする、という意味です。)となっことは以前報告しました

 第2回目が平成24年1月19日。この時にはレオパレスにも代理人がつき、本格的な反論をしてきました。ただし、第2回目以降は、弁論準備手続という手続きに付されて、電話会議で行われているので、相手方が姫路の裁判所まで来るわけではありません。また、口頭弁論と違い、弁論準備手続は非公開ですので、一般の方は傍聴できません。
 第3回が2月28日、第4回が4月17日、第5回が6月13日、第6回が7月18日です。
 裁判は、だいたいこのように一ヶ月に1回程度の間隔で期日が入ります。途中、裁判官の交代があり、単独(一人の裁判官)から合議(複数の裁判官)に変わりました。

1.契約責任
  レオパレスが30年借上げると約束して、アパートを建築し賃貸したものだから、レオパレスは期間最後まで借上げする責任がある(期間の定めのある賃貸借契約)。レオパレスから一方的に解約することはできない、というものです。
  また、後に述べる弁護団が結成されてからは、サブリース契約の性質に遡って、本契約は請負と賃貸は一体の契約であり、レオパレスの勧めで、アパート建築のために多額の借入れをしたことも、解除できない根拠にあげています。これは、解除事由の制限につながります。
  また、サブリース契約ならば、空き室の有無に関わらず、賃料を支払わなければならず、逆ざや物件(赤字物件)であることは、解除を正当化する理由にはなりません。

2.権利濫用
  仮に解除条項が有効であったとしても、今回の解除は権利濫用にあたる、というものです。
  オーナーからすれば、レオパレスの突然の解除は、騙されたようなもので、権利濫用は当然というお気持ちでしょうが、一般に権利濫用が裁判で認められることは難しく、相手方の非道さ、こちらの不利益を十分に主張し、これを十分な証拠によって立証する必要があります。

一方、レオパレス側の主張の骨子は以下のとおりです。

1.解約権は留保されている。
  契約書に、「両当事者から解約できる」旨の条項があるので、本件賃貸借契約は、解約権を留保している(いつでも解約できることになっている)。
  → 平成32年までの約定については、単に2年毎に更新となっている「2年」を延長したまでで、それ以上の意味は無い。解除条項を排除する効力はない。

2.契約に瑕疵はない
  契約時に、いつでも解約できることは、契約書の読み合わせをしており、オーナーに説明している
  30年借上げを保証するようなことは言っていない。契約書とおりである。
  → これは、契約責任を否定するとともに信義則違反でない(権利濫用でない)ことも言っています。

3.逆ざやで物件で、赤字をレオパレスが補填しながら借続けることは極めて不合理である。
  レオパレス自体が赤字であるのに、赤字物件のために家賃を払い続けることは不合理である。

 私は、オーナー側なので、レオパレスの主張が許されないと考えるのはもちろんですが、一般に考えても許されないと思うのです。その理由は、

レオパレスの主張1について
 オーナーに、アパート建築を勧誘する時、「30年一括借上げですが、いつでも解除することはできますので、将来はわかりません。」というような説明をすれば、今までアパート経営をしたことがない、むしろ年金生活者や農家の方等で不動産業とは無縁の人が、「リスクは承知した。でも建築お願いします。」言うはずがないでしょう。
 一般人の経験則から、虚偽の主張であることは明らかです。
 また、単に2年更新が延長されるだけで、解除が排除されないのなら、わざわざ共済会にも加入しません。「2年」が「100年」になろうと「1万年」になろうと、解除される危険があるならオーナーとしては同じです(むしろ「100年」と言ってくれれば、嘘だと思えたはずです。)。
 あまりに、一般人の認識から外れます。

レオパレスの主張2について
 上記と同じです。

レオパレスの主張3について
 何を言わんかです。
 このような主張をするなら、サブリース業を営んでいると言わないでいただきたい。
 即刻一部上場企業の看板を下ろすべきです。
 「レオパレス21は、30年先を見据えた調査ノウハウによって建築候補地の事業性を厳しく見極めた上で、オーナー様に最適な土地活用とアパート経営をご提供しています。」
 

http://www.leopalace21.jp/system/tochi.html

 ではないのでですか。
 アパートが新しく、募集しやすい間なら、素人のオーナでも、比較的簡単に収益を上げることができます。
 賃貸の専門業者たるレオパレスが力を発揮するのは、物件が古くなって競争力が無くなってきてからではないのですか。それゆえ、30年一括借上げを謳えるのではないのですか。  物件が新しく、誰でも賃貸が容易な間だけ借りて自分利益を上げ、古くなり競争が難しくなったら見切りを付けてオーナーに返すなら、サブリースを営業する資格などありません。
 オーナーは、そのために、多額の借入れまでして、高い物件を建て、請負でレオパレスに利益を与え、さらにその後の賃貸でも賃借料との利ざやの利益をレオパレスに与えてきているのです。
その他にも、オーナーはレオパレスに言われ、様々な負担をしています。
(そもそも、今解除されているオーナー達が、レオパレスの物件を建ててくれたからこそ、レオパレスが著名になり、一部上場を果たすこともできたのです。レオパレスは自分の力だけで上場できたと思っているのでしょうか。)
 さらに、レオパレスの悪質なところは、競合も考えず、近隣にどんどん物件を建てたたために、空き室が増えたのであって、赤字は自己責任です。リーマン・ショックがすべての原因ではありません。
 しかも、レオパレスは、空き室状況を調整できる立場にあるので、古い物件を解除してその住人を他のレオパレスに移転させています(これは前にも述べましたように、私自身が住人の方に確認したものです。)。
 あくまでも、住人の意思と言っていますが、「残ると家具家電は使えなくなる。インターネットも使えなくなる。近くにもっと新しい物件で、同様の条件で賃貸できる物件がある。」等と説明されれば、住人が移転してしまうことは簡単に想像できます。
 やりたい放題の末、自分の利益だけのために、オーナーを切捨てるのは、サブリースを勧誘し、事業を予測・提案した責任者として許されません。

その2に続く。


レオパレスの終了プロジェクトが明らかになりました

2012-08-12 14:04:12 | 社会・経済

長らく更新できずにすみません。

レオパレスの決算が、曲がりなりにも黒字になり、解除攻勢が少し落ち着いたかと思ったのですが、先ほど解除を臭わす減額請求を受けている方のコメントがありましたので、まだまだ予断を許さない状況のようです。

もちろん、裁判は係属中です。その報告はまたの機会にしたいと思います。

さて、標記にありますように、レオパレスが社をあげて、10年超の物件を切捨てようとしている「悪行」を週間金融財政事情が明らかにしてくれました(「特集 異変 アパート経営 『レオパレス問題』で浮き彫りになる将来リスク )。レオパレスの幹部から現場責任者に対して、10年超の物件については解約を前提とした家賃交渉を行うこと、オーナーから解約の話しが出ないような交渉は(家賃減額の)提示額が低い(ぬるい)という檄を飛ばす指示等が下ったそうです。以下のURLに雑誌の紹介があります。

http://store.kinzai.jp/magazine/AZ/index.html

週間金融財政事情というのは、「きんざい」という出版社が出しているもので、同社は法律・経済関連の書籍を多数出版しており、専門家の方もよく利用しています。兄弟誌に「金融法務事情」があり、その裁判例解説は、判例データベースでも引用されています。
したがって、信用のおける情報です。ただ、一般の書店になかなか置いていないので、もし購入されるなら、取寄せが必要になると思います。

また、不動産取引問題全般について、相談、ADRを受け付けておられる日本不動産仲裁機構(日本住宅性能検査協会のADRセンター)の論説もサブリースを考える上で参考になります。
ADRとは「裁判外紛争解決手続」と呼ばれるもので、一般には、裁判所が関与しない形で、専門家により、調停や仲裁が行われ、迅速な紛争解決を目指すものです。

http://jha-adr.org/

以上のような情報も含めて、他にもブログ等でレオパレスやサブリースに関して大変参考になるものがありますので、これからサブリース契約をお考えの方、既にレオパレスと解除・家賃について交渉中の方は、できるだけ情報を集めるようにされて下さい。

くれぐれも「一括借上げでお任せ・安心のアパート経営」、「相続対策」等といわれて安易に信じないようにして下さい。また、業者のいいなりに減額や解除に応じるのもどうかと思います。

サブリースは金融商品と同じです。
運営する会社、経済状況次第で業者が言うような利益が得られないどころか、場合によっては大切な資産を失うことになります。

疑問点は徹底的に質問し、業者に説明させ、保証させ、後で責任を取ることができるようにしておいて下さい。それでも、業者が倒産すれば終わりです。危険だと思ったら手を出さないことです。また、土地を持っておられる年老いたご両親がいらっしゃれば、安易に引っかからないようにご用心下さい。

一方、現在契約されている方は、減額に応じるにしろ、解除に応じるにしろ、できるだけ納得して応じるようにされてください。業者は平気で嘘をつきます。大変とは思いますが、真実を見極められてから、家賃減額に協力する、あるいは見切りを付けて撤退する、等を判断されることが必要だと思います。