(国際登録に基づく商標権の存続期間)
第68条の21 国際登録に基づく商標権の存続期間は、その国際登録の日(その商標権の設定の登録前に国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から10年をもつて終了する。
各国における商標権が国際登録日を基準にして存続期間が設定されるため、出願人は、同時期に国際事務局へ更新登録の手続を行うことができる。
2 国際登録に基づく商標権の存続期間は、国際登録の存続期間の更新により更新することができる。
3 国際登録の存続期間の更新があつたときは、その国際登録に基づく商標権の存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。
更新が早くされた場合、あるいは存続期間満了後6月以内に更新された場合、すべて満了の時に更新される。
4 国際登録の存続期間の更新がなかつたときは、その国際登録に基づく商標権は、その存続期間の満了の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
(存続期間の更新登録の特例)
第68条の22 国際登録に基づく商標権については、第19条から第22条まで並びに第23条第1項及び第2項の規定は、適用しない。
商標権の存続期間の規定は国際登録に基づく商標権には適用しない。
2 国際登録に基づく商標権についての第23条第3項の規定の適用については、同項中「前2項の登録」とあるのは「国際登録の存続期間の更新」と、同項第2号中「登録番号及び更新登録の年月日」とあるのは「国際登録の番号及び国際登録の存続期間の更新の日」とする。
(商標権の分割の特例)
第68条の23 国際登録に基づく商標権については、第24条の規定は、適用しない。
国際登録においては、同一名義人のままで指定商品・役務ごとに商標権を分割することはできない。
(団体商標に係る商標権の移転の特例)
第68条の24 国際登録に基づく団体商標に係る商標権は、第7条第3項に規定する書面を提出する場合を除き、移転することができない。
2 国際登録に基づく商標権については、第24条の3の規定は、適用しない。
(商標権の放棄の特例)
第68条の25 国際登録に基づく商標権者は、その商標権を放棄することができる。
国際登録に基づく商標権についても放棄ができるが、使用権者等の承諾を得る必要はない。放棄の承諾書を議定書の手続上求めることができないためである。
2 国際登録に基づく商標権については、第35条において準用する特許法第97条第1項の規定は、適用しない。
(商標権の登録の効果の特例)
第68条の26 国際登録に基づく商標権の移転、放棄による消滅又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。
国際登録に基づく商標権の場合には、一般承継であっても登録しなければ無効である。
2 国際登録に基づく商標権については、第35条において読み替えて準用する特許法第98条第1項第1号及び第2項の規定は、適用しない。
(商標原簿への登録の特例)
第68条の27 国際登録に基づく商標権についての第71条第1項第1号の規定の適用については、同号中「商標権の設定、存続期間の更新、分割、移転、変更、消滅、回復又は処分の制限」とあるのは、「商標権の設定又は処分の制限」とする。
国際登録簿において商標権の管理がなされるが、設定、処分の制限についてのみ特許庁の原簿によっても公示がなされる。
2 国際登録に基づく商標権の存続期間の更新、移転、変更又は消滅は、国際登録簿に登録されたところによる。
(手続の補正の特例)
第68条の28 国際商標登録出願については、第15条の2(第55条の2第1項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第15条の3(第55条の2第1項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により指定された期間内に限り、願書に記載した指定商品又は指定役務について補正をすることができる。
国際商標登録出願に係る商標の補正は、国際登録の性質上、これをすることができない。
指定商品・役務の補正については、国際事務局に対しても行うことができる。
2 国際商標登録出願については、第68条の40の規定は、適用しない。
(指定商品又は指定役務が2以上の商標権についての特則の特例)
第68条 29 国際登録に基づく商標権についての第69条の規定の適用については、同条中「第20条第4項、第33条第1項、第35条において準用する特許法第97条第1項若しくは第98条第1項第1号」とあるのは「第33条第1項、第68条の25第1項若しくは第68条の26第1項」と、「第71条第1項第1号」とあるのは「第68条の27第1項において読み替えて適用する第71条第1項第1号、第68条の27第2項」とする。
(国際登録に基づく商標権の個別手数料)
第68条の30 国際登録に基づく商標権の設定の登録を受けようとする者は、議定書第8条(7)(a)に規定する個別の手数料(以下「個別手数料」という。)として、一件ごとに、次に掲げる額を国際事務局に納付しなければならない。
1.4800円に一の区分につき15000円を加えた額に相当する額
2.66000円に区分の数を乗じて得た額に相当する額
国際登録前には出願料相当額を、登録査定後には登録料相当額を納付する必要がある。
2 前項第1号に掲げる額の個別手数料は国際登録前に、第2号に掲げる額の個別手数料は経済産業省令で定める期間内に、納付しなければならない。
3 特許庁長官は、国際商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは、国際事務局に対し、当該出願に係る第1項第2号に掲げる額の個別手数料の納付期限を通知するものとする。
4 国際商標登録出願は、第1項第2号に掲げる額の個別手数料の納付がないため、その基礎とした国際登録が取り消されたときは、取り下げられたものとみなす。
5 国際登録に基づく商標権の存続期間の更新をする者は、個別手数料として、一件ごとに、151,000円に区分の数を乗じて得た額に相当する額を国際事務局に納付しなければならない。
6 国際商標登録出願及び国際登録に基づく商標権については、第40条から第43条まで及び第76条第2項(別表第1号に掲げる部分に限る。)の規定は、適用しない。
(経済産業省令への委任)
第68条の31 第68条の9から前条までに定めるもののほか、議定書及び議定書に基づく規則を実施するため必要な事項の細目は、経済産業省令で定める。
第3節 商標登録出願等の特例
(国際登録の取消し後の商標登録出願の特例)
第68条の32 議定書第6条(4)の規定により日本国を指定する国際登録の対象であつた商標について、当該国際登録において指定されていた商品又は役務の全部又は一部について当該国際登録が取り消されたときは、当該国際登録の名義人であつた者は、当該商品又は役務の全部又は一部について商標登録出願をすることができる。
セントラルアタック後の再出願について規定している。かかる再出願は、出願日の遡及効等の優遇を受け、通常の国内出願と同様に出願時の分割、変更、登録後の商標権の分割等ができる。
2 前項の規定による商標登録出願は、次の各号のいずれにも該当するときは、同項の国際登録の国際登録の日(同項の国際登録が事後指定に係るものである場合は当該国際登録に係る事後指定の日)にされたものとみなす。
1.前項の商標登録出願が同項の国際登録が取り消された日から3月以内にされたものであること。
2.商標登録を受けようとする商標が前項の国際登録の対象であつた商標と同一であること。
3.前項の商標登録出願に係る指定商品又は指定役務が同項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれていること。
3 第1項の国際登録に係る国際商標登録出願についてパリ条約第4条の規定による優先権が認められていたときは、同項の規定による商標登録出願に当該優先権が認められる。
4 第1項の国際登録に係る国際商標登録出願について第9条の3又は第13条第1項において読み替えて準用する特許法第43条の2第2項の規定による優先権が認められていたときも、前項と同様とする。
パリ条約の例(WTO、TLT、特定国)
5 第1項の規定による商標登録出願についての第10条第1項の規定の適用については、同項中「商標登録出願の一部」とあるのは、「商標登録出願の一部(第68条の32第1項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれているものに限る。)」とする。
国際登録取消後の再出願については、通常の国内出願と同様に、分割出願ができる。ただし、出願日の遡及効を認めているため、国際登録に含まれていた商品・役務についての分割に限られる。
(議定書の廃棄後の商標登録出願の特例)
第68条の33 議定書第15条(5)(b)の規定により、日本国を指定する国際登録の名義人が議定書第2条(1)の規定に基づく国際出願をする資格を有する者でなくなつたときは、当該国際登録の名義人であつた者は、当該国際登録において指定されていた商品又は役務について商標登録出願をすることができる。
2 前条第2項から第5項までの規定は、第1項の規定による商標登録出願に準用する。この場合において、前条第2項第1号中「同項の国際登録が取り消された日から3月以内」とあるのは、「議定書第15条(3)の規定による廃棄の効力が生じた日から2年以内」と読み替えるものとする。
(拒絶理由の特例)
第68条の34 第68条の32第1項又は前条第1項の規定による商標登録出願についての第15条の規定の適用については、同条中「次の各号のいずれかに該当するとき」とあるのは、「次の各号のいずれかに該当するとき又は第68条の32第1項若しくは第68条の33第1項の規定による商標登録出願が第68条の32第1項若しくは第68条の33第1項若しくは第68条の32第2項各号(第68条の33第2項において読み替えて準用する場合を含む。)に規定する要件を満たしていないとき」とする。
国際登録が、国際商標登録出願の係属中に取り消された場合、わが国において審査がまだされていないため、通常の国内出願の拒絶理由と、再出願の拒絶理由との有無が審査される。
2 国際登録に係る商標権であつたものについての第68条の32第1項又は前条第1項の規定による商標登録出願(第68条の37及び第68条の39において「旧国際登録に係る商標権の再出願」という。)については、第15条(第1号及び第2号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
国際登録が、国際商標登録出願の登録後に取り消された場合、わが国において既に審査されているため、一般的登録要件についての審査はされない。ただし、6条1項、2項、25条、条約違反については審査される。
(商標権の設定の登録の特例)
第68条の35 第68条の32第1項又は第68条の33第1項の規定による商標登録出願については、当該出願に係る国際登録の国際登録の日(国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から10年以内に商標登録をすべき旨の査定又は審決があつた場合であつて、当該出願に係る国際登録が議定書第6条(4)の規定により取り消された日前又は議定書第15条(3)の規定による廃棄の効力が生じた日前に第68条の30第1項第2号に掲げる額の個別手数料が国際事務局に納付されているときは、第18条第2項の規定にかかわらず、商標権の設定の登録をする。
(存続期間の特例)
第68条の36 前条に規定する商標権の存続期間は、当該出願に係る国際登録の国際登録の日(当該国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から10年をもつて終了する。
国際登録消滅後の再出願についても、商標権の存続期間は国際登録の日から10年である。
2 前項に規定する商標権の存続期間については、第19条第1項の規定は、適用しない。
(登録異議の申立ての特例)
第68条の37 旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録につ心ての第43条の2の規定の適用については、同条中「、商標登録」とあるのは、「、商標登録(旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録にあつては、もとの国際登録に係る商標登録について登録異議の申立てがされることなくこの条に規定する期間を経過したものを除く。)」とする。
商標権の設定後に国際登録の消滅により商標権が取り消された場合の再出願については、もとの出願について登録異議の申立てがされていないと、申立てが不可能である。もとの出願について申立てがされたが維持決定された場合は、再度申立てが可能である。しかし、審理の判断は異ならないと考えられる。
(商標登録の無効の審判の特例)
第68条の38 第68条の32第1項又は第68条の33第1項の規定による商標登録出願に係る商標登録についての第46条第1項の審判については、同項中「次の各号のいずれかに該当するとき」とあるのは、「次の各号のいずれかに該当するとき又は第68条の32第1項若しくは第68条の33第1項若しくは第68条の32第2項各号(第68条の33第2項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反してされたとき」とする。
国際登録消滅後の再出願についての適用要件については無効理由である。ただし、異議理由にはなっていない。
第68条の39 旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録についての第47条の規定の適用については、同条中「請求することができない。」とあるのは、「請求することができない。商標権の設定の登録の日から5年を経過する前であつても、旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録については、もとの国際登録に係る商標登録について本条の規定により第46条第1項の審判の請求ができなくなつているときも、同様とする。」とする。
国際登録消滅後の再出願についての除斥期間は、もとの出願の出願日から起算されると考える。従って、もとの出願の出願日から5年が経過していなくても除斥期間の適用可能になる期間が5年未満になると考えられる。