好きな本
4冊目
『📖故 郷』魯 迅(ルーシュン)/竹内 好(たけうち よしみ)訳
魯迅(ろじん)[[1881~1936]小説家・詩人
魯迅は『📖故郷』のなかで、
『📖阿Q正伝』の登場人物全員に言っています。
(引用、始め)
「互いに隔絶することのないように、
うちひしがれて心がまひする生活をすることも、
やけを起こしてのほうずに走る生活をともにすることも
(私は)願わない。
希望をいえば彼らは新しい生活をもたなくてはならない。
私たちの経験しなかった新しい生活を。
希望という考えが浮かんだので、私はどきっとした。
(中略)
今私のいう希望も、やはり手製の偶像にすぎぬ
のではないか。
(中略)
私の望むものは手に入りにくいだけだ。
思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、
ないものとも言えない。
それ(希望)は地上の道のようなものである。
もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば
それが道になるのである。」
(引用、終わり)
『📖故 郷』
(引用、始め)
厳しい寒さの中を、二千里の果てから、
別れて二十年にもなる故郷へ、
私は帰った。
もう真冬だった。
故郷へ近づくにつれて空模様はあやしくなり、
冷たい風がヒューヒュー音をたてて、
船の中まで吹き込んできた。
小舟をおおうこも編みのすき間から
外を見ると、鉛色の重たい空の下に、
わびしい村々が、少しの活気もなく
あちこちに横たわっていたので、
私は思わず寂寥感(せきりょうかん)が
胸にこみあげた。
ああ、これが二十年来、かたときも
忘れることのできなかった故郷であろうか。
私の覚えている故郷は、まるでこんなふうではなかった。
私の故郷は、もっとずっとよかった。
故郷の美しさを思い浮かべ、
その長所を言葉にあわらそうとすると、
しかし、その影はかき消され、
言葉は奪われてしまう。
やはりこんなふうだったかもしれないという
気がしてくる。
そこで私は、こう自分に言い聞かせた。
もともと故郷はこんなふうなのだ--
進歩もないかわりに、
私が感じるような寂寥もありはしない。
そう感じるのは、
自分の心境が変わっただけだ。なぜなら、
今度の帰郷は決して
楽しいものではないのだから。
今度は、故郷に別れを告げに来たのである。
私たちが長いこと住んでいた古い家は、
今はもう他人の持ち物になってしまった。
明け渡しの期限は今年いっぱいである。
どうしても旧暦の正月の前に、
住み慣れた古い家に別れ、なじみ深い故郷を
あとにして、
私が今暮らしを立てている異郷の地へ
引っ越さねばならない。
(引用 終わり)
魯迅の『📖狂人日記』は、
封建社会への強い批判です。
「知らないうちに自分も人肉を食うような行為をしているのかもしれない。
それは人間として決して踏み込んではならない、あまりにも恐ろしい非人間的な行為だ。
そして、
次に食われるのは自分かもしれない。
いやおそらく自分だろう。」
という内容です。
4冊目
『📖故 郷』魯 迅(ルーシュン)/竹内 好(たけうち よしみ)訳
魯迅(ろじん)[[1881~1936]小説家・詩人
魯迅は『📖故郷』のなかで、
『📖阿Q正伝』の登場人物全員に言っています。
(引用、始め)
「互いに隔絶することのないように、
うちひしがれて心がまひする生活をすることも、
やけを起こしてのほうずに走る生活をともにすることも
(私は)願わない。
希望をいえば彼らは新しい生活をもたなくてはならない。
私たちの経験しなかった新しい生活を。
希望という考えが浮かんだので、私はどきっとした。
(中略)
今私のいう希望も、やはり手製の偶像にすぎぬ
のではないか。
(中略)
私の望むものは手に入りにくいだけだ。
思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、
ないものとも言えない。
それ(希望)は地上の道のようなものである。
もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば
それが道になるのである。」
(引用、終わり)
『📖故 郷』
(引用、始め)
厳しい寒さの中を、二千里の果てから、
別れて二十年にもなる故郷へ、
私は帰った。
もう真冬だった。
故郷へ近づくにつれて空模様はあやしくなり、
冷たい風がヒューヒュー音をたてて、
船の中まで吹き込んできた。
小舟をおおうこも編みのすき間から
外を見ると、鉛色の重たい空の下に、
わびしい村々が、少しの活気もなく
あちこちに横たわっていたので、
私は思わず寂寥感(せきりょうかん)が
胸にこみあげた。
ああ、これが二十年来、かたときも
忘れることのできなかった故郷であろうか。
私の覚えている故郷は、まるでこんなふうではなかった。
私の故郷は、もっとずっとよかった。
故郷の美しさを思い浮かべ、
その長所を言葉にあわらそうとすると、
しかし、その影はかき消され、
言葉は奪われてしまう。
やはりこんなふうだったかもしれないという
気がしてくる。
そこで私は、こう自分に言い聞かせた。
もともと故郷はこんなふうなのだ--
進歩もないかわりに、
私が感じるような寂寥もありはしない。
そう感じるのは、
自分の心境が変わっただけだ。なぜなら、
今度の帰郷は決して
楽しいものではないのだから。
今度は、故郷に別れを告げに来たのである。
私たちが長いこと住んでいた古い家は、
今はもう他人の持ち物になってしまった。
明け渡しの期限は今年いっぱいである。
どうしても旧暦の正月の前に、
住み慣れた古い家に別れ、なじみ深い故郷を
あとにして、
私が今暮らしを立てている異郷の地へ
引っ越さねばならない。
(引用 終わり)
魯迅の『📖狂人日記』は、
封建社会への強い批判です。
「知らないうちに自分も人肉を食うような行為をしているのかもしれない。
それは人間として決して踏み込んではならない、あまりにも恐ろしい非人間的な行為だ。
そして、
次に食われるのは自分かもしれない。
いやおそらく自分だろう。」
という内容です。