

今日も起床は遅め。空は晴れと言うには雲多めでしたが、ちょっと洗濯してから娘と共に電車でお出かけ。映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』を観て来ました。
映画を観る前にお昼を食べ、娘の買い物にも少しつきあいましたが、そこで思わぬ時間を取られ(娘のせいではないのですが)、シアターに飛び込んだのは時間ギリギリ。更に発券時にアクシデントがあり、窓口の人を介しての発券となりましたが、どうにか開演に間に合いました。
そんな個人的な事情はともかく、映画は面白かったです。骨組みや様式はアガサ・クリスティを彷彿させる本格ミステリ。それを現代アメリカを舞台にしての変換、アップデートが見事です。
序盤の登場人物紹介からして、映像作品ならではの技法が鮮やかでした。ミステリなので現時点でのネタバレは避けますが、伏線の回収も「え、そんな台詞(行動)あった?」と引っかかることなく、一方ダニエル・クレイグ演じる名探偵ブランに、中盤「もしかして彼は迷探偵なのでは?」と疑惑を抱かせる構成も巧いです。→(避けると言いつつ少しネタバレ)あっぱれ名探偵ぶりが披露されるクライマックスには拍手を贈りたくなりました。アカデミー脚本賞ノミネートも当然ですね。
そして隠れたテーマは「アメリカ」。
クリスティの時代に階級の問題として描かれていたものが、現代アメリカ社会に於いては「移民」にシフトして描かれるという論も目にしましたが納得です。もっともクリスティ自身も英国での移民や移住者の問題を全く取り扱っていないわけではないのですが。
2015年にオフ・ブロードウェイ及びブロードウェイで初演され大ヒット、トニー賞も席巻したミュージカル『ハミルトン』への言及もあります。そこに言及することで「彼ら」の偽善性がむしろ露呈するという皮肉も効いていました。
そして→(少しネタバレ)「あの役」にクリス・エヴァンスというキャスティングの妙。「キャプテン・アメリカ」にあの台詞を言わせるのもまた皮肉です。いったい「アメリカ」とは何なのか?と問わずにいられません。
このところ、ブログを書く時間があまり取れないせいもあり、ちゃんとしたレビューが書けないことを歯がゆく思いますが、とりあえずはこれくらいで。
付け足しのようで申し訳ありませんが、冒頭で死体が発見される(そして「事件」となる)館の主人にしてミステリ作家スロンビーを演じた、御年90歳のクリストファー・プラマーがまた素敵です。家族に一癖も二癖もある俳優さんたちを揃えた中、「謎」を主導していくのは結局のところ徹頭徹尾この人でした。
映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』公式サイト