第8章 雑 則
(手続の補正)
第68条の40 商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
手続補正書を提出する場合には、意見書にて拒絶理由が解消した旨を主張すべきである。審査に係属中とは、拒絶査定又は登録査定の謄本送達日までをいう。
2 商標登録出願をした者は、前項の規定にかかわらず、第40条第1項又は第41条の2第1項の規定による登録料の納付と同時に、商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正をすることができる。
(指定商品又は指定役務が2以上の商標権についての特則)
第69条 指定商品又は指定役務が2以上の商標登録又は商標権についての第13条の2第4項(第68条第1項において準用する場合を含む。)、第20条第4項、第33条第1項、第35条において準用する特許法第97条第1項若しくは第98条第1項第1号、第43条の3第3項、第46条第2項、第46条の2、第54条、第56条第1項において若しくは第61条において準用する同法第174条第2項においてそれぞれ準用する同法第132条第1項、第59条、第60条、第71条第1項第1号又は第75条第2項第4号の規定の適用については、指定商品又は指定役務ごとに商標登録がされ、又は商標権があるものとみなす。
(登録商標に類似する商標等についての特則)
第70条 第25条、第29条、第30条第2項、第31条第2項、第31条の2第1項、第34条第1項、第38条第3項、第50条、第52条の2第1項、第59条第1号、第64条、第73条又は第74条における「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする。
色違い商標については、色彩が異なるが登録商標と類似する商標(色違い類似商標)については、登録商標(専用権)の使用になる。色彩が異なることによって登録商標と非類似となる場合には(色違い非類似商標については)、もはや登録商標に類似しない商標となる。50条1項の規定においては、色違い商標は、社会通念上同一と認められる商標に該当することがある。ただし、この場合でも、色違い非類似商標であるときは、もはや社会通念上同一と認められる商標には該当しないことになる。
2 第4条第1項第12号又は第67条における「登録防護標章」には、その登録防護標章に類似する標章であつて、色彩を登録防護標章と同一にするものとすれば登録防護標章と同一の標章であると認められるものを含むものとする。
3 第37条第1号又は第51条第1項における「登録商標に類似する商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含まないものとする。
色違い類似商標の場合、登録商標(専用権の範囲内)の使用になり、37条1号、51条1項の適用がなく、色違い非類似商標の場合、非類似商標(禁止権の範囲外)の使用になり、37条1号、51条1項の適用がない。
<色違い類似商標>
色彩のみの異なる商標については、商標使用の実情からすると同一とみなされることが多い。したがって、色違い類似商標は登録商標とみなされる。
色違い商標が登録商標とみなされるためには、登録商標に類似していることを要し、色彩のみを登録商標と同一にすれば登録商標と同一とみなされることを要する。
第三者が類似商標を使用する場合でも、金銭的請求権は発生する(13条の2第4項、準37条)。ここで、70条3項においては、37条1号の適用上、類似商標には色違い類似商標を含まない旨の規定がある。そして、70条1項においては、色違い類似商標は、25条、50条の適用においては登録商標に含む旨の規定があるのに対し、13条の2の適用については規定がない。このことからすると、色違い類似商標の使用は、金銭的請求権の対象とならないように思われる。
しかし、色違い類似商標は、登録商標に含まれることになり(70条1項、25条)、金銭的請求権の対象となる。