『オルフェウスの窓』大事典

2005-09-11 16:47:54 | 読書
ネットって便利ですよね。池田理代子先生の公式サイトを見て、「あ、大事典出版されたんだ」と知ってAmazonで手続きして2日後には手元に(笑)
 
『オルフェウスの窓』は私の一番好きな漫画です。音楽学校での青春物語を始め、名家で次々とおこる殺人ミステリーやロシア革命に生きる闘志達を壮大に描ききった大作。登場人物もみんな魅力的だし、絵柄は美しいし。まぎれもなく池田理代子先生の傑作です。(『ベルサイユのばら』も大好きですが、『オルフェ』の方が深いのですよね。)
肝心の内容は、今まで見たことのない扉絵がいっぱいだったり、理代子先生のインタビューが載っていたり。買って良かったです(^^)ちょっとびっくりしたのは、ロシア革命を背景とする社会主義的や資本主義などの思想的見解を理代子先生がインタビューで説明していたこと。なるほど、そこまでちゃんと考えていたからこそあの壮大な第3部が描けたのだなと思いました。そして、まだ描かれていない登場人物の今後。イザークが○○○に(自粛)、という将来にはバンザーイって感じです!
もう随分前の漫画であるわけですが、今読んでも感動は増すばかりです。子供の頃泣いた場面とは違う場面で泣いたり、違う人物に思い入れをしたり。昔は嫌いだったわがままモーリッツが今では私の「結婚したいキャラ№1」になったり、大人びて怖かったダーヴィトが素敵に思えるようになったり。自分自身の成長にも驚かされます(笑)そして理代子先生の漫画で育った私としては、先生の作品が時を経ても愛されているという事実がとっても嬉しいですね。本物はちゃんと残る。まさにそう思うのです。

オルフェウスの窓大事典―連載開始30周年記念

集英社

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オルフェウスの窓 (1)

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『NANA』第13巻/矢沢あい

2005-08-28 16:10:06 | 読書
昨日池袋駅で山手線の「NANA電車」を見ました。んで新刊が出たことを知った、と。宣伝効果絶大ですね(笑)激しくネタバレしますので、まだ読んでない方は読まないほうがいいかもです^^;

私が見るNANAの概要は以前の記事に書きましたので興味のある方は読んでいただけると嬉しいのですが、最近ようやく「奈々」のことを許せる気分になってきました。親友のナナを思いやったり、仕事の忙しいタクミのために力になろうと努力したり。以前は彼女の身勝手な弱さに対してかなり腹を立てていた私ですが(漫画なのに(爆))その後の彼女の誠意の伝え方、懸命さに徐々に心を溶かされてしまったのですよ。ああ、ナナの気持ちが分かるなぁ(笑)
しかし心配なのは、二つのバンド「ブラスト」も「トラネス」も破滅の匂いがかなりすること。まずブラストはアイドル的な売り方をされているのでバンドとして生き残れるか心配。それぞれのメンバーも皆爆弾を抱えています。ナナは心の病、蓮はドラッグ、16歳のシンはウリの過去がある上にレイラと恋に落ちてしまう。そしてタクミと奈々の結婚問題・・・タクミは大切なものを守ろうとするときにはその冷徹さを遺憾なく発揮するので、トラネスの為にシンや奈々をばっさり切り捨てることもあるのかもしれない。ここが一番心配ですね。唯一の「出来た人間」であるヤスに期待するしかないですか_| ̄|○ あー、早く続きが読みたい!映画も見たい~。

NANA 13 (13)

集英社

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三島由紀夫『春の雪』読み終わりました。

2005-04-21 18:35:22 | 読書
なかなか読む時間が無かったのですが、ここ一週間ほど体調が悪いのを機に横になっている間に読んじゃいました(笑)いやー素晴らしい。三島文学ここに極まれりですね。心理描写も風景描写も、この人の筆にかかればこうも深く美しく表現できるのかと感嘆されられます。このお話は分かりやすく書けば「悲恋」。大正時代の華族文化や貴族社会のデカダンスに彩られ、激情と運命に駆られる若者が儚く・美しく描かれています。現在、妻夫木聡くんと竹内結子さんで映画の撮影が行われていて、その情報を得るために検索をしてきた方の為にストーリーの詳細は書かないでおきますね(笑)
しかし侯爵家の御曹司・清さまの心の移り変わり・・・冷ややかで支配されるのが嫌いだったのに女性に翻弄され情熱的に激しく求めるようになる様、そしてその後の姿をあの妻夫木くんがどう演じるかとても楽しみです。正直、容姿は全然イメージに合わないなと思ったのですが、彼の役者としての器がそのギャップを越えられるのではないかと思います。(外見的には柏原崇が合いそう。三島文学の「いい男」は色白でギリシャ彫刻のような美形が多いけど、単に三島由紀夫の好みなのかと(笑))竹内結子演じる聡子は、どこまで突っ込んで演じてくれるかが楽しみですね。海でのラブシーンとか、京都で○○するシーン(自粛)とか。そのラブシーンなのですが、ちょっと間違ったら滑稽になりそうな描写をものの見事に純文学の域まで高める三島はやっぱり偉い。官能的なシーンをこれでもかと言うほど美しく丁寧に、技巧を尽くして描写してくれています。そして私が最も震撼した、聡子付きの老女中・蓼科・・・女って怖いと思いました^^;映画では誰が演じるのでしょう?映画賞で助演女優賞とるくらいの怪演を期待します。
ともあれ、この作品は「豊饒の海」シリーズの第1話。あと3話あるのでそのうちまた読みたいですが・・・時間が・・・^^;

春の雪

新潮社

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矢沢あい『NANA』 12巻

2005-04-07 15:16:59 | 読書
NANA 12 (12)

集英社

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人気があるとの事なので勧められて読んでみたら面白い!これ、少女漫画ではなくもうちょっと上、ハイティーン以上を対象にしているのですね。人間の、特に若い女性の脆弱な精神部分を中心に描かれていて、軽率とも思えるセクシャリティを持つ登場人物の揺らぐ気持ちや辿る道筋が、漫画とは思えないほどリアルさを伴って迫ってきます。ちりばめられた詩的なモノローグや、キラキラと輝く絵柄、どれをとってもどこか切なく、胸を締め付けられます。
主人公は二人の「NANA」と言う名前の女の子。それぞれが想いを抱いて上京し、成行で一緒に住み始めます。バンドのヴォーカルとしてデビューを目指す「ナナ」、男を追って上京した「奈々」。お互いの壊れそうな部分を支えあいながら奇妙な友情で繋がる二人と、彼女達を取り巻く男性達でストーリーは進みます。
読みながらずっとドキドキしたり、涙を流しそうになりながら「今時こんなに感情移入出来る漫画があるんだなぁ」と思っていましたが、いつ頃からでしょう・・・徐々に「奈々」の方が許せなくなったのは。憧れのミュージシャン・タクミと会った次の日に軽い気持ちで寝て、その後優しいノブと付き合い、どちらが父親か分からない子供を宿してタクミのプロポーズを受けてノブと別れ、ナナと二人で住んでいた部屋を出るときも何も言わずタクミに付き従っているだけ・・・自分の弱さで周囲を振り回し結果的に傷つけてしまう、そんな女が私大嫌いなのですよ(笑)友人に言われた事があるのですが、私は黒髪の方のナナに似てるんだそうです。いえ、私はパンクじゃないですよ?(笑)タバコも吸いません。服はヴィヴィアンではなくゴルチエが好きです。でも、ナナにはとても感情移入してしまいます。奈々に惹かれる気持ちも分かるのですよ。保護して守ってあげたいと。
でも、私だったらあんな風に裏切られたら一生許しません(笑)その前に好きだったら好きだっただけ裏切りは許せない。人を振り回すのもいい加減にして下さい、と。なのでその後の展開はムカムカムカムカ(笑)

でもまぁここは作者の意図するところなのですよね。どうしようもないやるせなさと脱力感と。ここが「平成の作家」だなと感じさせられました。「昭和の作家」は読み手を満足させることは義務でしたからね。私はもう随分大人になってしまったので、共感できる漫画が少なくなりました。でも矢沢あいの漫画はどれも、まだ10代の頃の明るく・切なく・夢と希望に溢れた気持ちを思い出させてくれます。現代の都会に生きる繊細な少女を描ききるという意味で、矢沢あいは時代を代表する作家だと思います。ただ、「ご近所物語」の方がお薦めですけどね。納得の行くお話なので(笑)

ちなみに『NANA』が中島美嘉主演で映画化されます。キャストが漫画から抜け出たようで楽しみですね^^ 成宮君がノブ役でぴったり。でも松田龍平がレンって・・・いいの?(笑)

二ノ宮知子『のだめカンタービレ』

2005-04-07 15:12:33 | 読書
のだめカンタービレ (11)

講談社

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漫画つながりでどんどん書いちゃいましょう。今新刊が出ると読む漫画は矢沢あい『NANA』・浦沢直樹『PLUTO』『20世紀少年』、そして二ノ宮知子『のだめカンタービレ』。これも『NANA』を紹介してくれた友達が紹介してくれたのですが、すっごく面白いです。クラシック音楽を題材にして、音大生たちが繰り広げるコメディ。いわば職業漫画みたいなものなのですけど、決して恋愛のエッセンス的に音楽が使用されているのではなく、音楽そのものが漫画の中心。かといってマニアック過ぎず、クラシックファンでなくともクラシックが聴きたくなるような楽しい漫画です^^
実際私にこの漫画を紹介してくれた友人は自称「クラシックオンチ」との事で普段全然クラシックを聴かないそうでしたので、彼女の為にこの漫画に出てくる音楽をCDにまとめてオリジナルサントラを作ってあげました。その楽曲ですが、ベートーヴェンやモーツァルトの交響曲、ショパンやドビュッシーのピアノ曲など約40曲ほど。お話に出てくる楽曲を聴きながら漫画を読むと、楽しさが何倍にも増えますよね。友人もとても喜んでくれました^^
(その楽曲ですが、とても分かりやすくまとめて下さってるページがありましたので貼っておきますね。『のだめカンタービレ全登場曲集』
不思議なことに、この漫画は読んでいると音が聴こえてくるのです。荒削りだけど秀でたテクニックを持つピアノ科のちょっと変わった女の子「のだめ(野田恵)」、ヴァイオリンにピアノ、そして指揮者として才能を発揮するクールな天才「千秋」、どんな曲でも自分の解釈優先でガンガン弾いてしまうヴァイオリン課の「峰」・・・他にも沢山の生徒達が登場しますが、それぞれが個性的なキャラクターで、どんな音で楽器を奏でているかが想像できてとても楽しいのです。聴いてみたいですねー、峰の弾くヴァイオリンソナタ「春」(Beethoven)。審査員の先生方が「春なのに・・・」と涙を流しているアレです(笑)のだめが適当に弾くエチュード10-4(Chopin)とか、千秋の無伴奏ソナタ(Bach)とか。あ、のだめが幸せな気持ちで弾く「喜びの島」(Debussy)が一番聴きたいですね^^
とにかく今一番楽しくてHappyな漫画です。舞台が留学先のパリに移りましたが、あのほんわかした優しい雰囲気はずっと保ってほしいですね。そして早く、のだめと千秋がラブラブになりますように・・・♪