ラクッコピコりんの紙芝居バックナンバーリスト

ピコりんの描いたお話を紹介します。

チニタの冒険 光のペンダント

2007-07-15 | チニタの冒険1

「チニタの冒険 光のペンダント」



ここはラルマニ村。
ラルマニ村の村人は、みんな働き者。
でも、チニタはいつも、寝てばかり。
気になることがない時は、丘の上で、いつも寝ています。



さいきん気になるのは、村で一番高い、
ラルマニの木のてっぺんに、何日もある雲のこと。
風がふいても木にくっついたままです。



村は昨夜の地震で大さわぎ。
「お~い!!チニタ!!無事だった?」友達のタクです。
タクは地震で困っている人がいないか、村中を歩き回ってきたようです。



どうやら、泉の洞窟の入り口に岩が落っこちて、
洞窟が、ふさがったらしいのです。
ラルマニ村には水道がありません。村人は洞窟の泉で
水を汲んで生活しています。
泉の洞窟に入れないのでみんな困っているようです。
何軒かの家も壊れ、みんな仕事を休んで
壊れた物を直したりしているようです。
しかも、昨日からラルマニ村の村長が行方不明で、
村人はとても不安な様子です。



タクはこれから、泉の洞窟の岩を、とりのぞく作業に
行くそうです。「チニタも行こうよ!!」
タクはチニタを誘いますが、チニタは木の上の雲が
気になるので、断りました。
タクは「いつも寝ているのは勝手だけど、
みんなが困っている時くらい手伝った方が良いよ」
と言って、怒って行ってしまいました。



寝ていたら、また誰かに文句を言われそうなので、
急いで荷物をまとめると、チニタはラルマニの木を
登りはじめました。
上に登っていくとラルマニ村がどんどん小さくなって見えます。
村人はみんな、泉の洞窟の方へ向っているようです。
洞窟の事も気になりますが、チニタには、雲の方が気になります。
チニタは、木のてっぺん目指して、どんどん登って行きました。



雲は、まだまだ上です。
今日は、ラルマニの木の様子が変です。
風もないのにザワザワ・・・。
鳥達が、近寄ってきて「なぜ木に登っているの?
上で大変な事が起きているのに…」と言いました。
やっぱり木のてっぺんで大変な事が起きているようです。
チニタは急ぎましました。



しかし、木はとても高いので、登っていると夜に
なってしまいました。
星空はキラキラとキレイです。
もう少しで、てっぺんです。



てっぺんをよく見ると少し明るくなっていて、話し声がします。
チニタは音をたてずに、こっそり登って行きました。
てっぺんに近づくと話し声がはっきり聞こえるようになりました。
「なんとかしろ!!」「雷を落とすぞ!!」「うるさい!!また振り回すぞ!!」
「姫!!大丈夫でございますか!?」
どうやら木の上でトラブルが起きているようです。


チニタの冒険 光のペンダント2ページ

2007-07-15 | チニタの冒険1

チニタはコッソリようすをみました。
言い合いをしているのは妖精です。
チニタは緑色の妖精を見た事があります。
緑色はラルマニの木の妖精達です。
白い妖精は見た事がありません。
いったい何が起こっているのでしょう?



その時、チニタは足を滑らせ落ちそうになってしまいました。
ガサガサガサ・・・・
大きな音をたてたので妖精達に気づかれてしまいました。
妖精達は次々と寄ってきて言いました。
「怪しい奴め!!何者だ!!!」
「何者でも良い!!姫をなんとかしろ!!」
「何とかしないと、ここから突き落とすぞ!!」



白い妖精達は、チニタをかつぎ上げ、
木のてっぺんまで連れて行きました。
木の上では、お姫様が木に足を挟まれ泣いていました。
チニタは妖精達になぜこんな事になったのか
聞いてみました。



足が挟まっているのは、光界のお姫様で
白い妖精は雲の精でした。
雲の精は、お姫様を天空の宮殿に連れて行く途中でしたが
辺りが薄暗くてラルマニの木が見えず、お姫様の足が
ラルマニの枝に引っかかってしまったと言うのです。
雲の精は、これ以上足が痛まないよう妖力を使って
お姫様の足を治しているのですが・・・。



昨日の夜に、ラルマニの精達が足を取ろうと
ラルマニの木を大きく揺さぶったので、
お姫様の足はひどく怪我をしてしまったのです。
どうやら昨日の地震は
ラルマニの木が揺れたのが原因だったようです。



ラルマニの精は「もう一度、木を揺さぶれば外れる」と
言いますが、これ以上お姫様の足が傷つくと、天空の神と
光の王からお叱りをうけるので、ダメだと言うのです。
雲の精は「雷を落として、ラルマニの木を真っ二つに
割ってしまおう」と言うのです。
でもラルマニの精達は「そんな事はさせない」と怒り出します。
ケンカばかりで、話になりません。



チニタは言いました。「僕はノコギリを持ってきたので、
こちらの枯れかかった木を切って、足を外そう」
でもラルマニの木は、切られるのがイヤなので
また怒り出しました。



チニタはニャッと笑いました。「僕はこれから下に降りて
昨日の地震はラルマニの木のせいだって言うよ。
まだ揺らそうとしているって言ったら、村の人は
慌てて切り倒すだろうね。」

ラルマニの精は仕方なく、チニタの言うことを
聞く事にしました。



ギーコ、ギーコ、ギーコ、
チニタは枝を丁寧に切っているので
ラルマニの木はあまり痛くないようです。



お姫様の足がやっと外れました。
雲の精も、ラルマニの精も、大喜びです。
でもお姫様の足の傷は雲の妖力では完全に治す事は
できません。お姫様が怪我をしたまま天空の宮殿に
行くと、雲の精たちが、罰を受けてしまうのです。


チニタの冒険 光のペンダント3ページ

2007-07-15 | チニタの冒険1

お姫様が言うには、天空の洞窟の中に
傷を素早く治せる泉があると言うのです。
天空の洞窟は、このラルマニの木の上空にもあるのそうです。
雲の精たちだけでは心配なので、
チニタも一緒に来て欲しいと言うのです



チニタは地上の様子が気になるので、断りました。
でも、雲の精達はチニタの話は聞かず、
お姫様と一緒にチニタを雲の上にのせてしまいました。
雲は上へ上へと上がって行きます。
空は少し明るくなってきました。



チニタ達は雲に乗ってすごく高い所までやってきました。
「ここが洞窟です。」お姫様が指差したのは
空に浮かぶ黒い穴でした。
洞窟の前には、恐ろしい顔をした門番が立っています。



お姫様は「あの洞窟に、地上の人は入れないので
私のペンダントをお持ちください。」と言って
チニタに光るペンダントをさしだしました。
雲の精達が「光の姫のおなりである!!」と大きな声で叫ぶと
洞窟の前に立っている門番はオドオドしながら
「どっ・・・どうぞ、お通りください・・・。」といいました。
お姫様は意外と偉い人達なのかもしれません。



洞窟はデコボコで、歩くのはとても大変です。
チニタは頑張って洞窟の奥に進みました。
でも、歩いても歩いても泉はありません。
お姫様は光界の妖精なので、長い時間
光にあたらないと弱ってしまいます。



早く泉に入って地上の光を浴びないと
お姫様は、死んでしまうかもしれません。
雲の精達はチニタを急かします。
チニタがあわてながら歩いていると、
洞窟は行き止まりになっていました。
鍾乳石が道を塞いでいるのです。
大変です。泉はもっと奥にあるのです。



雲の精は体当たりをして、鍾乳石を壊そうとしますが
鍾乳石は硬くて、ビクともしません。
チニタのリュックには、色々な物が入っています。
リュックの中にはピッケルが入っていました。
「そんな便利な物があるのなら、さっさとだせよ!!」
雲の精は怒鳴りながらチニタからピッケルを取り上げ
勢い良く鍾乳石を割りました。



鍾乳石が割れると、雲の精達は「お前のせいで遅くなった!!
急げ急げ!!」と、もっとチニタを急かします。
「ええっ!!僕がピッケルを持っていたから鍾乳石を割る事が
できたんじゃないの~!?」チニタがそう言うと、雲の精は
もっともっとチニタを急かしました。
チニタは昨日から、全然寝ていないし、休んでもいません。
もうクタクタです。
「あなたのお陰で助かりました。泉はもう直ぐです。頑張って
ください。」お姫様には不思議な力があるようです。
お姫様から話し掛けられると、暖かい気持になり
もう少し頑張れそうな気持になるのです。



洞窟を暫く進むと、今度はオーロラのように輝く
光りの幕が、ありました。
お姫様が言うには、この光りの幕を通ると、
怪我が治る地上界の泉に導かれるというのです。
チニタには、どういうことなのか、理解できません。



光の幕をくぐると、洞窟は急に真っ暗になりました。
ペンダントと、お姫様が、光っているので
なんとか歩けますが、暗くてとても怖い洞窟です。
そのとき、奥の方から不気味な声が響いてきました。

「うううう・・・・。」

チニタの冒険 光のペンダント4ページ

2007-07-15 | チニタの冒険1

チニタの目の前には火の玉がフワフワ・・・。
不気味な声はだんだん大きくひびき「チニタ~チニタ~」
と呼んでいます。チニタは怖くて目をふさぎました。
その時、誰かがチニタの肩を叩きました。「チニタ~!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」チニタの叫び声が洞窟にひびき渡りました。



「チニタ、驚かせないでよ」
よく見ると、肩を叩いたのはラルマニ村の子供でした。
「チニタだよね?村長が怪我をしているんだよ。助けてあげて」
よくみると、ラルマニ村長や村の女の人もいます。
何がなんだかわかりません。
「なんで、ラルマニ村の人たちが天空の洞窟にいるんだ!?」



お姫様は弱々しい声でいいました 。
「天空の洞窟は、世界のさまざまな洞窟につながっています。
天空の洞窟は、私の傷にあった泉を探し
ラルマニ村の洞窟に導いてくれたのです。」
目の前には、見慣れたラルマニ村の泉がありました。



泉に入るとお姫様の足の傷はみるみる治って行きました。
ここはラルマニ村の泉の洞窟の中・・・・。
チニタは、昨日タクが言っていた事を思い出しました・・・・。
地震のせいで、泉の洞窟の入口はふざがっているはずです。
お姫様は傷が治ったら、光を浴びなくてはならないのに、
地上に出ることが出来ません。
村長達も大怪我をしています…。



チニタは、来た道をみんなで帰る事はできないのか
雲の精に相談しました。
でも、地上の人は、天空の洞窟に行く事はできないのです。
この洞窟を通り抜けられる地上人は
お姫様からペンダントを渡されたチニタだけ・・・。
お姫様も、暗い洞窟を通って運ぶよりも
焚き火の光があたる所にいた方が、良いのかもしれません。



「僕達、ここで死んじゃうのかなぁ?」
村の子供がシクシク泣きだしてしまいました。
チニタは「表でタク達が石を取り除く作業を
しているから大丈夫だよ」とはげましました。
でも石が取り除かれるには、まだまだ時間がかかりそうです。
村長達は怪我をしたまま、長い間
洞窟に閉じ込められているし、光界のお姫様も、
すっかり弱っています。もう時間がありません。



雲の精は、チニタに一緒に洞窟を戻り
天空の洞窟から、地上に降りて欲しいと言います。
雲の精だけでラルマニ村に行っても、村人に気づかれなければ、
地上の住人とは話ができないのです。
モタモタしていられません。お姫様の体からは光が消え
とうとう気絶してしまいました。
はやく洞窟の入口を開けなくてはなりません。
チニタは雲の精達と一緒に洞窟を戻る事にしました。



チニタは雲の精と一緒に、洞窟を戻りました。
でも、どうやって岩を取り除くか知りません。
チニタは雲の精に聞いてみました。
「なにか岩を取り除くアイディアがあるの?」
しかし、雲の精は「それを考えるのは
お前の仕事だろ!!考えろ!!」と怒鳴るだけ。
困ると雲の精はなんでもチニタに押し付けます。



チニタは洞窟を走りながら、岩を取り除く方法を
考えました。でも、走りながらでは、
よいアイディアはうかびません。
チニタ達が天空の洞窟の入口に到着すると
雲の精達は、素早く雲に乗り込み、
チニタと一緒にラルマニ村へ、急降下しました。
「いそげ~!!いそげ~!!」



ラルマニ村の洞窟の入り口には、たくさんの村人が
集まっていました。
タクをリーダーに、村人が石オノで岩を叩いています。
でも、作業は進んでいないようです。

チニタの冒険 光のペンダント5ページ

2007-07-15 | チニタの冒険1

チニタはちぎれ雲で、タクのところに行き洞窟の中に
ラルマニ村長と光界の姫がいることを伝えました。
しかし、タクは雲に乗ったチニタを見て神様と勘違い
しているようです。



「神様!!どうかこの岩を動かしてください」
村人はチニタを拝みはじめました。
ダメです。ラルマニ村の村人の力では、すぐに岩を動かす事は
出来ないようです。
太陽はかなり低くなり、もう直ぐ夕方です。
このまま太陽が沈んでしまったら、岩を動かしてもお姫様は
光にあたる事ができず、死んでしまうかもしれません。
「なんとかしなくちゃ・・・」



チニタは、雲の精達がラルマニの木を真っ二つにしようと
していた事を、思い出しました。
「雲の精!!あの岩を雷で砕く事はできない?」
すると雲の精達は「雲を集めれば、大きな雷を落とす事は
簡単だ!!」と言うと、辺りから雲が、どんどん集まってきて
クログロとした雷雲になりました。



「みんな岩から離れて!!雷を落とすよ!!」
チニタは村人に大声で叫びました。
村人は慌てて逃げました



ゴゴゴゴゴゴ…ゴゴゴゴゴゴ…ピカッ!! ドド~ン!!
雲の精達は岩に大きな雷を落としました。
しかし何度、雷を落としても岩はくずれません。
雲の精達も疲れてクタクタです。



チニタが焦っていると、どこからか、お姫様の声がします。
「チニタ・・・・。チニタ・・・・。
光のペンダントをお使いください。ペンダントを
岩の上に置き、そこに雷を落とすのです。
雷の力と光の妖力で、岩はくずれるでしょう・・・。」



チニタは、雲から飛び降り、岩にペンダントを置くと雲の精に
向って叫びました「ここ!! ここに大きな雷を落として!!」
雲の精達はムクっと起きあがり、雷雲を集めました。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴ…ゴロゴロゴロゴロゴロゴ…
「いくぞ!!」



ピカッ!! バキバキバキ!!ドド~ン!!!
ドドドドドドドドドドドドドドド!!

轟音と共に岩は崩れました。
村人から大きな歓声があがりました。



洞窟の中から眩しい光とともにお姫様が出てきました。
お姫様は、すっかり元気になって、
落ちていたペンダントを拾い、チニタにさし出しました。
「このペンダントはあなたの物です。お受取りください。」
光のペンダントは、雷が当たったのに傷一つついていません。
チニタは光のペンダントをお姫様から受け取りました。



雲の精達が洞窟の中からラルマニの村長を運び出し
ました。「おい!!村人ども!!この者は怪我をしておる!!
手当てをするがよい!!」と、雲の精は相変わらず
威張っています。
村人は地面に頭をつけお辞儀をしたまま、うごきません。
「みんな!!早く!!村長が怪我をしているんだよ!!」
チニタが叫ぶと村人はハッとして
村長の治療をはじめました。


「チニタの冒険 光のペンダント」6ページ

2007-07-15 | チニタの冒険1

タクが寄ってきました「あれ!?チニタじゃないか!!もしかして
きみは神様だったのか?」
チニタは呆れた顔でいいました。
「神様なわけないじゃないか・・・。小さい頃から僕を知って
いるだろ?もう眠いよ・・・。」
タクは「チニタすごい!!チニタすごい!!」と何度も叫び大喜びです。



雲の精は、お姫様を雲にのせると、チニタにお礼をいいました。
お姫様も、チニタにお礼をいいました。
もうすぐ日が沈みます。お姫様は天空の宮殿に行かなくては
なりません。 もうお別れです・・・。

お姫様はチニタに言いました。
「困った時は、その光のペンダントに話しかけてください。
私は必ず、あなたのお力になります」



チニタは「ありがとう」と言って手を振りました。
お姫様を乗せた雲は天空に向って飛んでゆきました。
「また、会えるかな・・・・。」



それから ラルマニ村ではチニタの話題で持ちきりに
なりました。
村長はチニタに、立派な家を作ってあげました。
そして「わしが引退したら、次の村長はチニタにしよう!!」
と、言いました。村人は大喜びです。



いつの間にかチニタは村の英雄になっていました。
どこで寝ていても、チニタの周りには、人だかりが出来て
しまいます。うるさくて寝ていられません。



チニタは今まで通り、のんびり昼寝をしたいのです。
何もいらないし、誰からも尊敬される必要もありません。
自分が気になる事をしたいだけ…。



「そう・・・・。いま、気になることは・・・・。」
チニタは、またラルマニの木に登りはじめました。



木のてっぺんに着くと、ラルマニの精が寄ってきて
「地震の事を村人に告げ口しなかったんだね。ありがとう!!」
と言ってチニタに感謝しました。



チニタは、お姫様を助ける時にノコギリで切った
木の切り口が気になっていました。
切り口をそのままにすると、雨水が染み込んで木が腐る事も
あるのです。チニタは、切り口に防腐剤を塗ると、
お姫様からもらったペンダントを外しました。
ペンダントは眩しく輝き、とてもキレイです。



チニタは笑いながら言いました。
「この木はラルマニ村の大切な木だからね。
地震を起こしたって誰も切ったりしないよ」
そういうとペンダントを木のてっぺんに縛りつけました。
「これで、このラルマニの木には誰も引っかからないと思うよ。」



チニタはラルマニの木を降りると
こっそりラルマニ村を後にし、冒険の旅にでました。



おわり


チニタの冒険2へ続く


ブログランキング参加しています。
どうか、あなたのワンクリックお願いいたします。
人気blogランキング
にほんブログ村 小説ブログへ

トップページに戻る