道なりに歩いていこうか

週間アニメの感想や萌え語りを、筆のおもむくままつらつらと。週に1回でも更新できれば御の字かなぁ、なんて……。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第11話「あの夏に咲く花」

2011年06月25日 | Weblog
花火が上がっても消えなかっためんま。
この予想外の結果にとまどいを隠せない超平和バスターズの面々は、打ち上げ作業を手伝ってくれためんまの弟・聡志の「姉ちゃんのために頑張ってくれて、ありがとうございました!」という素朴な感謝の言葉にも、五人五様の後ろめたさを覚えるばかり。
その日の深夜、「めんまには気づかれないように」という断り付きで呼び出されたじんたんがいつもの神社に向かうと、そこには何故か電話をしてきたゆきあつに加えて、あなる・つるこ・ぽっぽの姿が。
誰もが深刻な表情でうなだれる中、みんなの気持ちを代弁するかのように、あなるが語気も荒く吐き捨てます。
「めんまが成仏しなかったのは、願いが違ったからなんかじゃない。……ねえ、私たち、本当にめんまのこと考えてた? ちゃんとめんまのお願いが叶いますようにって!」
そう、振り返ってみれば、誰もがめんまのためではなく、自分のためにめんまを成仏させようとしていたのです。
めんまのことを考え続けるじんたんを見ていたくなかったあなる。
今もびっくりするくらい昔と変わらずめんまが好きなのに、そのめんまの姿を見ることができるのがじんたんだけという“状態”が耐えられなかったゆきあつ。
ゆきあつをずっと想い続けながら、その気持ちに固く蓋をして、死してなおゆきあつの心を捉えて離さないめんまへの敗北感と、常にゆきあつの理解者だったあなるに対する羨望にまみれた人生を、黙々と歩んできたつるこ。
そしてあの日、めんまが彼岸へと旅立つまでの一部始終を目撃しながら、結局何もできなかった不甲斐ない自分への許しを求めて、誰よりもめんまの成仏にこだわっていたぽっぽ――。
めんまの成仏に自分勝手な思いを重ねていたのが自分だけではなかったと悟ったじんたんは、ゆきあつの言う通り自分だけがめんまが見えることが嬉しかったこと、本音を言えばめんまを成仏させたくないこと、けれどもめんま自身は超平和バスターズの全員とちゃんと話がしたくて、だからきちんと成仏して生まれ変わりたいと考えていることを、淡々と告白します。
これを聞いて発奮する一同。
めんまと一緒に、今度こそ全員が本気でめんまの本当の願いを叶えようと気勢を上げます。
私たち6人で超平和バスターズなんだものね――つるこの、涙声ながらもしっかりとした総括の言葉に背中を押されるように、勢いよく駆け出すじんたん。
「すぐめんま連れてくる! 秘密基地で集合だ!」
やっと動き出せたことへの興奮と充実感につき動かされ、息せき切ってたどりついた我が家で、しかしじんたんは辛い“現実”と直面することになります。
ぐったりと力なく畳に横たわっためんま。
慌てて駆け寄ったじんたんにめんまは告げます、めんまのお願い、もう叶っちゃってたみたい、と――。

そんなわけで、ついに終わってしまいましたあの花。
正確には終わりの始まりというか、この先もじんたん達の人生は続いていくことが、Cパートの中でささやかに提示されます。
けれども、ひと夏の得難い経験が彼らの心を、生き方を、そして関係を、ほんの少しだけ変えたことはまぎれもない事実。
塔子が死の間際に抱いた願いは「じんたんを泣かせたい」でしたが、それは自身が病床に伏して以降感情を内に内にこもらせるようになってしまった愛息子を解放するための“呪文”に他ならず、託された側のめんまもまた、一見無邪気なようでいて、その実塔子の遺志を実現すべく必死に心を砕いていたことが判明したラストには、大いに胸を打たれました。
なぜこのタイミングでめんまが期限付き復活を果たすことになったのかという根本的な謎については、結局最後まで種明かしされませんでしたが、恐らく作り手にとってそこは瑣末な問題にすぎず、地に足のついたどこにでもいる普通の人達の物語に、たったひとつファンタジー要素を盛り込むことによって、わけあって淀んでいた空気が涼やかに晴れ渡っていく様を描ければ、それで良かったのだろうと考えている次第です。
……うむ、だんだん自分が何を書いているのかわからなくなってきたぞ(笑)。

個人的に、ぽっぽの抱えていた闇が、あの日めんまの死の瞬間を目撃してしまった――そして、もしかしたら助けることができたかもしれなかったのに、自分が怖気づいてしまったせいでみすみす見殺しにしてしまった(と少なくとも彼自身は考えている)というエピソードについては、おおよそ想定の範囲内でしたが、一方でつるこが本当に嫉妬し、同時に羨望の念を抱いてやまなかったのが、めんまではなくあなるだったという告白は非常に衝撃的でした。
というより、めんまに関しては端から勝負にならないとあきらめていて、ならばせめてゆきあつにとって必要不可欠な相談役になろうと目論んでいたら、そのポジションすらもあなるに奪われてしまった(もちろんあなる本人にその自覚はゼロ)ために、人知れず深く絶望していたとつるこ。
その卑屈さが、つるこをして一流の皮肉屋に仕立て上げ、十年一日の思い人であるところのゆきあつにも胸の内を気取らせなかったと思うと、しみじみ涙を禁じ得ません。
そして、このつるこという、単なるクールビューティの一言で片づけるにはあまりにも複雑怪奇にして面倒くさい(苦笑)性格のキャラクターを体当たりで演じて下さったのが、個人的にデビューの頃からずっとファンをしている早見沙織さん。
そんな早見さんの、私が把握している範囲では十二分に新境地といっていい抑制のきいた熱演ぶりを堪能できたこともまた、このあの花に出会えて良かったと思える要因のひとつです。
この後、つるこの気持ちを知った――知ってしまったゆきあつと、彼女はいったいどんな関係を築いていくのでしょうか。
すべての発端であり、また全11話の脚本を書いた岡田麿里さんの頭の中に、この慎ましやかな物語の“今後”があるのかどうかは神のみぞ知るですが、もし存在しているならば、いつか何かの機会に開陳していただきたいと心の底から願ってやみません。

そして月並みな表現で恐縮ですが、岡田さん、長井監督、キャラクターデザインの田中将賀さんを始め、本作に携わったすべてのスタッフの方々に、改めてこの言葉を贈りたいと思います。
近年まれに見る緻密な群像劇を描き切って下さって、本当にありがとうございました&お疲れ様でした!!

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第10話「花火」

2011年06月17日 | Weblog
放送前から物議をかもしっぱなしだった「あなる」というあだ名。
しかしそれも時にがたつにつれ、慣れていったというか、否応なく慣らされていった我々ですが、やはりこの人は違った!
かのゆきあつ大先生の口から発せられる「あなる」の衝撃はマジ筆舌に尽くしがたく、っていうか、ぶっちゃけ、もろ犯罪臭いんだってばよおおおおお!!(などと無駄に力説してみたり)

そんなわけで、最終回ひとつ手前という重要話数ながら、諸事情により今回あらすじ紹介は割愛させていただき、簡潔明瞭に感想のみということで、ひとつよろしくお願い致します(平伏)。

まあ、でもあれですよね。
こと今回に関しては、サブタイトルが「花火」だった時点で、いざ打ち上げた後もめんまが消えずに居残るであろうことは想像がついてましたよね、何となく。
ラストシーンに関しては、じんたん達がギョッとするのは至極当然として、肝心のめんま本人までもが「あれっ?」なんて首をかしげていたあたりが、実にめんまらしいなあと。
もっとも、ただニコニコ笑っているだけのように見えて、その実、彼女が腹の奥底に秘めている“本音”がどんなものなのかは未だ不明であり、それが本当の意味で明らかになった時こそが真のお別れなんじゃないかと考えている次第です。
その際鍵になるのは、恐らく今は亡きじんたんの母・塔子の存在。
在りし日、彼女がめんまに授けた言葉が、今こうしてめんまが現世によみがえっていること、引いては次週確実にやって来るであろうめんま消滅への引き金になっているのはほぼ間違いありません。
まさに、正真正銘のキーワード。
その中身を一刻も早く知りたいような、知りたくないような……(ため息)。

一方、ついに訪れたつるこのターン(感涙!)。
案の定というか、それ以外ありえなかっただろうというか、彼女がはるか昔から一途にゆきあつを想っていたことが、今回ようやく本人の口から語られましたが、しかしそれを告げた相手が当のゆきあつではなく、超平和バスターズ再結成(?)以降彼との接近著しいあなるだったというところが、また何とも切なかったり……。
あの日の以前から、そして以後も変わらなかった、ゆきあつのめんまへの想い。
日々が淡々と移ろいゆく中で、生き場を失ってさまよい、研ぎ澄まされ、ついには女装という形で暴走するに至った彼の歪んだ恋心を、長い間一番近い場所で見つめていた――ただ見つめることしかできなかったつるこの心情を思うと、本当にいたたまれないと言うほかありません。
しかも、矢印を向けられていた側のゆきあつは、あろうことか、これっぽっちもつるこの気持ちに気がついていなかったという……。
それだけつるこの“偽装”が完璧だったとも言えますが、言葉にすれば同じ“絶望”の有りようが、つることゆきあつではまったくベクトルが異なっていたことの証左でもあると考えると、最終回ではどんなささやかな形でもいいので、つるこの想いが報われるシーンがあればと願ってやみません。

そして次週はいよいよ最終回。
岡田麿里さん×長井龍雪さん×田中将賀さんという『とらドラ!』スタッフが再集結して生み出された夢の青春ど真ん中ストーリーがどんな結末を迎えるのか、かたわらにタオルと、いついかなるタイミングで心が震えても大丈夫なようめいっぱいの覚悟とを準備して、魂の物語に終止符が打たれる瞬間を見届けたいと思います。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第9話「みんなとめんま」

2011年06月11日 | Weblog
来なかった…。
今回もとうとう来なかった、つるこのターン……(がっくし)。

日記を介してのメッセージに続き、じんたん宅で亡きじんたん母直伝の蒸しパンをふるまわれたことで、めんまの“実在”について疑問の余地がなくなったあなる達。
由緒正しき幽霊としてのめんまに畏れを禁じ得ない一方で、じんたんの言葉が嘘でなかったことに四者四様の安堵の表情を浮かべます。
一度は中止の方向に傾いていた花火打ち上げ計画は、この日を境に再始動。
めんまのためというお題目に現実味が付与されたことで、これまでの否定的な態度から一転、誰よりもやる気を前面に打ち出すようになったゆきあつは、つるこを伴ってめんまの父・学のもとを訪ね、改めて打ち上げの許可を求めます。
しかし、案の定というか、予想通りというか、学の答えは否。
あの日以来時間が止まってしまっている妻・イレーヌに、今さら娘のことを思い出させるような真似はしたくないというのが、その理由でした。
と、次の瞬間、ガバッと地面に倒れ伏すゆきあつ。
あろうことか土下座して、自分はめんまのことが好きだった、だからこそ彼女のために何かがしたい、過去に生きているのは自分も同じだからと涙ながらに訴えます。
普段の傲岸不遜ぶりからはあまりにかけ離れた姿に、ただただ呆気に取られるつるこ。
帰る道すがら、今も昔もめんま一筋のゆきあつに複雑な視線を向けつつ、つるこは尋ねます、「いいの? めんまを成仏させちゃって」と。
ところが折悪しく、めんまを家に送りがてらバイトに向かう途中のじんたんと遭遇、ゆきあつの機嫌は一気に急降下します。
そして、不機嫌さを隠そうともしない低い声色で、じんたんに対し「めんま……まだ髪は長いのか?」と質問をぶつけますが、そこで返ってきた答えは「俺らとおんなじに成長してんだよな、こいつ」というものでした。
その予想外すぎる内容に、よりいっそう青ざめながらも「美人か?」と畳みかけるゆきあつ。
とっさに否定の言葉を口にしかけたじんたんは、そこであの日のことを思い出してはたと踏みとどまり、かわりに「……ほどほどに、まあまあ、美人…っつか、可愛い系?」とつっかえつっかえ“本音”を吐露します。
傍目には下手な一人芝居にしか見えないやり取りを披露した後、とぼとぼと遠ざかっていくじんたんの後ろ姿を、脱力半分納得半分といった面持ちで見送るつるこ。
と、突然ゆきあつが、線路と歩道とを隔てる柵を力任せに蹴り始めます。
「ゆきあつが、壊れた……」
痛ましげに見守るつるこの存在など忘れ去ったかのように、ひたすら蹴り続けるゆきあつ。
ほどなく、ゆきあつの必死の懇願のお陰なのか何なのか、突如として超平和バスターズの面々に花火打ち上げの許可が下ります。
喜びもそこそこに、早速準備に取り掛かる一同。
しかし、作業の最中もめんまを構うのを止めないじんたんを目の当たりにして、あなるの心は暗く沈み込みます。
叶わない、昔も、今だって、めんまには、と――。
打ちひしがれ、頬を濡らす涙を隠すようにしながらその場を離れたあなるを追ってきたのは、しかし彼女にとっては意外すぎる人物でした……。

個人的には、いわゆるハーレム構造の物語はあまり得手ではないので、あの花のような登場人物数の絶対的な少なさからは想像もつかないくらい入り乱れた人間関係は、非常にオイシイと言わざるを得ません。
っていうか、現在の混乱っぷりを主に演出しているのは、他の誰でもない、ゆきあつさんなわけですが、いったい彼は何を思ってあなるを“口説く”などという暴挙に出たんでしょうか(ホント、何爽やかに「ナイスミドル」とか言ってんだよ!みたいな)。
間違っても本気のはずはなく、かといって、ただ単にからかうにしては悪質極まりない、どこまでも軽い口調の誘いかけ。
ここはやはり、ゆきあつお得意の自虐の一環と見るのが妥当かと思われますが、ならば何故、最も身近にして、傍目にも友情以上の感情を彼に対して抱いていることが明々白々なつるこを無視するのか、まったくもって不思議でならないというのが正直なところです。
だって、いい女じゃん!
可愛いじゃん、つるこ!!(力説)
もっとも、これでもし最終的にゆきあつとつるこが付き合う的な流れになったら、それはそれである種の畏怖の念というか、自虐と諧謔と揶揄に満ちた会話を交わす寒々しいカップルの光景しか、脳裏に思い浮かべることができなかったりもするんですが……(汗)。
……あれっ?
でもそれって、もしかして今と何が違うっていうか、実質何も違わないじゃん!って感じですかね……?(苦笑)

一方、主役たるじんたんとめんまの関係にも再びの変化到来。
水辺にたたずむめんまの姿を橋の上から見つけたじんたんは、あの日の再来かとばかり総毛立ち、後先も顧みずに走り出します。
いなくなって欲しくない、消えて欲しくない、ここに――自分達とこれから先も一緒にいて欲しい。
そんな本音を、不完全な形ながらもようやく面と向かって口にすることができたじんたん。
めんまの願いと自分の欲との狭間で揺れ動く心情に、残りわずか2話でいったいどんな決着をつけるのか、そしてまた、あの日の“真相”についてぽっぽは何を知り、何を思っているのか、まだまだ謎も見どころも尽きません。
さらに、ここまで頑なに傍観者の立場を崩さずにいる我が愛しのつるこが、対ゆきあつを含め、錯綜する人間関係に今後どんなふうに分け入ってくるのか、彼女のぽっぽ以上に判然としない内面描写の深まりを切望しつつ、次回を心待ちにしたいと思います。

合掌。ただただ合掌。

2011年06月10日 | Weblog
皆様よくご存知の通り、昨日6月9日、声優・川上とも子さんが逝去されました。

http://baobab.dreamlog.jp/archives/4981754.html
「ぷろだくしょんバオバブ デスクのつぶやき:ファンの皆様へ」

『ヒカルの碁』のヒカル役、『ケロロ軍曹』の冬樹役、そして『少女革命ウテナ』のウテナ役等が代表作として知られる川上さん。
ですが、私にとっては何より、一連の〈ARIA〉アニメシリーズのアテナ・グローリィ役を演じられている方という認識でした。
朴訥で、人が好くて、後輩思いで、ちょっぴりおっちょこちょいで……。
さらにその優しい人柄に加えて、伸びやかで深みのある歌声が聴く人の心をとらえて離さない――そんなアテナ先輩が、川上さんの自然な演技と相まって本当に大好きでした。
もしかしたら3大妖精の中では一番目立たなかったかもしれないけれど、作中語られたエピソードのひとつひとつに心がほっこり和んだという方は、私も含め、放送当時きっと大勢いらっしゃったはず。

でもこれから先、動いて、喋って、歌っているアテナ先輩を見ることはできない。
3年前の8月に急逝された歌声パート担当の河井英里さんの後を追うように、川上さんもまた遠い空の彼方に旅立ってしまった。

悲しくて、悔しくて、信じられない、否、信じたくないというのが、今の率直な心境です。
享年41歳。
この場を借りて、謹んでお悔やみを申し上げます。

すみません、あの花9話の感想は明日以降、気持ちを切り替えた上で改めて書かせていただきます。
今はとてもそんな気分になれなくて……。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第8話「I wonder」

2011年06月03日 | Weblog
小さな街の、小さなコミュニティの中の、そのまた狭い人間関係を描いているからこそ可能な、かゆいところまで手が届く人物描写。
登場する誰も彼もが“取り残されている”物語にあって、これまでほとんどスポットライトが当たらずにきためんまの弟・聡志、彼もまた例外ではなかったことがとりわけ強く印象に残った第8話でした。

花火打ち上げ計画に横槍を入れてきたのが、他ならぬめんまの父親であることを知った超平和バスターズの面々は、将を射んとすればまず馬を射よということで、改めて本間家を訪ねて、母・イレーヌに承諾の口添えを頼もうとします。
しかし、当初は笑顔で彼らを出迎えたイレーヌの態度は、じんたん達が用件を切り出すや否や一変。
怒りに肩を震わせ、はらはらと涙を流しながら、娘をだしにして結局自分達が楽しんでいるだけ、あの子の時間は止まっているのにどうしてあなた達は大きくなっているのかと、愛娘の旧友達を十把一絡げにして一方的に責め立てる異様な展開に。
憎悪と怨念に満ちた罵倒を前に返す言葉などあろうはずもなく、一行は逃げるように本間邸を後にします。
この惨憺たる結果を受けてゆきあつは計画の断念を主張しますが、案に相違してじんたんが出した結論は「自分1人でも花火は上げる」というものでした。
心配するあなるをよそに、有言実行とばかりにさらにバイトを増やすじんたん。
けれども、ついこの間まで引きこもり生活を続けていた彼の体力は、とうに限界を超えていました。
連日連夜に渡る肉体の酷使に寝不足が重なってついに倒れたじんたんは、それでも目を覚ますとすぐに仕事に戻ろうとします。
そんな彼の背中にすがりついて、必死に引き留めようとするあなる。
あの時、じんたんがめんまのことなんか好きじゃないと言ったことが嬉しかったこと。
そしてそう思った自分を、じんたんを好きだった自分を、今も許せずにいること――。
血を吐くような独白と共に、熱い涙がTシャツをしとどに濡らします。
しかしあなるの懸命の訴えも、決意を固めたじんたんの歩みを止めることはできませんでした。
歯を食いしばり、苦渋の表情を浮かべながらも、あえてあなるを一顧だにせず早足で部屋を立ち去るじんたん。
その背に向かって、あなるは怒りと自己嫌悪に満ちた叫びをぶつけます。
もし本当にじんたんのところにめんまがいるのなら、願いを叶えたらめんまはいなくなってしまう、それでもいいのか、めんまのことが好きなのに、と……。

学校に行かず、近所の目を気にするあまりほとんど外出もせず引きこもりっぱなし。
そんな自分に対し、恨み言ひとつこぼすでなく、ただいつもニコニコと笑って見守るだけの父・篤の態度を、じんたんはずっと不思議に思っていました。
しかし、愛娘を失って以降、外部との接触を事実上絶ってしまっためんまの母親を目の当たりにして、否応なく気づかされたのは、ごく単純な“真理”。
そう、親たる者が何より望んでやまないのは、我が子が生きてこの世に“在る”こと――ただそれだけ。
篤の場合、最愛の妻に先立たれるという悲嘆を経験しているぶん、ひときわその思いを強く抱いているであろうことは自明の理でした。
他にも涙腺が緩むシーン目白押しだった今回の中でも、個人的に一番グッと来たのが、このお墓参りのシークエンス。
引きこもる息子の身を案じつつ、その胸の内が読めないことを秘かに気に病みつつ、それでもちっぽけな世間体など脇にうっちゃって、じっと“待つ”ことができる篤パパは、まさに親の鑑にして理想像そのものと言っても過言ではありません。
そして彼の底知れぬ優しさ、器の大きさは、いまだ不完全な形ながら息子にもしっかりと引き継がれ、超平和バスターズ復活の最大の原動力となります。
どんなに否定されても、面と向かってなじられても、一度こうと決めたことは絶対に曲げず、路傍の雑草のごとく粘り強く何度でも立ち上がり、前進を続けるひたむきな姿。
あなるに(恐らくは)するつもりのなかった告白をさせる一方で、ゆきあつの内に秘めた嫉妬心をこれでもかとばかり煽りたててやまないその一途さが、じんたんをして本作の主人公たらしめている重要なファクターであることは言うまでもありません。

近年稀に見る濃密な人間ドラマも、残すところあと3話。
次回、ようやく巡ってきそうなつるこのターンへの期待に胸をときめかせつつ、この先まだまだ山積しているであろう波乱万丈の展開を心して待ち受けたいと思います。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第7話「ほんとのお願い」

2011年05月27日 | Weblog
そりゃあ確かに基本2人でつるんじゃいますが、でもだからって、言うに事欠いて「ゆきあつるこ」はないでしょ、あなる!(爆!!)
スタッフ(というか岡田さん)が、今回このタイミングでウケを取るところまで考えた上でのあだ名だとしたら、まさしく深謀遠慮と言うほかありませんが……(汗)。

売り言葉に買い言葉状態で家出が成立(?)したため、晴れてぽっぽとの秘密基地暮らしを始めることになったあなる。
呆れながらも、とりあえずは静観することに決めたじんたんは、2人と共にいよいよめんまの日記の解読に着手します。
ところが、いざ開陳された日記には、「今日もみんなで遊んだ。楽しかった」レベルのごくありふれた定型文が、毎日判で押されたように記されているばかり。
一度はがっくりと肩を落とした3人でしたが、細かく読み進めていくうちに、ところどころ違った記述があることに気がつきます。
そうして行き当たったのが、当時入院していたじんたんの母の快癒を願う手紙を天に届けるべく練った、無謀にして壮大な花火打ち上げ計画でした。
きっとこれこそがめんまの“ほんとのお願い”に違いないと意見の一致を見た3人は、ゆきあつとつるこを招いて、改めて計画実現のための具体策の検討に入ります。
しかし例によってゆきあつが、法律を盾にこれを一蹴。
秘密基地からの帰り道、先日よみがえった記憶の件――めんまが亡くなった当日、皆に招集をかけたのはそのめんまだった――を何故じんたん達に告げなかったのかとなじるつるこに、ゆきあつは低く乾いた声でつぶやきます。
あの日の集まりは、本当はじんたんに関するある“相談”をするために、当のじんたんには秘密にして行なわれるはずだった、と。
一方、そんなゆきあつ達サイドの事情など知る由もないじんたんは、父親の知り合いの花火師が出した「個人で龍勢を打ち上げるためには最低でも20万円必要」という条件をクリアするべく、昼夜掛け持ちでバイトをする決意を固めますが……。

めんまとの“再会”をひとつの契機として、高校入学以来続けてきた引きこもり生活からの脱却を、一歩一歩着実に進めるじんたんの姿に明るい未来を予感した、まさにその瞬間を狙い撃つかのようにラストに用意されていた、めんま母の衝撃的すぎるひと言――「許せないわよね」。
上げて↑落とす↓のがこの手の作劇には付き物とはいえ、いやはや本当にエグいですね~、えげつないですね~(ガクガクブルブル)。
オカマリさんってば、本領発揮しすぎ!
しかもまだ7話!!
この状況で、あとたっぷり4話も残ってるってどういうこと!?
岡田さんの場合、過去から積み上げてきた多種多様な前科(←人聞きの悪いこと言わない!)を思うと、これでもほんの序の口という可能性が無きにしもあらずだったりするのが、恐ろしくもあり、楽しみでもあり……。
この先待っているであろう、山あり谷ありジェットコースターストーリーにおける“谷”の果てしない奥深さに、今から身震いを禁じ得ません。

それにしても、前回あたりからちょいちょい発揮されるじんたんの漢(と書いて“おとこ”と読む)前っぷりは、マジぱねえっすね!
たどたどしさ全開ながらも必死にあなるをかばったり、目標ができた途端これまでの無気力をかなぐり捨てて一心不乱にバイトに精を出したり……。
しかも、ほとんどのシチュエーションにおいて、彼自身はとことん無自覚というオマケ付き。
強くてたくましいみんなのリーダーとしてのじんたんに、共にひとかたならぬ憧れを抱いてきたあなるとぽっぽが、奇しくも同様の感慨――「カッコイイな」「かっけぇんすよ」――を抱くのも、まったくもって無理からぬ話です。
特に、久しぶりに会ったじんたんが超平和バスターズ時代の輝きを失い、自分の殻に閉じこもってしまっていることに、あるいは内心幻滅と落胆を覚えていたかもしれないぽっぽが、工事現場で甲斐甲斐しく立ち働く旧友に向けた誇らしげな眼差しには、思わず胸が熱くなりました。

そんな静かな感動を、下手をすれば台無しにしかねないほどに鬼畜なラストの引きに岡田さんの本気を見た今回。
よりにもよって、願いを叶えて欲しい当事者たるめんま自身の足元から、思いもかけない形で上がった反乱の狼煙が、よみがえりつつある超平和バスターズの面々の絆をどう揺さぶるのか、そしてこのあまりに高すぎる壁をじんたん達がいかにして乗り越えていくのか、両の眼(まなこ)をおっ広げて見守っていきたいと思います。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第6話「わすれてわすれないで」

2011年05月20日 | Weblog
まさかのエッチスケッチワンタッチ!
な、懐かしすぐる……!!(泣笑)

衝撃のゆきあつ女装発覚から2日、何かに背を押されるようにじんたんは学校へと向かいます。
しかし本人の意気込みとは裏腹に、その日校内の話題をさらったのは、他ならぬあなるの援交騒動でした。
やきもきするじんたんの目の前であなるを襲う、クラスメイト達のあからさまな好奇の視線とひそひそ声。
ノートを取るふりをしながら必死に耐える彼女の姿にカッとなったじんたんは、後先顧みずに席を蹴って立ち上がるやいなや、自らをだしに、懸命にあなる擁護の演説をぶちます。
しどろもどろながらも、決めるべきところはビシッと「こいつは絶対に援交なんてしない!」と断言するじんたんに、感激の面持ちを隠せないあなる。
ところがそのじんたんが、混乱と興奮のあまりいらぬことまでベラベラと口にし始めるに及んで、これはまずいと慌ててカバンを引っつかみ、疾風のごとく教室を飛び出します。
ひとまず近くの公園に落ち着いた後、とにかく一度家に帰れとうながすじんたんに対し、あなるはこれを憤然と拒否。
さらに秘密基地に乗り込むと、現在の事実上の家主であるぽっぽの迷惑もかえりみず、ほとぼりが冷めるまで当分の間ここで暮らすと一方的に宣言します。
思いがけない成り行きに困惑顔を見合わせるじんたんとぽっぽ。
と、やおらそのぽっぽが、いつになく真剣な表情で切り出します。
めんまの“お願い”探索の一環として、これからみんなでめんまの家に行ってみないか、と。
一方ゆきあつは、ぽっぽからメールで届いた本間邸訪問への同道の誘いを、試験が近いという非常にもっともな理由で一蹴。
しかし、西武線に揺られて帰る道すがら、つるこが何気なく口にした「あの日、招集をかけたのはじんたんではなくめんまだった」という一言にはたと瞠目し、その流れで長いこと蓋をしてきた禁断の記憶をひも解きにかかりますが……。

めんまが(生きて)いた過去に、いまだ心を残したままの母親。
娘の死を“現実”として受け入れなければならないと妻を諭し、家族が前に進むために必要な処置と称して、あえてめんまの部屋を片付けさせた父親。
自身の存在、あるいは“不在”を、両親や弟が外部からの干渉によって強制的に想起させられる事態を、徹底的に厭うめんま。
そして、自分のことはヘラヘラ笑ってやりすごし、泣くのは決まって自分以外の誰か他の人のためというめんまの“本質”を小さい頃から見抜いていて、そのことにずっともどかしさとやるせなさを抱き続けきたじんたん――。
本作に登場する誰もが優しくて、弱くて、不器用で、だからこそ愛すべき人達なのだということを、改めて痛感させられた回でした。

ちなみに今回、何気に一番ホッとしたのは、あなるの援交騒ぎの元凶とも言うべき2人の女友達――春菜と亜紀が、あなるの身を案じるような眼差しを彼女に向けていたこと。
もちろん、あなるがすべての発端である自分達のことを教師に“告げ口”するかもしれないと、秘かに恐怖していただけという可能性がないわけではありません。
ただ、じんたんを引き連れて教室を飛び出していくあなるを見送る表情から、これまでのような小ずるい軽薄さが嘘のようにかき消えていたのも、また事実。
あなるのため、そして他ならぬ春菜と亜紀自身のためにも、彼女達の気遣いが本物であることを心から願ってやみません。

家族には自分のことを忘れて欲しいと涙ながらに訴えるめんまは、では何故10年の月日を飛び越えて現世に舞い戻ったのか。
それもただ1人、じんたんにのみ感知し得る存在として――。
めんまの母親から託された日記に、果たしてその答えなりヒントなりが記されているのか否かを含め、折り返し地点を過ぎてなお謎がてんこ盛りのあの花から、今後ますます目が離せません!

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第5話「トンネル」

2011年05月13日 | Weblog
じんたんの行き止まり感がハンパない分を穴埋めするかのように、時々刻々と存在感を増していくあなる、ゆきあつ、つるこ。
そして、皆どこかしら病んでいる中、ただ1人、辛うじて常識人の範疇にとどまっているかと思われたぽっぽもまた、深い闇にとらわれていることが暗示されたラストに、言い知れぬ衝撃を受けたことは言うまでもありません。
いやはや、オカマリこと岡田磨里さんの中ではいったいどうやって、現在こちらも絶賛放送中のオリジナルアニメにして朝ドラ的コメディテイスト満載の『花咲くいろは』と、このあの花との整合性というか心的バランスを取っているのか、かなり真剣に小一時間問いつめたい気分です。

前回のラストで、女装癖――めんまのコスプレが超平和バスターズの面々にバレてしまったゆきあつは、とっさに後を追ってきたじんたんを地面に引き倒すなり、その胸倉をつかんで涙ながらに思いのたけをぶちまけます。
あの日めんまが死んだのは自分のせいだ、自分があんなことを言ったからめんまは死んだ、だからもしめんまが現れるなら自分のところであるべきだ、化けてでも、呪ってでも、自分の前に、と。
けれどもめんまは自分の前には現れなかった、だからめんまはもうどこにもいない――。
そうやってゆきあつが自虐的な告白を延々と垂れ流す様を、少し離れたところから痛ましげに見守るつるこは、うろたえるあなるとぽっぽを制しながらつぶやきます。
「お願い! あのまま……。チャンスなのよ。これを逃しちゃったら、きっと、もう……」
一方めんまは、今確かに自分が彼らと共にここに“存在している”ことを証明するべく、ある“魔法の言葉”をじんたんを介してそっと告げるのでした。
「めんまが、ゆきあつに…パッチンありがとう、ごめんねって……」
小さな花があしらわれたシンプルな髪留め――それはあの運命の日、秘密基地を飛び出したじんたんに追いすがっためんまを強引に呼びとめたゆきあつが、意を決して「大好き」と告げながら手渡そうと試みたものの、じんたんのことで頭がいっぱいなめんまにあっさりかわされ、フラレた腹いせに近くの草むらに力いっぱい投げ捨てた曰く付きの代物。
当事者である2人以外は決して知るはずのない“事実”と、思いがけず時を飛び越えて対峙させられたゆきあつは、一瞬ハッと表情を強張らせた後、無言でその場を立ち去ります。
すれ違いざま、つるこに対し「……満足か?」という揶揄を含んだ一言を叩きつけて――。
翌日、最近の不義理を高校の悪友からねっとりとなじられたあなるは、学校帰りに彼女達の知り合いの社会人となし崩し的に合コンさせられる羽目になってしまいます。
もちろん本意ではないあなるは、カラオケの間もずっと上の空。
ついに耐えきれなくなって、1人先に帰ろうとしますが、つまらなそうにしていた理由を自分の都合のいい方向に解釈した合コン相手の男に、無理やりホテルへと連れ込まれそうになります。
人気のないホテルの前で必死に抵抗するあなるの危機を救ったのは、飯能駅のホームでつること2人、所在無げに次の電車を待っていたはずのゆきあつでした――。

ゆきあつとつるこがそれぞれ同じように机の引き出しに忍ばせている、新旧2つのパッチンの意味。
すでにこの世の存在ではないはずなのに、じんたんと2人きりの時にかぎって、様々なものを普通に口にするめんまの不思議。
そして、嘘八百を並べ立てて“悪漢”の手からあなるを救い出した、その舌の根も乾かぬうちに、「処女か?」や「俺と付き合ってみるか」などといった、とんでもない発言を矢継ぎ早に繰り出して平然としているゆきあつの歪んだ精神性etc...
呆れるほどに至るところ地雷だらけな展開に、いくらため息をついてもつき足りません。
めんまのことを除けばファンタジー性など皆無、ただひたすら狭い世界の狭い人間関係を、過去と現実を交差させながら描いている“だけ”の物語を、ここまでドラマチックに見せる、もとい、魅せる作劇のクオリティの高さには、毎度のことながら本当に頭が下がります。

それにつけても、あなるの危なっかしいことったら!
バスターズの面々といる時の、肩の力が抜けたような自然な表情がことのほか魅力的なだけに、素の自分を身体の奥の方に押し込め、当たり障りのなさを懸命に演出しながら生きている“日常”とのギャップには、心底痛ましさを覚えずにはいられません。
岡目八目な立場にいる私達から見れば、そんな友達、友達じゃないよ! さっさと手を切っちゃいなよ!と声を大にして言いたくなりますが、そう簡単に周囲の人間関係を“仕分け”できないのもこの世の常。
一方で、あの一見チャラいだけの女友達'Sを、人情味溢れるバスターズサイドとの対比で“悪友”の地位に貶めたまま物語が終わるようなことは、できればあって欲しくないと考えるのは、さすがに高望みがすぎるでしょうか。

ゆきあつの心の闇に暴力的な形ながらも一条の光が差し込み、あなるも自身がじんたんに寄せる想いをはっきりと自覚した今、次に分け入るべきはつるこが抱える深遠。
とはいえ、ゆきあつのようにトラウマの輪郭がクリアになっているとはお世辞にも言えない彼女の場合、そもそも分け入るにあたっての取っ掛かりになる部分を探し出すのがまず困難というのが正直なところです。
個人的に作中一番のお気に入りキャラであるつるこに、今後どんなふうにスポットが当たっていくのか、どんな隠れた事情が彼女を今の“彼女”たらしめているのか、解明の道筋が見えてくるであろう次回をワクワクしながら待ちたいと思います。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第4話「白の、リボンのワンピース」

2011年05月06日 | Weblog
おおむね予想の範囲内のラストではありましたが、駄菓子菓子!
ここからいったいどういう方向に話を持っていくつもりなのか、まるで、これっぽっちも、見当がつきません……(汗)。

宴もたけなわのバーベキュー大会。
ぽっぽが見たという“めんま”を探しに出かけた面々が、目的を達せられないまますごすごと秘密基地に引き返すと、そこで1人黙々と肉を焼いていたゆきあつから、思いもかけない辛辣な言葉が発せられます。
自分の前に現れた“めんま”が、あまり大騒ぎせずそっとしておいてくれと言っていた、と。
これを聞いためんまは当然猛抗議。
じんたんはその必死の訴えをつっかえつっかえ“通訳”し、めんまが実在する証拠として持参した蒸しパンを皆に示します。
しかし、彼女の姿を他の誰も見ることができない以上説得力は皆無に等しく、その場はあきらめて引き下がらずを得ませんでした。
翌日、手詰まり感に打ちひしがれるじんたんの元を、意外な人物が訪ねてきます。
その人物――つるこがじんたんに依頼したのは、可及的速やかにゆきあつと接触し、彼が見たと称する“めんま”について詳細を糺して欲しいというものでした……。

そんなわけで、ついに来ました女装ゆきあつ!
まあ、厳密には女装ではなく、めんまの“コスプレ”という方が正しいかもしれませんが……(アイタタタタ!)。
じんたんを遥かに上回る長身に加えて、日々の鍛錬を物語るムッキムキの二の腕を力強く振りながら疾走するゆきあつの後ろ姿は、アニメ史に残る名場面(迷場面?)と言っても過言ではないのではないでしょうか。
いやもう本当に、思い出しただけで目眩が……(苦笑)。

超平和バスターズの誰もが、多かれ少なかれ脛に傷持つ身である中で、その内なる歪みが深さ・範囲共に病的なレベルにまで到達してしまっている感のあるゆきあつ。
めんまへの秘めた思いが嵩じた結果であることは火を見るよりも明らかですが、もつれにもつれた因果の糸を解きほぐすすべがあるのかと問われれば、現状ではその取っ掛かりすら見えないというのが正直なところです。
そしてそんな彼を、これまでつかず離れずの距離で見守ってきたらしいつるこの真意は、よりいっそう濃く、ぶ厚い闇の中。
あなるの健全なわかりやすさの対極にある彼女の動向が、今後の物語の鍵を握るに違いないと勝手ににらんでいるので、是非ともその期待が裏切られないことを祈るばかりです……。

【感想】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第3話「めんまを探そうの会」

2011年04月29日 | Weblog
1話のドムドムバーガー(作中ではボムボムだか何だかに変えられてましたが)といい、今回のコバトン(つるこが手にしたキーホルダー)といい、ちょくちょく挟んできますなあ、埼玉ご当地ネタ(笑)。

あなるとめんまに背中を押される形で、久々に学校に行く気になったじんたん。
ところが、登校途中に出くわしたあなるの友人(悪友?)2人の心ないからかいの言葉にカッとなり、結局そのままUターンして家へと舞い戻ってしまいます。
そこでじんたんが目にしたのは、嵐が去った後のような惨状を呈している台所。
いったい何が起きたのかと驚き呆れるじんたんに、例によって邪気の欠片もない満面の笑みをたたえためんまが差し出したのは、もはや原型をとどめていない蒸しパンのなれの果てでした。
レーズン入り蒸しパン――それはじんたんが幼い頃に亡くなった母が、超平和バスターズの面々によくふるまってくれた思い出の味。
またひとつよみがえった胸がしめつけられる記憶にしんみりしていると、その淀んだ空気を打ち破るように、突如呼び鈴が連打されます。
時ならぬ闖入者の正体は、言わずと知れたぽっぽ。
自分もまためんまを目撃したと興奮気味に語る彼に押しつけられた手作り感&やっつけ感溢れるチラシには、何故か「めんまを探そうの会」の文字が。
半信半疑のまま、途中で偶然合流したあなると共にたどり着いた会場の秘密基地には、驚いたことにぽっぽともう1人、冷ややかな空気をまとわりつかせたつるこの姿がありました――。

相変わらず導入からラストの引きに至るまで完璧と言うほかない第3話でしたが、それにつけてもいったいぜんたいめんまちゃんは、どこまでこの現実世界に干渉できるのでしょうか?
今のところ、じんたん以外の人の目に彼女の姿は映らず、もちろんじんたん以外の人に触ることもできない、なのに何故か料理(あれを料理と呼ぶべきか否かは大いに議論の余地がありそうですが。苦笑)はできて、作ったものをじんたんが食べることも可能というこの摩訶不思議。
もしその部分まで含めて、オールじんたんの妄想の具現化なのだとしたら、それはそれでかなりホラーだよなと、ちょっぴり寒気を覚えてみたり……(汗)。

あと、仮にもバーベキューをやろうというのに、最後に満を持して(?)登場したゆきあつ以外、誰1人まともな材料を持って来ないとはこれいかに!?(笑)
おかしいのは、曲がりなりにも食材の範疇に入れられないこともないものを用意した男性陣に対して、あなるは花火、つるこは蝋燭と、こちらはどうあがいても食べられない物体を、揃いも揃って女性陣が持ち寄ったこと。
どいつもこいつも非常識!とツッコミを入れるのは簡単ですが、あえて裏の裏に想像を巡らせてみれば、昔はともかく、今は事前に持ち寄る材料の分担を相談できるような仲とはお世辞にも言えない、かつての超平和バスターズのメンバーを、名目はどうあれ懐かしの地に集結せしめためんまの存在感の大きさを、暗に物語るエピソードという見方もできるかもしれません。

一事が万事、わかりやすいじんたん・あなる・ぽっぽに対して、内面を見通せない――何が何でも見通させないつることゆきあつの秀才コンビ。
その根深いわかりにくさに、もどかしさと同時に魅力を感じずにはいられない2人にも、そろそろ本格的にスポットが当たって欲しいと念じつつ、次なる4話を首を長くして待ちたいと思います。