公園で途方にくれているわんこをみつけたので
おじいさんとおばあさんは、かわいそうに思って
家に連れ帰ってあげることにしました。
家に帰ると、わんこは早速
隣の部屋に入っていき
「この部屋の中を
決して覗いてはいけませんよ」
と、何度も念を押したのです。
おじいさんとおばあさんは、
ほくほくと顔を見合わせました。
「あのわんこはきっと、昔話の
『つるの恩返し』のように、自分の体を犠牲にしてでも
なにか贈り物をしてくれるに違いないよ」
おじいさんとおばあさんは決して
人並み外れて強欲なわけではありませんが
ささやかな見返りを期待する程度には
平凡な人たちだったのです。
しかし、いくら待っても
わんこは部屋から出てきません。
思いあまってこっそり部屋を覗いてみると・・・
・・・寝ています。
何度のぞいてみても
向きを変えたり
手を上げたりしながら
ひたすら、眠り続けています。
そしてある時とうとう、
こんな恐ろしい顔で眠っているのをみつけて
おじいさんとおばあさんは
「ぎゃっ」と悲鳴を上げてしまいました。
わんこは飛び起きて叫びました。
「とうとう、見てしまいましね。
あれほど、覗いてはいけないと言ったのに・・・」
「いや、しかしね」
おじいさんとおばあさんは
あきれながら、言い返します。
「助けてあげたのだから、昔話のつるみたいに
少しくらい、お礼をしてくれないものかねぇ」
すると、わんこは少し考えて
大きな窓を見上げました。
「見たところ、この窓にはカーテンがありませんね。
それでは私がカーテンをつけてあげましょう」
そういって、押入れの奥から勝手に
レースのカーテンをひっぱり出してきて
窓のレールに下げたのです。
「どうです。カーテンを吊るのが、私の恩返し。
これぞまさしく『吊るの、恩返し』ですよ」
おじいさんとおばあさんは、不満そうです。
「そのカーテンはもともと、我が家にあったものだし」
「たいしてありがたくもないんだけどね・・・」
すると、わんこは一言
「贅沢を言ってはいけませんっ」
と、「鶴の」一声を残し
さっさと立ち去って行ってしまったのでした。
めでたしめでたし?
おしまい♪
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