ブナの中庭で

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日本の森を守る方法は

2009年06月10日 | 環境問題
昨日の記事の続きです。

平野秀樹さん(元農水省中部森林管理局長、現森林総合研究所理事)が提案する、日本の森復活への道とは?

(以下、平野さんの文章より抜粋要約して紹介します。)全文はこちらをどうぞ

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日本の林業復活を考える前に、ドイツの森を見てみよう。
ドイツでは林道が整備されており、50m/haと日本の10倍。このため、植林や間伐、伐採がスムーズに行なわれる。
また森林情報がしっかり管理されているため、伐採、搬出、販売に力を発揮している。

対する日本はどうか。
林道インフラはドイツの10分の1。公共事業削減が求められる現在、林道インフラ整備への道は険しい。
森林情報も大きく劣る。国土国通省の地籍調査は国土の5割も終わっおらず、林地エリアはほとんど手つかず状態。大半の林地は所有実態が把握されていない。


(石川県加賀市で撮影:間伐や枝打ちがされていない荒廃した森林)

また温暖多雨の日本は、笹などの繁茂も著しい上、梅雨や台風による被害が大きい。育林コストは世界的に見ると7~40倍となる。さらに林業従業者の高齢化が拍車をかける。
森林整備は焦眉の急だ。林業が産業として危ぶまれ、植林放棄が相次ぐ今、どのようにして森林を維持していけばいいのか。

考えられるのは森林の「公有林化」しかないだろう。



水源林など公益性の高い私有林を公的機関が公有林として買い上げて管理する。これによって植林放棄を減らし、森林形態を大型化することにより作業効率を向上させる。初期投資が必要だが、所有自治体(都道府県)の管理能力と志が高ければ、将来にわたって確実な森林管理が見込める。

戦後盛んに行なわれた造林、この人工林が伐採適期を迎え始め、伐採して植林するという2巡目の新しい動きに入るタイミングにある。
林地と立木の価格が下がり続け、現在、底値である。そこを狙った海外資本など、匿名セクターによる買収を、何としてでも阻止しなければならない。

地元自治体に買い取られた後は、一定のロットごとに管理手法を自治体が提示し、民間組織に任せる。契約期間は、5年以上の中長期とする。これにより細切れパッチワーク状の私有林が大型化でき、合理的な運営管理が期待できる。

森林管理事業は、例えば水道事業と同じように扱うべきではないか。住民生活に密接にかかわる必需インフラとして、基盤施設は公有とし、管理単位は広域化を目指していくのだ。

現在、林地価格は200円/坪で、17年連続の下落。立木価格は300円/坪で、50年前より安く、25年以上にわたって下がり続けている。今日本の林業は行き詰まり、私有林を中心に放置化、放棄化が著しい。
今後、公益性が高い森林から順次、「公有林化」を目指し、人工林は皆伐を避け、択伐とし、計画的に「再自然化、環境林化」していくことが重要ではないか。

(記事の要約紹介はここまで)
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私も年に3回の森林ボランティアを8年間続けてきました。
この間に見たのは、山村の高齢化、人口減少、そして疲弊です。
80歳近いおじいさんが梯子に登って枝打ちをしていらっしゃるんです。
その方々のご苦労に対しては、ほとんど経済的リターンは無い。しかしそのお陰で私たちは美味しい水が飲め美味しい空気を吸うことができ、温暖化も緩和されています。

平野氏が書いているように、国民が森林の価値を正しく評価し、税金を投入して森を公有林化することは、とても有効な手段だと思いました。

(長い記事をここまで読んでくださったあなたへ:ありがとうございました

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