ある税理士のつぶやき(旧:とある明石の弁護士、つれづれ日記)

弁護士(りんどう法律事務所)を廃業し、現在、姫路市で税理士をやっています。折に触れ、生活情報等をつぶやきたいと思います。

レオパレス訴訟-当方とレオパレスの主張その2

2012-08-14 04:21:19 | 社会・経済

前回の続きです。

 その1で申しましたように、レオパレスは、自社が赤字であることを理由に、なんでもかんでも正当化しようとしています。

 しかし、サブリース業者は完全な賃借人ではありません。

 最高裁も、サブリースの賃貸借契約の側面は認めていますが、業者の提案責任も認めています。
 だから「上記の賃料保証特約の存在や保証賃料額が決定された事情をも考慮すべきである」と言っているのです。
 そして、差戻し審の高裁判決は上記の点を考慮して、「相場家賃」までの減額を認めていません。

 また、最高裁の事案は、すべて個別事案です。しかも、バブル期の事案で、賃料自体が適当か、確かに疑問がある事案でした。
 ところが、レオパレスは、前述した週間金融財政事情8月13日号によれば、10年超は原則解約、10年未満も目標設定して家賃減額と言ってるのですから、上記事案とまったく違うと思います。

 そもそも、サブリースというのは、「空き室の有無に関わらず一定の家賃を保証」することを要素としているはずです。
 特に建築提携サブリース(売買型のサブリースもほぼ同じですが。)は、自らアパート建築を提案し、請負で利益を得ているのですから、家賃保証の責任は大きいはずです。
 一方、オーナーは言われるとおりに土地と資金を提供し、サブリース業者に賃貸業を営む資源を十分に与えています。サブリースの場合、それでオーナーの債務は完全に履行されています(むしろ、多くのオーナーは、一定の減額要求にも応じているのが現状でしょう。)。
 とすれば、後は業者側の責任でしょう。原則として、提案した通りの家賃を払うべき義務が業者にあるはずです。
 それをせずして、サブリース業者を名乗って営業すること自体言語道断です。

 レオパレスのように大量解約、大量家賃見直しを行わなければならないこと自体、同社のビジネスモデルの不当さ・危うさ、場当たり的営業を露呈しています。
 しかも、レオパレスの勧誘がかなり強引なことは、国民生活センターの苦情事例で確認済です。このことは、オーナー側からアパート建築を積極的に希望したものでないことを示します。
 とすれば、レオパレスは、自ら招いた経営の失敗を、何ら責任のないオーナーに転嫁しているだけです。

 このような事実を知れば、なお最高裁が家賃減額を正当とするか、私は疑問があります。

 とりあえず、レオパレス批判は、今回ここまでに留めておきます。

 何回か申しましたが、オーナーの方々は、できれば連携していただければと思います。
 解除事案と家賃減額事案で連携が難しければ、別々でも構わないと思います。
 また、現実的には、地域でまとまるのがやりやすいとも思います。
 レオパレスは、オーナーに団結されるのは嫌でしょうし、オーナーも連携した方が情報を得やすいと思います。

 ところで、私をはじめ、レオパレス被害対策弁護団で、レオパレスの営業の不当さを訴訟で主張するために、資料を収集したいと思っております。
 このブログを見て下さっている方の中で、もしよければ、勧誘時等に、レオパレスが30年なり、25年なりの家賃保証をしている広告しているようなチラシ、パンフレット等ありましたら、ご提供いただきたいのです。匿名で結構です。
 送料は、こちらで負担いたしますので、ご送付いただければ有り難いです(匿名の方は、送料負担は難しいですが。)。

 最後に、レオパレスは、労働環境も過酷だと聞きます。特に、現状では、地上げ屋もかわらないような仕事もあるので、良心ある社員の方だと精神的にもきついと思います。
 ネットを見る限り、入居者にも評判はよくない。もちろん、いい感想をネットに上げる人より、苦情を上げる人の方が多いのでそうなるのかも知れません。
 ただ、私自身も、レオパレスに住んだことがありますが、少なくとも当時の建物に関して言えば、隣の電気ポットの湯が沸く音が聞こえましたので、壁が薄いというのは事実ですね。
 そして、オーナーのことも全く考えていない。
 もっぱら自己保身と銀行の意向に従うことだけに、齷齪し、賃貸契約を解除させた社員、家賃を大幅減額させた社員を称賛しているサブリース会社に未来はあるのでしょうか。


レオパレスの終了プロジェクトが明らかになりました

2012-08-12 14:04:12 | 社会・経済

長らく更新できずにすみません。

レオパレスの決算が、曲がりなりにも黒字になり、解除攻勢が少し落ち着いたかと思ったのですが、先ほど解除を臭わす減額請求を受けている方のコメントがありましたので、まだまだ予断を許さない状況のようです。

もちろん、裁判は係属中です。その報告はまたの機会にしたいと思います。

さて、標記にありますように、レオパレスが社をあげて、10年超の物件を切捨てようとしている「悪行」を週間金融財政事情が明らかにしてくれました(「特集 異変 アパート経営 『レオパレス問題』で浮き彫りになる将来リスク )。レオパレスの幹部から現場責任者に対して、10年超の物件については解約を前提とした家賃交渉を行うこと、オーナーから解約の話しが出ないような交渉は(家賃減額の)提示額が低い(ぬるい)という檄を飛ばす指示等が下ったそうです。以下のURLに雑誌の紹介があります。

http://store.kinzai.jp/magazine/AZ/index.html

週間金融財政事情というのは、「きんざい」という出版社が出しているもので、同社は法律・経済関連の書籍を多数出版しており、専門家の方もよく利用しています。兄弟誌に「金融法務事情」があり、その裁判例解説は、判例データベースでも引用されています。
したがって、信用のおける情報です。ただ、一般の書店になかなか置いていないので、もし購入されるなら、取寄せが必要になると思います。

また、不動産取引問題全般について、相談、ADRを受け付けておられる日本不動産仲裁機構(日本住宅性能検査協会のADRセンター)の論説もサブリースを考える上で参考になります。
ADRとは「裁判外紛争解決手続」と呼ばれるもので、一般には、裁判所が関与しない形で、専門家により、調停や仲裁が行われ、迅速な紛争解決を目指すものです。

http://jha-adr.org/

以上のような情報も含めて、他にもブログ等でレオパレスやサブリースに関して大変参考になるものがありますので、これからサブリース契約をお考えの方、既にレオパレスと解除・家賃について交渉中の方は、できるだけ情報を集めるようにされて下さい。

くれぐれも「一括借上げでお任せ・安心のアパート経営」、「相続対策」等といわれて安易に信じないようにして下さい。また、業者のいいなりに減額や解除に応じるのもどうかと思います。

サブリースは金融商品と同じです。
運営する会社、経済状況次第で業者が言うような利益が得られないどころか、場合によっては大切な資産を失うことになります。

疑問点は徹底的に質問し、業者に説明させ、保証させ、後で責任を取ることができるようにしておいて下さい。それでも、業者が倒産すれば終わりです。危険だと思ったら手を出さないことです。また、土地を持っておられる年老いたご両親がいらっしゃれば、安易に引っかからないようにご用心下さい。

一方、現在契約されている方は、減額に応じるにしろ、解除に応じるにしろ、できるだけ納得して応じるようにされてください。業者は平気で嘘をつきます。大変とは思いますが、真実を見極められてから、家賃減額に協力する、あるいは見切りを付けて撤退する、等を判断されることが必要だと思います。


レオパレス訴訟-訴訟提起から第1回口頭弁論まで

2012-05-03 20:39:36 | 社会・経済

 今回は、レオパレス訴訟の訴訟提起から第1回口頭論弁論までの経緯を話したいと思います。

 今回の訴訟は、「地位確認」という訴訟になります。「地位確認」とは、労働訴訟等でよくあるのですが、会社から解雇された方が、不当解雇であるとして、まだ雇用契約が存続しており、社員の「地位」があることを裁判所に認めてもらうために提起する訴訟です。

 今回の訴訟では、上記と同様にレオパレスの解除が不当だとして、賃貸借契約は存続している、だから「賃貸人たる地位」を確認するとして訴訟提起しました。ただ、訴訟が進行するにつれ、単に賃貸借契約の問題ではないので、このように限定した確認訴訟を提起することが良かったのか、とも思っています。

平成23年10月25日、神戸地方裁判所姫路支部に訴訟提起しました。

すると、11月20日、レオパレスの本社担当者という人物から連絡があり、「今事実確認をしている。訴訟提起の条件は飲むので、訴訟を取下げてくれないか。」というようなことを言われました。

しかし、書面で明確に、平成32年3月26日まで借上げすると約束していても、平然と解除を言ってくる会社です。訴訟外で和解したのでは、またいずれ収支悪化を理由に、「解除する」といってくるに決まっています。担当者なんてころころ変るし、「前の担当者が個人的に言ったこと」と言われるのは目に見えているため、丁重にお断りしました。

11月24日、第1回口頭弁論。レオパレス側は欠席。この時は、まだレオレスに代理人弁護士は付いていませんでした。

次回は、こちらの主張の内容を書きたいと思います。


レオパレス訴訟-サブリーストラブル事例

2012-04-22 09:05:44 | 社会・経済

 前回レオパレスとの訴訟で、レオパレスがどのような主張をしているか紹介したいとと申しましたが、まずどのような事例か紹介したいと思います。

 物件は、平成7年にレオパレスが、一括借り上げを前提として建築した木造アパートです。

 アパートの建築時の説明は、建築したアパートは30年一括借り上げをするというものでした。

 しかし、築16年目の昨年、レオパレスから一方的に解除されたものです。

 レオパレスから平成22年12月に家賃減額の要請があったのでこれに応じた後、1年もたたない平成23年8月にレオパレスの社員が解除を言いに来たものです。この時は、家賃減額の話は一切出ず、解除しかないという話でした。

 当初の30年一括借り上げは口約束でしたが、「レオパレス共済会」に加入した際、平成32年3月まで借り上げをするという「約定書」を締結しています。

 そこで、オーナー側は「解除はできないはず。」として、合意解除に応じなかったところ、2か月後の10月に一括借り上げが終了するとの内容証明がオーナーのもとに届き、10月末までに住居者は全退去となり、11月から家賃は振り込まれなくなりました。

 オーナー側は、3000万円以上のローンが残っています。

 上記が事案の概要です。

 なお、オーナー側は、レオパレスが一方的に解除したとしても現在の住居者は引き継擬ぐと希望し、解除を言ってきた社員もその席で、「その意向は了解した」と言ったものですが、やはり全員退去をさせたものです。

 その際の住居人への説明が、「オーナーに解除されたので、建物を貸すことができなくなった。それで、全員10月までに退去して欲しい。」との嘘の説明をしています。これは、私が直接住人の方に確認しました。

 次回から、訴訟の様子を話したいと思います。


サブリース(アパート等の一括借り上げ)の危険性

2012-04-16 03:33:26 | 社会・経済

 サブリース、特に建築提携サブリース(この中にはハウスメーカー自らが建築を請負い、それを一括借り上げする形態を含みます)、販売提携サブリース(販売メーカーが販売後、自ら一括借り上げする形態を含みます。)は、オーナーと言われる建築注文者、マンション等の買主が、多額の借金をしている場合が多く、業者から途中で予想以上の、場合によっては約定以上の賃料の減額を言われたり、さらには賃貸借契約を解除されて、まったく賃料が入らなくなる事態が生じていることはこれま述べました。

 私は、現在レオパレス21と一括借り上げ期間中に解除されたことについて訴訟をしていますが、裁判も回を重ねてきたので、レオパレスがどのような主張しているか、またおいおい紹介したいと思います。

 それを参考にして、これからサブリースをお考えの方は、慎重に、法的な対処を万全にして契約なさって下さい。

 もちろん、サブリース業者がすべて悪質なのではなく、リスクもちゃんと説明して、しっかりとした契約を締結する業者もあると思いますので、よく業者を見極めてください。

 まだ、法的規制が全くないサブリース契約では、それが重要となります。

 土地活用、相続対策等と言われて、安易に契約を締結することだけは避けてください。「自分はそんなことはない。」と思っていても、業者が何回も訪れ、同じ話をされていると、確実なように思えてくるので要注意です。