ラクッコピコりんの紙芝居バックナンバーリスト
ピコりんの描いたお話を紹介します。
 




表紙



この人は、ラルマニ村に住んでいるチニタの
友人のタクです。
タクはラルマニ村を出て魔神半島を旅しています。
「恐くないぞ!!僕だって伝説をつくるんだ・・・。」
タクはラルマニ村の次期村長候補者です。
とてもリーダーシップのある青年で、
村人からの信頼も厚い人なのです。



歴代の村長や、村長候補者はいろんな伝説や武勇伝
そしてカリスマ性があります。
タクには何もありません。
一人で魔神半島を冒険する事はとても無謀ですが、
タクは村長になるための自信をつけたいのです。

今日は満月、辺りは明るく夜でも歩けます。

ガサガサ!! 「ん?」



ガサガサガサガサ!!
「ギャァァ!!」黒い影が突然タクに襲い掛かりました。
動きが速くて見えません。
タクは黒い影に何度も殴られ、
とうとう起き上がれなくなってしまいました。


僕は死んじゃうのか・・・。
 こんな所に来なきゃ良かった・・・。」
タクに黒い影が近付いてきます。
タクは気絶してしまいました。

「大丈夫か!?・・・・ごめん。」



チニタは船に乗り、陸の孤島の村人と、
魔神半島の裏側のトコタン村を目指し航行しています。
船の中には食料もあり、ゲンパチと陸の孤島の村長は
すっかり元気になりました。

バタバタバタ!!甲板で見張りをしていた村人が
勢い良く部屋に入ってきて言いました。
「村長!!船が揺れるから気をつけてくれ!!」



甲板では大騒ぎです。
「岸に船を寄せろ!!早く!!」
なんと沖の方から流氷が迫ってきたのです。
流氷は船の何倍もある、大きな氷の固まりです。
衝突したら、木造船はひとたまりもありません。



船を岩陰に寄せ暫くここで停泊しなくてはなりません。
ゲンパチは残りの食料を気にしています。
船にはたくさんの食料が積まれていましたが、村人の
人数が多すぎるため、もう数日分しか残っていないのです。
いつまでも停泊していたら食料は底をついてしまいます。
しかし流氷がいつなくなるのか、誰にもわかりません。



次の朝、チニタとマタギは食料を探しに上陸しました。
ここは魔神半島。誰もが恐れ近寄らない土地です。
でも魔神半島の景色はとても美しく、
渡り鳥や鹿や小動物がたくさんすんでいます。
マタギは狩りが上手なので、
簡単に鳥を仕留めることができました。
木々はたくさん生えていて、中には立枯れした木も多く
薪にも困らないようです。
川も清らかで本当に素晴らしい所でした。



「ここの雪は硬すぎる」と、マタギがいいました。
マタギは、かまくらか、雪洞(せつどう)を作ろうとしたのですが、
雪が硬すぎて作業がはかどらないと言うのです。

かまくらは雪を盛って中をくりぬきますが、
雪を盛るのに時間がかかる上、雪が硬くて掘るのにも
時間がかかります。

雪洞は雪を堀り進め、雪の下に洞窟をつくります。
しかし雪が硬くては掘っている途中で、
力尽きてしまうかもしれません。

でもチニタはニコニコしながら
ノコギリを取り出しました。「堅い雪の方が簡単だよ」

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チニタはノコギリで雪を切り、雪のブロックを作りました。
そのブロックの形をノコギリで切り整え、
螺旋状に丸く積み重ねてゆきます。



見た目はかまくらと同じですが、これはイグルーといいます。
堅い雪があれば、意外と簡単に短い時間で、できあがります。
マタギは、このイグルー作りがとっても気に入りました。



イグルーは後から何棟も増設する事ができます。
入口から寒い空気が入る時はもう一棟くっつけて、奥の部屋より低い位置に入口を作ると
外からの冷気が入りにくく、小さな焚き火で中はとても温かくなるのです。
天井を一部切り取って、氷をはめ込むと、室内も明るくなります。



チニタとマタギはイグルー作りが面白くなり、
大きなイグルーを作ってしまいました。
時間を忘れ夢中になってイグルーを作ったので
帰る時間が遅くなってしまいました。
日暮れまでには、まだ時間はありますが、
海岸に着く頃には暗くなってしまいます。
途中で迷子になると危険なので、
二人はこのイグルーで一晩、寝る事にしました。



マタギは昼間に獲った鳥を焼きながらいいました。
「ここなら村人も楽しく暮らせそうだなぁ。」
食べ物もあるし、景色は綺麗でイグルーを作る雪も
たくさんあります。きっと村人もここが気に入るでしょう。

「そんな事より早く食べようよ!!」
「そんな事とは何だ・・・大切な事なのに。」



その晩、チニタはイグルーで久しぶりにぐっすり
寝ていました。風の音もイグルーの中までは届きません。
しかし、チニタはふと目を覚ましました。
どこからともなく、子供の悲しい歌声が聞こえてきます。



この歌は以前、黒魔神が歌っていた、あの悲しい歌です。
チニタは慌ててマタギを起しました。
しかしマタギにはこの悲しい歌声は聞こえないようです。
「それは空耳と言うんだよ。」
そういうとマタギは、また寝てしまいました。

「空耳じゃないよ!!まったく、もう!!」



チニタは外へ出てみました。
外には誰かが立っていました。「だれ?」
「チニタ!?チニタか!?僕だよ!!どうしてこんな所にいるんだ?」
なんと外にいたのはタクでした。



タクの後ろには真っ黒な子供が立っていました。
「うわ!!もしかしてあれ黒魔神じゃないか!?」
チニタは慌てて叫びました。
タクは「そうさ黒魔神だよ。よく知っているなぁ」と
感心した様子です。

「そうさ・・・・って、大丈夫なのか?」



タクは夏に、この黒魔神と出会い一緒に魔神半島を
旅していました。
夜は歌声がうるさくて眠れませんが、ケンカが強く
危険な魔神半島では心強い用心棒になるのです。

「とても良い子なんだよ。
この子に出会った時は殺されると思ったんだけどね。」

黒魔神は月夜になると凶暴になるのです。
特に今日のような満月の夜はとても危険です。
でも、この歌声が聞こえる時は
心が落ち着いているので安心です。


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この子は元々普通の子供でしたが、シサム達に目の前で
両親を殺され、日々を泣きながら過ごしていたのですが
目の前に黒い霧が出るようになり、
気が付くとこんな姿になってしまったのです。

黒い体になると、その悲しみはいっそう激しくなるのです。



マタギがやっと目をさまし、イグルーから出てきました。
すると、子供は突然マタギを殴りました。
「シサムめ!!!シサムなんか死ね!!」
「突然何をする!!やめろ!!」
マタギは抑えつけようとしますが、子供の力が
強すぎて防御するのがやっとです。

「わぁぁ!!また始まった!!」
「やめろ!!マタギは良い人なんだよ!!」
タクとチニタも慌てて子供を抑えつけました。



黒魔神は悲しみが大きくなると、正気を失い
凶暴になるのです。この子が大きくなると、
この程度の暴力では済まなくなるでしょう。

「シサムのことを考えると気が狂いそうになって、
わけがわからなくなるんだ。ごめんなさい。」
子供はマタギに謝りました。
「お互い怪我がなくてよかった。」



この子の名前はレク。
みんなから恐がられ、人里を追われてしまいました。

森で一人泣いていると自分と同じ黒い男に出会い
いつか普通の人間に戻してやるから魔神半島で
おとなしくしているよう言われ、長い間、ここで
過ごしていたそうです。
レクがいつも歌っている悲しい歌は、その男に
おしえてもらった、歌だそうです。

「お前の体からは黒の炎が出ていない。安心しろ。
 寂しくなったらこの歌を歌い、心清く生きよ。」



魔神半島には、たくさんの黒魔神がいるそうです。
中には体から黒い炎を上げて狂ったように他の黒魔神や
動物などを襲い続けている恐ろしい黒魔神もいるそうです。
黒魔神が人や動物を襲うのは夜で、特に今晩のような
満月の夜に寝ることはとても危ないそうです。

タクは仕方なく、昼間寝て夜起きるという生活をしながら
レクといっしょに旅をしているのです。



昔、マタギはラルマニ村で、古い言い伝えを書き残す
仕事をしていたのですが、その中に意味の解らない
不思議な文章があった事を思い出しました。

「黒の魂に呪われし者、不安になる事許されず。
不安は悲しみに、悲しみは憎しみに。
憎しみに心食い尽くされし者、黒の魂、呼び覚ます。」

ラルマニ村では人を傷つけたり、憎んだりする事は
堅く禁止されています。それはこの黒魔神になる事を
恐れていたからなのかもしれません。
「ラルマニ村長なら、黒魔神について、
もっと詳しく知っているかもしれないなぁ…」



次の朝、タクはチニタに別れを告げました。
「僕はこの子をつれてラルマニ村に戻るよ。
 レクを人間に戻すため頑張るよ!!」
タクはとても張り切っています。



チニタ達は船にもどり、村人を魔神半島につれてきました。
チニタは村人にイグルーの作り方を教え
立派なイグルーをたくさんつくりました。

ここはとても良いところですが、
黒魔神が心配なので夜起きて、昼寝ることにしました。
みんなが寝ている時は見張りをつける事にし
村の中央には見張り台が作られました。



マタギは狩りの仕方を村人に教え、
オキョウは怪我人の手当てをしました。
村はすっかり快適な村になり
みんな春まで元気に過ごせそうです。

チニタは、する事が無くなり、また寝てばかり・・・。
のんびり寝ていると故郷のラルマニ村を思い出します。
「タクは大丈夫かな?レクはどうなったのかな?」



その夜、チニタは小高い丘に登り
ラルマニ村の方角を眺めました。
水平線の向こうには天に昇る光が見えます。

厳寒の空気で水蒸気が結晶し、プリズム効果で
地上の光が天に昇っているように見えるのです。

あれはラルマニ村にそびえるラルマニの木に付いている
光界の姫のピアスの光です。
チニタのペンダントと同じ光・・・。



この村は、マタギ達に任せておけば大丈夫。
チニタは一人、ラルマニ村の光に向って歩き出しました。

おわり



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「かまくら」と「雪洞(せつどう)」と「イグルー」に
ついての説明いたします。

■1■「かまくら」と「雪洞(せつどう)」の違い

●かまくら
昔は「釜蔵」と書いたそうです。形が釜戸(かまど)に
似ている事から、かまくらと呼ばれるようになったそうです。


主に秋田県横手地方で、発展したと言われています。
旧暦の小正月(一月十五日)には、正月と言う事も
あり、男たちが、一年お世話になった家々に挨拶を
しながら各家で酒をご馳走になる習慣でした。
行く先々でお酒をご馳走になるので、その移動中、
酔いつぶれ凍死するという事件が頻発したそうです。
これを少しでも減らそうと、地域では、かまくらを作り
立ち寄り場としたのです。
中では子供達が遊びながら、道行く人に甘酒や餅などを
振る舞いました。
そのため、凍死者は格段に減ったそうです。
多くの命を救ったかまくらですが、今度はかまくらが
潰れ中にいた子供達が生き埋めになった事件をきっかけに
少しづつ「かまくら」という習慣も減っていったそうです。


●雪洞(せつどう)とは、積雪の深い部分を掘って作った
洞窟です。 冬山登山では急激な気象変化があり、
ビバーク(野宿)することもあります。
冬山は強風が急激に体温を奪い命を落とす
危険性が高いため、急いで穴を掘り穴の中に非難する
必要があるのです。


※関係ない話ですが雛人形の左右には「ぼんぼり」という照明器具が
付きものですが、あのぼんぼりを漢字で書くと
「雪洞」となります。
雪洞は、ロウソクや電球を覆うカサの部分の事で、
「せっとう」とも読むそうです。



■2■「イグルーの作り方」

●雪ブロックを切り出す際は、「スノーソー」という雪や氷を切る専用のノコギリを使います。
イラストはイメージです。刃先は様々なタイプがあります。

その他、鉈(ナタ)などを使う人もいます。
チニタの冒険では、緊急手段としてノコギリを使っています。
ノコギリでもブロックを作ることは可能ですが、直ぐに目詰まりし、うまく切り出せません。


●イグルーは雪のブロックを積み上げて作る簡易住居ですが、組み方は「段ごと」に組む方法と、「螺旋状」に組む方法があります。


段ごとに組む方法は比較的、形の美しいイグルーができますが、次の段を積み上げる際、雪ブロックの接点が一辺しか接触しないので、摩擦が少なく、押えていないと脱落します。
一方、螺旋状に組む方法は常に接触する辺が2辺あるので、摩擦が強く、脱落しにくいので、一人でも積み上げる事が可能です。



■3■「イグルーの天井と製作効率」

イグルーはドーム状に積み上げられているため頑丈です。



イラストはイグルーの断面図ですが、石橋のアーチの
ような形状になっていて、上からかかる重力は壁面に
沿って逃げる形になり、天井が落ちることはありません。
完成から時間が経過すると、各ブロックの接触面が
安定してきますので、一晩経てば人が上に乗っても
崩れる事はありません。

チニタの冒険ではブロックを別の場所から切り出し、
地面からドームを立ち上げていますが、実際のイグルーは
居住スペースから雪ブロックを切り出し、掘り下げます。
掘り下げた場所に切り出したブロックで天井を作るので、
最小限の労働力でイグルーが完成します。

完成したあと室内で焚き火をし内部表面の雪を融かします。
融けた雪は火が消えたあと凍り、ブロックどうしが
一体化するので、さらに強固になるのです。
しっかりとした固い雪で作られたイグルーは
1ヶ月以上使う事ができます。

イグルーは製作から、極寒での居住まで
考え尽くされた簡易住居なのです。




■4■「冷気を入りにくくするための知恵」

イグルーはイヌイットの簡易住居です。
イグルーを作るイヌイットはアラスカで暮らす少数民族です。
狩りなどで短期の滞在が必要な時に作られます。

●入口には、直接、風が入らないよう「防風壁」が
設置されています。

●入口は比較的小さく作られています。
まず一つ目のイグルーは「物置を兼ねた玄関」です。

●その先は「細い通路」がのびていて、一段高い部分に
「居間」があります。冷たい空気は下に下がるので、
一段高い事により寒気が入りにくいのです。

●居間では、火が焚かれています。イヌイットは魚や動物
の肉を生で食べる習慣があるので、特にここで肉を
焼くわけではなく、暖を取るためのものです。

●さらに奥に「細い通路」があり、一番高い所に「寝室」
があります。温かい空気は上に行き、寒い空気は下に
下がるので、居間の暖気は寝室に流れ、寝室の寒気は
居間に流れ出る仕組みです。

●イラストでは内部も雪が剥き出しで描かれていますが
 床や壁に、動物の毛皮などを敷くと、湿気も比較的
 少なくなり、とても温かく過ごせます。さらに各部屋は
 布で仕切ると、外気は奥の寝室までは侵入しません。

●居間と寝室には、酸素欠乏や一酸化炭素中毒などの
 対策のため、小さな「通気口」が開けられています。


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