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奇面館の殺人 感想

2015-04-24 | Weblog
綾辻行人先生作、「奇面館の殺人」文庫版を読みました。感想です。

内容
奇面館の主、影山逸史が開催する奇妙な催し。彼から招待された人間は館内では鍵のかかる奇妙な仮面をつけ、素顔を晒してはいけない決まり。
初めて参加する鹿谷は実は招待されたわけではなく、同じ作家仲間の日向から頼まれての参加だった。ドッペルゲンガーを思わせるほど良く似た二人、日向は自分に成りすまして行って欲しいという。
日向は影山の先代、逸史の父に取材したことがあり、そこには誰にも見せようとしない貴重な仮面があるという。そして奇面館を建てたのはあの中村青司だった。
興味がわき参加をした鹿谷。そこには主である逸史の妙な催しの内容が明らかとなる。参加者は一人ひとり仮面をつけ、逸史に呼ばれたら彼と二人きりで会話をするというもの。会話が終了したら200万を貰えると言うのだ。
その常人には理解しがたい催しに、初参加ではない他の参加者が教えてくれる。
「彼はもう一人の自分を探しているんだ」、と。
影山家には代々言い伝えがあり、自分と姿が似た人間と出会うと幸福になれるという。今までの人生で暗い影を落とす事ばかりだったこと、親族の何人も自分とそっくりな人間と出会い驚くほど幸福になった事から、逸史は本気でもう一人の自分探しをしているという。
4月だというのに記録的な大雪に見舞われてしまい、身動きができなくなった一同。一晩眠り、明日には帰れるだろうと思っていたが翌日事件は起きてしまう。
主催者である影山逸史が殺された状態で発見された。それも、頭部が切り落とされ手の指も全部切断されているという無残な姿で。
使用人を除く参加者全員外して寝たはずの仮面をつけた状態で目が覚め、しかも鍵がかかり取り外す事ができなくなってしまった。

誰が殺したのか、犯人はどこにいるのか。吹雪では外部の人間とは思えない。となるとメンバーの中に犯人が?そもそも仮面をつけている者達は、中身は本当に本人なのだろうか。

疑心暗鬼になる中、鹿谷を中心に証拠探しと事件の洗い直しが始まる。そして浮かび上がるのは事件の奇妙なちぐはぐさ、日向が教えてくれた情報と何かが合致しない館や主の姿。
何故被害者は死ななくてはならなかったのか。何故あのような無残な姿にされる事となったのか。
今までかわしてきた全員との会話を繋いでいくと矛盾している人物が浮かび上がる。


・・・と、こんな感じです。
上下巻の2巻で、上巻が異様な催しとどこかひっかかる屋敷などの奇妙さ、そして事件。下巻はとにかく調査です。ひたすら見回りと屋敷の確認と他の人たちとの会話中心。
今回は非常に読みやすくわかりやすいミステリー。主人公の鹿谷が中心となって動いているのでとても丁寧に解説していました。あまりドキドキの緊張感はないかな。それは鹿谷が凄く頼りになるから安心して見れるって意味です。
ただ今回は館シリーズにしては珍しくスプラッタな死体でしたねー。なくなった頭部と指はちゃんと発見されましたよ、ちゃんとね・・・。
一瞬「殺人鬼」を思い出しましたよ。あれグロかったからなあ・・・かなり。

いや、なんかもう前回の暗黒館が


全然わからん・・・(長いのと視点がころころ変わるせいで)

こんな状態だったので、それに比べりゃなんとわかりやすい王道なんでしょう!という安心感。
しかしながらラスト、犯人もわかり何故こんなことを?という解説の時にどーんと投下された「つまりどういうことだってばよ?」という事実に驚きました。
あーこれで事件解決かーと油断してたので「え?ええ??ええええええ、どういうこと!?」と混乱しました。マジで。

一つは影山家の秘密。もう一つはこの催しに隠された事実。一気に二つ来たので眠気に支配されていた脳みそでは理解できず、翌日じっくり読み直しました。
読み直したら何も難しいことはなく、ちゃんと理解できましたよ。むしろ何故夕べはわからなかったんだ・・・?と思ったほど。眠気って凄いね。

館シリーズは綾辻先生が公言しているように、10作品書いたら終了らしいです。
十角館、水車館、迷路館、人形館、時計館、黒猫館、暗黒館、びっくり館、そして奇面館。あと1作ですよ。どう終わるんでしょうね・・・これでラスト中村青司が出てきたら面白いんですけどね(ありえないけど)

館シリーズを読んでない人はオススメです。王道ミステリーが読めますし、綾辻先生得意のどんでん返しも見ていて楽しめます。
全部読むのめんどくせ、という人は最初の十角、迷路館、時計館を見ればいいと思います。個人的にはびっくり館も好きですけどね。

そういえば囁きシリーズは緋色しか読んでないや。暗闇と黄昏はまだなので、ヒマだったら読もうかな。


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