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日本の森に忍び寄る外資

2009年06月09日 | 環境問題
MLから配信された記事を読んで、愕然としました。
記事の著者は平野秀樹(ひらのひでき)氏で、環境省環境影響評価課長、農林水産省中部森林管理局長などを経て、現在は東京財団研究員や森林総合研究所理事をなさっています。

記事は日経ビジネスのページから読むことができます。 記事の全文はこちら

前半部分を中心に要約して紹介します。(なお写真は石川県で撮影したものです)
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「しのびよる外資、林業ブームの死角」日本の森林を守るなら、今すぐ公有化せよ
(平野 秀樹)

現在、日本の山林の平均の価格は、1ヘクタール20万円(坪単価70円)と驚くほど安い。はっきりとした狙いは分からないが、「海外資本が水源林を狙っている」という噂も絶えない。二束三文の値しかつかない日本の山林を外資が狙っているというのだ。すでに、三重県の大台町や長野県の天龍村では、中国資本が山林を購入しに来た、という動きや噂があったと新聞各紙が報道している。

現在「木を植えよう、里山を再生しよう!」――。このようなスローガンがあちこちで叫ばれている。里山の再生や森林を守ることに反対する人など、そもそもいない。しかし、ブームはブームでしかない。林業現場の実態は、お寒い限りなのである。200万円投資して、100万円の手取りしかない。



現在の日本林業のコスト内訳を杉林を例に見てみよう。
・苗木 1本約100円、1ヘクタールあたり3000本で30万円
・50年後に間伐・成林 1ヘクタールあたり1000本
・50年生の立木価格 1本あたり約1000円、1ヘクタールあたり100万円
これが2009年現在のわが国の平均的な山林所有者の手取りと見込まれる。

一方、その50年間、山への投資は欠かせない。
・苗木代30万円、整地作業30万円、植林20万円、
・下刈60万円、除伐20万円、路網や森林の管理40万円
以上合計約200万円が総投資額(金利は含まず投資額だけの単純合計)

これに対する伐採時の立木の販売収入が前述の100万円。

50年間、梅雨・台風災害に遭うかもしれないし、野生獣害を被るかもしれない。経営を考えた時、リスキーでかなり厳しい。
これは特異なケースではなく、平均的なスギの試算モデルなのである。

通常、ペイしない経済活動を私たちは産業とは呼ばない。産業としての林業はもう土俵を割りかけている。
このような現状の中、土地ごと山を手放したがる林家は増えている。林業に未来が見えず、ムラを離れる林家が相次ぐ。
そもそも林業は対GNP比0.07%に満たない産業で、パチンコ産業の市場規模は30兆円。林業はそのほぼ100分の1でしかない。



国際的には、日本林業はコスト面で太刀打ちできていない。
木材は国際商品であり、国際価格のため、林家にとっての販売収入が増えることはない。林業が成立しないため、森林の管理が疎かになり、山が荒れ始めている。
大分県ではついに、皆伐された山の6割が植林放棄となった。植えた後に要するコストを林家は用意できないからだ。
このままではツケは未来に及び、孫子が悲しむことになるだろう。

(要約紹介はここまで)
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日本の林業の置かれている厳し~い現状が良く分かります。

一方、私たちは森から水や空気といった大切なものをいただいています。
どうしたら日本の森を守ることが出来るのか、明日また続きを書きますね。

2 コメント

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Unknown (Tatsuo S.)
2009-06-09 22:13:01
国際日本文化研究センターの安田喜憲先生が数年前より、外資が日本の森林、それも大切な水源地に位置するような森を買い占めていると講演会等で警告を発しておられました。木材だけではなく、水資源まで狙われていると警告しています。本当に大変です。
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やっぱり、そうですか‥‥ (Repu)
2009-06-10 04:11:15
外資が水資源の森を買い占めている‥‥。ああ恐ろしい。
私達日本人は「美味しい水も空気もタダ」があたりまえで、それがどのように得られているものなのか、もっと知るべきでした。
まだ間に合うなら、日本の荒廃した山を何とかしたいものです。
Tatsuoさん、貴重な情報をありがとうございました。
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