

本日は Bunkamura ザ・ミュージアムにて【ベルギー幻想美術館】展を観て来ました。
「クノップフからデルヴォー、マグリットまで」とありますが、クノップフは4点ほどでした。けっこう知られた話ですが、作者紹介ページにあるクノップフの「ファムファタル」とは、彼の実の妹だった、と言うか常に妹の顔をしているんですよね……
姫路市立美術館所蔵作品の展示なので、今回の展覧会には出ていませんが、うちの中学生女子は、彼がブリュージュを描いた『見捨てられた街』が非常に「怖い」と言います。グロいものや残酷なシーンを描いているのではない静謐な(そしてやはりどこか幻想的な)風景画なのですが、何かこうじわじわと(ひしひしと)迫って来る恐怖を感じるそうです。その理由は、何となくわかる気がしますが……
他、マグリットやフェリシアン・ロップスの作品展示が多く、アンソールのいろいろな意味での「黒さ」には、圧倒されたと言うより辟易する感じでした。
でも今回の目玉は、ポスターにもその絵が使われているポール・デルヴォーでしょう。
「母親の偏った教育の影響」は、かの名高きサイコキラー、エド・ゲインをも彷彿させ、絵そのものも決して巧いわけではなく、ただひたすら幻想の女性たちを強迫観念のように描き続けた画家。いい加減な素人考え──と言うより直感だけで書いてしまうと、最もこの人に近いのはヘンリー・ダーガーなんじゃないかとさえ思います。
しかし、それなのにと言うか、それだからと言うか、彼の絵には他の「幻想派」に見られるような「死」の影や悪意めいたものは感じられません。風景画も含めて、とても柔らかく穏やかな印象を受けました。
この秋は国立博物館の【皇室の名宝】展に若冲も出るし、ハプスブルグ展もあるし、久しぶりに「芸術の秋」を満喫したいものです。