ラクッコピコりんの紙芝居バックナンバーリスト

ピコりんの描いたお話を紹介します。

チニタの冒険「魔神半島」2ページ

2008-04-04 | チニタの冒険9

チニタはノコギリで雪を切り、雪のブロックを作りました。
そのブロックの形をノコギリで切り整え、
螺旋状に丸く積み重ねてゆきます。



見た目はかまくらと同じですが、これはイグルーといいます。
堅い雪があれば、意外と簡単に短い時間で、できあがります。
マタギは、このイグルー作りがとっても気に入りました。



イグルーは後から何棟も増設する事ができます。
入口から寒い空気が入る時はもう一棟くっつけて、奥の部屋より低い位置に入口を作ると
外からの冷気が入りにくく、小さな焚き火で中はとても温かくなるのです。
天井を一部切り取って、氷をはめ込むと、室内も明るくなります。



チニタとマタギはイグルー作りが面白くなり、
大きなイグルーを作ってしまいました。
時間を忘れ夢中になってイグルーを作ったので
帰る時間が遅くなってしまいました。
日暮れまでには、まだ時間はありますが、
海岸に着く頃には暗くなってしまいます。
途中で迷子になると危険なので、
二人はこのイグルーで一晩、寝る事にしました。



マタギは昼間に獲った鳥を焼きながらいいました。
「ここなら村人も楽しく暮らせそうだなぁ。」
食べ物もあるし、景色は綺麗でイグルーを作る雪も
たくさんあります。きっと村人もここが気に入るでしょう。

「そんな事より早く食べようよ!!」
「そんな事とは何だ・・・大切な事なのに。」



その晩、チニタはイグルーで久しぶりにぐっすり
寝ていました。風の音もイグルーの中までは届きません。
しかし、チニタはふと目を覚ましました。
どこからともなく、子供の悲しい歌声が聞こえてきます。



この歌は以前、黒魔神が歌っていた、あの悲しい歌です。
チニタは慌ててマタギを起しました。
しかしマタギにはこの悲しい歌声は聞こえないようです。
「それは空耳と言うんだよ。」
そういうとマタギは、また寝てしまいました。

「空耳じゃないよ!!まったく、もう!!」



チニタは外へ出てみました。
外には誰かが立っていました。「だれ?」
「チニタ!?チニタか!?僕だよ!!どうしてこんな所にいるんだ?」
なんと外にいたのはタクでした。



タクの後ろには真っ黒な子供が立っていました。
「うわ!!もしかしてあれ黒魔神じゃないか!?」
チニタは慌てて叫びました。
タクは「そうさ黒魔神だよ。よく知っているなぁ」と
感心した様子です。

「そうさ・・・・って、大丈夫なのか?」



タクは夏に、この黒魔神と出会い一緒に魔神半島を
旅していました。
夜は歌声がうるさくて眠れませんが、ケンカが強く
危険な魔神半島では心強い用心棒になるのです。

「とても良い子なんだよ。
この子に出会った時は殺されると思ったんだけどね。」

黒魔神は月夜になると凶暴になるのです。
特に今日のような満月の夜はとても危険です。
でも、この歌声が聞こえる時は
心が落ち着いているので安心です。


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