世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の境内に咲き、遅咲きの八重桜として知られる「御室桜(おむろざくら)」の苗を、独自のクローン技術で培養することに成功したと10日、住友林業が発表した。
御室桜(御室有明)は成長すると人の背丈ほどで、目の高さで花が咲く。
これまでは株分けして苗木を作ってきたが、花びらが突然変異を起こして一重になることが多かった。
接ぎ木に適した状態のいい枝もほとんどなかったため、同社が平成19年から千葉大学園芸学部と共同して研究を進めていた。
新しい方法では、芽の分裂組織を顕微鏡下で取り出して培養。無菌状態で芽を大量に増殖させ培養土で幼苗まで育てる。突然変異や病虫害の心配が少ないという。同社は「長い間親しまれてきた本来の御室桜の姿を後世に引き継ぐことができる」としている。