ダメオタRの徒然雑記

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総評:『魔法少女リリカルなのは』シリーズ

2005-12-28 18:34:52 | 魔法少女リリカルなのはA's(了)
◆『魔法少女リリカルなのは』の物語とは
 これは言うまでもありませんね。平凡な小学3年生だった高町なのはが、様々な人との出会いと別れ、衝突と融和を繰り返しながら成長し、自分が出来ること、自分にしか出来ないことを見つけ、将来の道を選び、そこへ向かって進んでいく物語です。言うなれば、なのはが自分の力で、また自分で知り合った人達の強力を得て、その道を選び、進めるようになった時が、物語の終わりという事でもあります。

・将来の夢
 これは原作ゲーム版冒頭のなのはの台詞にも出てきており、この時のなのはは、アニメ版と違って漠然とした物ではなく、映像監督orお嫁さんという、自分の好きなもの、得意なことを十二分に活かせる仕事ということで、かなり前向きに考えていたようです。
アニメ版では、このAV機器マニアの設定がオミットされた(であろう)事、また小学3年生の少女が活躍する物語の関係上、恋愛ストーリーに絡ませ辛い、ということでなのはが翠屋を継ぐという選択肢以外の、なのはの目的意識が不明瞭な状況になってしまいました。アニメでは、翠屋の二代目について、「将来のビジョンの一つではあるけど……」と小生意気な事を言っちゃってますが、結局の所、自分がこれだ!と思える仕事がよく解っていない状況でした。社会科の授業での、「将来自分就きたい職業について、今から考えてみるのもいいでしょう」という先生の言葉、「なのはちゃんにしか出来ないことはきっとあるよ」というアリサ・すずか達の言葉に押される形で、なのはは俄に、自分の将来について考える事になります。

・魔法との出会い
 なのはの魔法は、いつも誰かを、何かを守るために使われる魔法でした。原作では、大切な思い出を守るため、アニメでは大切な友達を、ひいては友達や家族の生きる世界を守るために。ただ、どれをメインにするかの違いで、原作でもアニメでも、なのはの日常守護的な性格は変わらない訳ですけどね。
魔法との出会いは、同時に最高のパートナーキャラとの出会いももたらします。ここではリンディさん(原作)やユーノ君(アニメ)の事ではなく、クロノ(原作)、フェイト(アニメ)の事を指します。

・クロノとフェイト
クロノとフェイトには共通点が多々あります。逆に言えば、アニメ版になるに当たって、クロノからスピンオフした要素がフェイトになったと言ってもいいかも知れません。
クロノ・ハーヴェイ(原作)は、大厄災からミッドチルダを救うためのエネルギーとするために、遺失技術からイデアシードを復元・量産し、なのはの世界(=海鳴市)にそれをばらまきました。イデアシードとは、人の思い出を取り込み、エネルギーにする宝石です。結果、思い出を守るために魔法を使ったなのはによって止められ、人と人との触れあい、心の大切さ、思い出の大切さをなのはとの付き合いによって実感することになります。また、母を愛し、尊敬するが故に、このような手段をとるしか出来ない自分を恥じつつも、リンディから自分の記憶を消し、自分のファミリーネームさえも変えてしまうと言う目的への一途さを持っていました。
フェイトは、上の原作クロノのように、母への愛のために自分を押し殺して、なのはの制止の声も聞かずに目的(ジュエルシード獲得)を達成しようとしました。

なのはは、原作でもアニメでも、出会い、話し合う事によって逆に自分にとっての大切な物を浮き彫りにし、強く実感させられる相手に出会った訳です。自分が何をするべきなのか、何を守らなければならないのか、そのために自分にしか出来ないことは何なのか。人と人との触れあいは、自分とその相手でだけではなく、相手と相手の大切な人との触れあいでもあります。なのはは、その相手にとって、自分にしか出来ない、或いは自分だからこそ出来ることは何か、を考えられる子だったと思います。それが出来て、また実行できたからこそ、最後にはクロノとリンディさんを和解させることができたし(原作)、フェイトは過去を振り切り、新しい自分を始める決意をすることができたのだと思います(アニメ)。

・護る者としての信念
A'sシリーズでは、なのははどちらかといえば表面のはやてに対する裏面に位置する事が多かったのですが、それはある意味「なのは」というキャラの本質を1期でほぼ全て描ききったからと言えるでしょう。A'sでは、1期で確立させたなのはの護る者としての自覚や信念をより強める話だったと思います。これは、A's第11話における、「永遠なんてない」「いつかは眠る」「でもそれは今じゃない」「はやても夜天の書も助ける」の一連の台詞に示されています。11話の感想でも書いた事ですが、不屈の心をその名に持つデバイスのマスターらしい、意志ある言葉だったと思います。そういえば、例の主人公の武器の名前にも、「ハート」がついてましたな。

・新しい自分を始めるために
 なのはのテーマとしては、これはやはりはずせないかと。
1期OPテーマ「Innocent Starter」 Starterという時点で既に「始める者」ですし、それはフェイトの事でもあり、新たな人間関係の構築の中で、新しい人生、新しい価値観を持つようになるなのはの事でもあり。
2期OPテーマの最後の1節「きっとここから始める」にしてもそう。なのは達だけではなく、この世界に生きる人達もみんな、明日の自分を始めてる。変化する日常、それは日常の終わりではなく、新たな日常の始まり。
なのはは、その始まりを、みんなが迎えられるように、P・T事件や闇の書事件のような、始められなくなった人、始めることを放棄する人を救えるようになりたい、それがなのはが選んだ道──フェイト、はやて、クロノやユーノ達と共に、歩んでいきたいと思った道だったのでしょう。

そういう意味でも、13話のラストシーン
『Stand by Ready,』(レイジングハート)
『セーーーーット、アーーーーップ!!』(なのは・フェイト・はやて)
は、この『魔法少女リリカルなのは』を端的に表す、素晴らしいシーンだったと思います。





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